経営コンサルティング会社の魅力は?主な職種とおすすめの学部学科
2024.05.16
世の中にはさまざまな企業の社長が、経営の悩みを抱えています。どのようなサービスを提供すればいいのか、事業で成果が出ないときどうすればいいのか…。企業の社長が人知れず抱える経営の悩みに、客観的な立場からアドバイスするのが「経営コンサルティング会社」の仕事です!企業の社長に親身に寄り添う経営コンサルティング会社で働くと、どのような魅力があるのでしょうか?主な職種や仕事内容、進学するおすすめの学部をまとめました!
目次
経営コンサルティング会社の魅力や代表的な企業の例
経営戦略、財務、IT化の支援など、クライアント企業から幅広い分野の相談を受け、課題を解決し事業運用を助ける経営コンサルティング会社。業界で働く魅力とは何でしょうか?会社概要から代表的な企業例までを紹介します。
経営コンサルティング会社とは
経営コンサルティング会社とは、クライアント企業が抱える経営や事業推進の課題・悩みをヒアリングし、解決に向けたアドバイスや施策の提案・具現化を支援する会社です。会社経営・売上構築に関わる全般をコンサルタントとして支援しており、さまざまな業態のクライアントがコンサルティングを受けています。具体的には、下記のような領域が対応範囲です。
*企業の事業立ち上げや新規事業の推進
*経営戦略、会社方針の策定
*マーケティング戦略、市場調査
*スタッフの業務フロー改善
*新製品の企画開発・製造
*SDGs推進などの社会的責任活動(CSR)
コンサルティング会社によっては、より専門領域に特化したコンサルサービスを提供しています。組織制度や人事の専門的知識をもった「組織・人事コンサルタント」や、M&A(企業を合併したり買収したりして、組織を大きくすること)や財務戦略の支援に強みがある「FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)」などはその一例です。
また、経営コンサルティング会社の仕事はITシステム・技術革新(イノベーション)と深い関連性があり、働く上で専門的な知識が求められます。たとえば、2004年から提唱されているデジタルトランスフォーメーション(DX)は、経営コンサルティングの業界でよく使われる概念のひとつ。デジタル技術を活用することで、業務プロセスを改善したり斬新な製品・サービスを生み出したりと、ビジネスモデルを一新します!デジタル化・AI化による業務改善を推進するコンサルタントは、通称「IoTコンサルタント」と呼ばれます。
経営コンサルティング業界の市場規模は、2017年~2022年までで成長傾向であり、1.8兆円規模まで拡大した巨大市場です。さまざまな業界でデジタル化を推進する動きが見られる中、新技術の導入・デジタル化に踏み込んだ新しい経営方針の策定が必要となりました。これにより、経営コンサルティング会社への需要が高まったと推察されます。ただし、2023年以降は成長が鈍化する見込みがあります。今後はクライアント企業のニーズをどこまで適切に把握できるかが重要です。需要が高いサービスを柔軟に提供できるかが業界での生き残りに大きく影響します。
経営コンサルティング会社の魅力
クライアント企業の課題と向き合い、一緒に解決していく経営コンサルティング会社での仕事は、やりがいがある魅力的な仕事です!どのような魅力があるのか、以下の4つにまとめました。
クライアントと一緒に課題を解決する達成感や喜びを味わえる
経営コンサルティング会社で働く魅力は、難易度の高い課題を解決したときの達成感・喜びです!取り扱う経営課題は事業運営・マーケティング戦略といった、会社の業績を左右する重要案件ばかりであるため、簡単に解決できる話ではありません。だからこそ、クライアントと悩みを共有し、施策と改善を繰り返す中で成果を出したときの達成感は、何事にも代えがたい価値ある経験です。
経営者と触れ合う機会が多く、価値観が広がる
経営コンサルティング会社での仕事は経営者と関わる場面が多く、自身の価値観を広げられる点が魅力です。コンサルを受ける企業の経営者や役員クラスの担当者は、自社の業界の市場環境と向き合い、競合他社がひしめく世界で自社がどう戦うか、四六時中考えています。経営コンサルティングは、専門的な視点からアドバイスをする存在である一方で、経営者とのコミュニケーションの中で学びを得る機会が多くあり、自己成長につながる仕事です。
さまざまな専門領域のスキルが身につく
仕事を続ける中で、さまざまな専門領域のスキルが身につくことは、経営コンサルティング会社で仕事をする魅力のひとつ。一口に経営課題といっても、組織運営・マーケティング・商品開発と、課題がある領域は多種多様です。クライアント企業の経営課題を解決していく中で、自身がたくさんの領域に踏み込み学びを得られます。自身のキャリアが豊かになり、さまざまな経験やスキルを自分のものにできるのは、経営コンサルティング会社で働く大きなメリットです。
高い給与で働ける
経営コンサルティング会社では、高い専門性や成果への責任が問われる仕事である分、高い給与で働けます。経営コンサルティング会社の平均年収は、600~700万円です。20代で平均500万円を稼げる、好待遇な仕事として知られています。
経営コンサルティング会社の代表的な企業の例
経営コンサルティング会社は、それぞれに得意とするジャンルがあり、対応できる業務範囲が異なります。代表的な以下5つの企業を紹介します。
ベイカレント・コンサルティングは、数ある経営コンサルティング会社の中で、2022~2023年度の売上ランキングが上位3位圏内に入った、実績のある大手企業です。2016年には東証プライムに上場しました。17の産業分野を網羅し、あらゆる方面から企業の経営活動をバックアップ。環境に配慮したSDGsの取り組みと最先端の技術を活かしたDX推進に注力しており、独自のノウハウで企業を支えます。
日本M&Aセンターは、企業の買収・合併により拡大戦略を練るM&Aに特化した経営コンサルティング会社です。日本各地の会計事務所のネットワークをつなごうと1991年に創業、その後事業所を拡大しながら2021年に現在の商号へ変更しました。現在はベトナムやタイなどアジア圏に事務所を拡大しています。日本経済を支える中堅企業・中小企業向けにアプローチし、企業の技術やノウハウを次世代につなぐため、日々取り組んでいる会社です。
キャップジェミニは、テクノロジー分野のコンサルティングを得意とする経営コンサルティング会社です。あらゆる業界・産業のデジタル化を掲げ、IoTコンサルタントとしてクライアント企業の技術革新(イノベーション)をサポートします。本社はフランスにあり、世界50ヶ国にまで事業を拡大!ボーダレスに活躍し続けるグローバル企業です。
三井倉庫サプライチェーンソリューションは、物流・運輸領域のコンサルティングを得意とする経営コンサルティング会社です。原料調達から消費者に製品が届くまでの流れ(サプライチェーン)を、生産性があるオペレーションシステムと最先端テクノロジーを駆使して実現!物流専門会社として培ってきたノウハウを活かし、流通のプロとして数々の企業を成功へと導いてきました。
総合メディカルは、「よい医療は、よい経営から」をコンセプトに掲げる、医療機関を専門にした経営コンサルティング会社です。医療業界では、増える患者を迎えるだけの設備が足りなかったり、医者や看護師を雇う人件費が高騰化したりと、経営にさまざまな課題があります。そんな課題を抱えた病院の経営者に対し、医療設備調達の資金繰りや医師の人材紹介といった幅広いサービスで、医療機関をサポートします。
経営コンサルティング会社の職種
一口に経営コンサルティング会社といっても、企業の戦略策定や課題の分析など仕事は多岐にわたります。どのような職種があるのか、種類ごとに詳細に解説します。
アナリスト
アナリストは、英語の「analyze(アナライズ/分析する)」に由来した言葉で、経営コンサルティング会社の中で分析機能に特化した職種です。クライアント企業が属している業界の市場調査を実施し、経営課題の根本原因は何なのかを調査によって突き止めます。会社によっては、経営コンサル未経験者が最初に経験する職種であり、コンサルタントの補佐役として仕事を振られる場合があります。
コンサルタント
コンサルタントとは、クライアント企業の経営課題をヒアリング・市場調査で明らかにして、事業推進や戦略策定のアイデアを提案し、解決へと導く仕事です。業種や業態を問わずに、多角的な視点で課題解決の突破口を見つけ、企業の経営者から個人事業主まで幅広いクライアントの悩みに向き合います。コンサルタントのサービスに特化した会社は「コンサルティングファーム」と呼ばれます。経営戦略コンサルティングをメイン業務とする大手のコンサルティング会社を指すのが一般的です。
マネージャー
経営コンサルティング会社のマネージャーは、所属しているコンサルタントの管理・育成やクライアントとの交渉をメイン業務とする職種です。経営コンサルティング会社のマネージャーは一般企業でいう課長職に例えられます。コンサルタントがクライアントの課題をスムーズに解決できるよう、モチベーション向上やキャリアアップをサポートしたり、クライアントの背中を押したりする仕事です。
コンサルパートナー
コンサルパートナーは、経営コンサルティング会社における最高峰の役職であり、会社経営に責任が生じる重要な職種です。「代表取締役のパートナーとしての立ち位置で組織を牽引する」というニュアンスから、パートナーと呼ぶようになりました。新しいクライアントの開拓を行ったり、経営コンサルティング会社自体を経営したり、自社の利益や成果に直結する仕事を請け負います。マネージャーがプロジェクト単位で管理していくのに対し、コンサルパートナーは会社やブランドごと管理していく点が異なるポイントです。
営業
経営コンサルティング会社における営業職は、一般的な営業とは少し違います。一般的には新規のクライアントを見つけ出すことを営業の仕事としますが、経営コンサルティング会社での営業はそれだけではありません。企業の担当者とやり取りしながら、経営における課題を発掘し、一緒に解決するのが仕事であり、関係性をしっかりと構築している点に違いがあります。また、コンサルタントが会社経営の課題解決策を提案するのに対し、営業は解決策を実行に移すのに有効なツールやサービスを紹介したり、使い方をサポートしたりする点に違いがあります。
経営コンサルティング会社で求められる人とおすすめの学部
やりがいのある経営コンサルティング会社で働くには、どのような資格・経験が必要なのでしょうか?進路決定・就職活動の参考になるよう、経営コンサルティング会社で求められる人物像や、おすすめの学部・大学について解説します。
求められる経験や資格
経営コンサルティング会社での仕事は高い専門性と確かな課題解決力が求められるため、求められる経験や資格がいくつか存在します。経営コンサルティング会社で働くのに有利な資格は以下の通りです。
*中小企業診断士…経営コンサルタントとして働く際の国家資格
*公認会計士…会計に関する国家資格。資格取得後、財務諸表の監査に従事可能
*MBA(経営学修士)…特定の学校で経営学を専修した際に授与される学位
*税理士…会計に関する国家資格。資格取得後、税務関連の仕事に従事可能
*社会保険労務士…労務や社会保険に関する国家資格
幅広い分野を支援する仕事であるため、経営コンサルに関わる分野の専門資格を取得すると、就職に有利に働きます。経営コンサルティング会社により必須とされる資格は異なるため、就職先ごとに確認が必要です。また、経営コンサルティング会社の多くがグローバル展開を視野にいれ、海外事業支援に対応しています。英語で商談に臨んだり、報告書を作成したりする場面があるため、英語力のある求職者が就職に有利です。コミュニケーション能力や行動力、課題解決にかけるマインドの高さを評価し、若手採用に注力している経営コンサルティング会社がたくさんあります。コンサルタントの仕事に興味と情熱があれば、就職できる可能性は十分あるので、チャレンジしましょう!
経営コンサルティング会社に向いている人
専門資格や実務経験を重視する経営コンサルティング会社での新卒採用は、就活生の特徴・性質が経営コンサルの仕事にマッチしているかが判断の基準です。仕事をするのに向いている人の特徴を解説します。
責任感があり最後まで諦めず取り組む人
何事も他人のせいにせず、自分の責任で取り組み、結果が出るまで諦めずに取り組む人は、経営コンサルティング会社でちからを発揮します。経営コンサルタントが扱う課題は、企業の業績を左右する事業の根幹に関わるものばかりです。クライアント企業を取りまく環境のせいにせず、どう行動すれば課題が解決できるかを考え続け、着実に成果を出し続けることが求められます。
行動力に優れた人
経営コンサルティング会社で働くには、スピード感あふれる行動力が必要です。クライアント企業が経営課題につまずいているまさに今、競合他社は次の一手を考え、施策を打っています。特に競合どうしの競争が激しい市場では、スピードが出遅れることは死活問題です。クライアントの課題解決に向け、1分1秒でも行動を早く起こせる人が仕事に向いています。
コミュニケーション能力が洗練された人
コミュニケーション能力の高さは、経営コンサルティング会社で働く強みです。クライアント企業が抱える経営課題を把握し、解決に向けて連携するには、相手の意図を把握し自身の考えを伝えるためのコミュニケーションが不可欠!相手の言葉から意図を汲み取り、適切に現状を分析する能力が問われます。また、ただ正論を伝えるだけでは、取引先を怒らせたり話を聞いてもらえなかったりする場合があります。相手の立場になって、専門性の高い言葉をできるだけ使わず、いかにシンプルにわかりやすく説明できるが成果を出すカギです。
クライアントの幸せを第一に考えられる人
自分第一ではなく、クライアント企業の課題解決が一番の目的であると認識し、成果が出ることを自分事のように喜べる人は、経営コンサルティング会社で働くのに向いています。もちろん、相手にとって都合のよいことばかりを言うのではいけません。儲かるけど法規に引っ掛かるやり方をしていたり、従業員が離れるような会社運営をしていたりする経営者に対し、見て見ぬふりをせず、嫌がられてもちゃんと誠意をもって伝えるのが重要です。
クライアントと連携して仕事ができる人
経営コンサルティング会社で働く場合、素晴らしいアイデアを提案するだけでは不十分!現場で課題解決に向け行動するのは、他ならぬクライアント企業の経営者です。アドバイスして終わりではなく、課題解決に寄り添い、親身になって協力しなければなりません。時にはクライアントの工場や経理の担当者とも連携しながら、成果に向かって最善を尽くすことが、経営コンサルティング会社に求められる働きです。
多忙な毎日を楽しみ、何事も前向きに捉えられる人
経営コンサルティング会社で仕事をするには、多忙な毎日を楽しみ、ネガティブにならずに常に前向きに受け止められるメンタルが必要です。自分の企業が倒産したらどうしよう…情勢が変わって商品が作れなくなるかも…クライアント企業が抱える課題は、自身や従業員の人生を左右しかねない重要なものばかりです。過酷な悩みを共有し、経営者に寄り添って解決していく経営コンサルティング会社の仕事は、とてつもない緊張感・プレッシャーを感じる日々でしょう。そのような日々を楽しみ、成果が出ない困難な状況で、諦めずにチャレンジし続ける前向きさは、経営コンサルタントとしての大きな強みです!
経営コンサルティング会社で働くためにおすすめの学部
経営コンサルティング会社での就職を視野にいれた進路決定をするのであれば、現場に出ることを見据えた実践的な学問を学ぶのがおすすめです。候補となる3つの学部と、将来につながる学びのポイントを紹介します。
経営学部
経営コンサルティング会社で働くのにおすすめしたい学部のひとつが「経営学」系統の学部です。文字通り、経営を主体に学ぶことで、企業がヒト(人材)・モノ(製品や設備)・カネ(資金)・情報をどのように駆使して利益を得ているのか、本質を理解できます。経営管理の全体像を把握することで、経営コンサルティングの現場に活きてくる経験値をつめるため、コンサルタントを目指すのにうってつけの学部です。
*秀明大学 総合経営学部 企業経営学科
*千葉経済大学 経済学部 経営学科
*大阪経済法科大学 経営学部 経営学科
法学部
「法学」系統の学部は、研究内容を経営コンサルティング会社の仕事に生かしやすい特徴があります。法学で学べる法の基本原理は、経営コンサルタントに必要な経営活動のルール・法規範の解釈を理解するファーストステップです。さらに、会社法・知的所有権・国際関係法など、経営コンサルの現場で活用できる実践的な研究が開講しています。
*平成国際大学 法学部 法学科
*国士舘大学 法学部 現代ビジネス法学科
*島根大学 法文学部 法経学科
商学部
経営コンサルティング会社で働くなら、「商学」系統の学部に入学するのがおすすめです。商学は、物流・金融・会計の3要素を軸に、商品やお金の流れを学ぶ学問のこと。経営コンサルティング会社では金融業や運輸業・小売業の経営コンサルを担当する場合があるので、学部での学びを活かせます。また、マーケティングの一環で市場調査論やマーケティング論を開講している学校があり、経営コンサルティングの基礎を学部時代に学べます。
*小樽商科大学 商学部 商学科
*熊本学園大学 商学部 商学科
*日本大学 商学部 商業学科
経営コンサルティング会社への就職を目指すあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
企業の経営課題と向き合い、立て直しや事業推進に貢献する経営コンサルティング会社。対応領域が広く大変な一方で、自己成長につながるやりがいのある仕事です。興味があれば、コンサルティング業界について深く調べてみてくださいね!経営コンサルティング会社の企業情報や先輩社員の出身大学を知るには、「JOB-BIKI」がおすすめ!就職先検索で表示される企業一覧には、進学先情報があわせて掲載されているため、調べたい企業の出身大学をパッと調べられます。「業種から探す」→「コンサル・会計・法務関連」→「経営コンサルティング」と条件を絞って検索すればOK!無料で使えて便利な「JOB-BIKI」を、進路決定に役立ててください。