印刷業界の魅力はどのようなところ?主な職種とおすすめの学部
2024.03.15
印刷の仕事というと、皆さんはどんな仕事を想像するでしょうか。多くの方は書籍やポスターなどをイメージするかもしれませんが、その他にもペットボトルやPOPなど、さまざまなものに印刷技術は必要とされています。普段、意識しないところで私たちの暮らしを支えているんですよ!お客様の要望を聞いて企画し、印刷物として形にするまでの過程で、営業、デザイン、印刷オペレーターなどさまざまな仕事が関わっています。この記事では印刷業界の魅力や企業の紹介から、印刷業界へ進むためにおすすめの大学・学部まで解説します!
目次
印刷業界の魅力や代表的な企業の例
印刷業界はさまざまな業種と関係があり、企画や制作から商品の流通に至るまで広く関われる機会があるのが魅力です。印刷業界ならではの魅力と、代表的な企業を紹介します!
印刷業界とは
印刷業界で扱う印刷製品の主な分類は以下の通りです。
・出版印刷:新聞や雑誌・書籍など
・商業印刷:チラシやカタログなど企業が使用する印刷物
・帳票印刷:納品書や契約書など企業の取引内容の管理のための印刷
・ラベル・パッケージ印刷:商品のパッケージなどの印刷物
一般的にイメージしやすいのは、新聞や雑誌などの出版印刷ですよね。しかし、実際には印刷製品にはさまざまな種類があります。商業印刷はチラシやカタログだけでなく、商品パッケージなどでも多く目にしますよね。企業は営業活動、販促活動をするにあたり、たくさんの印刷物を必要とします。印刷業界はその中で企業の課題をヒアリングし、印刷物として形にすることで、企業活動を支えています。また商品のラベルやパッケージ印刷は、ニーズの高い印刷物です。パッケージは多種多様で、それぞれの素材に応じた印刷に対応することが求められます。印刷業界全体として電子化やペーパーレスの影響で市場が縮小している中、ニーズが落ちない分野です。このように、印刷製品にはさまざまな種類があり、各社強みを生かして事業を行っています。
印刷業界の魅力
印刷業界の仕事では、お客様であるクライアント企業の発信したい情報やアイデアを実現すること、クライアントの商品やサービスの魅力を社会に届けることが求められます。複数の人や企業と連携する機会も多く、協力しながらものづくりをするのが好きな方にとっては魅力的な業界です。コンビニに並んだ新聞を手に取る人を見かけたり、パッケージが可愛くて商品を購入してくれたり、自分が関わった印刷物が世の中に出回り、それを目にした消費者の感情や行動に影響を与えることができる点も印刷業界で働く魅力と言えるかもしれませんね!さらに、印刷業界は印刷業で培った技術やノウハウを活かし、新たな事業へ参入しています。ICチップを搭載したカードの製造、マイナンバー取得代行サービスなどがその一例です。海外にも事業展開をしている企業もあり、想像以上に幅広い分野と場所で活躍できるのも印刷業界の魅力です。
印刷業界の代表的な企業の例
印刷業界で知名度や売上規模の大きい、代表的な企業を6つご紹介します。
・TOPPAN株式会社(旧:凸版印刷株式会社)
TOPPAN株式会社は、もともと凸版印刷株式会社という名前でしたが、2023年に社名を変更しました。従業員は5万人超、売上高は1.5兆円を超えており、日本一です。世界でも有数の規模を誇る総合印刷会社に成長しています。1900年に創業して以来、日本の印刷業界をけん引するリーディングカンパニーであっただけではありません。大企業として事業活動をする中で、マーケティングやIT、クリエイティブの分野でも多くの知見を蓄積しています。その結果、印刷業務にとどまらず、業務内容は広がりを見せています。セキュリティ技術が必要となるクレジットカードやキャッシュカードの制作や、Webコンテンツや映像を使ったマーケティングなど、多種多様です。印刷業で培った技術やクリエイティブの質の高さをベースに、クライアント企業の課題解決をサービスとして事業変革を行っています。
・大日本印刷株式会社
大日本印刷株式会社は、TOPPAN株式会社に次ぐ、日本有数の総合印刷会社のひとつです。大日本印刷では、自社の強みを「P&I」と表現しています。PはPrint、IはInformationの頭文字です。印刷だけではなく、情報をどう伝えるかという分野まで範囲を広げて、業務を行なっています。例えば、電子書籍の制作や、実店舗を持つ書店とネット書店を連動させた「honto」というサービスを運営するなど、印刷事業の枠を超えて展開をしています。また企業のマーケティング支援や、包装資材、デジタルデバイスの開発などを通して、企業のさまざまな事業を陰で支えているんです!常に社会のニーズを敏感にとらえ、「印刷と情報」を中心に据えて培った「総合力」を生かしたビジネスを提案し続ける企業です。
・コニカミノルタ株式会社
コニカミノルタ株式会社は、オフィスでの印刷に必須の複合機や医療機器などを中心に、国内外で産業用機器の販売やサービスを行っています。印刷業界の中では「印刷機」のハード面に関わっています。印刷事業として力を入れているのは、プロフェッショナルプリント事業です。現在、必要に応じて自由に印刷できるデジタル印刷市場が拡大しています。コニカミノルタ株式会社は、デジタル印刷に早期から取り組み、高いシェアを獲得していることが強みです。
・小林クリエイト株式会社
小林クリエイト株式会社は愛知県刈谷市に本社を置く企業で、1937年に創業し、年間の売上高は390億円、従業員は1,000名を超える大企業です。主な事業は企業の事務作業に使用する、書式の決まった書類(ビジネスフォーム)の印刷です。宅配伝票や、各種封筒など、さまざまな業務に使用する書類を印刷しています。その他にも、医療関連用品の販売、医療関連システムの開発・販売、植物工場での野菜の生産・販売に至るまで多角的に事業を展開しています。
・共同印刷株式会社
共同印刷株式会社は、創業120年を超える総合印刷会社です。本社は東京にあり、国内に11ヶ所、海外に3ヶ所の製造拠点を抱えています。事業内容は、雑誌やカタログの印刷だけではなく、デジタルコンテンツの配信やタブレットのアプリ開発など幅広く、時代のニーズに合わせたサービスの提供を行っています。共同印刷会社は、ラミネートチューブ(チューブ状の容器)の製造において国内シェアNo.1の企業です。ハンドクリームや歯磨き粉、ケチャップなど様々な用途のラミネートチューブを製造しています。
印刷業界の職種
印刷業界の職種は大きく総合職と専門職に分かれ、新卒として印刷会社に入社する場合は総合職として働くことが一般的です。また専門スキルを生かして働く専門職という選択肢もあります。ここでは印刷会社でどのような役割の方が働いているのか解説します!
総合職
新卒で印刷会社に入社した場合、一般的には総合職として営業や企画、研究開発などさまざまな部署へ配属され、業務経験を積んでいきます。また会社によっては配属先をある程度限定した総合職もあり、大日本印刷株式会社では事務系総合職(営業や企画などに配属)、技術系総合職(研究開発などに配属)、デザイン系総合職(クリエイターやディレクターなどに配属)の3カテゴリーの中から選んで入社することになります。以下で総合職として入社した場合に配属される一般的な職種の業務内容を紹介します。
・営業
印刷業界の営業は、新規や既存のお客様の課題・要望を聞き出し、お客様に最適な印刷物やサービスを提案して受注につなげることが仕事です。受注して終わりではなく、その後の企画・納品までお客様に寄り添い、課題解決に伴走することも重要な役割です。
・企画
営業がお客様から聞き出した課題・要望に合わせて、デザイン担当やディレクターと協力しながら印刷物を制作する、プランナー的な立ち位置の仕事です。世の中のトレンドや消費者のニーズなどを踏まえて企画に落とし込む必要があり、クリエイティブにとどまらない、深く広い知識が求められる仕事でもあります。
・研究開発
印刷会社にとって研究開発は、中長期的な会社の成長に関わる重要な仕事です。印刷に関する新しい技術を研究し、既存のサービスをより良いものに改善したり、新サービス・事業を創り出したりして企業の価値を高めることが求められます。
・ディレクター
ディレクターは、企画担当者やデザイナー、DTPオペレーターなど多くの人と連携を取りながら、印刷物の制作が滞りなく進むよう、的確に指示を出していく仕事です。企画からデザイン、印刷物が完成するまで、1つの印刷物で長い期間携わります。スケジュールやコストなど、業務の全体像をしっかり把握する力が重要です。
専門職
・デザイナー
営業や企画と連携してお客様の要望をデザインとして可視化することで、印刷サービス全体の製品設計を担うクリエイティブな専門家がデザイナーです。印刷業界においては業務領域の多角化が進んでおり、デザイナーにもデザイン力だけでなく、マーケティング力、コンサルティング力など多様な知識と技能が求められるようになっています。また、オペレーターとデザイナーは業務領域が重なるものの、全く異なる職業であることを押さえておきましょう。
・オペレーター
<DTPオペレーター>
「Desktop Publishing(電子編集システム)」を略した言葉がDTPです。パソコン上で印刷物を作成することを指します。DTPオペレーターはデザイナーやお客様からの依頼内容を正確に印刷物として表現することや、緻密さが求められる職種です。
<印刷オペレーター>
印刷オペレーターは、紙への印刷の実業務を担当する職種です。印刷機械を操作し、データや依頼内容に基づいた印刷ができているかの確認や、印刷設備の保守点検も担当します。
<製本オペレーター>
印刷所で印刷された紙を書籍やパンフレットといった、本の体裁に取りまとめる仕上げの役割が製本オペレーターの仕事です。書籍が実際に店頭に並ぶ状態になる、最終段階の品質管理も担っています。
印刷業界で求められる人とおすすめの学部
印刷業界で働くうえで求められる経験や資格はあるのでしょうか。印刷業界に向いている人の特徴や、就職におすすめの大学・学部についても押さえておきましょう。
求められる経験や資格
職種を問わない印刷業界への就職であれば、求められる経験や資格として必須のものはありません!しかし、デザイン系の職種へのエントリーには芸術・美術系の大学の卒業が必須だったり、研究開発の職種へのエントリーには理工系大学での勉強や研究が求められたりすることがあります。印刷業界は伝統ある業界でありながら、旧来の印刷だけではなく、最新テクノロジーなどの研究開発、他事業への進出も盛んです。新たな技術への感度が高く、知的探求心のある人材は職種問わず求められています。
印刷業界に向いている人
印刷業界に向いている人は、以下のような人です。
アイデアを形にするのが好きな人
印刷業界は、クライアントから依頼され、決まったものをそのまま印刷するだけではありません。どのようなデザインなら消費者に手に取ってもらえるか、クライアントと協力してデザインを考えます。クライアントが満足のいく印刷物を完成させるために柔軟な発想であっと驚くようなアイデアを考えるのが好きな人は印刷業界に向いています!
根気強くまじめな人
印刷業界は、ミスが許されない世界です。一文字の間違い、数ミリ単位のズレでも印刷のやり直しが発生します。ミスがないか地道に確認しなければなりません。そのため、根気強くまじめに作業ができる人は印刷業界で活躍できます。さらに印刷業界では納期を守ることが重要です。責任感が強い人も印刷業界に向いています。
人とコミュニケーションを取るのが好きな人
印刷業界では、よい印刷物を完成させるために多くの職種の方と協力しながら制作を進めます。そのため密にコミュニケーションを取る必要があります。また、印刷業界は、多種多様な業種の方とも関わります。魅力的な印刷物を作り上げるには、自分の知らない業界のことをコミュニケーションを取って理解を深めなければいけません。人と会話をするのが好きな人は印刷業界で活躍できます。
印刷業界で働くためにおすすめの学部
印刷業界で働くためにおすすめの学部は以下の学部です。
・ 経済学部・商学部
・ 理学部・工学部
・ 造形学部・美術学部
経済学部・商学部は社会経済の仕組みや流通の仕組み、マーケティング戦略など、ビジネスで欠かせない知識を学べます。印刷業界の営業や企画職で働くことを希望しているのならば、どのような印刷物であれば売上につながるか、お客様へサービスを提案する際に学んだ知識を役立てられます。経済学部・商学部がある大学は下記の通りです。
・東北学院大学経済学部
・龍谷大学経済学部
・中央学院大学商学部
・西南学院大学経済学部
印刷業界では理学部や工学部もおすすめです。新しいサービスを考えてシステムを作り上げたり、どのような素材に印刷するのが適切かを考えたりと、研究開発職で役立ちます。理学部や工学部がある大学は以下の通りです。
印刷業界で欠かせないデザイン関連の職につきたいならば、デザインを専門的に学べる造形学部・美術学部がおすすめです。専門知識を持って入社すれば、即戦力として活躍できます!造形学部・美術学部のある大学の例は下記の通りです。
印刷業界でどのような働き方をしたいのか考えて、行きたい学部を選びましょう。
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印刷業界の新卒採用は総合職での採用が一般的のため、比較的学部を問わずに目指しやすい業界です。ただし、企業によっては総合職であっても特定の学部を卒業していることがエントリー条件になっているケースもあります。大学を決める前に企業の採用情報などを確認し、どのような学部を出るべきか情報収集をするようにしましょう!まずは印刷業界にどのような企業があるかを調べたいという方は、「JOB-BIKI」で印刷業界の企業について検索してみましょう。気になる企業があれば、就職した先輩たちの出身大学を一覧で確認できますよ!