警察官になるための道のりは?向いている人の特徴や採用試験の種類
2023.01.12
人々を守り、治安維持のために活躍する警察官。正義のヒーローとして憧れを持つ人も多いのではないでしょうか?警察官は公務員のため、就職するには試験を受ける必要があります。試験を受けるためには、どんな努力をすることが求められるのでしょうか。今回は、警察官の仕事内容や向いている人の特徴、採用試験に関することなど、さまざまな情報をご紹介します。おすすめの学部についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
警察官はどのような仕事?
まずは、警察官の基本的な仕事について確かめていきましょう。こちらでは、警察官の業務内容ややりがい、想定年収などを解説します。
警察官の仕事の内容
警察官は大きく3種類に分けられます。それぞれの主な仕事内容をチェックしていきましょう。
・都道府県警察
全国で活躍する警察官の多くは警視庁などの都道府県警察です。地方公務員にあたり、各自治体で試験を受けて採用された後、配属が決まります。配属先によって仕事内容はさまざま。たとえば、交番勤務では、住民の通報を受けてトラブルの起こった現場に駆け付けたり、パトロール中に職務質問したりといった仕事があります。また、落とし物を拾った人・探している人への対応や、道に迷っている人の案内なども行います。地域に密着した働き方ができることが魅力です。刑事警察として勤務する場合は、事件解決のために捜査や取り調べなどを実施。交通警察として働く場合は、交通違反の取り締まりや交通安全教育などを行います。
・警察庁
警察庁で働く警察官は国家公務員で、「警察官僚」や「キャリア」と呼ばれることもあります。現場に出ることはなく、警察組織の管理や、警察制度の仕組みを整えることなどが主な仕事です。複数の都道府県をまたいで事件が起きた場合は、都道府県警察をまとめあげて調整する役割も持ちます。
・皇宮警察本部
皇宮警察本部は警察庁に付属する国家公務員です。主な仕事は、皇族の護衛や皇居などの警備など。テレビの中継などで、実際に護衛を行う皇宮護衛官の姿を見たことがある人もいるのではないでしょうか?また、普段の警備に加えて、皇室に関する犯罪が発生したときも捜査にあたります。
警察官の仕事のやりがい
警察官は人々の安全のために活躍できる仕事です。事件や事故などを解決できたときは、警察官として非常にやりがいを感じられるでしょう。また、起こってしまった事件を解決するのはもちろんですが、犯罪を未然に防ぐことも警察官の大事な仕事。日々のパトロールや安全対策などで犯罪防止に役立っていると感じられるのも、やりがいにつながります。
警察官の想定年収
令和3年度の「ハローワーク求人統計データ」によると、警察官の求人における平均月額は20.9万円です。最終学歴や勤続年数、役職などの条件で給与の金額は変動します。昇任試験に合格できるたび、もらえる金額も上がっていくことが基本です。平均年収は600万円~700万円程度が目安といえるでしょう。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/140
警察官に向いている人
警察官にはどんな資質が求められるのでしょうか。ここでは、警察官に向いている人の主な特徴を解説します。
正義感がある
警察官の仕事を続けていくために欠かせないのが「人々を守りたい!」という正義感です。警察官の仕事では、危険な場面に遭遇することもあります。自分の身が危ないときでも勇気をもって犯罪に立ち向かえることが大切です。
何事も冷静に対処できる
警察官は、突然の事件や事故にも冷静に対応できることが重要です。状況を素早く判断して、的確に対処することが求められます。また、トラブルが起こった現場では動揺する人や怒る人などがいることも。そういった人たちの話を聞くときも、一緒に不安になったり腹を立てたりせず、落ち着いて対応できなければいけません。
基本的な体力・運動能力がある
警察の仕事では機敏に動く場面が多いため、基本的な運動能力が欠かせません。剣道や柔道などの武道を習得することも重要で、採用試験に合格した後は警察学校などで指導を受けることになります。
また、配属先によってはシフト制で不規則に勤務することになり、状況次第で長時間にわたって捜査や警備が必要なことも。警察官を目指すなら、しっかりと体力づくりをしておくことが大事です。
警察官になるための道のり
警察官採用試験に合格したら、警察学校などで訓練を受けてから実際に働き始めます。こちらでは、警察官になるまでの流れや採用試験についてご紹介します。
警察官になるための道のり
警察官になるには、地方公務員か国家公務員のどちらかになる必要があります。都道府県警察を目指すときは、自治体が行っている採用試験に挑みましょう。警察庁や皇宮警察本部の場合は国家公務員試験を受験します。
公務員試験に合格したあとは、専用の教育機関に入校し、警察官に必要な基本的な知識・技能・体力などを身に付けます。都道府県警察に採用されたら警察学校へ、警察庁に採用されたら警察大学校へ入校します。皇宮警察本部に採用された場合は皇宮警察学校へ入校することになります。
警察官の採用試験
都道府県警察の採用試験は、Ⅰ類、Ⅱ類、Ⅲ類の3種類に分けられます。年齢や条件によって受けられる試験が異なるため気をつけましょう。大まかな試験区分は以下の通りです。
Ⅰ類:大卒の人、もしくは大卒程度の学力を持つ人
Ⅱ類:短大・専門学校卒の人、もしくは短大・専門学校卒程度の学力を持つ人
Ⅲ類:高卒の人、もしくは高卒程度の学力を持つ人
さらに、それぞれ自治体ごとに異なる年齢制限があります。年度によってはⅡ類の試験がなく、Ⅰ類とⅢ類のみの募集になることもあります。
警察庁の職員を目指す場合は、国家公務員総合職試験や国家公務員一般職試験などを受けます。試験に合格できても「官庁訪問」での面接に受からなければ、警察官として採用されません。面接対策もしっかりと行う必要があります。
皇宮警察本部で働きたい場合は、皇宮護衛官採用試験を受験します。大卒程度試験と高卒程度試験のほか、乗馬指導者向けの試験や、武道有段者向けの試験などがあります。
基本的には、どの試験でも筆記試験だけでなく体力検査、身体検査、適性検査などが実施されます。体力検査では、腕立て伏せや上体起こしなどの種目で、どのくらい体力があるかを見極められます。身体検査では、視力や聴力の測定や、医師による診察などが行われ、健康面をチェックされるのが特徴です。適性検査では、マークシート方式の性格検査や記述式の能力検査などで、警察官としての適性があるかを見られます。こういった検査の種目や合格基準は、試験によって違います。基準が公開されていることもあるため、気になる場合は募集要項を確認してみましょう。
警察官になるためにおすすめの学部とキャリアプラン
警察官を目指したい人は、どんな学部に進学すれば良いのでしょうか。最後に、警察官におすすめの学部やキャリアプランなどについてご紹介します。
警察官になるためのおすすめの学部
警察官の試験は、高卒でも受験可能です。ただ、大卒の場合は昇任試験を受けられるスピードが早めになります。「将来はできるだけ上の役職に昇進して、リーダーとしてたくさん活躍したい!」と考えている人なら、大卒のほうが希望通りに働きやすくなるでしょう。
さらに、警察庁のキャリアを目指して試験を受ける人も大卒程度の知識が必要です。キャリアの警察官は、地方公務員試験に合格したノンキャリアの警察官よりも昇進しやすいことが特徴です。たとえば、中小規模の警察署の署長を務められる「警視」という階級は、キャリア組の人なら採用から7年で目指すことができます。ノンキャリアの人が警視に昇任できるのは早くても40代半ばです。早くから上級の役職に就いて活躍したい場合は、大卒で国家公務員試験を受けてキャリアを目指すと良いでしょう。
大学とひとくちにいっても、学部や学科はさまざまです。どこに進学すれば良いかわからないという人も多いのではないでしょうか?警察官の採用試験は、幅広い学部・学科の出身者が受験しています。法学部・経済学部・社会学部・工学部・教育学部など、どんな学部であっても警察官になれるチャンスはあるといえます。ただ、採用後は刑法などの知識を駆使して働くことになるため、法学部で法律を学んでおくと役に立つ機会が多いかもしれません。
また、大学によっては警察官を目指す学生のために課外講座を実施したり、実際に警察官として働く人を招いて説明会を開いたりと、さまざまなサポートを行っている場合があります。手厚いサポートの期待できる大学を選ぶと、就職活動にも安心して臨めますね。
警察官のキャリアプラン
警察官には階級や役職が存在します。たとえば、都道府県警察の場合、新人は巡査と呼ばれる階級からスタートし、昇任試験に合格して巡査部長・警部補・警部・警視と階級を上げていきます。昇任できると給与が上がるほか、仕事の幅を広げていけることがメリットです。
試験を受けるためには一定期間勤務し、実績を積んでいかなければいけません。警察官として長く働く場合は、上の階級への昇格を目指しながら昇任試験を受けていくことになるでしょう。
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警察官の試験には高卒程度の区分もありますが、「自分の地元の警察署の署長になりたい人」や「警察庁の官僚を目指したい人」などのように、高い階級を目指しているのであれば、大学に進学することがおすすめです。進学先のイメージがわかない!という人は、ぜひ「JOB-BIKI」を活用してみてください。「就職先検索」で「警察」のキーワードで検索すると、全国のさまざまな警察が出てきます。採用された人の出身大学を調べることができますよ。また、「人物検索」で「警察」を調べると、警察官として著名な人物の出身大学もわかります。