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市議会議員とは?市議会議員になるための方法ややりがい、仕事内容について解説

2023.03.09

カテゴリー:
地方の役所

高校生の皆さんの中には、自分の地元に貢献したい、生まれ育った地域を良くしたいという想いを抱えている人もいるかもしれません。市民とコミュニケーションをとり、人々の生活をより良くするために尽力するのが市議会議員です。この記事では、市議会議員の仕事内容ややりがい、年収やなり方などを紹介します。

市議会議員とは?

市議会議員は、市民の代表として市政を行う議会、市議会における政治家です。

政治家については下記を参照してください。
政治家の記事

市議会議員は市民にとって最も身近で、地域の問題について解決策を考え、実践する仕事です。市民の声を集めるために地域の集会や祭りに積極的に参加し、ときには街頭演説や講演会をおこなって自身の市政に対する考えや議案を市民に伝えたりします。

地域を良く知る地元の名士や教育者、もしくは国会議員として国会への進出を視野に入れている人が市議会議員を務めることが多いようです。基本的には専業で市議会議員を務めますが、人によっては農業や経営と兼業でおこなっていることもあります。

著名な市議会議員と、その出身大学は「JOB-BIKI」で簡単に調べることができます。

市議会議員と市長の違い

市議会議員と市長は、市民の声を聞いて市政を運営するのが仕事です。どちらも4年ごとに市民に選挙で選ばれます。

厳密には市長は執行機関、市議会議員は議決機関という役割の違いがあります。議会で予算や条約を決めるのが市議会議員、議会の決定に沿って住みよい街づくりを進めるのが市長です。国で例えると、国会議員と総理大臣の違いとなります。

市議会議員の仕事内容

選挙ポスター掲示場

市議会議員の主な仕事内容は、市民の声を聞いてより良い街づくりのため、条約や予算を見直し決定することです。

市議会は一般的に3月・6月・9月・12月の年4回開催される定例議会と、必要に応じて召集される臨時会の2種類があり、両議会の会期は平均して年に90日間ほどです。市議会議員は、この市議会で他の議員、あるいは自分が提案した議題や法案について審議し、議決をおこないます。

市議会議員の中から議長と副議長を1人ずつ選挙で選び、議長の進行で議会が進められます。行政がスムーズに運営されているかどうかをチェックするのも、市議会議員の仕事です。

市議会が閉会しているときは、市議会の情報を市民に向けて発信したり、市民との交流を図ったり、次の市議会の準備を進めたりします。会期外の時間の使い方について決まりはないので、仕事内容は市議会議員それぞれの裁量次第です。

市議会議員の仕事のやりがい

市民に寄り添い、市民の代表として適切な政策をおこなう市議会議員は、自分の活動が市民の生活に良い影響を与えることにやりがいを感じられます。自分の生まれ育った大切な地元に対し、わかりやすい形で恩返しができる、という点に魅力を感じることもあるでしょう。市民からの感謝の気持ちが伝わりやすいので、さらに良くしていこうというモチベーションにもつながります。

市議会議員の仕事の流れ

市議会議員の仕事は個人の裁量によりますが、市議会の会期中と会期外では若干異なります。ここでは会期中と会期外の市議会議員のスケジュールの一例をご紹介します。

議会会期中の市議会議員の一日

5:00準備 多くの場合、早めに起床して会議の質問の準備などをします。
7:00駅前演説 有権者が通勤・通学する時間に合わせ、市政の報告をします。
9:30登庁 開会に合わせて市役所に登庁し、控室で待機します。
10:00本会議 市長から提出された予算案や法案について審議する本会議が開かれます。 自治体によっては本会議が9時から始まることもあります。
12:00昼食休憩
13:00本会議 午前中から引き続き、予算案や法案について審議を重ねます。
18:00退庁 基本的には17時に閉会しますが、議論が続くと深夜までかかることもあります。

市議会閉会中の市議会議員の一日

6:00準備
7:00ビラ配り 市政報告レポートを街頭で配布したりします。
9:00議員事務所に出勤、スタッフと打ち合わせ
10:00来訪者と話をする
12:00昼食休憩
13:00地域行事など、市民の声を聞ける場に出席。 意見があれば述べる。
16:00事務所に戻り、市民に議会の内容を報告する議員活動報告会のために資料を作成します。
18:00退勤後、地域の懇親会に参加

市議会議員の年収

市議会議員の収入は、議長・副議長・議員の役割によって若干違いがあります。

全国市議会議長会の調査によると、2021年の平均月収は議長が51.8万、副議長が45.8万、議員が42.3万となっており、年収に直すと約507〜620万円前後です。 人口が多い地域ほど年収が高くなる傾向にあります。

市議会議員に必要な資質と能力

市議会議員の仕事は、「市民の生活をよくしたい」という想いが強い人に向いています。

市民の声をよく聞き、本当に必要な解決策を親身になって考えられる、共感力の高さも求められます。加えて単純に想いが強いだけでなく、考えたことを実践に移せる実行力も必要です。市政を運営するうえでは当然反対意見もあるので、様々な意見をまとめて最終決定に導く調整力も必要になるでしょう。

市議会議員になるための方法とは?

演説中の市議会議員

市議会議員になるには、選挙で多くの市民から票を得る必要があります。選挙で選ばれるために、市民との関係性づくりや政治の勉強はもちろん、自身の意見を持ってきちんと発信していくことが大切です。

市議会議員の世界の現状

市議会議員の仕事は、コミュニティを重視する現代社会では必要不可欠な仕事です。しかし市議会議員は現状、各地域で「なり手不足」が課題となっています。

少子高齢化が進みコミュニティが小規模になっていくにつれ、生活環境の改善が求められます。しかし女性や60歳未満の市議会議員が少なく、市議会が機能していない、市議会で何がおこなわれているのか不透明になっているという現状があるようです。そのため市民が市議会に興味を持たず、無投票当選によって市議会議員が選ばれているところも少なくありません。

前述したとおり、市議会議員の報酬は市民の人口が多いほど高くなります。しかし人口の少ない地域では生計がたてられないほど低くなるため、若手が立候補しにくいという問題も起きています。

これらの課題を解決するため、市議会議員の定員数や制度の見直しなどが進められています。

市議会議員になるための勉強ができる大学・学部

市議会議員になるには学歴は問われませんが、大学や専門学校には市議会議員になるために有利な学部や学科があります。

大学
市議会議員になるための最もスタンダードな進路は、政治経済学部や政策創造学部のある4年制大学への進学です。政策の立案や実行、法律に関する知識などを学べます。

大学によっては、長期休みを利用した議員インターンシップに参加できたり、議員の話を直接聞く機会があったりします。

都内で政治学が学べる大学の例です。大学名をクリックすると、逆引き大学辞典の大学ページが開きます。

早稲田大学政治経済学部 政治学科 政治経済学部 国際政治経済学科 教育学部 社会科
法政大学    法学部 政治学科 法学部 国際政治学科 社会学部 社会政策科学科
慶應義塾大学  法学部 政治学科 法学部 乙類(政治学科)
國學院大學法学部 法律学科
日本大学法学部一部 政治経済学科 法学部一部 公共政策学科 危機管理学部 危機管理学科
文教大学経営学部 経営学科
青山学院大学 法学部 法学科 法学部 ヒューマンライツ学科 国際政治経済学部 国際政治学科
亜細亜大学法学部 法律学科
学習院大学法学部 政治学科
杏林大学総合政策学部 総合政策学科
国士舘大学政経学部 政治行政学科
駒澤大学法学部 政治学科
成蹊大学法学部 政治学科
成城大学社会イノベーション学部 政策イノベーション学科
専修大学法学部 政治学科
大正大学社会共生学部 公共政策学科
大東文化大学法学部 政治学科
拓殖大学政経学部 法律政治学科
中央大学法学部 政治学科 総合政策学部 政策科学科 総合政策学部 国際政策文化学科
帝京大学法学部 政治学科
東京大学 法学部 第3類(政治コース)
東京都立大学公立大学東京都 法学部 法学科
東洋大学     経済学部 総合政策学科 法学部 法律学科 法学部 企業法学科
武蔵野大学法学部 政治学科
明治学院大学法学部 政治学科
明治大学政治経済学部 政治学科 政治経済学部 地域行政学科
立教大学   法学部 法学科 法学部 政治学科
東海大学政治経済学部 政治学科

近年は医療や介護に関する課題を抱える自治体も多いので、あえて政治経済や法律以外の専門学科に特化して学ぶのも選択肢のひとつです。

著名な市議会議員の出身大学

「JOB-BIKI」なら著名な人物がどの大学で学んでいたかがわかります。

「地方議員」を排出しているのは、上記の大学の他に、龍谷大学、関西大学、獨協大学、立命館大学、近畿大学、北海学園大学、関西学院大学、創価大学、名城大学などからも多くの卒業生が地方議員として活躍していますよ。

市議会議員に必要な資格や受験すべき試験

市議会議員になるのに、取得すべき資格や試験はありません。しかし、市議会議員に立候補するには下記の2つの条件を満たしている必要があります。

● 満25歳以上の日本国民であること
● 3カ月以上、立候補する市内に住んでいること

また、市議会議員になるためには選挙で選ばれる必要があるので、まず選挙に出馬しなければいけません。このとき、2つの条件とは別に供託金を支払います。

供託金は一時的に預けるお金のことで、通常は30万円、政令市の場合は50万円です。選挙の結果が一定の票数に達すると返金されますが、達しなかった場合は各自治体の基準に応じた金額を没収されます。

市議会議員になるために目指すべき就職先

市議会議員になるためには選挙に出馬しなければなりませんが、まずは他の仕事に就いて選挙のための地盤を固めるという人がほとんどです。

政治塾
就職先ではありませんが、市議会議員になる近道として知られているのが政治塾です。政党が運営しているところもあれば、有名な「松下政経塾」のように政党に関係なく運営しているところもあります。多くの場合大学を卒業していることを条件としており、入塾料・受講料がかかりますが、社会人が政治について学ぶ場としては適切な場といえるでしょう。

公務員
市議会議員の中には市の職員から議員になったという人もいます。地方公務員から市議会議員になるという道もあるので、検討してみましょう。地域の人々の生活に密着する公務員は市民の現状を把握しやすく、市民とコミュニケーションもとりやすいので、選挙出馬のための地盤を固めるのに向いています。

議員事務所
議員事務所で事務や庶務などをこなし、身近で議員の仕事を見ながら学ぶという方法もあります。

国会議員事務所や都道府県議員事務所、市区町村議会議員事務所などでは一般の事務スタッフや秘書を募集しています。雇用形態は正社員からアルバイトまで様々ですが、市議会議員の仕事ぶりを間近で見られるだけでなく、政界へのコネクションもつくることができます。

市議会議員になった後のキャリアプラン

市議会議員はまず、審議を重ねる議員からスタートします。所属する議会で副議長・議長を目指してみるのもいいでしょう。

議長となって数人の意見をまとめ、推進できる力がつけば支援者も増えます。市のために働いているうちに、県のために働きたいという気持ちになることも。都道府県議会議員になるという選択肢もあるでしょう。市長を目指すということもあるかもしれませんね。

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市議会議員は小単位のコミュニティの改革を担う仕事です。市民の声をよく聞き、寄り添って共に解決案を出していけるような共感力、予算案や法案を提出し、反対意見があればおさめる実行力などが求められます。地元が好きで貢献したい、身近な人たちのために働きたい、という想いが強い人にはやりがいを感じられる仕事といえるでしょう。市議会議員になるためには選挙で選ばれる必要がありますが、そのために政治や社会について学んでいく必要があります。
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