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重工業業界とは?主な企業と職種を紹介、就職に役立つ大学と学部学科の選び方も

2024.03.28

カテゴリー:
ロケットを製造する重工業

重工業業界は、鉄道車両やロボットなど、私たちの生活に関わる大きな機械を製作している 業界です。他にも、航空部品や発電所などに至るまで、さまざまなものを取り扱っています。ものづくりが好きな方の中には「重工業業界で働きたい」という方も多いでしょう。
重工業業界には、ものづくりに関わる仕事はもちろん、事務的なことを行う職種もあります。この記事では、重工業業界の特徴や「JOB-BIKI」で調べられる企業の例、主な職種、おすすめ学部などをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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重工業業界の魅力や代表的な企業の例

重工業業界には、どんな特徴があるのでしょうか。ここでは、重工業業界の基礎知識や働く魅力、代表的な企業の例をご紹介します。

重工業業界とは?

重工業とは、鉄道車両や航空部品のような大型機械を製造する産業のことです。大型機械だけでなく、日本の防衛設備や発電所などの大型設備を製造することもあります。製造するものの違いによって、大きく5つの分野に分かれているのが特徴です。それでは、詳しく見ていきましょう。

・鉄道車両・船舶・航空部品
重工業メーカーの製品の中でも、私たちにとって最も身近なものが鉄道車両です。他にも、重工業業界では船舶や航空部品の製造も担っています。こうした鉄道車両・船舶・航空部品といった製品は私たちの生活に不可欠であり、重工業業界の基盤となっていることも特徴です。

・発電所
私たちの生活に欠かせないエネルギーを供給するための発電所も、重工業メーカーによる製品のひとつです。火力発電や原子力発電、太陽光発電、風力発電など、さまざまなエネルギーの発電所を製造しています。このような発電所は国内だけでなく、海外に向けて販売していることも特徴です。

・ロボット
重工業メーカーは、産業用ロボットも製造しています。産業用ロボットとは、工場などにある、自動制御で動く大型のロボットのことです。産業用ロボットの導入は生産効率が大きく上がるため、さまざまな業界で求められています。最近では介護や医療の分野でもロボットの活躍が期待されており、今後もますますロボットの需要が高まるでしょう。

・防衛設備
重工業メーカーでは、私たちの生活に身近なものだけでなく、防衛設備の製造も担っています。防衛設備とは、戦闘機や戦車、潜水艦などのような軍事製品のことです。このような防衛設備は、国の安全を守るために欠かせないものとなっています。このように、重工業業界は国単位のスケールの大きい仕事ができることも特徴です。

・宇宙産業関連
重工業メーカーは、航空部品や発電所の製造ノウハウを活かし、宇宙産業関連の製品も扱っています。宇宙産業関連の製品とは、例えば宇宙ステーション用の装置やロケットなどのことです。宇宙産業は、最近では民間人の宇宙旅行が成功した例もあり、今後も発展すると考えられます。それにともない、宇宙産業関連の製品もますます求められる可能性が高いです。

重工業業界で働く魅力

重工業業界は、扱う製品のスケールの大きさが魅力です。重工業業界が扱う製品は、船舶や大型の産業用ロボットなど、多くの人と協力して長期間かけて作るものとなっています。プロジェクトによっては国籍の垣根を越えて世界の人々と働くこともあり、多くの人と協力して何かを作り上げることが好きな方には大きな達成感を得られるでしょう。
また「人々の生活に欠かせないものを作っている」と感じられることも魅力です。鉄道車両や発電所は人々の生活と密接に関係しており、目に見える大きな成果ともいえます。そのため、自分の仕事が人々の生活を支えていることを実感しやすいでしょう。世の中の役に立っている様子も実際に見られるため、やりがいを感じられるはずです。

重工業業界の代表的な企業の例

三菱重工業の造船所

三菱重工業株式会社
株式会社クボタ
株式会社日立製作所
川崎重工業株式会社
株式会社IHI
住友重機械工業株式会社

重工業の中でも、製造する製品の種類や得意とする分野によって、企業ごとの特色はさまざまです。
例えば、日本トップの売上を誇る重工業メーカー「三菱重工業株式会社」は、航空機やエネルギー関連設備の製造を得意としています。宇宙関連の分野についても、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同でロケット開発を行うなど、力を入れているのが特徴です。

一方「株式会社クボタ」は、農業に関連する機械の製造を得意とする企業。水・環境事業にも取り組んでおり、世界120カ国以上で農業や水に関する課題を解決できる機械を提供しています。
「株式会社日立製作所」は、エネルギー分野に強みを持つ企業です。最新の技術や情報を駆使し、現在までに原子力発電所などの建設を数多く手がけています。「株式会社日立製作所」について興味がある方は、家電業界についても関連記事でも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

また「川崎重工業株式会社」は、鉄道車両や船舶、航空機、バイクなど、あらゆる分野の重機を製造しているのが特徴です。さらに、宇宙関連事業として、ロケット開発や人工衛星の製造にも力を入れています。
「株式会社IHI」は、世界各地でエネルギー関連の機械を提供している企業です。宇宙関連事業でも、ロケット関連機器や宇宙ステーション用装置を開発しています。
「住友重機械工業株式会社」は、建築機械のような大型車や、ロボットなどにも欠かせない精密機器など、幅広く扱う企業です。エネルギー分野にも強く、工場設備の製造なども手がけています。

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重工業業界の職種

水門を建設する様子

重工業業界の仕事には、具体的にどのような職種があるのでしょうか。ここでは、重工業業界のおもな職種についてご紹介します。

研究開発

新技術や新機種の研究・開発を行う仕事です。さまざまな研究開発対象の中から、将来の事業展開に必要な研究を選別し、実用化を目指して開発を行います。具体的な立案から推進方法、製品化におけるフォローなども、研究開発職の業務です。たとえば、株式会社日立製作所では、人との対話をして行動するロボット「EMIEW」の研究開発が進められています。このように、新技術を機械に活かす試みを行うのが研究開発の仕事です。

設計

重工業製品を作るため、機械の設計図を作成する仕事です。設計には主に、基本設計、詳細設計、プロジェクト設計の3種類があります。基本設計は、お客様の要望を調査し、製品の価格や仕様など基本となる部分の設計が担当です。詳細設計では、基本設計で考えられたものをもとに「どのように具現化するか?」を考えます。そのため、詳細設計では、機能・性能はもちろん製作にかかる費用や信頼性なども意識した細かい設計が必要です。また、プロジェクト設計では、こうした基本設計や詳細設計を含めたプロジェクトがスムーズに進行するよう、全体を把握・管理する業務を担っています。

製造

設計されたものをもとに、実際に製品を作る仕事です。そのため、もっとも製造品に近い部分で働ける職種だといえるでしょう。製品を作るための正確さ、高品質のものを生み出すための精度向上はもちろん、製品の加工・組立におけるミスを防ぐための方法を考えることなども、製造担当の重要な業務です。重工業業界で生産するものは大型の機械やロボットなどのため、基本的には工業用ロボットなどを使って生産しています。製造担当は「生産ロボットが正常に動作しているか」や「生産されたものが、どこの工場でも基準を満たした状態で完成されているか」などのチェックを行うのも仕事です。

生産技術・管理

安定して製品を生産・供給するために、生産戦略を考えたり製造機械・機器の導入を検討したりする仕事です。重工業業界では、製造機械・機器の導入は重要といえます。人の手だけで作りきれない大規模な製品を作っているため、安定した品質で量産するためには製造機械・機器の導入が必須だからです。生産技術・管理では、このような製造機器・機器の導入も含め、また、生産性を高めることを目的とした業務を行います。その他、製造工程で求められる加工技術や生産システムの研究・開発なども業務の一種です。

資材調達

製品を作るためには、材料の用意も必要です。大きな機械を作るには膨大な数の部品や材料が必要です。そのため資材調達は、生産に必要な原材料・部品をなるべく低価格で調達する業務を担っています。製品の機能を低下させずに材料費を抑えられるような、価格に見合った調達先を見つけることも仕事です。

品質保証関係

製品の品質を担保するため、製品の検査業務を行う仕事です。重工業業界で作っている大型機械などは、不具合が少しでもあると、大きな損害に繋がりかねません。そのため、品質保証では、あらゆる場面での使用を想定した綿密な検査を行います。他にも、品質向上に向けた活動や検査業務を効率化するための技術開発も品質保証関係の業務です。品質の検査業務を行うタイミングは、企業によってさまざまで、中には、製造工程だけでなく、設計工程や資材調達工程などでも細かく検査している企業もあります。

現地建設

主に発電所やプラント、橋梁、水門を製造する 場合などに、現地で工事計画の立案、工程管理、安全管理などを担当する仕事です。移動できる製品とは異なり、発電所などの場合は現地での確認も行わなくてはいけません。そのため、機器や設備を建設する場面では、現地で働く人材も重要です。

営業

営業は、社内の各部門と外部の会社とを繋ぐ仕事です。具体的には、製品のプレゼンを行うことで注文を獲得したり、設計・製造過程においてお客様の要望を社内へ繋いだりする業務を担っています。製品を製造・販売する際は、お客様の要望に沿いつつも、利益をしっかり確保できるよう調整しなければいけません。そのため、営業は社内の各部門とも連携を取り、双方にとって良い条件となるよう調整することが重要な仕事です。

知的財産

知的財産とは、発明した技術やアイディア、デザインなど、形を持たない財産のことです。こうした知的財産を他に真似されないよう、独占できる権利を知的財産権といいます。製品によっては、特許取得や意匠登録、商標登録などを行い、知的財産権によって保護が必要です。知的財産を扱う部門では、こうした権利取得の手続きや、知的財産にまつわる他社との交渉・訴訟などの対応を行います。

重工業業界で求められる人とおすすめの学部

海外で風力発電所をてがけた女性

重工業業界に就職するためには、どのような経験や資格が求められるのでしょうか。ここでは、重工業業界に向いている人の特徴、おすすめの学部などもご紹介します。

求められる経験や資格

重工業業界で働く場合、必須の資格はありません。職種によって必要な資格がある場合は、入社してから取得できるよう体制が整えられている企業がほとんどです。しかし、重工業業界では専門的な知識や技術が求められるため、大学院卒業が採用基準となっている場合もあります。

重工業業界に向いている人

重工業業界に向いている人の特徴は、以下の4つです。

・新しいことに挑戦する意欲が強い
・世界を舞台に活躍したいと考えている
・協調性がある
・妥協せず取り組める

・新しいことに挑戦する意欲が強い
重工業業界では、常に新しい技術や製品を求められています。そのため、既存の研究やアイディアから新しい発想を生み出し、実現する能力が必要です。実際に新しい発想を取り入れた例としては、川崎重工業株式会社が実現した鉄道車両台車の軽量化が挙げられます。川崎重工業株式会社は、高い強度がありながらも軽い素材である炭素繊維強化プラスチックを、世界に先駆けて鉄道車両の台車フレームに採用しました。従来では「部材を薄くする」などの軽量化しかできていなかった鉄道車両の台車フレーム部分に、新素材という新しい発想を取り入れた例だといえます。このように「新しいことに挑戦する意欲が強い人」や「新しいアイディアを考えることが好きな人」には向いているでしょう。

・世界を舞台に活躍したいと考えている
重工業業界では、世界各地へ向かい、現地で働く職種もあります。「世界を舞台に、多くの国に対して貢献したい」という気持ちがある人には最適です。重工業メーカーが扱う製品は短期間でできるものではないため、海外で働く場合も滞在期間は長くなります。そのため、海外に長期滞在することや、その国に対してマイナスイメージを持ちにくい方は向いているでしょう。長く滞在する国に対して「この国をもっと良くしていきたい」という気持ちや「この国の人々の生活が発展することに、貢献できている」というモチベーションを得られる人には、とくにおすすめです。

・協調性がある
重工業業界で扱う製品は、1人の力で作れるものではありません。多くの人と協力し、長い時間をかけて作り上げます。そのため、協調性は必須のスキルです。
また、他のメンバーと切磋琢磨し、知識や技術を高めあっていける能力も求められます。「チーム全体で同じ目標に向かって努力できる」「他の人と協力して高めあうのが好き」という人には、とくに向いているでしょう。

・妥協せず取り組める
重工業業界では、私たちの生活に欠かせない製品を多く取り扱っています。品質が少し低下したり小さな欠陥があったりしただけでも、大きな影響に繋がる可能性は高いです。そのため、自分の仕事に真摯に向き合い、責任感を持って取り組める能力が求められます。
重工業業界で扱う製品は多くの人と協力して作らなければならないものだからこそ、一人ひとりが責任を持って真摯に取り組まなければなりません。大規模で長期間にわたるプロジェクトでも、最後まで熱意を持ってやり遂げられる人材は適しているといえます。

重工業業界で働くためにおすすめの学部

工学を学ぶ学生

重工業業界で、設計や製造などを行う技術職として働きたい場合は、工学部や理工学部を卒業しておくのがおすすめです。工学部では、数学や物理学、化学、生物学など幅広い知識をもとに、実験や分析を繰り返して社会に役立つ製品や仕組みを作るための研究を行います。重工業業界におけるものづくりでも、工学部で学ぶような知識は活用可能です。重工業業界では、主に大規模な建設に使う機械や大型の機械に関わります。そのため、工学系の中でも、とくに機械工学や土木工学を学んでおくと有利でしょう。
営業などの技術職でない場合は、工学部以外の学部や文系の学部を卒業しても目指せます。ただ、技術職との関わりも多くあるため、理系の知識や工学系の知識がある方が有利です。
工学系の知識を学べる大学、学部には、以下のようなものがあります。


大阪大学工学部
東京工業大学工学院
東洋大学理工学部
成蹊大学理工学部

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大規模なプロジェクトや製品に携わり、大きな達成感を得られるのが重工業業界の仕事です。「新しいことに挑戦するのが好き」「世界に出て働きたい」という方も、楽しく働けるでしょう。
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