MOS資格とは?資格の価値と試験内容、大学の学部学科選びのポイントを解説
2024.10.30
MOS資格という言葉を聞いたことはなくても、WordやExcelといったソフトの名前なら耳にしたことはある人もいるでしょう。
MOS資格は、マイクロソフト社が主催する国際資格です。パソコンスキルを証明するのに役立つ資格で、資格試験をサポートする大学も増えてきました。
この記事では、MOS資格の概要や市場価値、実際の試験内容やMOS資格取得におすすめの大学について紹介しています。進路選択の参考にしてみてください。
目次
MOS資格とは
MOS資格の概要や試験内容、取得するメリットについて解説します。
MOS資格とは何か
MOSの正式名称は「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」といい、マイクロソフト社が主催する国際資格です。マイクロソフト社製のオフィスソフトであるExcelやWord、PowerPointなどの製品知識・操作スキルを持つことを証明する資格で、実践的なパソコンスキルを持つ証明として就職や転職にも活かせます。
MOSは資料作成やデータ分析といった実務に直結するスキルを身につけられるため、企業での生産性向上が期待されるため、大手総合商社や金融機関の社員教育にも採用されています。
MOS資格の試験内容
MOS資格試験はマイクロソフト社が主催し、実際にパソコンを操作する実技形式でおこなわれます。マイクロソフト オフィス製品はバージョンごとに機能が追加・改良されるため、資格試験もバージョンごとに用意されています。自分の使っているOfficeバージョンに対応する試験を受けることができ、最初から上級レベルの試験を受けることもできます。
【試験概要】※2024年8月時点
試験形態 | コンピュータを使った実技試験(CBT) ※Windows版Officeのみ対応。Mac版Officeの試験はない |
試験時間 | 50分 |
受験方法 | ・全国一斉試験 毎月1~2回、全国約30の受験地域にて実施。 MOS公式サイト、郵送にて申し込み可能。 ・随時試験 ほぼ毎日、全国約1500の試験会場にて実施。 試験会場にて直接申し込みが必要。 |
受験料 | 一般価格:10,780円(税込) 学割価格:8,580円(税込) |
受験資格 | 年齢・国籍を問わず誰でも受験可能。 未成年の受験には保護者の同意が必要。 |
【出題範囲】
Word (ワード:文書作成ソフト) | ・文書の作成と管理 ・文字、段落、セクションの書式設定 ・表やリストの作成 ・参考資料の作成と管理 ・グラフィック要素の挿入と書式設定 ・文書の共同作業の管理 (バージョン:Word 2019) |
Excel (エクセル:表計算ソフト) | ・ワークシートやブックの管理 ・セルやセル範囲のデータの管理 ・テーブルとテーブルのデータの管理 ・数式や関数を使用した演算の実行 ・グラフの管理 (バージョン:Excel 2019) |
PowerPoint (パワーポイント:プレゼンテーションソフト) | ・プレゼンテーションの管理 ・スライドの管理 ・テキスト、図形、画像の挿入と書式設定 ・表、グラフ、SmartArt、3Dモデル、メディアの挿入 ・画面切り替えやアニメーションの適用 (バージョン:PowerPoint 2019) |
Access (アクセス:データベース管理ソフト) | ・データベースの作成と管理 ・テーブルの作成 ・クエリの作成 ・フォームの作成 ・レポートの作成 (バージョン:Access 2016) |
Outlook (アウトルック:電子メール・情報管理ソフト) | ・Outlook環境の管理 ・メッセージの管理 ・スケジュールの管理 ・連絡先とタスクの管理 (バージョン:Outlook 2019) |
※一般レベル、最新バージョンの出題範囲を記載しています。バージョンによっては出題範囲が若干異なります。
Word、Excel、Accessは一般レベルの他、上級レベル(エキスパート)も用意されています。各試験の対策は学校やパソコンスクールの対策講座を受講するか、公式で用意されている有料の教材を使って対策することが推奨されています。
MOS資格の取得メリット
MOS資格は、パソコンスキルの証明となる資格です。パソコンスキルは仕事によって求められるレベルも異なり、「パソコンが使える」と言ってもどの程度のものか判別しにくいです。MOS資格はパソコンスキルのレベルを客観的に証明でき、国際資格でもあるため、企業にアピールしやすくなるというメリットがあります。
また、MOS資格は更新の必要がありませんが、一般レベルから上級レベルにチャレンジすることでスキルアップが可能です。試験対策を経て自身のスキルをアップさせ、現場で活用できるようになれば、昇給アップの可能性もあります。
MOS資格の市場価値
株式会社リンクアカデミーが2021年に行った「若手社員のスキルと課題」調査によると、企業が「新入社員に入社時点で身につけておいてほしいこと」の2位が「パソコンスキル」で全体の50%を超える結果となっています。
2022年頃から、求人要件にMOS資格を明記する企業も増えてきました。企業によっては昇給要件や内定者研修にMOSを活用している、と明記していることもあります。
Office製品は多くのビジネス現場で活用されているため、Office製品のスキルを証明できるMOS資格を持っていれば進路の選択肢も広がるでしょう。
MOS資格を所有している場合の就職
MOS資格を所有している場合、具体的にどのような業種や職種で活きるのかを見ていきましょう。
MOS資格が有利になる業種
MOS資格が有利になる業種には、下記のようなものがあります。
小売業
コンビニやアパレルなどの 小売業はOffice製品を使う機会が多く、MOS資格が有利に働く可能性は高いです。店舗の売上管理や在庫管理にExcel、店舗情報をまとめた報告書を作る際にWord、新商品のプレゼンにはPowerPointを使う、というケースも珍しくありません。
インストラクター・講師
各種インストラクターや講師などの業種は、資料作成の機会が多くMOSの資格が有利にはたらきます。具体的な職業としては、パソコン教室の講師や失業者向けの職業指導員などがあげられます。その他にも、講師と名前が付く職は資料作成の機会が多い傾向にあります。
金融・保険業界
データを扱うことが多い金融・保険業界では、MOS資格を活かせる仕事が多いです。膨大な量のデータ分析や文書作成を行う機会があり、MOS資格を有するほどパソコン業務に通じていると、業務もスムーズに進められるでしょう。
MOS資格が有利になる職種
MOS資格が有利になる職種はオフィスワーク全般 です。具体的にどのように活かせるのかを解説します。
経理・総務・営業事務
経理や総務、営業事務といった職種は、パソコンを使う業務がメインとなるため、Office製品を使う機会も多いです。使用するツールも多岐にわたり、規模の大きい企業の事務では応募条件にMOS資格を含めるケースも珍しくありません。
企画・マーケティング
企画・マーケティング職では、プレゼン資料の作成や売上データの集計などでWordやExcelを使う機会があります。社内の会議の場や、顧客や取引先に対してプレゼンテーションを行う際にはPowerPointが活用できるでしょう。MOSの資格取得によってあらかじめスキルを身につけていれば、企業としても教育の手間が省けるため、採用しやすくなります。
MOS資格を得るためにオススメの大学と学部学科
MOS資格は誰でも受験することができ、高校生でも保護者の同意があれば受験できます。学生のうちにMOS資格を得るために、おすすめの大学や学部学科の一例をご紹介します。
学部学科の例
MOS資格は事務職に限らず、オフィスワーク全般に活かせる資格です。そのため、就職したい業種の関連分野が学べる大学・学部に進学して取得するのがおすすめです。
MOS資格がとれる主な学部は下記のとおりです。
・経済学部
・経営学部
・法学部
・文学部
・商学部
・外国語学部
・社会学部
・教育学部
・工学部
MOS公式サイトを運営する株式会社オデッセイコミュニケーションズが2020年に実施した調査によると、単位認定や点数加点、MOSを取得推奨する学部の中で、最も多いのは経済学部となっています。
オススメの大学
大学によってはMOS資格の取得を単位に計上できるところや、学部学科に拘わらず受験料の補助制度や資格取得支援講座を設置しているところもあります。
MOS資格を取得すると単位に認定できる大学の一例
大学名(学部/学科) | 単位認定の対象となるMOS資格 |
東邦大学(情報理工学部/情報科学科) | Word 上級レベル(エキスパート) Excel 上級レベル(エキスパート) |
創価大学(文学部/人間学科) | Excel 一般レベル Excel 上級レベル(エキスパート) |
北海学園大学(経営学部) | Outlookを除く全てのMOS資格のいずれか |
新潟産業大学(経済学部/経済経営学科・文化経済学科) | Word 一般レベル Excel 一般レベル |
岐阜聖徳大学(外国語学部) | Excel 一般レベル |
MOS資格の取得をサポートしている大学の一例
北海道・東北 | 北海道情報大学(資格取得の受験料補助制度あり) 東北文化学園大学(資格取得の受験料補助制度あり) 石巻専修大学 釧路公立大学 |
関東 | 埼玉学園大学(資格取得の受験料補助制度あり) 跡見学園女子大学(試験対策科目を設置) 産業能率大学 共愛学園前橋国際大学 |
東海・甲信越 | 敬和学園大学(試験対策科目を設置、合格したら単位認定) 福井工業大学(試験対策科目を設置) 山梨学院大学(試験対策講座を設置) 人間環境大学(試験対策講座を設置) 東海学園大学 |
近畿 | 大谷大学(試験対策講座を設置) 芦屋大学(試験対策講座を設置) 阪南大学(試験対策講座を設置) 高野山大学(試験対策講座を設置) 四日市大学(学内でオンライン受験可能) |
中国・四国 | 広島経済大学(学内で資格試験を実施) 福山平成大学(試験対策科目を設置) 松山大学(試験対策講座を設置) 徳島文理大学 (教員による個別指導) |
九州・沖縄 | 久留米工業大学(試験対策講座を設置) 沖縄大学(試験対策講座を設置) 福岡工業大学(試験対策講座を設置) |
MOS資格は様々な分野で活かせる資格のため、サポートする制度を設ける大学も増えてきています。在学中に上手く活用して資格を取得したい場合は、MOS資格取得を支援している大学を選ぶと良いでしょう。