マンション管理人とは?仕事内容や年収、役立つ資格や進路選びのコツも紹介
2023.04.24
マンション管理人は、たくさんの人々が生活するマンションを管理しています。普段マンションに住んでいる人には見えないところで仕事をするので具体的な仕事内容を知らない人も多いと思いますが、人々の生活を支える大切な仕事です。
この記事では、マンション管理人の具体的な仕事内容や、マンション管理人になるための方法について解説します。マンション管理人の仕事に興味がある人はぜひ読んでみてくださいね。
目次
マンション管理人とは?
マンション管理人は、マンションの住民が安全かつ快適に暮らすためにマンションの設備点検や清掃をおこなう仕事です。困りごとを解決したり、不審者が入らないよう気を配ったりと住民の生活を守る一方、マナー違反をする住民への注意喚起や家賃の催促をすることもあります。
マンション管理人とマンション管理士の違い
マンション管理人はマンション設備の点検や清掃など、マンションに直接かかわる仕事がメインです。マンションの住民と接する機会が多くなります。
一方マンション管理士は、マンションの管理会社と管理人との間に立ち、マンション運営に携わる業務全般が仕事です。マンション管理士とは2001年に施行された「マンション管理適正化法」にもとづいてつくられた資格の名称でもあり、そのまま職種の名称として使われるようになりました。 マンション設備や建物をメンテナンスする業者の手配、事務作業や管理人の監督などもおこなうため、住民よりマンションの外部と接する機会が多くなります。
マンション管理人の仕事内容
マンション管理人は、住民が安全にマンションで暮らせるように場を整える仕事です。主に下記のような仕事をおこないます。
- 設備の点検業務
- 清掃業務
- 受付業務
- 報告業務
- 立ち合い業務
それぞれ解説します。
設備の点検業務
マンションの設備を点検し、住民が快適に暮らせる状態を保ちます。廊下のようなマンションの共用部分の電球交換など自分でできることはおこない、エレベーターの不具合など業者に依頼が必要なときは手配します。住民の生活に支障をきたさないよう、定期点検もおこないます。
清掃業務
マンション管理人は、マンションの共用部分や敷地内を定期的に清掃します。共用部分を清潔に保つことで住民が気持ちよくマンションに住むことができ、退去率の低下にもつながります。マンションのエントランスの清掃やゴミ置き場の整頓など、外から見える部分にも気を配ることで入居率にも影響するでしょう。
受付業務
マンションの受付業務は、マンション管理人がおこないます。マンションに訪問した人に来館目的を聞き、入退館時間と共に名簿に記載してもらうようにします。設備点検にきた業者に共用部分のカギを貸す、管理人が受付にいることで不審者の侵入を防ぐなどの役割もあります。
報告業務
マンション管理人は、管理業務のすべてを関係者に報告します。マンション運営を円滑にするため、日々の業務内容はすべて管理会社に報告しなければなりません。業者に依頼して設備のメンテナンスをおこなったときや、住民間でトラブルがあったときなども、こまめに報告する必要があるでしょう。また工事を予定しているときや住民によるマナー違反があったとき、貼り紙などで住民に報告するのも管理人の仕事です。
立ち会い業務
マンション管理人は、ゴミの回収や入居・退去時の立ち会いもおこないます。マンションに新しく住む人が入居する日に立ち会い、施設のルールや使い方について説明をする必要があります。住民が退去するときにも立ち会うことがあり、傷や汚れがあれば別途クリーニング代を請求するなどの対応をしなければなりません。また、ゴミ捨て場に不法投棄や不適切なゴミ出しがないかを確認するため、ゴミ回収の場に立ち会うときもあります。
マンション管理人の1日のスケジュール
マンション管理人の1日のスケジュール例は、以下のとおりです。
8:00 | ・出勤 ・マンション巡回 |
8:15 | ・ゴミ回収日は、ゴミをゴミ集積所まで搬出する ・マンションの共用スペース(エントランスや階段、廊下)の掃除 ・事務所で受付対応 |
12:00 | ・管理人室で昼食休憩 |
13:00 | ・マンション内外の巡回 ・電球交換等 ・エレベーターの点検や蜂の巣の駆除などを業者へ依頼 |
14:00 | ・事務所で受付対応 ・敷地内の掃除 ・ゴミステーションの掃除 |
15:00 | ・敷地内の植栽への水やり ・入居者への立ち合い ・管理会社からのお知らせを掲示板に掲示 |
15:30 | ・日報記入 ・連絡事項を会社へ報告 |
16:00 | 退勤 |
一日のスケジュールは管理するマンションや勤務形態によって異なります。多くの場合9時頃に業務を開始し、15〜17時くらいには管理会社に業務内容を報告して、業務を終了します。一日のスケジュールはある程度自分で決めることができ、残業もないのでプライベートとの両立がしやすいでしょう。
週休2日としているところが大半ですが、分譲マンションの場合は管理組合が存在します。その場合管理組合の理事会や総会が土日や夕方におこなわれることがあり 、土日や勤務時間外でも出席する必要があります。
マンション管理人の勤務形態
マンション管理人の業務形態は、以下のとおりです。
- 住み込み勤務
- 常駐勤務
- 巡回勤務
順番に解説します。
住み込み勤務
マンション管理人には、住み込み勤務という業務形態があります。住み込み勤務とは、マンションの一室に管理人が住み込み、24時間体制で管理業務にあたることです。
住み込み勤務の場合、働く時間は9時から17時までなど決まっているものの、トラブルや緊急時には早朝や深夜でも対応が求められます。
マンスリーマンションのように短期で入居者が入れ替わる物件や高層マンション、大規模マンションでは、とくにセキュリティ面や対応力が求められるため、住み込み管理が必要です。住み込み勤務の求人は、夫婦で募集していることが多いようです。
常駐勤務
マンション管理人には、常駐勤務という業務形態があります。常駐勤務とは、9時から17時までなど、決まった勤務時間で働く形態です。住み込み勤務が終日マンション内に居るのに対し、常駐勤務は日中のみマンション内にいる点が大きな違いです。求人は、パートだけでなく正社員もあるようです。
巡回勤務
マンション管理人の業務形態に「巡回勤務」があります。巡回勤務とは、複数の物件を1人の管理人が順番に巡回し、各物件の管理業務を行う勤務形態です。
たとえば、近隣に点在する5つのマンションを1人の管理人が担当し、それぞれの物件を時間割で巡回します。各マンションでは、入居者対応、設備の点検、清掃などの日常業務を行います。
巡回管理は正社員での募集は少なく、パートやアルバイトでの募集が多い傾向です。
マンション管理人の将来性
マンション管理人は、当然ですがマンションがあって初めて成り立つ仕事です。都市部では中古マンションに加え新しいマンションも次々と建てられているので、マンションを管理する管理人の仕事も需要が高まる傾向にあります。今はマンションが少ない地方でも、今後マンションが増えていく可能性もあるでしょう。
多くの仕事で機械化が進んでおり、なかには管理人を置かずに機械で24時間監視体制をとっているマンションもあります。しかし、入居者の立ち合いや苦情処理、火災や事故発生時など、柔軟な対応が必要な場面では、機械でカバーしきれない部分もたくさんあります。よって、今後もマンション管理人は必要とされ続けるでしょう。
マンション管理人の仕事のやりがい
マンション管理人の仕事は、多くの住民の生活を支え、感謝されることにやりがいを感じられるでしょう。基本的にいつでもマンションにいるマンション管理人は、住民にとっては管理会社よりも相談しやすい立場です。ときにクレームが寄せられることもあるかもしれませんが、普段掃除や電球の取り換えをする姿を見ている住民も少なからずいます。住民にとって生活を支えてくれている頼もしい管理人として慕われることは、マンション管理人の仕事でやりがいを感じられる点といえるでしょう。
マンション管理人の年収
マンション管理人の平均年収は350万円ほどです。マンション管理人の仕事は中高年の再就職先としても需要が高いことから、正社員のほか契約社員やパートタイムで働く人が多い傾向にあります。
【参考】職業情報提供サイト(日本版O-NET)
URL:https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/473
マンション管理人に必要な資質と能力
マンション管理人の仕事は、下記のような資質や能力がある人に向いています。
知らない人とも話せるコミュニケーション能力
マンション管理人の仕事では、常に多種多様な人との交流が発生します。住民の入れ替わりがあれば新しい住民と接する機会もありますし、業者を手配すれば立ち会う必要もあります。知らない人と初めて会う機会が多いので、すぐに打ち解けられるようなコミュニケーション能力が求められるでしょう。
きれい好き
きれい好きで細かいところによく気がつく人は、マンション管理人に向いています。マンション内にちょっとした汚れが残っていたり、共用部分の電球が切れかかっていたりしたとき、住民より先に気づいてケアすることが大切です。マンションがきれいに保たれていれば、住民も安心して暮らすことができます。
責任感がある
マンション管理人の仕事は、住民が安全に暮らすためにさまざまな配慮が必要です。マナー違反・ルール違反をする住民に対しては注意しなければなりませんし、共用部分の修理に外部の業者が入るときや工事で騒音が予測されるときは住民が不安になることがないよう、事前に貼り紙で知らせなければなりません。すべての住民が満足できるようにするのは難しいかもしれませんが、マンションの環境を整えることに責任を持って取り組める人に向いている仕事といえるでしょう。
人の役に立ちたい思いがある
マンション管理人の仕事の醍醐味は、マンションに暮らす住民の生活を守ることにあります。害虫駆除などのトラブル対応をしたり、 要求に応えたりするのが仕事です。マンションで暮らす住民のためなら体を動かすのも多くの相談を受けるのも苦ではない、という人の役に立ちたい思いが強い人は、マンション管理人に向いているでしょう。
マンション管理人になるための方法とは?
マンション管理人になるための方法をまとめました。マンション管理人になるために特別に必要な資格はありませんが、仕事で役立つ知識やとっておくと便利な資格について紹介します。
マンション管理人に必要な資格や受験すべき試験
マンション管理人は資格が無くてもなれますが、持っておくと役立つ資格は下記のとおりです。
- マンション管理士
- 管理業務主任者
- マンション管理員検定
- 防災センター要員
- 認知症サポーター
順番に解説します。
マンション管理士
マンション管理士は、良質なマンション維持・保全や快適な居住環境を確保するために必要な知識があることを証明する国家資格です。2001年に「マンション管理適正化法」が施行されたときにつくられました。
前述したように、マンション管理士は管理会社とマンション管理人との間に立つ仕事なので、厳密にはマンション管理人とは異なります。しかし試験の内容は法令、建築・設備関係、管理実務などで、合格率は10%前後と難易度の高い資格です。 試験を通じて知識を持てば、マンション管理人の仕事にも活かせるでしょう。
管理業務主任者
管理業務主任者も、マンション管理にかかわる国家資格です。一般社団法人マンション管理業協会によっておこなわれる資格試験で、管理会社側の立ち位置での視点が求められます。マンション管理士ほどではありませんが難易度は高く、合格率は20%程度です。
マンション管理員検定
一般社団法人マンション管理員検定協会が実施するマンション管理員検定は、国家資格ではなく誰でも受験可能な資格です。マンション管理士・管理業務主任者の資格と試験内容はよく似ていますが難易度は低めなので、先にマンション管理員検定にチャレンジしてからマンション管理士・管理業務主任者資格の取得を目指すと良いかもしれません。
防災センター要員
防災センター要員資格は、高層マンションなどの防災センターで働くことができる資格です。マンション管理人になるうえで必須の資格ではありませんが、管理できるマンションの幅が広がるでしょう。
認知症サポーター
認知症サポーター資格は、認知症への理解や認知症の人と接するときの心構えなどをメインに扱う「認知症サポーター養成講座」を受講すると得られる資格です。マンションには認知症の人なども住む可能性があるので、資格を持っておけば一緒に住む家族のサポートもできるでしょう。すべての住民にとって住みよい環境を提供するうえで、役に立つ資格といえます。
マンション管理人になるための勉強ができる大学・学部
マンション管理人は学歴不問でなれる仕事なので、基本的には必要な勉強はありませんが、管理人の仕事にも役立つ勉強ができる大学を選ぶのがおすすめです。
前述したマンション管理人に役立つ資格取得を視野に入れた学部・学科を選べば、マンション管理人の仕事で活かせる知識が得られるでしょう。
マンション管理人の仕事に活かせる知識が学べる学部・学科は下記のとおりです。
建築学科
マンション管理人は、ときにマンションの設備修理に携わることもあります。重大な修理は業者を手配すればいいですが、建築に関する知識があれば自分で対処できるレベルなのか、業者を手配するレベルなのかの判断がしやすくなるでしょう。マンション管理士資格でも設備に関する問題が出題される傾向にあるので、建築関連の知識や専門用語に慣れておくのは大きなメリットといえます。
法学部
マンション管理士の資格で多くの人がつまずくのが、不動産に関する法律の出題です。住民が安心して入居できるように、また万が一入居者と契約上で何らかのトラブルが発生した場合のためにも、不動産関係の法律の知識があると役立つでしょう。不動産業界に就職する人が対象ですが、不動産の法律を専門的に学べる大学もあります。
外国語系の学部・学科
海外の人がマンションの住民になったことを想定して、外国語を身につけておくという選択肢もあります。最低限英語は話せるようにしておくと、マンション管理人としての仕事の幅も広がるでしょう。
マンション管理人になるために目指すべき就職先
マンション管理人になるには、下記の2つの就職先を選ぶと良いでしょう。
マンション管理会社
最もスタンダードな就職先が、マンション管理会社です。マンション管理会社の正社員として就職するため、マンションの住民と管理組合双方の窓口としての役割もあります。勤務形態は会社によって異なり、自宅からマンションに通うというパターンもあれば、家族 でマンションに住みこむという勤務形態をとるところもあります。
マンション管理組合
マンション管理組合と直接契約して、所属するという方法もあります。マンション管理会社と管理組合が契約し管理会社が管理人を派遣するのが主流ですが、マンション管理組合が管理会社に委託せず、直接管理人を雇うケースです。ひとつのマンションに長く滞在する傾向にあり、入居者との関係性が大切になります。
マンション管理人になった後のキャリアプラン
マンション管理人の仕事に就くと、人によっては契約期間ごとにさまざまなマンションの管理人を担当し、経験を積むことができます。
しかしマンション管理人は学歴不問でできる仕事ということもあり、定年退職後の高齢者が活躍する傾向にあります。マンション管理の需要が高いことから長く勤務できる仕事ですが、経験を積んでも管理職に昇格するなどのキャリアアップはしにくいかもしれません。
一方で、管理会社によっては管理人に定年を設けていないこともあります。雇用形態は契約社員か業務委託にはなりますが、長く収入を得ていくことができるでしょう。定年が少なく、一生できる仕事というのは魅力的ですね。
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マンション管理人はマンションの住民の生活を支える大切な仕事であり、今後も需要が見込まれる仕事です。マンション管理の質が求められている現状も踏まえてマンション管理士の資格をとったり、マンション管理に役立つ知識を得ておくことで仕事のチャンスも増えるでしょう。
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