教育業界の魅力とは?主な職種や最新の動向、目指せる学部についても解説
2023.05.30
教育業界と聞くと、学校の先生をイメージする人も多いかもしれませんね。しかし、教育業界には、教材を作る仕事や教科書に載せる内容を決める仕事など、さまざまな職種があるんです。
今回は、教育業界の主な企業や最新の教育業界の動向・将来性について解説しています。就職の際に求められる資格や人物像、おすすめの学部などもまとめたので、最後まで読めば、教育業界を目指せる進路や就職先のイメージがわきますよ。
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目次
教育業界とは
教育と聞くと、皆さんも通っている学校や塾などを思い浮かべる人が多いかもしれませんね。確かに、教育業界には幼稚園や保育園、小学校・中学校・高校・大学、塾や予備校などが含まれます。ただしそれだけではなく、大人向けのスクールや講座なども教育業界の事業といえます。たとえば、英語を学びたい社会人向けの英会話スクールや、定年退職後の方に向けた趣味の教室などがありますよ。
また、教育業界といえば、先生のように誰かに指導をする仕事をイメージする人も多いでしょう。ただ、教育業界にはほかにもさまざまな仕事があります。たとえば、勉強に必要な教材を作ることも教育業界の仕事の一つです。教材というと紙の教科書や資料集などをイメージする人もいるかもしれませんが、最近ではタブレットなどを活用した教材が使われることもあります。皆さんのなかにも利用したことがある人が多いのでは?教育業界には、こういったIT系の技術が必要な教材開発の仕事もあるんです。
加えて、日本の教育そのものの方針を考えたり、制度を決めたりする仕事もあります。こういった仕事は文部科学省の「総合教育政策局」「初等中等教育局」「高等教育局」などの教育に関連する機関で行われます。
教育業界の魅力
教育業界の仕事は、人の成長に関われることが最大の特徴です。誰かの成長を手伝えることに喜びを感じられる人なら、教育業界の仕事をやりがいを持って続けていけるでしょう!
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教育業界の種類と主な企業
教育業界の種類には、以下のようなものがあります。
- 小学校・中学校・高校・大学・専門学校など
- 学習塾や予備校
- 幼児教室
- 通信教育
- 語学教室
- カルチャー教室
- 資格取得学校
- 教材・教具
順番に解説します。
小学校・中学校・高校・大学・専門学校など
教育業界と聞くと、まず思い浮かべるのが学校ではないでしょうか?
学校の先生になる方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
中学校教師になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介 (gyakubiki.net)
高校教師になるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説 (gyakubiki.net)
学習塾や予備校
学習塾と予備校は、学校の授業を補完する役割を果たしています。学習塾では、主に小中学生を対象に学校の教科指導を行っています。一方、予備校は、高校生を中心に大学受験対策のサポートをします。
学習塾や予備校のおもな企業は、以下のとおりです。
学習塾の講師や予備校講師に興味がある人は、以下の記事も参考にしてみてください。
学習塾講師(塾の先生)になるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説 (gyakubiki.net)
予備校講師になるには?仕事内容や求められる適性ついて解説 (gyakubiki.net)
幼児教室
幼児教室とは、主に0~5歳の未就学児を対象としたもので、以下のようなものがあります。
- 英語教室
- 水泳教室
- 書道教室
- 体操教室
- リトミック教室(音楽に合わせて体を動かすことで、リズム感や運動能力を高める)
幼児教室の主な企業は、以下のとおりです。
通信教育
通信教育も教育業のひとつです。ベネッセが展開する「こどもチャレンジ」や「進研ゼミ」は、利用したことがある人もいるでしょう。大人向けには、資格取得を目的とした通信教育があります。ユーキャンやヒューマンアカデミーなどが代表例で、自宅で映像や教材を使って学習できます。
通信教育の主な企業は、以下のとおりです。
語学教室
語学教室も教育業界のひとつで、対象は子どもから大人まで幅広いです。英語や中国語、フランス語など、さまざまな言語を学べます。
語学教室の主な企業は、以下のとおりです。
カルチャー教室
カルチャー教室とは主に大人を対象とした教室で、以下のようなものがあります。
- 趣味の習得(書道、陶芸、絵画、園芸など)
- 実用的なスキル習得(語学、パソコン、料理など)
- 教養や知識の獲得(歴史、文学、哲学など)
- 健康維持(ヨガ、エアロビクスなど)
- 資格取得講座(着付け、ソムリエ、フラワー教室など)
カルチャー教室の主な企業は、以下のとおりです。
資格取得学校
資格取得学校は、社会人の方々が資格の取得を目指すための専門的な教育機関です。公務員試験、公認会計士、医療・介護、ITなど、さまざまな分野の資格対策講座が用意されています。
資格取得学校の主な企業は、以下のとおりです。
教材・教具
教材や教具を作っている企業も教育業界の一種です。
教科書や模試、問題集など、会社によって制作する教材はさまざまです。タブレットやスマホなどで使えるデジタル教材を作る企業もありますよ。
教材・教具を制作している主な企業は、以下のとおりです。
教育業界の主な職種
教育業界にはどんな仕事があるのでしょうか。こちらでは、教育業界の主な職種をご紹介します!
教員
いわゆる「学校の先生」のことで、小学校や中学校、高校などで生徒たちにさまざまなことを教えます。国語や数学などの教科を教えるのはもちろんですが、集団生活におけるルールを教えて、ときには普段の態度を指導するのも大事な仕事です。また、大学教員は学生への指導も行いますが、専門分野の研究をすることに違いがあります。
中学校教師になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介
講師
学習塾・語学教室・カルチャースクールなどで教える先生のことです。就職する教室によって、教える内容はさまざま。子どもたちの勉強や習い事などの教室もあれば、趣味を楽しむ大人に絵の描き方や楽器の演奏などを教える教室もあります。
編集
出版社や通信教育を行う企業などで教材制作に携わる職種です。文部科学省の「学習指導要領」に沿い、どんな教材を作るのか企画して編集・制作を行います。デジタル教材の編集をする場合は、IT関連のスキルが求められることも。
文部科学省職員
文部科学省には、教育・科学技術・スポーツ・文化振興などに関する仕事があります。教育関連の職種では、「学習指導要領」を改訂して教科書に載せる内容を決めたり、たくさんの人が学べる環境を整備したりといった仕事に携われます。
教育業界の動向5つ
日本の教育業界は大きな変化を迎えています。ここでは、教育業界の最新の動向5つについて解説します。そこから見えてくる将来性についても言及しているので、参考にしてみてください。
子ども一人あたりにかける教育費は増加傾向
少子化の影響で教育業界の将来性に不安を感じている人もいるかもしれません。しかし、子ども一人あたりにかける教育費は年々増加傾向にあります。
引用:子どもの減少と相反する 一人あたり教育費の増加 (sangiin.go.jp)
また、ソニー生命が2024年に実施した「子どもの教育資金に関する調査」では、親の約6割半が「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まる」と実感しており、約7割が「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要」と回答しています。
参考:子どもの教育資金に関する調査2024 | ソニー生命保険 (sonylife.co.jp)
これらの結果から、子どもの数は減っても、一人あたりにかける教育費は今後も増えていく可能性が高そうです。
英語学習の拡大とプログラミング教育の導入
グローバル化にともない、日本では2020年度から、小学3~6年生で英語が必修化されました。また、2021年には受験制度がセンター試験から共通テストに変わったことで、英語の配点も以下のように変更されました。
試験制度 | テストの配点 |
センター試験 | 筆記200点・リスニング50点 |
共通テスト | リーディング100点・リスニング100点 |
英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を活用して、コミュニケーションがとれるグローバルな人材の育成に力を入れています。
また、情報化社会で主体的にコンピュータを活用できるようになるため、2020年より小学校、2021年より中学校でプログラミング教育が始まっています。ひとり一台タブレットが与えられ、ICT(情報通信技術)教育が推進されています。
参考
今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~:文部科学省 (mext.go.jp)
小学校プログラミング教育に関する研修教材 (mext.go.jp)
EdTech(教育×IT)の市場が拡大
EdTechとは、教育(Education)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、テクノロジーを活用した新しい教育手法や教育コンテンツ、教育サービスのことを指します。近年、EdTechの分野は急速に発展しており、教育の場面でさまざまなツールや技術が導入されています。
たとえば、以下のようなものです。
- オンライン教育やeラーニングコンテンツ
- 教育用アプリやゲーム
- AIチューターやチャットボットによる個別指導
- 教育データの分析とパーソナライズされた学習
- 仮想現実(VR)や拡張現実(AR)による体験型学習
日本では近年EdTech市場が拡大しています。以下のグラフは、野村総研が公表している日本のEdTech市場規模の推移です。
引用:「ITナビゲーター2020年版」「5G」サービスが本格スタートリアルとデジタルの融合で関連市場が拡大 ~2025年までの市場トレンドを予測~ (nri.com)
基礎的なeラーニングやタブレット活用などが一部で行われていますが、AR/VRの教育活用やAI支援システムなど、より高度な技術の導入はこれからの課題となっています。EdTechは今後の飛躍的な発展が期待されている分野です。
大学入試制度の変化
2021年度より、センター試験が廃止され「大学入学共通テスト」が実施されるようになりました。また、推薦入試が増加し、一般入試離れが進んでいるのも近年の入試制度の特長です。
以下のグラフは、文部科学省が発表している平成12年度と令和2年度の入学者選抜実施状況です。
引用:【参考資料2】大学入学者選抜関連資料集(その3) (mext.go.jp)
一般入試を受ける人数は減少しており、総合型選抜(旧:AO入試)、推薦入試を活用した入学者が増加していることが分かります。
入試制度の変化により、学習塾や予備校は、単に受験対策をするだけでなく、生徒一人ひとりの学習ニーズに合わせた、よりきめ細かく質の高い指導が求められるようになっています。今後も少子化は進むと考えられるため、一人ひとりに合った指導に対するニーズは加速するでしょう。
予備校講師の仕事に興味がある人は、以下の記事で詳しく解説しています。
予備校講師になるには?仕事内容や求められる適性ついて解説 (gyakubiki.net)
学習塾の倒産と大手予備校のM&A増加
少子化の影響で、2023年学習塾の倒産は45件と過去最高となっています。倒産しているのは中小・零細の学習塾で、資金やリソースの制約からニーズに応えられず、市場からの退場を余儀なくされています。
一方、大手学習塾は資金力を活かし、オンライン授業やIT技術の導入など、さまざまなサービスを展開。実績とブランド力で値上げを行い、シェア拡大を図っています。技術の進歩で、大手と小さな学習塾の格差が大きくなっている状況です。
参考:2023年の学習塾倒産 過去20年間「最多」の45件 市場拡大も、多様なニーズで「競争激化」 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp)
また、以下のとおり大手予備校のM&Aも増加しています。
- 「東進ハイスクール」が「四谷大塚」を買収
- 「代々木ゼミナールグループ」が「SAPIX」を買収
- 早稲田アカデミーが米SHINKENSHA U.S.A. INCORPORATEDを買収
M&Aが増加している背景には、顧客(生徒)の範囲を広げて、収入源を増やすという目的があります。生徒数が減る前に、早めに新しい分野に手を伸ばして成長の種をまいているというわけです。少子化が進む日本では、今後もこのような体制の組み替えは進んでいく見込みです。
教育業界で求められる経験や資格
教育業界のなかでも、教員として働きたい場合は教員免許を取得する必要があります。教員免許は、教職課程のある学校に進むことで取得を目指せますよ。また、教員免許には複数の種類があります。たとえば、障害を持つ子どもたちが通う特別支援学校の教員として働きたい場合、特別支援学校教諭の免許状も取得が必要です。教員になりたい人は、進学先を選ぶときに自分の希望する免許を取れるかどうかをチェックしましょう!
教員以外の仕事に就く場合、職種によっては持っていると有利になる資格があることも。たとえば、英会話教室の講師になるなら、「TOEIC」や「実用英語技能検定」などの英語力を証明できる資格があると仕事に生かすことができますよ。
教育業界に求められる人物像
教育業界に求められる人の特長は、以下のとおりです。
- わかりやすく伝えることが得意
- 教えることが好き
- 人の成長に魅力を感じられる
順番に解説します。
わかりやすく伝えることが得意
教育業界の仕事では、生徒と直接会話をしたり、教科書や問題集などのテキストを書いたりと、言葉を使って伝える機会がたくさんあります。どうすれば相手にとってわかりやすいかを考えて、しっかりと説明できるスキルが必要です。会話や文章などで伝えるのが得意な人は、教育業界の仕事に生かすことができますよ!
教えることが好き
皆さんのなかにも、友達に勉強を教えたり、部活の仲間に練習のコツをアドバイスしたりするのが好き!という人がいるかもしれませんね。教育業界の仕事は、教えることが好きな人にはぴったりといえます。教え方を工夫したり、自分の知識を積み重ねたりといった努力も、やりがいを持って続けられるでしょう。
人の成長に魅力を感じられる
教育業界の仕事の大きな目的は、人の学びを助けて成長につなげること。その過程では、長時間にわたって根気強く指導したり、わかりやすい教材を作るために何度もテキストを練り直したりといった苦労もあります。人の成長に魅力を感じられる人なら、こういったこともやりがいにつなげて仕事を楽しむことができるでしょう!
教育業界への就職を目指す人におすすめの学部
「教育業界の仕事に就くなら教育学部に入ったほうがよさそう」と考える人も多いのではないでしょうか?教育学部は、主に教育学を専門的に学べるところと、教員養成を目的としたところに分けることができます。教育学を専門的に学べるところでは、教育とはどういうものなのか、なぜ必要とされるのかなど、教育の本質的なことについて研究していくことが特徴です。教員養成を目的としているところでは、より実践的な教育の方法などを学ぶことができますよ。
教員や講師を目指す人は、それぞれの専門分野を学べる学部に進学するルートもあります。たとえば、国語の教員になりたいなら文学部の日本文学科や国文学科などが選択肢に入りますね。
また、教員や講師以外の職を目指す場合でも、教育学部で学んだことを活かして仕事をすることができます。たとえば、教材を作る仕事では、教育現場で求められる指導方法や学びの制度などの知識が必要になることがあります。教育学部であれば、このような教育についての深い専門知識を身に付けることができますよ。
教育業界の仕事に興味があるなら「JOB-BIKI」で進路検索!
小さな子どもからお年寄りまで、あらゆる世代の学びに関われる教育業界の仕事。どんな人の成長に関わっていきたいかによって、就職先や進学先の選択肢も変わってきます。教育業界の就職を目指すにはどんな大学で勉強したらいいのか気になったら、ぜひ「JOB-BIKI」で検索してみてください!たとえば、予備校の先生の仕事に興味ある人は「業種から探す」の「教育・学習」から「進学塾・学習塾」を選んでみましょう。そうすると、進学塾・学習塾を運営する企業や、そこに就職した方の出身大学を調べることができます。さまざまな先輩方の選んだ進路をチェックすることで、自分がどんな学校に進みたいかをイメージしやすくなりますよ。