裁判所事務官の年収や初任給は?仕事内容やなるための方法も解説
2023.04.03
裁判に必要な書類の手配から事務処理まで、裏方を担っている裁判所事務官。この記事では、裁判所事務官の年収や初任給、給料の決まり方、各種手当などを解説します。裁判所事務官を目指せるおすすめの学部も紹介するので、進路選びの参考にしてみてください。
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目次
裁判所事務官の想定年収は約668万円
裁判所事務官の平均年収は、約650万円以上と考えられています。裁判所の職員である裁判所事務官は、国家公務員特別職に分類される仕事です。そのため、毎年の給与は人事院のWebサイトで公表されている「国家公務員給与等実態調査」から、「行政職俸給表(一)」の項目で調べることができますよ!令和4年のデータによると、平均給与月額は405,049円でした。こちらを12カ月分で計算して、さらに4.5カ月分のボーナスを含めると、年収は約668万円が目安です。
【出典】人事院「令和4年国家公務員給与等実態調査の結果」
https://www.jinji.go.jp/kankoku/kokkou/04kokkou.html
裁判所事務官の初任給
令和6年4月現在の裁判所事務官の初任給は、大卒で235,440円、高卒で 199,920円が目安になります。※東京23区に勤務する場合
国家公務員の給与には地域差があり、勤務地によって支給額が異なります。この地域差を調整するのが、「地域手当」です。たとえば、東京都特別区(23区)に勤務する場合、地域手当の支給割合は一番高く20%となっています。つまり、東京23区で勤務する裁判所事務官の初任給は、地域手当を含めて算出されているため、他の地域と比べて高くなっているのです。
参考:人事院規則九―四九(地域手当) | e-Gov法令検索
裁判所事務官の給与は俸給によって決まる
国家公務員である裁判所事務官の給与体系は、一般の会社員とは少し異なります。基本的な給与に相当するのが「俸給」と呼ばれるもので、そこにさまざまな手当が上乗せされて最終的な支給額が決定される仕組みです。
俸給は、職務内容や責任の度合いに応じて、11種類の俸給表と17種類の職種に分類されています。
俸給の金額は、以下の2つの要素を組み合わせて決定されます。
号俸:勤務年数や年齢に応じて上がっていく仕組み
級:役職などを表す区分け
たとえば、行政職俸給表(一)の場合、級は1から10まであり、役職の数と対応しています。また、号俸は1から125までの範囲で設定されています。
つまり、裁判所事務官は勤務年数を重ねるごとに号俸が上がり、昇進すると上位の職務に対応する級に格上げされることで、俸給が増えていく仕組みになっているわけです。裁判所事務官の役職には、係長、課長補佐、課長、事務局次長、事務局長などがあります。
裁判所事務官の年齢別の給与
大卒で裁判所事務官になった場合の年齢別の給与は、以下のとおりです。
年齢 | 給与 |
22歳(新卒)~25歳 | 198,440~217,406円 |
25~29歳 | 217,406~233,900円 |
29~37歳 | 233,900~293,083円 |
37~42歳 | 293,083~340,379円 |
42~47歳 | 340,379~372,161円 |
47~52歳 | 372,161~396,619円 |
52~57歳 | 396,619~405,132円 |
57歳~ | 405,132~406,635円 |
国家公務員の俸給は、勤務年数に応じて段階的に増加するシステムになっています。
毎年一定の額が加算されていくので、年齢を重ねるほど平均的な月収も自然と高くなっていきます。
裁判所事務官の各種手当
裁判所事務官の給与には、ほかにも以下のような各種手当がつきます。
- 期末・勤勉手当(1年間に俸給月額などの約4.5か月分)
- 通勤手当(6ヶ月定期券の価格等)
- 住居手当(月額最高28,000円)
- 扶養手当(配偶者月額6,500円等)
- 超過勤務手当
これらの手当は、職員の生活状況や勤務状況に応じて支給されるため、個人によって支給額は異なります。しかし、これらの手当が組み合わさることで、裁判所事務官の給与は、生活を支えるのに十分な水準になっていると言えるでしょう。
裁判所事務官の年収を上げる方法
裁判所事務官の年収を上げるには、いくつかの方法があります。まず、昇進や昇格を目指すことが重要です。役職が上がれば、それに伴って俸給も上がります。特に、裁判所書記官へのキャリアアップは大きな年収アップにつながります。書記官は、裁判官の補佐役として、より高度な業務を担当するため、それに見合った給与が支給されます。
裁判所書記官になるには、事務官として実務経験を積んだ後「裁判所職員総合研修所 入所試験」に合格する必要があります。合格後は1~2年の研修を受け、修了すれば書記官に昇進できます。
裁判所事務官として10年以上の経験を積めば、司法書士への登録が可能になります。通常は試験に合格する必要がありますが、裁判所事務官の場合は免除されるという特典があるのです。
登録後は、法律事務所に勤務したり、独立開業したりと、さまざまな選択肢があります。
独立した司法書士の中には、年収が1,000万円を超える人もいるなど、収入面でも魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。
司法書士については、以下の記事で詳しく紹介しています。
司法書士の気になる年収や月収は?就職実績があるおすすめの大学 (gyakubiki.net)
参考:職種紹介|裁判所
裁判所事務官の仕事内容
裁判所事務官は、裁判所に所属して働き、幅広い事務処理を担っている職種です。仕事内容は、大きく「裁判に関する事務」と「裁判所の運営に関する事務」に分けられます。裁判に関する事務では、裁判が行われる法廷での手続きをサポートしたり、裁判に必要な書類を作成したりします。裁判所の運営に関する事務では、職員やお金の管理をしたり、設備を整えたりします。これらの事務処理を正確かつ速やかにこなして、裁判所で働くあらゆる職種を手助けするのが、裁判所事務官の役割です。
裁判所事務官は国家公務員の一種。国家公務員について、詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
裁判所事務官の仕事のやりがい
裁判所事務官の仕事では、裁判の記録を取る「裁判所書記官」をはじめとして、法廷で活躍する専門の職員をサポートします。社会で発生した争いごとを解決へ導くには裁判が必要です。そんな裁判は、裏方として支える裁判所事務官のサポートなしには行うことができません。裁判所事務官は、事務の仕事を通して裁判に携わり、社会に貢献できるのが魅力です。
裁判所事務官に求められる資質やスキル
裁判所事務官として働くには、こんな資質やスキルが必要です。ぜひ進路を考える際の参考にしてみてくださいね。
法律に関する知識
法律の専門家の仕事をサポートしたり、裁判所の利用者に対して窓口対応を行ったりするためには、法律の知識が欠かせません。裁判所事務官を目指すなら、大学で法学を専攻するなど、法律に関する知識を基本から身に付けることが望ましいでしょう。
強い責任感
裁判所事務官は、国家機関の運営に携わる国家公務員です。裁判に関する事務処理にミスがあると、場合によっては法令違反となり、裁判に関わる多くの人の仕事に支障が出てしまうおそれも。責任をもって一つひとつの事務処理を正確にこなす意識が求められます。
冷静さ
裁判所事務官の仕事では、大きな事件や凄惨な事件の裁判で、裁判所書記官の補佐を担当することもあります。どんな裁判の最中でも慌てず冷静に、自分の仕事をこなせる力がなくてはなりません。
高い事務処理能力
裁判における手続きや提出する書類には、決してミスがあってはなりません。日々、数多くの裁判に携わり公的な事務を担当する裁判所事務官には、正確に事務処理をこなす能力が必要です。
裁判所事務官になる方法
裁判所事務官として働くには、裁判所職員採用試験に合格することが必須です!こちらの試験は、裁判所で働くさまざまな職種を採用するための試験であり、「総合職試験」と「一般職試験」が行われます。このうち、裁判所事務官は一般職試験で採用されます。
一般職試験には、「大卒程度区分」と「高卒者区分」という区分があります。それぞれの区分で受験資格が設けられており、大卒程度区分では大学を卒業または卒業見込みであることが主な条件です。大卒程度区分と高卒者区分では初任給に違いがあり、大卒程度区分のほうが、より金額が高く設定されています。採用試験は例年倍率が高く、令和4年度の大卒程度区分の倍率は5.5倍でした。非常に難易度が高いといわれているので、しっかりと対策しておきたいですね!
参考:令和4年度実施結果 一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分)|裁判所
裁判所事務官になるためにおすすめの学部
裁判所事務官におすすめの進学先は、大学の法学部です。
裁判所職員採用試験では、公務員の仕事に必要な教養や、法律に関する専門知識を問われます。
たとえば一般職試験の大卒程度区分では、憲法と民法が必須科目で、刑法と経済理論が選択科目となっています。難易度の高い試験に合格するためにも、法律に関する知識を身に付けておくことが重要です!
法学部では、社会における法律の役割などの基本から学んだ上で、採用試験にも出題される憲法・民法・刑法・商法といった法律を専門的に学んでいきます。
幅広い法律の知識を体系的に勉強できるのは、大学の法学部に進学する大きなメリットといえるでしょう!
裁判所事務官が働く場所とキャリアプラン
裁判所事務官として仕事で経験を積むと、どんな場所で活躍できるのでしょうか?将来の働き方をイメージしてみましょう。
裁判所事務官が働く場所
裁判所事務官は、全国各地にあるさまざまな裁判所へ配属されて働きます。
日本最高の司法機関である「最高裁判所」、その下位にあり全国8つの本庁と6つの支部がある「高等裁判所」、さらに下位にあり各都道府県に設けられた「地方裁判所」や「家庭裁判所」、「簡易裁判所」が挙げられます。裁判所の種類によって、取り扱う紛争の規模などに違いがあります。
裁判所事務官のキャリアプラン
裁判所事務官として仕事で経験を積んだら、その後は裁判所で働くさまざまな職種を目指す道があります。
たとえば「裁判所書記官」は、裁判所事務官として一定の期間にわたり働いてから、試験や研修を経て目指せる職種です。
裁判所書記官になったら、さらに内部試験や推薦を経て「簡易裁判所判事」を目指すこともできます。
また、裁判所事務官として10年以上勤務すると、司法書士の資格を取得できます。司法書士事務所や法律事務所など、資格や法律の専門知識を活かせる場所で活躍する道もありますよ!
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裁判所事務官の年収や各種手当、仕事内容についてお伝えしました。
裁判所事務官になるには、裁判所職員採用試験の一般職試験を受験して、合格することが必須です!一般職試験の大卒程度区分で出願するには、大学を卒業していることが受験資格となります。
試験では法律の専門知識が問われるので、大学の法学部への進学を視野に入れましょう。進路を選ぶときは、ぜひ「JOB-BIKI」を使って検索してみてくださいね。
検索画面の就職先検索で「裁判所」と入力すれば、裁判所で働く先輩たちの進学先を調べられますよ!