おもちゃメーカー業界とは?働く魅力や仕事内容・目指せる大学を紹介
2024.11.19
おもちゃメーカー業界は、子どもから大人まで多くの人々が遊ぶための道具を製作する業界です。街へ出れば、おもちゃ店に商品が陳列されており、笑顔で見つめる子どもを目にする機会も多いでしょう。おもちゃは、人々の生活を潤わせる商品です。おもちゃメーカー業界には、おもちゃを製作する以外にもさまざまな仕事があります。この記事では、業界の特徴や「 JOB-BIKI」で調べられる企業の例・職種・おすすめの学部などをご紹介します。おもちゃメーカー業界への就職を検討している人は、参考にしてください。
目次
おもちゃメーカー業界の魅力や代表的な企業の例
おもちゃメーカー業界への就職を検討している人は、業界の特徴や魅力を把握しておきましょう。業界で働く未来をイメージすることで、ご自身に合っているか把握できるからです。次に、おもちゃメーカー業界の特徴・魅力・企業の例をご紹介します。
おもちゃメーカー業界とは?
おもちゃメーカー業界とは、子どもから大人まで、幅広い年代で遊ぶための道具を製作する業界です。おもちゃは広い意味で「遊びのための道具」と定義されています。その歴史は文字より古く、古代エジプトの遺跡からボードゲームが発掘されています。日本においては、平城京跡や奈良藤原宮跡などから木製のおもちゃが発掘されました。なお、遺跡から発掘されたおもちゃは、遊び以外にも子どもを災いから守るための身代わりや呪術の道具として使用されていたといわれています。つまり、大人が子どもの健康を願ったり目的を叶えたりするために使用していた道具だったのです。それが、役割を終えたもしくは変化したことで、子どもへ与えるものとなったといわれています。飛鳥時代にはお手玉、平安時代にはおはじきなどが遊びのための道具として使われるようになります。なお、おもちゃが生産・販売されるようになったのは、11世紀頃で、生産国はイギリスです。そして、室町時代後期にはドイツで兵隊人形の大量生産が開始されます。これを皮切りに、おもちゃは世界へ広まっていきました。日本では経済状況が安定した江戸時代に、売り子がおもちゃを製作、販売を開始します。当時は、商売として生計を立てるためにおもちゃを製作・販売していたようです。その後、大人が子どもを喜ばせるための道具として、1904年に紙めんこ・1917年にはキユーピー人形・1927年にけん玉などを製作・販売します。現在では、子ども自身で考えて遊ぶ知育玩具も発売されています。これらのおもちゃを企画・開発・製作しているのが、おもちゃメーカー業界です。
おもちゃメーカー業界で働く魅力
おもちゃメーカー業界で働く魅力は、子どもから大人まで幅広い層の生活に楽しい空間を与えられることです。たとえば、レゴ社(デンマーク)のレゴブロックは、オーレ・キアク・クリスチャンセンが、大工の経験を生かして製作したおもちゃです。多種多様な形と色のブロックを自由に組み合わせることで、家や車などに似たものを製作できます。レゴブロックで何を作るかは消費者次第であり、完成までのワクワク感を味わえます。なお、レゴブロックは製作者亡き後も、毎年190億個も製造されている世界共通のおもちゃになりました。おもちゃメーカー業界で働くことで、子どもや大人の心に潤いを与えられたり、生活に楽しい空間を提供できたりします。
おもちゃメーカー業界の代表的な企業の例
おもちゃメーカー業界の中でも、代表的なのが以下4つの企業です。企業名をクリックするとジョブビキで就職している人の出身大学がわかります。
株式会社バンダイは1950年の創業以来、70年以上の歴史を持つおもちゃメーカー企業です。バンダイといえば、仮面ライダーシリーズ・機動戦士ガンダム・プリキュアなど、キャラクターのおもちゃに力を入れている企業です。2023年の通算実績は、仮面ライダーシリーズで321億円、機動戦士ガンダムシリーズで1,313億円、プリキュアシリーズで56億円におよびます。国外へも事業を展開しており、グループ全体の売上はアメリカ地域で993億円、アジア地域で887億円におよびます。株式会社バンダイは、おもちゃを通じて世界中へ「遊び・夢・感動」を届けている企業です。
株式会社タカラトミーは、リカちゃんやトミカなどの人気商品を世に送り出した企業です。リカちゃんやトミカは半世紀以上にわたり、子どもたちに愛され続けているロングセラー商品です。また、日本伝統の遊びであるベーゴマの現代版「ベイブレード」は、世界80以上の国と地域において3億5,000万個以上の出荷数を誇っています。株式会社タカラトミーで製作されたおもちゃは、国内外で広く愛されています。そして、2024年に創業100年を迎えた株式会社タカラトミーが目指すものは、真の国際優良企業です。今後もおもちゃを通じて、世界中へと事業を拡大していくでしょう。
株式会社エポック社といえば、1985年に通産大臣賞を受賞したシルバニアファミリーが有名でしょう。シルバニアファミリーは世界70か国で愛され続けているロングセラー商品です。その人気は現在も続いており、2023年には映画化も実現しました。シルバニアファミリーの世界を体験できる「シルバニア森のキッチン」や「シルバニアパーク」なども常時開設しています。株式会社エポック社は、おもちゃを通じて子どもたちに「愛・家族・自然」を遊びの中で身につけてほしいと願い進化を続けている企業です。また、環境に配慮したおもちゃ設計も大切にしています。リサイクルできない着色PET材を透明PET材へ変更を進めていたり、デジタル技術を導入して、おもちゃの企画過程で使用するテスト印刷用紙の使用量削減にも取り組んでいたりする企業です。
株式会社壽屋は、1953年に五月人形・ひな人形・おもちゃを扱う有限会社壽屋としてスタートした企業です。1995年にアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の大人気キャラクター「綾波レイ」や「エヴァンゲリオン初号機」を立体化したことで、フィギュアブームの火付け役となりました。翌1996年には、有限会社から株式会社へと拡大し組織名も変更しました。その後も、ファイナルファンタジーやスター・ウォーズなど、さまざまな人気キャラクターのフィギュアを展開しています。今後も、独自性の高いコンテンツを展開することで、エンターテインメントの可能性に向けて挑戦し続けることを目標としている企業です。
おもちゃメーカー業界の職種
おもちゃメーカー業界といっても、仕事内容は多岐にわたります。次に、どのような職種があるのか解説します。
企画
すべてのおもちゃは、企画する人がいてこそ形ある商品になります。企画職は、おもちゃの生みの親といっても過言ではないでしょう。「どのようなおもちゃが求められているのか」「長く愛されるおもちゃはどのようなものか」など、市場調査を実施し、消費者ニーズを分析したうえで商品を企画します。おもちゃと呼ばれる商品は、世界中に数え切れないほど存在しています。その中で、人気を集めると予想されるおもちゃを企画するのは難しいことです。そのため、企画職は消費者が何を求めているのか分析する能力と豊かな想像力を持つ人が活躍できる職種です。
営業
おもちゃを多くの子どもや大人に届けるためには、おもちゃ店やネットショッピングサイトへの営業が欠かせません。どれほど斬新なアイディアの詰まったおもちゃを製作しても、消費者の目に触れなければ認知もされず、手に取ってもらえるチャンスも掴めません。そのため、営業職はおもちゃ店やネットショッピングサイトへおもちゃを扱ってもらえるよう、その特性や魅力を説明して売り込みます。おもちゃに対する情熱を持っており、コミュニケーションが得意な人であれば、営業職で活躍できるでしょう。
設計・デザイン
おもちゃの設計・デザインをする人は、トイデザイナーと呼ばれています。おもちゃのコンセプトを把握したうえで、素材・価格・フィルム・安全性を考慮しておもちゃの設計およびデザインをします。おもちゃは人々子どもでも遊びやすいように、シンプルな設計になっているケースが大半です。だからこそ、年齢問わず多くの人々を魅了するデザインが重要になります。たとえば、おままごとを楽しめるおもちゃでは、野菜や果物などの色合い・形に近いデザインを施しているものもあります。デザイン性の高いものを使用することで、より本物の料理を疑似体験できるため夢中で遊べるものになるのです。
設計やデザインでは、新しい商品を企画する発想力や、企画を製品化できるか否か考察する技術力が求められます。人々を楽しませる商品の考察が得意な方や、デザインに興味のある人であれば、やりがいを感じられるでしょう。
生産
生産は、設計図にもとづいて商品の形状を作るための型や部品などを発注したり、サンプルの安全性や品質などをチェックしたりします。たとえば、プラスチックでできた部品の出っ張りやトゲを取り除いたり、電動であればモータを組み込んだりします。また、安全に動くかどうか点検したり、説明書を添付して箱詰めしたりするのも生産の仕事です。製造の現場では、品質向上・コスト削減・納期厳守(3つのQCD)が重要視されます。細かい作業が得意な人であれば、生産職で活躍できるでしょう。
マーケティング
マーケティング職は、おもちゃの販売戦略を立てる仕事です。たとえば、どのようなおもちゃがどのような人に求められているのか分析したうえで、どのように売るのか考察します。また、販売後も戦略どおりに売れているかチェックします。アニメや漫画の流行・流行にともなう時代の方向性など、世の中の動きを把握して売れるおもちゃを考える思考力が必要です。近年では、おもちゃ店に訪れる前にSNSで情報を収集するケースが大半です。そのため、テレビCMや店頭キャンペーンでの宣伝以外にもSNSを利用して商品使用の体験談を掲載したり、家族が楽しい時間を過ごしていたりする写真などを投稿します。SNSの反応により、どのような層から注目を集めているのか分析します。分析した情報は企画職やデザイン職へ共有して、どのようなおもちゃが売れるのか戦略を練るのも、マーケティング職の仕事です。
物流
おもちゃの販売日までにおもちゃ店やネットショッピングサイトへ商品を届けられるよう、手配や管理を実施するのが物流の仕事です。おもちゃは大量生産される商品であるため、いかに効率よく運ぶかが重要です。物流がうまく稼働しなければ、消費者の手元に届くのが遅くなります。とくに、クリスマスは、消費者にとって特別な日です。クリスマスプレゼントとしておもちゃの需要が爆発的に伸びるため、物流担当者は状況に対応しなくてはなりません。具体的には、在庫情報を正確に把握したうえで、倉庫内のどこにどの商品を管理するのか配置を決定します。たとえば、出荷日の近い順に入り口付近へ商品を積むことで、スムーズな運送が可能になります。また、トレンドの変化により人気が低下した商品は追加発注個数を減らし、人気の高まりが予想されるものにおいては追加発注個数増加の手配および管理場所を変える工夫も必要です。
おもちゃメーカー業界で求められる人とおすすめの学部
おもちゃメーカー業界で働くには、どのような資格を取得すればよいのか、経験の有無は問われるのか、気になる人もいらっしゃるでしょう。次に、おもちゃメーカー業界で求められる資格・経験や、向いている人の特徴などをご紹介します。
求められる資格
おもちゃメーカー業界では、学歴および資格の有無は問われないケースが大半です。ただし、おもちゃコンサルト・機械・電気・建築関係などの資格を取得しておくと有利です。設計やデザインを手がける場合は、設計およびデザインを学べる学部で製品・工芸品・工業デザインを学んでおくと、就職時にアピールできます。
おもちゃメーカー業界に向いている人
おもちゃメーカー業界の新卒採用では、トレンドへの興味や目標の有無などを問われるケースが多い傾向です。次に、おもちゃメーカー業界に向いている人の特徴を解説します。
*流行に敏感な人
流行に敏感な人は、おもちゃメーカー業界に向いています。おもちゃは時代の変化によって、つねに進化するものです。たとえば、リストバンドをスマートフォンと連携させることで、素振りだけでテニスや野球などを楽しめるものや、AIの進化によりロボットと会話できるものも販売されています。時代はつねに変化していくものです。そのため、つねに流行にアンテナを張れる人であれば、おもちゃメーカー業界で活躍できるでしょう。
*粘り強い人
粘り強い人も、おもちゃメーカー業界に向いています。おもちゃは1,000個作っても、2、3個しかヒットしないケースが大半です。夜通し考えた企画が形になっても、売れない場合も少なくありません。何日もかけて企画した商品の案が採用されなかったり、たった一つの部品の不具合が製品全体の販売延期につながったてしまったり、開発段階で安全性の問題が指摘されてプロジェクトが白紙に至ったり、とさまざまな困難が起こりえます。このような困難な状況でも諦めずに粘り強く取り組める人は、おもちゃ業界に向いています。
おもちゃメーカー業界で働くためにおすすめの学部
おもちゃメーカー業界への就職は文系でも目指せます。しかし、デザインや製作に関わりたい人は、理系の学部で学ぶのがおすすめです。理系の学部でもとくに関わりが深いのは、デザイン部や工学部です。デザイン部では、デザインの専門知識や技術を学べます。工学部では、もの作りに関する知識をマスターできます。デザイン部や工学部を選択すれば、おもちゃメーカー業界への就職に役立つでしょう。
デザイン・もの作りが学べる大学の一例をご紹介します。
*大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学部 空間デザイン学科
おもちゃメーカー業界への就職を目指すあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
おもちゃメーカー業界へ就職すれば、多くの人々を楽しませる商品の企画や製作に携われます。また、ヒット商品を生み出す会社・チームの一員として活躍できるかもしれません。おもちゃメーカー業界へ就職するための大学選びに悩んだら「JOB-BIKI」の活用がおすすめです。「JOB-BIKI」の「就職先検索」にて、おもちゃメーカー業界の企業情報を調べられます。「就職先検索」の「業種を探す」から「製造・機械」をタップして「その他製造業」を選択しましょう。おもちゃメーカー業界の企業と、その企業へ就職した先輩たちの卒業した大学が一覧でわかります。おもちゃメーカー業界への就職を目指す際の進路選びに、ぜひ役立ててください。