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漫画家になるには?漫画家の種類や著名な漫画家の出身大学も紹介

2023.02.13

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絵を描く漫画家の女性

ワクワクするストーリーや魅力あふれるキャラクターで、多くの読者を楽しませてくれる漫画家。漫画好きな人なら、一度はなってみたい!と思ったことがあるかもしれませんね。漫画家になるためには、どんな努力が必要なのでしょうか?今回は、漫画家の仕事内容ややりがい、求められる力、なるための主な方法などをご紹介します。また、著名な漫画家の出身大学や、おすすめの学部もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

漫画家の種類

漫画家は、雑誌や書籍、Web、広告など、さまざまな媒体に載せる漫画を描きます。

ここでは漫画家の種類として、以下の4つを紹介します。

  • 商業漫画家
  • 広告漫画家
  • Web漫画家
  • 個人販売漫画家

それぞれ紹介します。

商業漫画家

ジャンプやりぼんなどの漫画雑誌や、子ども向けの学習漫画や大人向けの実用書など、書籍に掲載する漫画を描く人を商業漫画家と言います。漫画家といえばこのタイプを思い浮かべる人も多いのでは?

多くの商業漫画家は、まず雑誌に連載という形で作品を発表し、人気を獲得していきます。 連載された作品がある程度の分量に達すると、出版社からその作品を一冊の本にまとめた単行本が刊行されることが一般的です。

商業漫画家は出版社と契約し、作品を発表・販売することで収入を得ています。主な収入源は二つ。雑誌掲載時の原稿料と、単行本化された際の印税です。

広告漫画家

商品やサービスを宣伝する漫画を描く人を、広告漫画家と言います。進研ゼミの漫画をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。広告漫画は、紙のチラシやSNS、YouTubeなど、さまざまな媒体で活用されており、短編の単発漫画が多いです。

読んだあとに「商品やサービスを使ってみたい!」と思わせる必要があるため、企業のニーズに合わせた漫画制作を行います。そのため、ストーリーやキャラクターは、企業の意向に沿って作成するのが基本です。

広告漫画家になるには二つの方法があります。一つは、漫画家を雇用している企業に所属する方法。もう一つは、フリーランスとして漫画家向け求人サイトで単発の仕事を受注する方法です。商業漫画家が広告漫画の依頼を受けることもあるようです。

自分でストーリーやキャラクターを考える商業漫画と違い、企業の意向に沿うという点では、イラストレーターに似ているかもしれません。

イラストレーターになるには?仕事内容や向いている人の特徴 (gyakubiki.net)

Web漫画家

インターネットとスマートフォンの急速な普及に伴い、近年急速に需要が高まっているのがWeb漫画家です。Web漫画家とは、漫画サイトや漫画アプリ、Xや自身のブログなど、インターネット上に漫画を投稿する漫画家を指します。

Web漫画家になる一般的な方法は、漫画サイトや漫画アプリに作品を投稿したり、賞に応募したりすることでしょう。投稿した作品が入賞、もしくは編集部の目にとまれば、デビューや連載につながり、原稿料と印税で収入を得られます。

また、Xや自身のブログで漫画は無料公開し、広告収入を得るという方法もあります。広告収入とは、漫画が掲載されているページに広告を表示させることで得られる収益のことです。多くの読者を集めることができれば、広告主から支払われる広告料が増え、漫画家の収入源になります。SNSで拡散されて話題になり、漫画家デビューする人も増えているようです。

個人販売漫画家

同人誌やFANBOXなどを活用し、個人で作品を販売する漫画家もいます。たとえば、ナンバーナインという漫画のデジタル配信サービスでは、あなたの作品をLINEマンガやコミックシーモアなどの漫画アプリや電子書籍ストアに無料で配信してくれます。作品が購入されれば、印税が得られる仕組みです。

漫画家の仕事の流れ

漫画家が書いた原稿

漫画家によって描く内容は異なりますが、基本的な仕事の流れは同じで、以下のとおりです。

  1. プロット制作
  2. ネーム制作
  3. 下書き
  4. ペン入れ
  5. 仕上げ

それぞれ解説します。

プロット制作

プロットとは、物語の筋や構想を意味する言葉です。プロットを練ることで漫画のストーリー展開やキャラクターの性格、世界観などが決まっていきます。漫画のリアリティを高めるため、資料を読み込んだり取材に行ったりして、情報を集めることもあります。

ネーム制作

ネームとは、簡単にいうと漫画の設計図のことです。コマ割りやセリフ配置などを考えながら描き、編集者のチェックを受けて修正しながら進めます。

下書き・ペン入れ

ネームを基に、原稿用紙に鉛筆で下描きを行いますが、印刷に影響しないよう筆圧に注意が必要です。

近年はデジタル制作が主流となり、アナログ作業は必須ではなくなりました。 デジタル漫画制作では、専用のペンやインクは不要で、漫画制作に特化したソフトウェアを使用することで、効率的に作業を進められます。背景などでたくさんの描き込みが必要な場合は、アシスタントに作業をお願いすることも。

仕上げ

アナログの場合、ペン入れが完了したらトーンやベタ塗りなどを行って漫画を仕上げます。デジタル化にともない、仕上げ作業はコンピュータで行う漫画家が増えているようです。

漫画ができあがると編集者にチェックをしてもらい、細かい修正点があれば再度調整します。

漫画家になるための方法

漫画家になる主なルートは、以下のとおりです。

  • 新人賞に応募する
  • 出版社に持ち込む
  • 漫画家のアシスタントから始める
  • 漫画投稿サイトやSNSを活用する

順番に解説します。

新人賞に応募する

漫画家になるための方法はいくつかあります。代表的な方法のひとつが新人賞への応募です。漫画雑誌が行っている新人賞で受賞できると、漫画家デビューにつながることがあります。

たとえば、週刊ヤングジャンプの新人漫画賞で大賞を受賞すると、賞金100万円と3話分の連載権が確約されます。月間少年マガジンの新人賞で大賞に選ばれると、賞金150万円と月刊少年マガジンに受賞作掲載が確約。また、連載と単行本化も確約されるようです!

出版社に持ち込む

漫画家になるためのルートとして、出版社への持ち込みも挙げられます。出版社へ連絡して自分の描いた漫画を読んでもらい、見込みがあると判断してもらえたらデビューできる可能性があります。持ち込みを行う前に、一度出版社のホームページをチェックして、持ち込みのルールを確かめておきましょう。

近年では、デジタル原稿を投稿するオンライン持ち込みを受け付けている出版社も多いので、チェックしてみてください!

漫画家のアシスタントから始める

また、漫画家のアシスタントになり、腕を磨いてデビューを目指す方法もあります。プロの漫画家の近くで実際の仕事を覚えられるのが大きな魅力です。面接のときには自分の描いた作品の提出を求められることが基本なので、事前に用意しておくと良いでしょう。

漫画投稿サイトやSNSを活用する

漫画投稿サイトやSNSに自分の漫画を投稿し、多くの読者から支持を得ることで、プロの漫画家へのデビューチャンスを掴むことも可能です。

漫画投稿サイトとは、アマチュアからプロまで、誰でも自分の漫画作品を無料で公開できるウェブサイト。漫画投稿サイトの一例は、以下のとおりです。

SNSや漫画投稿サイトへの投稿は、高校生が一番挑戦しやすい方法でしょう。ぜひチャレンジしてみてください!

著名な漫画家の出身大学やおすすめの学部

漫画の描き方を学習している大学生の男性

漫画家になりたいけど、どんな学校で何を勉強したらいいかわからないという人も多いかもしれませんね。最後に、有名な漫画家の出身大学や、漫画家を目指すのにおすすめの学部などをご紹介します。

著名な漫画家の出身大学

大学選びで迷ったときは、漫画家として活躍している方の出身大学を参考にするのも一つの手です。有名な漫画家はどんな大学を出ているのか、数名の事例をチェックしてみましょう。

名前出身大学・学部主な作品
手塚治虫さん大阪大学附属医学専門部鉄腕アトム、火の鳥 など
竹宮惠子さん徳島大学教育学部美術科風と木の詩、地球へ・・・ など
浦沢直樹さん明星大学人文学部経済学科20世紀少年、MONSTER など
高橋留美子さん日本女子大学文学部史学科うる星やつら、めぞん一刻 など
尾田栄一郎さん九州東海大学(現東海大学)工学部建築学科ONE PIECE など
沙村広明さん多摩美術大学美術学部油絵科無限の住人、波よ聞いてくれ など

他にもジョブビキなら著名な漫画家の出身大学を調べることが出来ます。こちらをクリック!

漫画家になるためにおすすめの学部

漫画家としての技術を身に付けるためには、美術・芸術系の学部で絵の基本を学ぶことがおすすめです。デッサンなど美術の基礎から学べるので、しっかりと画力を鍛えることができます。「マンガ学部」「マンガ学科」「美術学科マンガ専攻」など、漫画に特化した学科やコースのある大学もありますよ。

マンガについて学べる大学には下記のようなものがあります。

ただ、ご紹介したように著名な漫画家の出身大学・学部はさまざまです。どんな分野のことを学んでも、漫画制作に生かすことはできます。たとえば、大学で学んだ歴史の知識を生かして歴史系の漫画を描いたり、医学の知識を生かして医療系の漫画を描いたりすることも。

また、読者の興味を引くストーリーを作るためには幅広い教養が求められます。セリフ回しを考えるときも、たくさんの言葉を知っておくことが大事です。そのため、大学でさまざまな勉強をしておくことは、漫画を描くときに大いに役立つはず。「漫画家になりたいけれど、どの学部にすればいいか迷う……」という人は、美術系に限らず、自分の興味がある分野へ進学を検討するのも一つの方法です。

漫画家の仕事のやりがい

原稿の作成を進める漫画家の女性

漫画家は自分の描いた漫画をさまざまな人に読んでもらうことができます。漫画を完成させるまでには多くの苦労がありますが、読者から「面白かった」「感動した」と感想をもらえたときは、自分の作品で人の心を動かせたことに喜びを感じられるでしょう!

また、描く漫画のジャンルによってもさまざまなやりがいがあります。たとえば書籍漫画家は「漫画でわかる○○」のように、文章だけでは理解しにくいテーマの内容をわかりやすく描きます。自分の漫画で、読者の疑問や悩みなどを解決できることも。広告漫画家は、企業が宣伝したい商品などをアピールする漫画を描きます。自分の漫画の影響で、読者が商品を購入してくれたり、商品のファンになってくれたりするのが嬉しいポイント。このように、自分の漫画がさまざまな読者に影響を与え、ときには直接役に立てることも、漫画家の大きなやりがいといえますね。

漫画家の想定年収

漫画家は、漫画の原稿料をもらうことで収入を得ます。原稿料は人によって大きく異なるので、年収にも幅があります。そのため、想定年収はあくまでも目安と考えておきましょう。たとえば、デビューしたての商業漫画家の原稿料は1ページあたり4000~8000円でも、人気漫画家になると1ページにつき2万円~3万円の原稿料をもらえることがあります。新人漫画家が毎週5000円×10ページの週刊連載を持つとすると、1年(約52週)で約260万円の原稿料をもらえることになるでしょう。一方で、人気漫画家が20000円×10ページの週刊連載をすると、1年にもらえる原稿料は1000万円を超える計算になります。

また、漫画が購入されると8~10%程度の印税が入ります。たくさん売れるほど印税も多く入るので、人気漫画家ほど得られる収入も高くなるでしょう。ほかにも、漫画のキャラクターのグッズ収入や、アニメ化・映画化などで「ロイヤリティ」と呼ばれる使用料をもらえることも。誰もが知っているような大ヒット漫画の作者なら、年収数億円になることもあるようです。もちろん、ここまでの収入が得られるようになるのは一握りで、漫画だけで食べていけるようになるまで長くかかることも珍しくありません。漫画家の夢をかなえるためには、地道な努力を続けていくことも重要です。

漫画家に求められる力

漫画家として働いていくには、どんなスキルや資質が必要なのでしょうか。ここでは、漫画家に求められる力を解説します。

継続力

漫画家は日々コツコツと漫画を描き続ける必要があります。締め切りの近くになると、何時間も続けて作業を行うことも。連載作家になると、こうした作業が繰り返し発生します。継続して漫画を描き続けられる力が欠かせません。

物語を作り出す力

多くの読者に漫画を読んでもらうためには、魅力的なストーリーやキャラクターを作れる力が不可欠です。普段から物語を考えるのが好きな人や、想像力が豊かな人は、漫画家の資質があるといえます。また、柔軟な発想ができるようになるには、さまざまな経験をすることも大事です。いろいろな場所へ出かけてみると、ストーリーのヒントになる体験ができるかもしれませんね。

人に伝わる絵を描く力

漫画家はきれいな絵を描けるだけではなく、キャラクターの感情がうまく伝わるような画力も求められます。たくさん漫画を描く練習をして、上達を目指すことが大切です。

漫画家を目指す高校生のよくある質問

原稿を出版社に持ち込む漫画家の女性

漫画家を目指す高校生のよくある質問に答えました。ぜひ参考にしてみてください。

漫画が上達する方法は?

「七つの大罪」や「ライジングインパクト」などの作品で有名な鈴木央(なかば)先生によると、漫画が上達する方法は、以下のとおりです。

  • ネームをたくさん描いてフィードバックをもらう
  • 人物のデッサンをする

まずは、たくさんネームを描いて、出版社に持ち込む・賞に応募するなどして、評価してもらうことが大事だそうです。意見をもらうことで自分の向き不向きがわかり、成長につながるようですね。

鈴木先生は、絵の上達のために、よく人物や風景のデッサンを行っていたそう。イラストではなく、まずはデッサンでリアルな人間を描けるようにすることが大事。先生は新人時代、医学書で筋肉の付き方や関節の位置などを見て練習していたようですよ!

参考:【人気漫画家に聞く】鈴木央流、絶対に役に立つ漫画上達術!! | イラスト・マンガ描き方ナビ (clipstudio.net)

高校生で漫画家になった人はいる?

競技かるたを題材にした「ちはやふる」で有名な末次由紀先生は、高校2年生のときに「なかよし新人まんが賞」で入賞し、漫画家デビューを果たしています。

先生は、中学2年生の時に初めて作品を投稿。編集者さんからの丁寧なフィードバックを糧に「もっとうまくなりたい!」と、漫画を描くことに励んでいたそうです。

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漫画家になるためには、さまざまなことを体験し、知識を深めることも大切です。漫画家を目指せる大学を知りたいときは「JOB-BIKI」を使って調べてみてください。「人物検索」の「ジャンルから探す」で「漫画」を選ぶと、さまざまな漫画家の出身大学をチェックできますよ。

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