臨床心理士になるにはどうすれば良い?仕事内容やキャリアプラン
2023.04.06
「臨床心理士」は、専門資格を持って働いている、心に関するプロフェッショナルです。医療機関の心療内科のほか、学校や保健所など、臨床心理士の資格を活かして活躍できる場所はさまざま。皆さんもどこかでお世話になったことがあるかもしれませんね。今回は、臨床心理士の特徴や仕事内容、目指し方を徹底解説します!
目次
臨床心理士の仕事の内容や想定年収
ここでは、臨床心理士の仕事内容や想定年収をご紹介します!興味のある人はぜひ、職業選びの参考にしてくださいね。
臨床心理士の仕事の内容
臨床心理士の主な仕事は、精神的な悩みを抱える人に寄り添い、解決に導くことです。最初に相手の話を聞いた上で、具体的な援助方針を決めます。これをカウンセリングといい、臨床心理士の基本的な仕事といえるでしょう。また、必要に応じて心理テストなどの検査を行うことも。
カウンセリング後は、心理療法を用いてストレスを和らげたり、相談者を取り巻く環境の改善に働きかけたりと、さまざまな視点から問題解決を援助します。このように臨床心理士は、心のエキスパートとして人々の心に寄り添う仕事をしています!
臨床心理士に似た仕事として、学校で心のケアを行う「スクールカウンセラー」や、カウンセリングを行う「心理カウンセラー」が挙げられます。仕事内容は似ていますが、心理カウンセラーには必須の資格がない点が臨床心理士との主な違いです。2つの職種について、詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
心理カウンセラーになるには?仕事内容や取りたい資格・主な就職先
臨床心理士の仕事のやりがい
臨床心理士に頼るのは、心に大きな問題を抱えている人たち。心の問題は解決が難しく、目に見えるケガなどと違って、治療の過程もわかりにくいのです。相談者の状況が快方へ向かうまで、希望を捨てずに支援を続けなければなりません。何度もカウンセリングを続けた結果、相談者の助けになれたときは、この上ないやりがいと喜びを感じるでしょう!
臨床心理士の想定年収
臨床心理士の想定年収は300~500万円程度です。実際は雇用形態や勤続年数、勤務地によってく変動します。医療機関などで正社員として勤務する臨床心理士のように、安定して働き続けやすく、昇給やボーナスが期待できる働き方もあります。
臨床心理士に向いている人の特徴
臨床心理士は人々の心に寄り添う職業です。そのため、職業適性もハッキリしています。ここでは、臨床心理士に向いている人の特徴をご紹介します!
相手の話を親身になって聞ける人
臨床心理士に求められるスキルに、「傾聴力」があります。傾聴力とは、相手の話に耳を傾け、しっかりと聴いて内容を理解する力のことです。傾聴力は基本的なコミュニケーションスキルであると同時に、心理学では相手の本音を引き出すテクニックとして使われるんです。そのため、相手の話を親身になって聞ける人は臨床心理士に向いているといえますね!
人の役に立つことにやりがいを感じる人
臨床心理士は人の心に寄り添い、その人が抱える問題を解決に導く職業です。人によっては、命にかかわる重大な心の問題を抱えていることも。困っている人を見たときに「人の役に立ちたい!」「この人を助けたい!」という強い気持ちが湧く人でなければ、臨床心理士の役割を担うのは難しいといえます。
冷静に物事を判断できる人
単に話を聞くだけが、臨床心理士の仕事ではありません!話の内容と併せて、相手の表情や言葉、声のトーンから心の状態を見極める観察力が求められます。その上で、最適な援助の方針を判断するのです。冷静に物事を分析し、判断できる人は臨床心理士に向いているでしょう!
臨床心理士になる方法とおすすめの学部
「臨床心理士に興味はあるけど、どうすればなれるの?」と疑問に思っている人も多いはず。そこで、臨床心理士になる方法とおすすめの学部をご紹介します!進路や職業選びの参考にしてくださいね。
臨床心理士になる方法
臨床心理士になるには、「日本臨床心理士資格認定協会」が実施する臨床心理士資格審査に合格しなければなりません。ただし、試験を受けるには、大学の卒業後に大学院へ進学して受験資格を得る必要があるんです!受験資格は、以下のパターンで取得します。
*第1種指定大学院を修学し、所定の条件を満たすこと
*第2種指定大学院を修学し、1年以上の臨床心理経験を経ていること
*専門職大学院を修学していること
ここでいう指定大学院とは、日本臨床心理士資格認定協会が認めた「臨床心理士を養成するための教育課程がある大学院」のこと。2022年6月時点で第一種指定大学院は全国に150校、第2種指定大学院は8校、専門職大学院は5校あります。
大学院の種類 | 特徴 |
第1種指定大学院 | 学部や課程に「臨床心理学」が明記され、臨床心理士の有資格者である担当教員を5名以上設置することや、適切な学習環境の整備が必須。 これらの基準を満たす教育施設が第一種指定大学院です! |
第2種指定大学院 | 学部や課程に臨床心理学に特化した名称を使うことが定められています。 さらに担当教員を4名以上設置すること、実習施設に関する規定がないことなどが学校の特徴です。 |
専門職大学院 | 専門性の高いカリキュラムや、学習設備のある教育機関です。 修了に欠かせない単位数が多い一方で、卒業後は臨床心理士資格審査の受験資格が得られるほか、1次試験の論文記述試験が免除されます。 |
第1種指定大学院と専門職大学院では修了と同時に受験資格が得られます。対して第2種指定大学院は、修学後に1年以上の実務経験を積むことで受験資格が得られます。第1種指定大学院・第2種指定大学院・専門職大学院のいずれに進学する場合でも、まずは大学を卒業することが必須。大学院へ進む前に基礎を身に付けるためにも、心理学を勉強できる大学への進学をおすすめします!
臨床心理士になるためにおすすめの学部
臨床心理士は、大学院で臨床心理学を専攻する必要があります。大学院の進学先としては「心理学研究科」「臨床心理学研究科」「人間科学研究科」「教育学研究科」などが代表的です。日本臨床心理士資格認定協会が認可した第1種指定大学院、第2種指定大学院、そして専門職大学院の臨床心理学科を目指しましょう!そのためにも、大学では心理学部がおすすめなので、進路選びではぜひ視野に入れてみてくださいね。
臨床心理士が働く場所とキャリアプラン
臨床心理士は医療分野、教育分野、福祉分野などで活躍している職業です。ここでは、臨床心理士の主な勤務先やキャリアプランをご紹介します!
臨床心理士が働く場所
臨床心理士は具体的に以下のような就職先で働いています!
*医療機関(心療内科など)
*保健所
*学校
*老人福祉施設
*児童相談所
*一般企業(厚生部門など)
もっとも一般的なのは、医療機関の心療内科や精神科に勤めるケースです。臨床心理士は、心の不調を訴える患者さんを心理的にケアするのが仕事です。このほか、保健所などでアルコール依存症や薬物依存症患者の援助をしたり、地域住民の心理的な健康管理に携わったりする臨床心理士もいますね。次に挙げられる勤務先が学校です。スクールカウンセラーとして学校に勤務し、生徒のカウンセリングや心理的支援を行います。生徒だけでなく、教員や保護者に臨床心理学の視点からアドバイスをすることもあるんです!最近は、社内に臨床心理士を設置する一般企業も増えました。主な理由は、従業員の心の健康を守るためです。臨床心理士のカウンセリングや相談支援によって、心の不調を訴える従業員をサポートしているわけです。このように、臨床心理士の活躍の場は、時代とともに広がりをみせています!
臨床心理士のキャリアプラン
臨床心理士として働き始めたら、先ほどお伝えした医療・教育・福祉などの多様な分野で転職しながら、幅広い経験を積んでいく人もいます。その後は、現場での豊富な経験を活かして講師を目指す道もあります。また、臨床心理士の資格と併せて「公認心理師免許」を取得して、スキルに磨きをかけることも!
公認心理師とは、2017年9月に施行された「公認心理法案」によって新たに生まれた資格。心理系資格の中で唯一の国家資格であり、今後は病院や保健所で公認心理師の需要が高まると予測されています。臨床心理士と公認心理師の業務内容は、ほとんど変わりません。受験資格の条件に違いはあるものの、試験の出題範囲も同じなんです。つまり、すでに臨床心理士として働いている人や、これから大学や大学院で心理学を学ぶ人は、公認心理師免許試験のチャンスもあります!臨床心理士を目指しつつ、将来に備えて公認心理師の資格取得も目指してみては?
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臨床心理士になりたいなら、大学および大学院の卒業が必須。大学選びの時点で、将来的に進学したい大学院を見据えておくことが大切です!
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