映画監督になるには?仕事内容や求められる資質と能力を紹介
2022.11.24
映画制作の統括責任者としてカメラワークやキャスティングなど、さまざまな工程で指揮をとる映画監督。指揮をとり最終判断を下す役割があるため、高いリーダーシップを持つ人におすすめの職業といえます。
この記事では、映画監督の仕事内容や求められる資質、映画監督になるための方法について解説します。映像関係の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてくださいね
目次
映画監督とは?
映画監督は、脚本家の書いたシナリオをもとに映像を作り上げていく仕事です。素晴らしい映像を作り上げることはもちろん、映像制作の現場における統括責任者として、制作チームをまとめ上げる役割があります。
主にカメラワークに対して指揮をとっているイメージがあるかもしれませんが、演技の指導やキャスティングなど、ほかにもさまざまな工程で指揮をとります。
映画監督と映画プロデューサーの違い
映画監督と近い職業として「映画プロデューサー」という仕事もありますが、こちらは企画や資金調達などプロジェクト全体の責任者です。映画監督はあくまでも映像制作のみの責任者なので、受け持つ責任範囲 に大きな違いがあります。
また、映画プロデューサーとは別に、脚本家も映画制作における重要なポジションです。映画の重要な要素であるシナリオは、脚本家が担当しています。映画プロデューサーと脚本家、そして映画監督。近いようで、それぞれ役割が異なるのです。
● シナリオ……脚本家(監督が兼任することもあります)
● 資金調達や宣伝など……映画プロデューサー
● 映像制作……映画監督
どういう作品になるかは、映画監督がカギを握っている部分です。映画を見て、面白い、感動した、そう思ったらそれは監督の手腕といっていいでしょう。
映画監督の仕事内容
映画監督の仕事でメインとなるのが、現場を統括するリーダーとしての役割です。以下のようにさまざまな工程において、スタッフと打ち合わせを重ね最終判断を行います。
● キャスティング
● カメラワークの指示
● ロケハン(撮影場所の調査)
● 照明の指示
● 音声の指示
● 衣装や小道具などの選定
● 編集の指示
これら以外に、役者やスタッフの不安や不満を受け止めるなど、メンタル面の管理も映画監督の役目です。現場がスムーズに回るように管理しつつ、指示出しも並行して行います。
ちなみに、これらの仕事は一気に行うわけではありません。撮影前はキャスティング、撮影後編集の指示など、タイミングによって変化します。
映画監督の仕事のやりがい
映画監督の仕事のなかでも大きなやりがいとなるのが、自分が監督した作品が世に出ることでしょう。自分が作りたい映像を表現できるというのは、大きな喜びとなります。 また映画がヒットすれば、多くの人に自身の作品を見てもらえます。10年、20年経っても語り継がれる名作になるかもしれません。
それだけでなく、チームで映画を作る達成感も大きなもの。一本の映画制作には、非常に多くの人が関わっています。そうした多くのスタッフと完成後の喜びを分かち合えることも、映画監督の醍醐味といえるでしょう。
映画監督の仕事の流れ
映画監督の仕事の流れは、撮影の前・中・後で変わってくるのが特徴です。それぞれ受け持つ役割が異なるため、総合すると幅広い仕事内容であるといえます。ここでは、撮影前~撮影後まで3つの工程をご紹介します。
1.撮影前
撮影前は主にキャスティングやロケハン(撮影場所の調査)、衣装の選定などがメインです。基本的には、映画に出演する役者のキャスティングからスタートします。それと並行して、撮影場所を調査するロケハンや衣装などの選定も行います。
そのほか、映画のセットやライティング(照明)などの打ち合わせも撮影前に行う仕事です。撮影前に万全の環境を整えることは、理想的な作品作りにおいて欠かせない工程であるといえるでしょう。
2.撮影中
撮影中の期間は、映画制作チームをまとめあげ、演技や撮影のジャッジをするのが 役目です。NGだった場合は、その改善策を伝えます。さらに撮影中のトラブルなど、思いがけない問題への対処も映画監督の役割となります。
具体的な内容としては、カメラワークや照明、役者への指示出しなどです。多くのスタッフに指示を出す必要があるため、映画監督にとってハードな時期となります。
3.撮影後
撮影が終了した後は、映像を編集して作品を仕上げる工程に入ります。使うカットやBGMの選定などは作品の出来を左右するため、重要度の高い工程です。編集作業そのものを映画監督が行う場合もありますが、基本的には、 思い描いている作品になるよう編集スタッフに指示を出します。
また、作品完成後は宣伝のために取材対応などのプロモーション活動を行うこともあります。本来プロモーションなどは映画プロデューサーの業務ですが、有名な映画監督だと宣伝にもつながるので、担うことも珍しくありません。
映画監督の年収
映画監督の年収は当然ながら人によって大きなバラつきがありますが、平均年収としては約350 〜500万円 といわれています。意外にも、日本の平均年収と大きく変わらない数字といえるでしょう。もちろん、世界的に有名なレベルの作品の監督を務める場合は、作品1本で1,000万円 ほどの収入になることもありますよ!
映画監督に必要な資質と能力
映画監督は映像を作り上げて作品のクオリティを決定づける責任の重い仕事です。映画監督として成功するためには、どのような資質や能力が必要なのでしょうか。ここでは、特に必要とされる3つの資質についてご紹介します。
ハードなスケジュールに耐えられる体力
映画監督の仕事は、指示出し、スタッフのケア、プロモーション活動など多岐にわたります。ハードなスケジュールが基本となり、特に撮影中はその傾向が強くなります。また、チームのトップとしてのしかかるプレッシャーもあり、精神的な面での体力も必要となります。肉体的にも精神的にもタフであることは、映画監督にとって欠かせない資質といえるでしょう。
映画へ対する強い熱意
映画監督は特にハードな仕事であるため、それを乗り越えられる強い熱意が必要となります。また良い作品を作るためには、物語へ対する深い理解や豊かな創造力も必要です。「映画が好き」という純粋な気持ちは、映画監督にとって大切な資質といえるでしょう。
人をまとめられるリーダーシップ
責 任者として制作現場を回す映画監督には、人をまとめるリーダーシップが求められます。それと同時に、スタッフと円滑に会話するためのコミュニケーション能力も必要です。また、指示を出すためにその分野における知識が必要になりますので、幅広い知識も求められます。
映画監督になるための方法とは?
高校生の皆さんは、映画監督になるためにはどういった進路を選択すれば良いのかイメージできますか?ここからは、映画監督になるための進学先・就職先についてご紹介します。
映画監督の世界の現状
映画監督はとても夢のある仕事です。しかし、映画監督として成功できる人はほんの一握りなのが現状。長い下積み生活が続くことも考えられるでしょう。そのためにもやはり、強い熱意が必要となります。
また、映画業界全体として制作費削減の流れがきています。限られた予算内で作品を作る必要があるため、自分のイメージを100%形にできない場面もあるかもしれません。仕事として割り切らなければいけない部分があるのも事実です。
このほかの流れとして、若手監督に目が向けられるようになってきています。良い作品を作ることができれば、若手でも有名監督への道を駆け上がっていける可能性があるのです。今のうちから美術系の進路を検討するなど、準備が早いほど成功する可能性は上がるでしょう。
映画監督になるための勉強ができる大学・学部
映画監督になるためには、映像制作系の会社に就職するのが一般的です。最初はアシスタントからのスタートとなるでしょう。
その前の準備として、美術系の大学や短大、専門学校で映像制作について学んでおくと就職に有利になります。カメラワークや編集など、アシスタントに求められるスキルを体系的に習得できるので、即戦力として活躍できるでしょう。実際に映画を撮影する機会もあるので、多くの経験を得られるはずです。また、現役の映画監督を講師として招いている学校もあり、人脈づくりという意味でも魅力があります。
<映画監督になるための勉強ができる学部・学科>
- 映画制作科
- デザイン学科
- 芸術文化学群
- 映像メディア学科
- 映像学科
- 文化創作学科
- アニメーション学科……etc
映画監督に必要な資格や受験すべき試験
映画監督になるために、特に資格や試験は必要ありません。映像制作系の会社に就職し、そこでアシスタントやカメラマン、助監督などの経験を積み、最終的に映画監督になるという流れが多いでしょう。資格の勉強は必要ありませんが、地道に映像制作の勉強を行う必要はあります。
独学でも問題ありませんが、映像制作の技術はなかなか独学で身につけるのが難しいもの。スキルを体系的に習得するためにも、映像制作ができるある大学や専門学校へ進学するのがおすすめです。映画監督を目指しているのなら、今のうちから映像学部・学科のある大学などを調べてみてはいかがですか?
映画監督になるために目指すべき就職先
前述のとおり映画監督になるためには、映像制作系の会社への就職が一般的です。映画制作会社、テレビ制作会社、CM制作会社などが挙げられますが、映画監督を目指すのなら、映画制作会社に就職するのが理想的でしょう。
「映画制作会社で助監督として経験を積み、映画監督になる」というのが王道ルートです。正社員でなくても、映画制作会社でアルバイトとして下積みを重ねて映画監督になるという方法もあります。
また、近い業種であるテレビ制作会社やCM制作会社から映画監督になる方法もあります。映像制作に関わる点は共通しているので、転職後も経験が活かせるはず。ただしスキルの証明として「CMをヒットさせた」などの実績を求められる場合があります。積極的に活動してチャンスにつなげましょう。
就職先ではありませんが、映画を自主制作し公開するというルートもあります。賞を獲得できれば、監督のオファーが舞い込んでくる可能性もあるでしょう。
映画監督になった後のキャリアプラン
映画監督を続ける
映画監督になった後のキャリアプランですが、「自分の作りたい作品を作る」というのが王道でしょう。映像作家として、自分の考えたストーリーや企画の映画を監督する。このために映画監督を目指している方も多いかもしれませんね。
ハードな仕事なのでいつまで続けていけるのか気になるところですが、80歳を超えても活躍し続ける監督もいます。熱意さえあれば、映画監督はいつまでも続けられる仕事なのかもしれません。
映画プロデューサーへ転身する
近年は映画プロデューサーの業務を兼任することが増えてきているので、経験を積んで映画プロデューサーになるというプランも考えられます。
映像制作会社設立
自身の映画制作会社を設立し、映画を制作するなどのキャリアも考えられます。「自分の作りたい作品を作る」という意味では、自分で会社を設立するのがベストかもしれません。
映画監督への道について「JOB-BIKI」で情報を集めてみよう
映像制作を統括する映画監督は、大きな責任とやりがいのある仕事です。撮影や編集などの幅広い知識に加え、コミュニケーション能力やリーダーシップも求められるため、ある程度の下積みは欠かせません。映画制作会社に就職し、助監督から映画監督になるのが一般的なキャリアプランとなるでしょう。
いろいろな経験が必要だから大学で幅広い学びをしつつ、映画研究会などのサークルで仲間たちと過ごすのも選択肢の1つですよ。
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