飲料業界とは?業務内容や就活生に人気の理由、大学と学部学科の選び方
2024.03.04
飲料業界とは、ジュースやお茶、ビールなどを扱う業界のことです。私たちの生活に欠かせない飲料は常に需要があるため、経済の波に左右されにくく安定した業界と言えます。サントリーやアサヒ、キリンなどの大手はブランド力も強く、経営基盤が固まっていることから、就活生からも人気の業界です。
この記事では、飲料業界の主な企業や職種、就職に強い大学や学部・学科について解説します。
飲料業界に向いている人の特徴についてもまとめているので、将来飲料業界で働きたい人は参考にしてみてください。
目次
飲料業界の概要
飲料業界が取り扱う飲料は酒類と清涼飲料水の2つがあります。清涼飲料水とは、ミネラルウォーターやジュース、コーヒーなどを指します。大手の飲料業界は、お酒と清涼飲料水の両方を製造している場合が多いです。
製造した飲料は、自社の販売会社や販売部門を経由して卸売り業者に販売され、そこからスーパーやコンビニなどの小売店に並びます。
また、飲食店で取り扱ってもらえるように営業をかけるのも飲料メーカーの仕事です。ファミレスのドリンクバーやハンバーガーチェーンのドリンクなどで取り扱ってもらえれば、大きな売り上げが見込めます。
さらに企業によっては、自社で自動販売機による飲料の販売をしているところもあります。メーカーが直接消費者に販売する自動販売機は、ほかの業界にはない飲料業界独特の販売ルートです。
飲料業界の動向
飲料業界は、2019~2020年と巣ごもり需要が高まったことで、売り上げの減少が続きました。とくに酒類は、レストランや居酒屋の時短営業や酒類提供の制限により、大きく売り上げが落ちました。
2021~2022年には行動規制が緩和されたことにより、飲料業界の売上は回復しています。2023年は、値上げによって販売数は減るかもしれませんが、売上は回復を続け市場は拡大する見込みです。
最近では、健康への関心が高まり、お茶やミネラルウォーター以外にも、「トクホ」として知られる特定保健用食品飲料や低カロリー飲料、野菜系飲料が人気を集めています。
同時に、若い世代を中心にエナジー系飲料も大ヒットしており、これらの製品を巡る市場で激しいシェア争いが展開されています。
参考:参考:飲料市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 (yano.co.jp)
飲料業界の代表的な企業
飲料業界の代表的な企業として、以下の3つを紹介します。
- サントリーホールディングス
- コカ・コーラボトラーズジャパン
- 伊藤園
サントリーホールディングス
【サントリーホールディングスの会社概要】
会社名 | サントリーホールディングス株式会社 |
本社(大阪オフィス) | 大阪市北区堂島浜2-1-40 |
創業 | 1899年 |
従業員数 | 40,885人※2022年12月現在 |
参考:企業概要|企業情報|サントリーホールディングス (suntory.co.jp)
サントリーホールディングスは、国内売上、シェアともにトップを走る総合飲料メーカーです。
ウイスキーから始まり、ビール、ソフトドリンク、お茶、コーヒーなど、幅広い製品を手がけています。「やってみなはれ」の精神で、海外企業のM&Aを次々成功させるなど、グローバルに展開しているのが特徴です。
サントリーホールディングスの主な商品は以下のとおりです。
- ペプシ
- C.C.レモン
- 天然水
- BOSS
- 伊右衛門
- ザ・プレミアムモルツ
- ほろよい
- 響
コカ・コーラボトラーズジャパン
【コカ・コーラボトラーズジャパンの会社概要】
会社名 | コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 |
本社(大阪オフィス) | 東京都港区赤坂九丁目7番1号 ミッドタウン・タワー |
創業 | 2001年 |
従業員数 | 14,484名 ※2022年12月31日現在 |
参考:会社概要|コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 (ccbji.co.jp)
コカ・コーラは世界中で販売されていますが、なかでもコカ・コーラボトラーズジャパンは世界第3位、アジア最大の売上を誇ります。清涼飲料に特化し、自動販売機事業にも力を入れているのが特徴です。
国内では、1都2府35県と幅広く展開しています。
コカ・コーラボトラーズジャパンの主な商品は以下のとおりです。
- コカ・コーラ
- ファンタ
- ジョージア
- 爽健美茶
- アクエリアス
- ミニッツメイド
- い・ろ・は・す
- 檸檬堂
伊藤園
【伊藤園の会社概要】
会社名 | 株式会社伊藤園 |
本社 | 東京都渋谷区本町3-47-10 |
創業 | 1966年 |
従業員数 | 13,133名※2024年1月5日現在 |
参考:会社概要 | 伊藤園 企業情報サイト (itoen.co.jp)
伊藤園は、お茶に関する研究開発や製造・販売に強みのある企業です。PETボトルなどの飲料製品に限らず、ティーバッグやリーフ製品なども手がけています。
北米や中国、東南アジア、オーストラリアを中心に海外にも展開しています。
伊藤園の主な商品は以下のとおりです。
- お~いお茶
- 健康ミネラルむぎ茶
- TULLY’S COFFEE
- 1日分の野菜
- 理想のトマト
- TEAs’ TEA
- ヘルシールイボスティー
- エビアン
飲料業界の職種一覧
飲料業界の主な職種として、以下の4つを紹介します。
- 営業
- マーケティング
- 研究・開発
- 製造
営業
飲料業界の営業の主な仕事は、スーパーマーケットやドラッグストア、飲食店、自動販売機を設置しているお客さんなどに対して、自社の商品を扱ってもらい売り上げに貢献することです。
スーパーマーケットやドラッグストアでは、商品を陳列する場所や戦略を考えて、各店舗の担当者に提案します。売り場つくりを任される場合もあり、商品の陳列方法やPOP作りなどを行うこともあります。
飲食店では、商品やディスペンサー(飲み物を出す機械)などを紹介します。自社の自動販売機を設置しているお客さんに対しては「ニーズに沿った商品が揃っているか」「利益が出せているか」などを確認し、売り上げ拡大に貢献できる提案を行います。
また、居酒屋やバーなどでは、オリジナルのグラスやジョッキの提供、メニューや看板の作成支援などを通じて、お客さんのお店をバックアップするのも営業の仕事です。
マーケティング
飲料業界のマーケティングの主な仕事は、製品の魅力を引き出し、広告などを通じてお客さんにアピールする仕事です。
売上データの分析や最新のトレンドの把握を通して、新しい商品やキャンペーン景品の企画をしたり、コンセプトやパッケージデザインを考えたりします。たとえば、コンビニのペットボトル飲料のフタを人気アニメのキャラクターにした「ボトルキャップフィギュア」や、パッケージをキャラクターコラボにするなどは、マーケティング職が企画します。
飲料系はキャンペーンにかける費用が高いところも特徴なので、自分のアイデアを商品に反映させやすいと言えるでしょう。
デジタル化が加速する近年では、どの企業もテレビCMに加え、SNSなどを使ったデジタルマーケティングに力を入れています。インスタグラムで新商品やレシピの紹介、キャンペーンなどを行うことで、お客さんにファンになってもらいやすく売り上げにつながります。
研究・開発
飲料業界の研究・開発の主な仕事は、新しい飲み物を考え出し、既存の飲み物を良くするために実験や調査を行うことです。
新しいアイデアを実際の商品にして、工場で作るための技術も考えます。つまり、おいしい飲み物を作るための研究と技術開発を担当する大切な役割です。
製造
飲料業界の製造の主な仕事は、研究開発で考えた新しい商品を本物の製品にすることです。工場の機械を管理し商品を大量生産したり、需要に応じて生産量の調整をしたりします。
製造の途中で味や成分を確認して、おいしい商品を作るために品質をしっかり管理することも大事な仕事です。
飲料業界に向いている人
飲料業界に向いている人は、以下のとおりです。
- 飲食に興味がある人
- 誠実さのある人
- グローバル思考な人
飲食に興味がある人
飲料業界は、おいしい飲み物を作り出し販売する仕事なので、「新製品の飲み物を試すのが好き」「お茶やコーヒーにこだわりがある」という人には向いているでしょう。
とくに研究・開発職では、味覚や嗅覚を使って商品を試験することもあるので、おいしさを追い求める探求心は重要なポイントです。
誠実さのある人
人の体内に入る飲食物は安全第一なので、「嘘をつかない」「お客さんのことを一番に考えられる」など、誠実さのある人は飲料業界に向いています。
みなさんも、賞味期限や産地の偽装といった食品偽装のニュースを耳にしたことがあるかもしれません。一度安全が脅かされると一気に信頼を失ってしまう世界です。お客さんに対して常に誠実さをもって行動する必要があります。
グローバル思考な人
飲料業界の多くは国内のみでなく海外にも展開しており、世界中で商品を提供しています。同僚やお客さんが外国人になることもあるので、グローバルな思考をもった人は飲料業界に向いているでしょう。
語学力はもちろん、文化や風習の違いを理解しながら建設的なコミュニケーションをとることが求められます。
分析力のある人
分析力のある人は、飲料業界で重宝されるでしょう。競合が多い飲料業界では競争に勝つ必要があります。そのためには、市場のニーズを読み、お客さんの望む飲料を開発・改良していくことが重要です。たとえば、近年では健康志向が高まっているため、低糖質なビールやカロリーの低い野菜ジュースを開発するといった感じです。
他社やお客さんの動向などから多角的に分析できる人は、飲料業界に向いているでしょう。
飲料業界の就職に強い大学とおすすめの学部学科
将来、飲料業界への就職を考えている人は、どのような進路選択をすればよいのでしょうか?ここでは、飲料業界の就職に強い大学とおすすめの学部・学科について紹介します。
飲料業界の就職に強い大学
飲料業界は、偏差値の高い大学を採用している傾向が見受けられます。
例として、就職四季報2023年度版からキリンの採用実績校を見てみましょう。
- 東京大学
- 京都大学
- 大阪大学
- 名古屋大学
- 九州大学
- 早稲田大学
- 慶応義塾大学
ほかにも、飲料業界で活躍している人の出身大学を知りたい人は、就職したい業界から志望大学を検索できる「JOB-BIKI」ジョブビキを活用してみてください。キリンや伊藤園などの大手以外にも多くの企業を掲載しているので、進路選びの参考になりますよ。
飲料業界の就職におすすめの学部学科
飲料業界では、大きく事務系職と技術職の2つに分けられます。
事務系職とは、営業やマーケティング、経理や人事などで、学部・学科を問わないのが一般的です。
研究・開発職を中心とした技術職では、理系の学部・学科卒が応募要件となっている場合がほとんどです。
飲料メーカーは大量に商品を製造するため、工場の生産効率向上は重要な課題です。缶やペットボトルについても、環境面を考慮しつつコストの低いものを常に模索しています。
また飲料メーカーでは「特定保健用食品」やサプリメント事業などの研究・開発が盛んです。そのため以下のような理系の学部・学科を卒業していることが要件となります。
- 生命科学
- 細胞工学(動物、植物、微生物)
- 化学
- 情報科学
- 統計学
- 感性工学
- 環境科学
参考:新卒採用募集要項|新卒採用|採用情報|キリンホールディングス株式会社 (kirinholdings.com)
これらの学部は、理学部や理工学部、環境科学部に設置されていることが多いです。
自分の就職したい職種の募集要項を確認し、募集学科が設定されている場合は、進路選びの参考にするとよいでしょう。
JOB-BIKIで飲料業界に就職している大学を調べよう
飲料は私たちの生活に欠かせないため、需要も安定しており、就活生からも人気の業界となっています。
飲料業界には事務系職と技術職があり、事務系職に学部・学科の縛りはありませんが、技術職は理系の学部・学科を応募要件にしている企業がほとんどです。自分の将来つきたい職種にあった進路を選ぶようにしましょう。
飲料業界への就職に強い大学は、JOB-BIKIからチェックしてみてください。業種は「製造・機械」の「飲料・たばこ・飼料」となっています。