青年海外協力隊になるには?活動内容や求められる資質と能力を紹介!
2023.03.15
青年海外協力隊が活躍する姿を、ニュースやネットで見て憧れている高校生もいるでしょう。経済・産業や技術などが開発途上にある「開発途上国」で活躍している印象が大きいですが、実際にどのような活動をしているのかイメージしづらいと思います。この記事では青年海外協力隊の活動内容と、なるための方法についてお伝えしていきますね。
目次
青年海外協力隊とは
青年海外協力隊は、政府開発援助の一環として、独立行政法人国際協力機構(JICA)が行うボランティア派遣制度です。開発途上国で現地の人たちと生活を共にし、同じ目線に立って課題解決に貢献するための活動を行います。
「開発途上国」とは、以前「発展途上国」と呼んでいたものです。発展途上国では、何が発展途中なのかがわかりづらいため、現在は「開発途上国」という呼び方が一般的になりました。
職種や業務内容はその国や状況によってさまざまですが、技術指導や教育、日本で培ったノウハウの伝授が主な活動です。
例えば、小学校教育やIT活用の指導、コミュニティ開発として地域活動を行うなどがあげられます。青年海外協力隊は、数多くある職種の中から、自分の持っている技術や経験を活かせる分野を選んで活動します。
青年海外協力隊として派遣される期間は、原則2年間です。短期派遣の募集では、1ヶ月~1年未満と短い期間のものもあります。ボランティア活動ではありますが、派遣期間中は独立行政法人国際協力機構(JICA)から生活費が支給されます。
青年海外協力隊の仕事内容
青年海外協力隊の仕事は、190の職種にわかれます。その国に必要な支援状況に合わせて、募集される仕事内容は異なります。
青年海外協力隊として募集される仕事の分野は、以下の9つです。
- 「計画・行政」国・地域づくりに関わる仕事
- 「農林水産」食べ物や自然にかかわる仕事
- 「鉱工業」ものづくりに関わる仕事
- 「人的資源」教育やスポーツなど人を育てる仕事
- 「保健・医療」いのちに寄り添う仕事
- 「社会福祉」福祉に関わる仕事
- 「商業・観光」経営管理・マーケティングや観光に関わる仕事
- 「公共・公益事業」生活サービスに関わる仕事
- 「エネルギー」エネルギーに関わる仕事
青年海外協力隊として役立てる仕事分野は、幅広いことがわかりますね。自分だったらどの分野で役立てそうか、まずは興味のあるものやこれから勉強したい分野を決めるところから始めてください。
また、JICA海外協力隊のホームページでは、青年海外協力隊の仕事がわかりやすく漫画で紹介されています。活動イメージが湧きやすいので、こちらも合わせて読んでみてくださいね。
「世界へはばたけマンガで知る青年海外協力隊」
青年海外協力隊の職種選びのヒント
青年海外協力隊は、職種の数が多くて何を選んでいいのか悩んでしまいがちです。特にこれから進路を考える高校生にとっては、自分がどのように役立てるのか想像するのは難しいと思います。
まずは、自分の興味・関心のある課題や、特技を振り返ってみてください。例えば、部活動の経験を活かしてスポーツ指導員になる人や、趣味の手芸を活かして家政・生活改善隊員になる人がいます。自分が学校生活の中で行ってきたことや、趣味などから探すとわかりやすいです。
これまで経験したことがないことでも、勉強してみたい、携わってみたいと思う分野があるならば、高校生の今のうちから情報収集するのがいいですね。
今すぐひとつの職種に絞る必要はありません。高校、大学で学んでいるうちに視野が広がり、興味の対象も広がっていくものです。今からさまざまなことに興味を持ち、興味のあることには積極的に取り組んでいく姿勢を持っておくといいですね。
青年海外協力隊のやりがい
青年海外協力隊は、発展途上国の課題解決の手助けができます。どの職種であっても、日本で学んだ知識や技術を伝え、国や地域に貢献するのが青年海外協力隊の仕事です。どうすれば国を改善できるのか、どのような手助けをするのが最適か、常に考え行動する力も養われます。自分一人の力だけで大きな変化を起こすことはできませんが、その国を発展させるきっかけになれるので、大きなやりがいになりますよ
現地の人と直接関わるからこそ、「あなたのおかげで暮らしが便利になった!」「楽しく勉強できた」というように、直接感謝される場面もあります。現地に派遣されるからこそ、得られるやりがいです。
青年海外協力隊の応募資格と適性
青年海外協力隊に応募するには、応募資格を満たしていなければなりません。ここでは必要な応募資格と、青年海外協力隊の適性についてお伝えします。
青年海外協力隊の応募資格
青年海外協力隊に応募できる人は、どのような人なのでしょうか?ここでは、応募に必要な資格や条件についてお伝えしていきます。
・20歳以上の年齢制限
青年海外協力隊への応募は、満20歳以上が条件です。以前までは20~39歳までを対象とし、満40歳~69歳まではシニア海外ボランディアと呼ばれていました。しかし、現在は青年海外協力隊を「一般案件」と「シニア案件」にわけ、年齢で区切るのではなく、一定以上の経験や技能を持つ人をシニア案件で募集するようになりました。
満20歳なので、20歳の誕生日を迎えなければ応募はできません。20歳を超えていれば、大学生でも応募できますよ。
・学歴や経験が求められる
職種によって求められる条件は異なります。大卒以上の学歴や、その職種での実務経験何年以上というように、経験者だけが応募できる職種もあります。
例えば、JICA青年海外協力隊の2022年秋の一般募集を見てみると、「環境教育」の募集で、「国境沿いの西部の都市で、地域住民の生活の質向上を目的として、地域住民自治組織の組織化・活性化のための支援、様々なイベントの運営支援や訪問先の学校において3Rについての講義を行います」といった活動内容があります。この職種の条件は大卒以上、語学判定はスペイン語D又は英語Dです。
ほかにも「マーケティング」の職種募集で、「農林省の傘下に設置された森林資源の保護や活用に関する研修機関で、地元生産者による手工芸品の売り上げ向上や品質向上などについて貢献する活動を実施します」といった活動内容のものでは、条件は大卒 製造・卸・小売いずれかの実務経験(なるべく3年以上) 男性、語学判定英語Cです。
2つの例を紹介したように、募集内容によって求められる学歴や経験は異なります。
・英語力が求められる
青年海外協力隊に応募する際、語学力審査が行われます。こちらも学歴や実務経験同様、募集内容によって条件が異なるものです。職種募集の選考指定言語欄に、英語C、英語Dといった形で書かれています。JICAが定める語学力の目安表に沿って、語学力が判定されます。
一般案件の応募では、基本的に英語力は「実用英語技能検定」通称英検3級もしくはTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)スコア330点以上が最低基準です。語学力判定は英語以外に仏語・西語もあります。派遣される国によって、使う言語が異なるためです。
一般募集では英語力の選考指定が多いため、ここでは英語力のA~D判定の基準を紹介していきますね。
英語A判定:十分なコミュニケーションが可能なレベル
- 英検準1級以上
- TOEIC®730点(S&W 290点)以上
- TOEFL®550点(CBT 213点、iBT 79点)以上
- GTEC(4技能 600点又は2技能 305点)以上
- CASEC(自宅受験型) 700点以上
英語B判定:どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えているレベル
- TOEIC®640点(S&W 260点)以上
- TOEFL®500点(CBT 173点、iBT 61点)以上
- GTEC(4技能 540点又は2技能 275点)以上
- CASEC(自宅受験型) 650点以上
英語C判定:限られた範囲内での業務上のコミュニケーションが可能なレベル
- 英検2級
- TOEIC®500点(S&W220点、Bridge 85点)以上
- TOEFL®470点(CBT 150点、iBT 52点)以上
- GTEC(4技能 450点又は2技能 225点)以上
- CASEC(自宅受験型) 570点以上
英語D判定:日常会話レベル
- 英検準2級、3級
- TOEIC®330点(Bridge 130点(2019年5月以前)Bridge 65点(2019年6月以降))以上
- TOEFL®410点(CBT103点、iBT34点以上)
- GTEC(4技能 340点又は2技能 165点)以上
- CASEC(自宅受験型) 450点以上
その他仏語や西語の基準、英語判定で定められているほかの語学資格についてはJICA海外協力隊のホームページ内にある、「語学力審査について」を参考にしてください。
https://www.jica.go.jp/volunteer/application/long/language/index.html
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募集している活動内容によって必要な語学力は異なるため、必ずしも英語A判定レベルの高い英語力が必要なわけではありません。どの程度の語学力を目指すのがいいかは、実際に募集されている職種の選考指定言語欄を参考にして決めるといいですね。自分の気になる分野の応募に必要な語学レベルを基準にしましょう。
青年海外協力隊の適性
青年海外協力隊の応募資格について見てきました。ここからは、どのような人が青年海外協力隊に向いているのか、適性について解説します。
・自ら考えて積極的に行動する人
青年海外協力隊として派遣される人は、その地域での課題解決のために活動します。わからないことがあれば調査を重ね、どうすれば改善できるかを考えて行動する必要があります。
学校ならば部活動の部長や、文化祭での実行委員などリーダーとして率先して動けるタイプの人です。人の後ろに隠れる人よりも積極的に行動できる人が向いているでしょう。まだ学校でそうした経験がない人でも、自分で考えて何かを成し遂げるのが得意な人ならば青年海外協力隊に向いています。誰かの指示を待つのではなく、自分から動く習慣をつけてみてくださいね。。
・コミュニケーションが得意な人
コミュニケーションが得意な人は、青年海外協力隊に向いています。青年海外協力隊は、現地の人たちと一緒に活動を行います。そのため、現地の人たちとのコミュニケーションは欠かせません。英語が苦手だから、伝わるかわからないから、と消極的になってしまう人は向いていないでしょう。
たとえ、語学に不安があっても、交流を図ろう、相手の気持ちを理解しようという姿勢があれば、友好的な関係は作れるものです。円滑なコミュニケーションを図るには、相手の気持ちをくみとって、自分の気持ちを伝えることが大切です。日本では空気を読んで、あえて何もいわずに察せられる人が、コミュニケーション力が高いといわれるでしょう。しかし、国が違えばそうした文化も異なります。日本で良しとされるコミュニケーションの形にとらわれずに、自分が派遣される国でのコミュニケーションを理解し、実践できるかどうかが重要です。
また、同じ場所に派遣された隊員同士でも、コミュニケーションが円滑に進めばチーム力が高められます。隊員同士が仲良くなれば、協力してひとつの課題解決に進めますね。「自分がチームをまとめて一緒に課題を解決していく」という気持ちがある人は、現地の人にも隊員にも頼りにされますよ。
・自己管理ができる人
青年海外協力隊には、自己管理力が求められます。環境の異なる場所で生活するため、普段よりも体調を崩しやすくなるからです。健康面には特に気を配り、体調が優れない時は休むことも大切です。
また、派遣先によっては、犯罪が多発している地域もあり、日本と比べると治安のいいところばかりではありません。危険な場所には近づかないなど、リスクに備える必要があります。現地スタッフやJICAのサポートはありますが、常に警戒をして自分の身は自分で守る意識が大切ですよ。
青年海外協力隊になるまでの流れ
青年海外協力隊として活動するには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか?ここでは、応募方法と流れについてお伝えします。
1.JICA主催の説明会に参加する
青年海外協力隊に応募する前に、独立行政法人国際協力機構(JICA)が主催する説明会に参加するのが基本です。会場型とWEB型の説明会があり、全国各地で行われています。青年海外協力隊の活動内容や、経験者のプレゼンテーションを聞ける機会があり、事前予約をすれば個別相談も受けられます。
まずは活動内容についてイメージをわかせたい、どんな活動をするのかいまいちわからない人のために、動画プログラムも用意されています。過去の説明会のアーカイブ視聴もできるので、高校生のみなさんは、まずは独立行政法人国際協力機構(JICA)のホームページから動画を視聴してみてください。
https://www.jica.go.jp/volunteer/seminar/index.html
2.実際に応募して選考を受ける
青年海外協力隊の募集は、毎年春と秋の2回行われます。応募が始まる前にJICAのホームページで告知されるので、定期的に確認してみてください。
応募は、ホームページ上で必要事項を入力し、問診票と健康診断書を郵送します。一次選考は書類審査です。健康審査、語学力審査が見られます。一次選考を突破したら、二次選考はWeb面接を行います。要請内容と適合しているかどうか、人物・技術面を照らし合わせて合否が決定します。求められる人物像かどうかが見られるでしょう。募集の活動内容によっては、面接以外に試験や作品の提出が求められる場合もあります。
3.派遣前訓練を受ける
二次選考に合格したら、派遣前訓練を受けます。訓練は合宿制で、70日間程度行われます。隊員として必要な態度や姿勢、言語や異文化理解などの必要最低限の知識と能力を養う訓練です。健康や安全管理など、自己管理の方法も学びます。
この訓練期間内の成績や適正次第では、派遣が取りやめになる可能性もあります。青年海外協力隊として派遣される人は、それだけの能力と適正を持っているということですね。
青年海外協力隊を目指せる大学
青年海外協力隊になるまでの流れを紹介しました。青年海外協力隊として、発展途上国をサポートするには、海外の文化について深く知っておきたいです。その国について学ぶことで、今どのようなサポートが必要なのか、その国はどういった状況下におかれているのかがわかりますよ。
- 青年海外協力隊を目指せる、海外について学べる大学をいくつか紹介します。
- 神田外語大学(千葉)
- 桜美林大学(東京・神奈川)
- 北海道文教大学(北海道)
- 武庫川女子大学(兵庫)
- 上智大学(東京)
- 東京国際大学(埼玉)
上記のほかにも、海外について学べる学校はたくさんあります。どこの大学を選べばいいのか悩んだときは、以下の学科から気になる大学を選んでみるのもいいですよ。
- グローバル・リベラルアーツ学科
- グローバル・コミュニケーション学科
- 異文化コミュニケーション学科
- 国際教養学科
- 国際学部
このように、青年海外協力隊を目指せる大学はたくさんあります。海外の文化やコミュニケーション、語学を学べる大学が主です。派遣先をイメージしながら大学を探すのも1つの方法ではありますが、帰国後にどうするのかも考えて選ぶようにしましょう。そうすれば、青年海外協力隊での活動が社会人になってからやりたい仕事に活かせますよ。
青年海外協力隊の主な派遣場所
青年海外協力隊の主な派遣場所は、アフリカ・北米・中南米・東南アジア・中東などがあげられます。職種や募集状況によって派遣される国が異なります。英語以外を扱う国への派遣もあるので、行きたい派遣場所があれば、そこでの言語を大学で学ぶといいですよ。
青年海外協力隊のキャリアプラン
青年海外協力隊の活動は、就職するうえでも役立ちます。2年間海外で隊員として活動した実績は、語学力の証明になります。海外との取引があるグローバル企業や、通訳士など語学を活かした仕事に就きやすいでしょう。
また、海外で働きたい人にとっては、青年海外協力隊としての海外生活経験が活かせます。海外の日系企業では、海外生活経験があり、現地語を話せる人は求められるからです。
実際、帰国後に海外で就職する人はたくさんいます。
ほかにも、青年海外協力隊として要請されたときの職種を活かして、帰国後その仕事に就く人もいます。青年海外協力隊としての経験は、仕事選びの幅を広げることにもつながります。
また、JICAのグローバル事業に就職する道もあります。青年海外協力隊経験者を募集しているので、グローバル事業に携わりたい人はJICAへの就職を目指すのもいいですね。
青年海外協力隊になりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
青年海外協力隊の活動内容は幅広く、自分には何ができるのか迷ってしまったかもしれません。まずは、「自分には何ができるか?」「どういうことで貢献したいか?」という点で想像を巡らせてみてください。
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