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アパレル業界の仕事内容は?業界の仕組みや就職に役立つ学部・学科を紹介

2024.06.13

カテゴリー:
アパレル業界で布を扱う女性スタッフ

アパレル業界と聞くと、服の製造や販売に関わる仕事というイメージを持つ人も多いでしょう。アパレル業界の仕事は服の製造や販売はもちろん、元となる原材料の調達や加工、デザインや販売戦略など幅広い業務があります。

この記事では、アパレル業界の仕組みや具体的な仕事内容について解説します。就職に役立つ学部・学科についても触れているので、アパレル業界に興味を持った人は大学選びに活用してみてください。

アパレル業界とは

はじめに、アパレル業界の基本的な意味や仕組みについてご紹介します。

「アパレル」の意味

「アパレル(apparel)」は「衣料品」という意味です。アパレル業界は衣料品をメインに扱う業界で、衣料品のデザインから販売までを取り扱います。

近年はサステナブルの観点から古着やリセールなどの二次流通も消費者ニーズが高まっており、アパレル業界に含まれます。

よく混同されがちな言葉に「ファッション」があります。ファッションは「流行・はやり」の意味が強く、衣料品に限らず腕時計や靴、娯楽やレジャーなど生活文化全体に対しても使われます。
衣料品のみを扱う業界を「アパレル」と覚えておくと良いでしょう。

アパレル業界の仕組み

アパレル業界は、作業工程ごとに「川上」「川中」「川下」に分けられています。

 作業工程企業の種類
川上(繊維産業)原材料の調達・加工繊維メーカー
テキスタイルメーカー
テキスタイルコンバインダー
川中(アパレル産業)企画・製造アパレルメーカー
OEM
ODM
川下(流通産業)流通・販売店舗小売業
無店舗小売業(ECサイト)
セレクトショップ
二次流通(古着・リセール)

近年ではSPA(製造型小売業)の企業も増えてきました。SPAは川中から川下までの工程を1社でおこなう形態で、川上の企業から素材調達だけをおこない、企画から販売までを自社でおこないます。中間流通で発生するコストを抑えられるため、消費者にリーズナブルな価格で商品を届けられます。

いわゆる「ファストファッション」に分類されるUNIQLO(ユニクロ)やGU(ジーユー)、ZARA(ザラ)などのブランドを運営する企業がSPAです。

アパレル業界の関連企業

アパレル業界の代表的な企業をご紹介します。

株式会社ユニクロ
日本を代表するカジュアルブランド「UNIQLO」を展開する企業です。世界一のSPA(アパレル製造小売業)となることを目指し、日本はもちろん世界各国に出店しています。日本国内では商業施設だけでなく路上の店舗展開も進めており、買い物の合間にくつろげるエリアを用意するなど試行錯誤しています。

株式会社ラコステジャパン
フランスのファッションブランド「LACOSTE」と「AIGLE」の国内向け衣料品の企画・製造・販売・マーケティング活動までをおこなっている企業です。「LACOSTE」は2023年に創立90周年、「AIGLE」は創立170周年を迎えました。ライフスタイルに合わせた働き方を推奨し、社員一人一人がブランドのアンバサダーとなってブランドの魅力を伝えていく仕事を任されます。

株式会社オンワード樫山
『23区』『ICB(アイ・シー・ビー)』『自由区』『J.プレス』『五大陸』などのレディス・メンズの基幹・主力ブランドを百貨店を中心に展開する企業です。他にも『any SiS(エニィ スィス)』『any FAM(エニィ ファム)』などのブランド、『TOCCA(トッカ)』ブランドなどの直営店の商業施設への出店もおこなっています。ライフスタイル事業や、ヨーロッパ、アジア、アメリカの各地域でのアパレル事業の海外展開も進めています。

株式会社ワコール
主に婦人のファンデーション、ランジェリー、ナイトウェア及びリトルインナーなどのインナーウェア、アウターウェア、スポーツウェア、その他の繊維製品および関連製品の製造や卸売販売、一部製品の消費者への直接販売を主な事業としています。70年の歴史を持つ企業ですが、時代の情勢に合わせて2022年には経営理念を刷新し、より進化した価値を消費者に提供できるよう柔軟に変化し続けています。

アパレル業界の仕事内容と代表的な職種

アパレル業界で働く男性

アパレル業界の具体的な仕事内容と、関連する代表的な企業を紹介します。

アパレル業界の仕事内容

アパレル業界の仕事は、大きく3つに分けられます。

1.販売職
主に店舗などで服を消費者に直接販売する仕事です。アパレル業界の中でも、消費者はもっとも関わる機会の多い仕事といえるでしょう。

特に耳にすることが多い「アパレル店員」は、前述した川下の店舗小売業に該当します。より詳しく知りたいという人はこちらの記事も読んでみてください。

2.専門職
アパレル業界の中でも専門的な技術を求められる仕事です。

主に服や布のデザインを手がけるデザイナー、洋服の型紙を作成するパタンナー、布製品の縫製を担当するソーイングスタッフなどがあります。

デザイナーは多くの人に知られているメジャーな仕事ですが、最先端の流行をキャッチする能力や色彩、縫製などの専門知識が必要です。パタンナー、ソーイングスタッフはデザイナーに比べると認知度は低いかもしれませんが、技術を身につければ長く働ける仕事でもあります。

3.総合職
販売職、専門職以外の仕事をまとめて総合職と呼びます。

販売元から商品を買い付けるバイヤー、商品の在庫管理をおこなうディストリビューター(DB)、商品情報を発信するプレス・広報、全体の流れを管理するプロダクトマネージャーなどが総合職に含まれます。

中でも商品販売の戦略を立てるマーチャンダイザー(MD)は人気の高い仕事です。
マーチャンダイザーについて詳しく知りたいという人は、こちらの記事を読んでみてください。

アパレル業界の職種

アパレル業界の製品開発

アパレル業界の具体的な職種を紹介します。下記はあくまで一例ですが、多くのアパレルメーカーで募集している求人の中でも新卒・未経験でも募集している職種を ピックアップしました。

製品開発
専門職のひとつで、消費者の意見や商品開発部の提案をもとに、新商品開発をおこなう仕事です。商品の評価テストや市場動向の調査・分析の他、業者との交渉、 取引先に実際に商品を利用してもらい改善点を洗いだす レビュー対応、不要な工程や原材料費を削減する などの工場支援を任されることもあります。一から製品に関わることができ、自分が携わった製品が店頭に並ぶ喜びを感じられる仕事です。

製造スタッフ
専門職のひとつで、服そのものの精製や、様々な用途に使われる布や糸の製造をおこなう仕事です。機械で製造している企業が大半なので、初心者でも仕事を覚えやすい傾向にあります。製品のチェックや機械の点検は人の目でおこなうので、集中力が求められます。企業によっては研修で繊維の知識を教えてくれますが、あらかじめ知識を学んでおくと仕事も覚えやすいでしょう。

メンテナンス
専門職のひとつで、繊維をつくる工場のメンテナンスをおこなう仕事です。工場内の電気設備や排水設備などの保全管理、メンテナンスをおこなう仕事で、機械や電気の分野に詳しい人であれば仕事に取り組みやすいでしょう。繊維メーカーの中核を担い、たくさんの人が着ている服の製造を支える大切な仕事です。

生産管理
総合職のひとつで、製品の仕様書をもとに、製造のスケジュール管理や品質管理などをおこなう仕事です。全体を把握する能力や関係各所との円滑なやりとりができるコミュニケーション能力などがあれば特別な技術力や知識は不要です。しかし近年は海外に工場があったり海外で出店する企業も増えているため、外国語が使えると仕事の幅も広がり重宝される仕事といえるでしょう。

アパレル業界の今後の動向と求められる人材の特徴

アパレル業界で打ち合わせする女性社員

アパレル業界の今後の動向や、 求められる人材の特徴 について紹介します。

アパレル業界の今後の動向

アパレル業界は、感染症の影響により店舗で買い物する人が減り、一時期は業績が落ち込んだかに思われました。しかし外出制限が緩和されてからは店舗で買い物する人も増え、2024年現在は業界全体の需要も戻りつつあります。

今後のアパレル業界では、大きく分けて下記の三点が求められます。

①環境・サステナビリティに配慮した製品の製造・販売
世界全体で環境に配慮する動きが出ている今、多くの企業がSDGsに取り組んでいます。アパレル業界は衣服の大量生産・過剰在庫による大量廃棄が発生しやすい業界であり、サステナビリティを意識する消費者に向けた製品の製造・販売が求められています。

また、地球環境に優しいオーガニックコットンを利用した製品や、強制労働や児童労働を行っていない、毒性の強い薬品を使っていないなど、製造工程や販売工程においても環境や人権に配慮していることが消費者にもわかるような生産が求められるでしょう。

➁ジェンダーレス・ジェンダーニュートラルを意識したアイテム
LGBTをはじめ多様なジェンダーへの理解が進む現在、アパレル業界においてもユニセックスデザインなど多様化が進んでいます。
今後さらに、性別にとらわれずに個性を活かしたデザインの製品が求められることが予想されます。

③ファッションテックの発展
感染症の流行をきっかけに、ファッションにテクノロジーを掛け合わせた「ファッションテック」の需要が高まりました。アパレル製品をECショップで購入する人が増え、VRを活用したオンライン試着など、店舗に行かずともショッピングを楽しめるようになってきています。

トレンドの情報収集もSNSが主流になり、オンラインで情報収集してから実店舗を訪れる人が増えるなど、オンラインとオフラインを組み合わせた購買行動に応じたファッションテックの発展が期待されます。

アパレル業界で求められる人材

アパレル業界で求められる人の特徴は、下記のとおりです。

ITリテラシーがある
これからのアパレル業界では、ITリテラシーがある人材は重宝されます。アパレル業界では工場での生産管理や店舗の在庫管理など、電子端末によって管理されていることも少なくありません。
また、流行の最先端を扱う業界であり、企画段階に関わっていると情報の守秘義務なども発生します。たとえば一般に情報が公開される前に個人がSNSで企業情報などを発信してしまうと、大きなトラブルにつながるでしょう。
アパレル業界に限った話ではありませんが、最低限のITリテラシーは心得ておくのがおすすめです。

グローバルな環境で活躍したいと考えている
アパレル業界ではグローバルな活躍も期待できます。多くの企業が海外に工場を持っていたり、店舗を海外に出店したりしているため、海外転勤になる可能性もあります。国内勤務でも外国人スタッフや訪日観光客との英語のやり取りが発生することがあるため、英語を始め外国語を学んでいる人やグローバルな環境で働きたいと考えている人材は重宝されるでしょう。

トレンド・アパレル製品に関心がある
アパレル業界の仕事は、トレンドに敏感な人やアパレル製品が好きな人に向いています。製造工程に携われば地道な仕事が多いですが、自分の手が加わった製品が完成する達成感を味わうことができます。企画・販売工程に携われば常に最新のトレンドをキャッチする必要があるでしょう。

アパレル業界におすすめの学部・学科

アパレル業界の就職に役立つのは、被服学です。被服学は、快適さや機能性にすぐれた衣料をつくり、服飾生活を創造する分野です。衣服の作製・保管・手入れの技術から、衣類の生産・消費・流通という産業的な側面まで、幅広い領域を対象としています。
企業の多くは研修で服飾分野の知識を学ばせてくれますが、大学で学んだ上で就職すれば仕事に活かしやすいでしょう。

下記は、被服学が学べる大学の一例です。

大妻女子大学(家政学部/被服学科)
東京家政大学(家政学部/服飾美術学科)
名古屋学芸大学(メディア造形学部/ファッション造形学科)
畿央大学(健康科学部/人間環境デザイン学科)
金城学院大学(生活環境学部/環境デザイン学科)

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アパレル業界の仕組みや仕事内容、おすすめの学部などについて紹介しました。

アパレル業界は衣服の原料の開発から企画、製造、販売など細かな工程に分かれており、様々な人と関わることの多い業界です。地球環境に優しい素材の開発やファッションテックの発展など、今後より消費者ニーズに寄り添って成長していく業界といえるでしょう。

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