リース業界とはどのようなところ?主な職種とおすすめの学部
2024.02.07
高校生の皆さんは「リース事業」と聞いても、一体どんな事業なのかあまりピンとこない方が多いのではないでしょうか?そこでこの記事では、初めにリース事業の基礎知識を解説した上で、リース業界の特徴や企業の例をご紹介していきます。リース業界には、企業の運営に必要な設備を貸し出すサービスが集まっています。皆さんの普段の生活にはほとんど関わっていないように見えるかもしれませんが、実は世の中にある数多くの企業の運営を支える大切な仕事なんです!どんな業界なのか、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
リース業界の意味とレンタル業界の違い
初めに、リース業界について理解するために、リース事業の基礎知識を解説します。サービス内容が似ているレンタル業界との違いにも触れるので、まずは基本から確認してみましょう!
リース業界とは
そもそもリース事業とは、企業の運営に必要な設備を、長期間にわたり貸し出すサービスのことを指します。リース会社が高額な設備を購入して企業に貸し出し、企業はリース会社へ月々の「リース料金」を支払います。矢野経済研究所の発表によると、2021年度には4兆2,186億円の取引が行われました。サービス内容についてさらに詳しくは後ほど解説するので、まずは具体例を見ながら、リース事業がどんなサービスなのかをざっくりと把握してみましょう。
リース事業の中でもよくある例として挙げられるのは、「コピー機(複合機)」のリースです。企業のオフィスには、会議の資料や取引に使う書類を印刷するために、コピー機が設置されています。このコピー機を購入する場合、1台あたり数百万円~千万円ほどの大きなコストがかかり、導入する際はまとまった金額の負担が生じます。それに対してリースでは、企業がリース会社と「リース契約」を結ぶことで、月額の「リース料金」を支払い続け、契約した期間にわたりコピー機の貸し出しを受けられるのです。
この仕組みによって、企業はコピー機を購入する場合に生じるまとまった導入費用の負担を軽減しながら、業務に必要なコピー機を設置できるようになります。このほかにも、リースを利用してコピー機を導入すると、企業が支払う税金の負担が軽減されたり、契約した期間が満了したらスムーズに新しいコピー機に入れ替えやすくなったりと、さまざまなメリットを得られるんです。
ここまでコピー機の例で解説しましたが、リース事業ではコピー機のほかにも多様な設備を取り扱っています。たとえば、近年のビジネスシーンではPCやタブレットなどのIT機器が欠かせない存在になりました。これらのIT機器を業務で使う場合、従業員の人数が多い大規模な企業では数百台~千台の端末が必要になるので、導入費用の負担が大きくなります。そのため、リースを利用してIT機器を導入することも珍しくありません。また、リースを利用すると一定期間で最新の設備に入れ替えがしやすくなるのもポイントです。昨今はIT機器の進化のスピードが速いので、最新の設備を導入できるのも大きなメリットだといえるでしょう。同様に、従業員が仕事で使うデスクや書類を保管するロッカー、仕事で客先へ行くために使う自動車(=社用車)、工場で製品を製造するための機械などもリースの対象となることが多いです。このように、リース事業では非常に幅広い品物を取り扱っていて、あらゆる業界の企業が関わりがあることを押さえておきましょう!
・リース事業で利益が出る仕組み
先ほどリースのサービスを利用する企業側のメリットに触れましたが、リース会社は事業によってどのように利益を出しているのでしょうか。利益が出る仕組みについて知るために、月額の「リース料金」の内訳を見てみましょう。
月額のリース料金=設備の本体価格×リース料率 |
企業側が月額で支払うリース料金は、設備そのものの価格に「リース料率」という数値を掛けて算出します。リース料率は、社会の経済状況や企業の業績によって変動します。コピー機をはじめとしたOA機器の場合、5年間のリース料率は1.9%前後が平均です。仮にコピー機の本体価格が100万円で、リース料率が1.9%、5年間のリース契約だとすると、月額のリース料金は以下のようになります。
100万円(コピー機の本体価格)×1.9%(リース料率)=19,000円(月額のリース料金) |
つまり、5年間(60カ月)では、19,000円×60カ月=114万円を支払うことになります。こうして総額を見ると、企業がコピー機の本体価格よりも多くの金額をリース会社に支払っていることがわかるでしょう。これがリース事業で利益が出る基本的な仕組みです。なお、リース契約は一般的に3年以上の契約となるケースが多く、原則として途中で解約ができません。中途解約する場合、企業は違約金(=約束に違反した場合に支払うお金)を支払わなければならないなど、リース会社の利益を守るための特殊な決まりが設けられています。
リース業界とレンタル業界の違い
ここまでの説明を見て、「リースとレンタルは、どちらも物を貸し出すサービスという点で共通しているけれど、一体どう違うの?」と感じた方もいるかもしれませんね。リースとレンタルには主に、貸し出す期間・貸し出す物の価格帯・中途解約の可否などの点で違いがあります。以下の表を見てみましょう。
リース | レンタル | |
貸し出す期間 | 長期間(年単位) | 短期間(時間単位・日単位・週単位) |
貸し出す物の価格帯 | 高額 | 低額から高額まで |
中途解約の可否 | 原則として解約できない (違約金が発生する) | 解約できる (借りた期間の分だけ支払う) |
一般的にリースでは、オフィス用品や工場の機械をはじめとした価格帯の高い物を、1年~10年といった長期間にわたり貸し出します。それに対してレンタルでは、衣服や漫画といった価格帯の低い物から、自動車のような価格帯の高い物まで扱います。これらを時間ごと・日ごと・週ごとの短い区切りで一時的に貸し出す点がリースとの大きな違いです。また、レンタルは基本的に借りた期間の料金を支払えば途中で解約できるのに対して、リースは原則として中途解約ができず、違約金が発生します。
リースとレンタルはどちらも物を貸し出すサービスですが、長く使い続ける高額な物はリース、一時的に使う物はレンタルといった違いがあることを押さえておきましょう。
リース業界の魅力や代表的な企業の例
ここでは、リース業界で働く魅力や、「JOB-BIKI」で調べられる企業の例をご紹介します。進路選びではぜひ「JOB-BIKI」を活用しましょう!
リース業界で働く魅力
リース会社が提供するサービスには、高額な設備の導入を考えている企業の負担を軽減し、より良い選択肢を提案する役割があります。つまり、リース業界で働くということは、社会にある一つひとつの会社の経営を支える力になるということなんです!
たとえば、これから事業をスタートさせる段階の小さな企業は、高額な設備を購入するのが難しいことも。あるいは、既存の設備を新しい設備に交換したいと考えながら、買い替えで生じる費用負担に悩んでいる企業もあるでしょう。そんなとき企業のお客様へリースのサービスを提案すれば、一時的に大きな費用負担が生じるのを避けながら、ビジネスに必要な設備を整えるお手伝いができるのです。リース業界の仕事には、縁の下の力持ちとして多くの企業の運営をサポートするやりがいがあります!
また、リース業界の仕事では、幅広い業界の企業と取引することも魅力の一つです。たとえば、製造業界や不動産業界をはじめとして、多種多様な業界のビジネスに関わって働くことになるでしょう。リースの仕事を通じて、特定の業界ならではの専門知識が身につくことも。好奇心が旺盛で色んな業界の知見を広げたいと思っている人にとって、魅力的な環境だといえます。
リース業界の代表的な企業の例
ここでは、「JOB-BIKI」のサービスを使って調べられるリース業界の企業をご紹介します。リース業界にはたとえば以下のような会社があります!
*オリックス自動車株式会社…自動車などのリースサービスを提供しています。
*三井住友ファイナンス&リース株式会社…機械設備、不動産、医療機器などのリースサービスを提供しています。
*三菱HCキャピタル株式会社…不動産、航空機、工作機械などのリースサービスを提供しています。
*東京センチュリー株式会社…不動産、自動車などのリースサービスを提供しています。
*芙蓉総合リース株式会社…不動産、省エネ設備、航空機などのリースサービスを提供しています。
高校生の皆さんは、少しずつ将来をイメージし始めて「世の中には一体どんな仕事があるんだろう?」と調べているところでしょう。社会にはリース業界のように、まだ知らない業界がたくさんあるかもしれません。少しでも興味のある業界を見つけたら、「JOB-BIKI」で検索することから始めてみましょう。検索画面の就職先検索にこれらの企業名を入力すると、先輩たちの出身大学を調べられます。進路を考え始めたら、ぜひ「JOB-BIKI」を使ってみてくださいね。
リース業界の職種
リース業界では、こんな職種が活躍していますよ。それぞれの職種の仕事内容をご紹介します。
営業職
企業のお客様にリースの提案を行い、リース契約を結びます。リース事業の営業職は、物を販売する営業職とは異なり、リースの仕組みを利用することによってお客様の課題を解決できなければなりません。そのため、コンサルティング(=課題を解決へ導く提案などのサポート)も営業職の役割の一つとなります。
資産管理職
リース事業で貸し出している品物や、契約状況などを詳細に管理する職種です。リース会社が保有している品物は、無駄がないよう効果的に貸し出すことでより多くの利益を生み出します。単に契約期間を管理するだけでなく、品物を活用して利益につなげる重要な役割があります。
経理職
リース会社の会計(=お金の流れを管理する業務)や税務(=税金を計算する業務)を担う職種です。どの業界の企業にも経理担当者はいますが、リース業界においてはリース契約で発生する税金の処理を担うことになり、専門知識が求められます。
法務職(審査職)
リース契約を結ぶ前に、企業のお客様の支払い能力を調べて、リース料金を問題なく支払い続けられるかを詳しくチェックします。リース事業で利益を出すためには、リース料金を滞りなく回収する必要があるため、会社の損益に関わる重要な職種です。
リース業界で求められる人とおすすめの学部
リース業界に興味を持ってきたら、働くために必要な資格や素質を確認してみましょう。また、大学で選びたい進路もご紹介します。
求められる経験や資格
リース業界へ就職するために必須の資格は基本的にありません。ただし、入社後はお金のやり繰りに関する金融の知識が求められます。経営管理の知識を証明する「簿記」のほか、貸金業法の知識を証明する国家資格「貸金業務取扱主任者」などの資格を取得して活躍する人もいます。
リース業界に向いている人
・積極的に知識を学べる人
リース業界の中でも営業職は、お客様の業界ならではの専門知識を身につけた上で、課題を解決へと導く提案ができなければなりません。たとえば自動車のリースを担当する場合は、車両のメンテナンスや自動車保険などの知識が求められます。一般的な営業職のように課題解決力や提案力が必要なのはもちろん、お客様のために学ぶ意欲を持てる人に向いています。
・人を支えることに喜びを感じる人
リース業界のサービスは企業の運営を助けるものなので、基本的に誰かをサポートすることにやりがいを感じられる人に向いています。お客様の中には、新しい事業を立ち上げるところで、お金や設備の問題で悩んでいる人が多くいます。そんな困っている人に対して「自分のスキルを生かして問題を解決する助けになりたい!」と使命感をおぼえる人は、この業界のビジネスに向いているといえます。
リース業界で働くためにおすすめの学部
リース事業は、リース会社が企業の代わりに高額な設備を購入して月々の支払いを受けることから、お金の返済に近い形式のビジネスだとされています。こうした背景から、リース業界は金融の分野と関連性の高い業界です。そのため、リース業界への就職を目指すなら、お金の動きを基礎から体系的に学べる「経済学部」「経営学部」「商学部」といった進路を選ぶと良いでしょう。これらの学部には、リース業界の理解に役立つ金融の分野を専攻できる「金融学科(コース)」や「ファイナンス学科(コース)」が設置されています。また、リース事業では多様な業界の企業をサポートするので、経営学部に進学してビジネスの素養を身につける「ビジネス学科(コース)」を選ぶのもおすすめです。
リース業界への就職を目指すあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
ここまでリース業界の特徴や、おすすめの学部を解説しました。リース業界は高校生の皆さんにとってあまり聞き慣れない業界かもしれませんが、実はあらゆる業界の企業の運営を支えているのです。将来、就職する業界を考え始めたら、リース業界も視野に入れてみてはいかがでしょうか。リース業界に就職した先輩たちの進路は業種で検索できる「JOB-BIKI」で調べられます。検索画面の就職先検索で「サービス」から「リース・レンタル」を選択して、リース業界の企業にどの大学から就職しているか見てみましょう!