イラストレーターの仕事内容は?やりがいや年収、役立つ資格を解説
2023.03.30

魅力的なイラストを制作するイラストレーターの仕事。絵を描くのが好きな人なら、一度は憧れたことがあるかもしれませんね。イラストレーターになるためには、どんな方法があるのでしょうか?今回は、イラストレーターの仕事内容や向いている人の特徴、なるための方法、おすすめの学部など、さまざまな情報をご紹介します!
絵を描く仕事に興味がある人は、絵本作家や漫画家にも向いているかもしれません。以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
絵本作家になるには?仕事内容を詳しく解説!収入、目指せる進路も紹介
漫画家になるには?漫画家の種類や著名な漫画家の出身大学も紹介
目次
イラストレーターの仕事内容
イラストレーターのメインの仕事はイラストを描くことですが、具体的にどんなことをするのか知らないという人も多いはず。まずは、イラストレーターの仕事内容ややりがい、想定年収などをご紹介します。
イラストレーターの仕事の内容
イラストレーターの仕事は、お客様やディレクター、編集者などの依頼主から依頼された内容に合わせてイラストを描くことです。制作するイラストは、ゲームのキャラクターや本の挿絵、商品のパッケージなどさまざま。商品をより魅力的に見せたり、本に書かれている内容をわかりやすく伝えたりするために、ふさわしいイラストを描く必要があります。
イラストレーターの仕事は、通常、依頼主からの要望に沿って構図や絵柄を決めていきます。実力を認められ人気が出てくると、イラストレーター独自の作風を活かした仕事が増え、収入も上がる可能性が高いです。
現在はデジタルでの制作が主流ですが、水彩やパステルなどの伝統的な画材を使う方もいます。働き方としては、デザイン会社や事務所に所属する方もいますが、多くのイラストレーターは個人で仕事を請け負うフリーランスとして活動しています。
イラストレーターが手がけるイラストの種類

イラストレーターが手がける主なイラストの種類は、以下のとおりです。
- ゲームのキャラクターや背景
- 出版物の挿絵
- 商品パッケージ
- その他(LINEスタンプやSNSアイコンなど)
ゲームのキャラクターや背景
イラストレーターは、ゲームに登場するキャラクターや背景を描きます。すでに設定があるキャラクターを描く時は、髪型や体型などを正確に守りつつ、見た目の格好良さや魅力を引き出す工夫も大切です。
ゲームの中で使うイラストはもちろん、以下のようなイラストも手掛けます。
- 宣伝用のポスター
- スマホゲームでよく見るガチャのカード
- 小さくてかわいらしい「SDキャラ」
最近は、スマートフォンゲームが増えたことで、たくさんのイラストが必要になり、複数の絵師さんで手分けして描くことも増えています。ゲームでのイラストの重要性は、ますます大きくなっています。
出版物の挿絵
イラストレーターは、雑誌や小説、教科書などの出版物に使う挿絵も担当します。ライトノベルや小説の表紙イラストは、本の印象を決める大切な仕事で、売り上げにも大きく影響します。
本の中の挿絵では、文章の内容をより分かりやすく伝えることが大切で、時には吹き出しを使って文章を要約するなど、イラストレーター独自の工夫を加えることもできます。また、ファッション誌や街歩きガイドなどでは、人物や食べ物、小物などのカットイラストで、雑誌の魅力を引き立てる役割も担っています。
商品パッケージ
イラストレーターの仕事の一つに商品パッケージのデザインがあります。パッケージのイラストは、店頭に並ぶ多くの商品の中から消費者に選んでもらうための重要な要素で、売り上げを大きく左右します。商品の特徴や魅力を伝えるだけでなく、思わず手に取りたくなるような工夫が必要です。デザインの知識はもちろん、パッケージの素材や印刷方法、さらには消費者心理まで、幅広い知識が求められる奥深い仕事です。
その他
イラストレーターが手がける仕事は、テレビ番組で使われるイラストなど本当にさまざまありますが、デジタル時代の発展とともにますます広がっています。LINEスタンプ、SNSアイコン、YouTubeのサムネイルイラストなど、インターネット上で使われるイラストの需要が増えています。今後も新しいメディアやサービスの登場とともに、イラストレーターの活躍の場はさらに広がっていくでしょう。
イラストレーターの仕事の流れ
イラストレーターの仕事は、以下の流れで進みます。
- 打ち合わせ
- 下書き
- 清書
- 納品
それぞれ詳しく解説します。
打ち合わせ
依頼を受けたら、まず依頼主との打ち合わせから始まります。打ち合わせで確認する内容は以下のとおりです。
- イラストの構図
- 使用する色
- 気をつけるべき点
- 制作期間
- 報酬
作品の詳細だけでなく契約条件についても確認します。直接会って打ち合わせすることもありますが、遠方の場合はメールやオンラインミーティングを活用します。双方が合意して初めて本格的な制作に入ります。
下書き
打ち合わせ後、すぐに本制作には入らず、まず「ラフ」と呼ばれる下書きを作成します。ラフで構図や全体の雰囲気を確認してもらい、依頼主の要望と合っているかチェックを受けるためです。
問題がなければ本制作に進みますが、修正が必要な場合は、ラフの段階で直します。特に広告用のイラストでは、細かな調整が求められることも多く、依頼主の承認が得られるまで何度も修正を重ねることがあります。下書きの段階で方向性を確認することで、完成後の大幅な修正を防げます。
清書
ラフ画の承認が得られたら、いよいよ本制作です。まずは下書きを元に線画を描き、そのあとパソコンで専用ソフトまたは水彩やパステルなどで色付けします。完成したイラストは再び依頼主のチェックを受け、必要に応じて修正を行います。
清書の段階での修正は時間がかかるため、ラフの段階で入念に打ち合わせをしておくことが大切です。
納品
イラスト完成後、最後の工程が納品です。現在はデジタルイラストが主流なので、データでの納品がほとんどです。納品の際は、依頼主から指定されたデータ形式やサイズに調整し、使用目的に適した状態で提出します。
デジタルデータでの納品は、配送の手間がなく、紛失のリスクも少ないのが特徴です。アナログ作品の場合は、スキャンしてデジタルデータ化するか、原画を直接届けることもあります。
イラストレーターの仕事のやりがい

イラストレーターのやりがいの一つが、自分の絵をたくさんの人に見てもらえること。イラストを見た人から良い評価をもらえると、仕事のやる気もアップしますね!また、自分の描いたパッケージイラストが商品購入のきっかけになることもあれば、デザインしたキャラクターが人気になることも。このような反響があったときも、イラストレーターとして大きなやりがいを感じられますよ。
イラストレーターの仕事の大変なところ
イラストレーターの仕事で難しいのは、依頼主の要望を正確に理解し、イラストとして形にすることです。特に、依頼主が明確なイメージを持っていない場合は、何度も修正を重ねることになります。
複数の参考イラストを見せたり、具体的な質問を重ねたりしながら、依頼主の求める方向性を丁寧に探っていく作業が必要です。ときには、自分の得意な絵柄だけでなく、新しいスタイルや苦手な題材に挑戦することも求められます。
このような課題に対応するには、円滑なコミュニケーション能力に加え、常に新しい表現技術を学び続ける姿勢が欠かせません。
イラストレーターの想定年収
「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、イラストレーターが属する主な職業分類(画家、書家、漫画家)の平均年収は521.2万円となります。ただ、イラストレーターはフリーランスの人も多い職業です。フリーランスの人は決まった金額の給料をもらうわけではなく、仕事を依頼されるたびに報酬をもらうことが一般的。そのため、年収は人によって大きく異なります。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/342
イラストレーターの将来性
デジタルメディアの発展により、ウェブサイトやSNS、ゲームなど、あらゆる場面でイラストが必要とされています。特にソーシャルゲームでは、新しいキャラクターデザインが常に求められ、イラストレーターの活躍の場は広がっています。
一方で、AI技術の進歩により、基本的なイラストや画像加工は誰でも簡単に作れるようになりました。そのため、単純な描写力だけでは、今後の競争を勝ち抜くのは難しくなるかもしれません。
しかし、独自の世界観や表現力を持ち、最新のデジタルツールを使いこなせるイラストレーターは、AIと共存しながら活躍できます。その人にしか描けない個性的な作品には、必ずファンがついてくるからです。大切なのは、技術力の向上とともに、自分らしい個性を磨き続けることでしょう。
イラストレーターに向いている人の特徴

イラストレーターを続けていくためには、どんな資質が必要なのでしょうか。こちらでは、イラストレーターに向いている人の主な特徴を見ていきます。
絵を描くことが好き
イラストレーターになると、毎日のようにイラストを制作します。絵を描くことが好きであるのは、イラストレーターにとってもっとも重要な資質です。
多くの技術や作風を学ぶことが好き
イラストレーターはお客様の要望に合わせてイラストを描きます。人間だけではなく、動物やモンスター、武器、メカなどのイラストが求められることも。さまざまなものを描くことができれば、それだけ仕事の幅も広がるでしょう。そのためには、多くの技術や作風を学んで身に付けられることが大切です。
自分の作品にこだわることができる
多くのイラストレーターのなかから選ばれるようになるためには、ほかの人にはない個性を追求することも重要です。オリジナリティーあふれるイラストは、見た人に強い印象を残すことができます。自分の作品にこだわって個性的な絵を描けるのは、大きな強みになりますよ。
流行に合わせてイラストのニーズを読み取ることができる
イラストにも流行があり、好まれる絵は変化していきます。多くの人からのニーズがある流行の絵を描けると、仕事をもらえるチャンスも増えるはず。つねに流行をチェックして、どんなイラストが求められているかを把握し、自分のイラストに反映できることが大切です。
イラストレーターになる方法

イラストレーターに必須とされる学歴や資格はありませんが、絵を描く技術がなければイラストの仕事をもらうことはできません。そのため、美術系の学校でイラスト制作について学ぶ人もたくさんいます。
学校を卒業したら、広告会社やゲーム制作会社などにイラストレーターとして就職する道があります。グラフィックデザイナーなど、別の職種で就職して経験を積んでからイラストレーターの道へ進む人も。ただ、イラストレーターとしての就職は狭き門であるといわれています。たくさんの志望者のなかから選ばれるためには、イラスト制作についてしっかりと勉強し、技術を向上させる努力が欠かせません!
また、企業に就職して経験を積んでから独立する人もいますが、最初からフリーランスのイラストレーターとして働き始める人もいます。仕事の依頼をもらうためには積極的に作品をアピールし、名前を知ってもらう必要があります。イラストコンテストで入賞を目指す、SNSやWebサイトなどに作品をアップするといった努力を続けていくと、チャンスをつかめることがありますよ。
イラストレーターになるためにおすすめの学部
イラストレーターの勉強ができるのは、美術・芸術系の専門学校や大学などです。専門学校ではコースごとに一つの分野に特化した内容を学び、実践的なスキルを身に付けられるのがメリットです。
大学でイラストレーターを目指す場合、美術大学で専門的な勉強ができます。美術大学では、絵画や彫刻、デザイン、写真、建築などを専攻できます。専門分野について深く学べるほか、語学や歴史などの一般教養を学ぶ時間があることが特徴です。
主な学部は美術学部や芸術学部、デザイン学部など、学科はイラスト学科やデザイン学科、グラフィックデザイン学科、造形芸術学科などです。イラストを通して伝えたいことを表現する力や、さまざまな表現技法などを身に付けることができます。イラスト・マンガ専攻やイラストコースなどを設けている大学もありますよ。
【イラストレーターを目指せる大学の一例】
- 長岡造形大学 造形学部 デザイン学科(新潟県)
- 玉川大学 芸術学部 アート・デザイン学科(東京都)
- 日本大学 芸術学部 デザイン学科(東京都)
- 大阪芸術大学 芸術学部 デザイン学科(大阪府)
- 京都精華大学 デザイン学部 イラスト学科(京都府)
ほかにもイラストレーターを目指せる大学が知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。芸術系の学科を設置している大学を一覧で確認できます。
有名なイラストレーターの出身大学
有名なイラストレーターの出身大学をまとめました。進路選びの参考にしてみてください。
ほかにも有名なイラストレーターの出身大学を知りたい人は「JOB-BIKI(ジョブビキ)」を活用してみてください。人物検索で「イラストレーター」と検索すると有名イラストレーターの出身大学を一覧で確認できるので、進路選びの参考になります。
>>JOB-BIKI(ジョブビキ)で有名なイラストレーターの出身大学をチェックする
イラストレーターが取得しておきたい資格
イラストレーターになるために特別な資格は必要ありませんが、資格を持っていることで自分の実力を証明でき、仕事を獲得しやすいです。資格取得の過程で身につけた知識やスキルは、プロとしての自信にもつながります。
イラストレーターが取得しておきたい資格は以下のとおりです。
現在のイラスト制作は、ほとんどがパソコンやタブレットを使ったデジタル作品です。制作には、「イラレ」の愛称で親しまれているIllustratorを中心に、Photoshopなどの専門ソフトを使用します。プロのイラストレーターとして活躍するためには、こうしたデジタルツールを使いこなすスキルが求められます。
イラストレーターが働く場所とキャリアプラン

イラストレーターはどういったところで働いて経験を積んでいくことになるのでしょうか。最後に、イラストレーターが働く場所やキャリアプランをご紹介します。
イラストレーターが働く場所
イラストレーターの代表的な就職先はゲーム制作会社や映像や広告の制作会社、デザイン事務所などです。どんなイラストを描くかは業界によって変わります。たとえば、ゲーム業界ならゲームキャラクターや背景などのイラストを描きます。広告業界の場合は商品アピールのための広告イラストを描くことになるでしょう。ただ、正社員の求人数はそれほど多くはないので、契約社員や派遣社員、アルバイトなどからスタートして社員を目指す人もいます。
フリーランスの場合は、企業や個人などから依頼をもらってイラストを制作します。さまざまなジャンルを手がける人もいれば、得意なジャンルに特化した絵を描く人も。自分に合うやり方を選べるのがフリーランスの魅力ですね。
イラストレーターのキャリアプラン
イラストレーターのなかには、イラストの仕事を長く続けていく人もいれば、アートディレクターなどの別の職種に転職する人もいます。アートディレクターとは、ビジュアルに関するディレクションをする人のことです。たとえば、ゲーム会社のアートディレクターは、イラストレーターやモーションデザイナーなどに指示を出し、ビジュアルのテイストを決めたり、クオリティを高めたりします。制作するゲームに合わせ、ぴったりのイラストレーターを選ぶことも仕事の一部。ほかには、アニメーターやゲームクリエイターなど、イラストレーターのスキルを生かせる仕事に転職する人もいますよ。
また、さまざまなイラストを描いていくうちにファンが付き、多くの人に応援してもらえるようになることも。人気が高いイラストレーターになれたら、個展を開いたり画集を出したりと、アーティストとして活躍できるようになることもありますよ。そのためには、イラストを描くスキルを高めるのはもちろん、自分にしか描けない絵を追求することが重要です。
イラストレーターになりたいあなたは「JOB-BIKI」で進路検索!
イラストレーターは資格や学歴などは問われない職業ですが、イラストを描く技術は必須です。そのため、美術系や芸術系の学部で絵を学び、仕事に生かす人もいます。イラストレーターを目指せる大学に興味がわいたら、ぜひ「JOB-BIKI」で検索してみてください。「人物検索」で「イラストレーター」と入力して検索すると、著名なイラストレーターの出身大学を調べられますよ。