AIエンジニアになるための方法とは?大学選びや役立つ資格を紹介
2023.05.22
AIエンジニアとは、AIを使った技術やサービスを生み出す職業です。最近はお掃除ロボットや、喋る冷蔵庫など、AIの技術を取り入れた家電が身近なものになりました。高校生のみなさんにとって身近なものだからこそ、AIを作る側に興味を持っている人も多いかもしれませんね。
実際、AIエンジニアはどのような仕事をしているのでしょうか?この記事では、AIエンジニアになるための方法や、大学の選び方、役立つ資格について紹介していきますね。
目次
AIエンジニアとは?
AIエンジニアとは、AIを活用したシステム開発やデータ解析を行い、AIを使った技術やサービスを生み出す職業です。AIエンジニアの活躍によって、年々私たちの生活は便利になっています。
AIを使った技術やサービスは、身近なところにたくさんあるんですよ。例えば、スマートフォンの音声認識機能やiPhoneに搭載されているsiri、自動車の自動運転機能やお掃除ロボットなどには、AIの技術が使われています。最近では、AIソフトを使ってイラストが書けたり、AIが代わりに文章を書いてくれたりするChatGPTなどの文章作成ツールなども普及していますね。
これらに使用されているAIの開発を行っているのが、AIエンジニアなのです。AIを活用した技術やサービスは、今後ますます広がっていくと考えられています。しかし、AIの開発に携われるAIエンジニアは、まだまだ不足しているのが現状です。このことから、AIエンジニアの需要は高く、今後さらに期待される職業といえます。
そんなAIエンジニアとは、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか?AIを開発すると聞くと、難しそうなイメージがあるかもしれませんね。一つひとつ解説していきます。
AIエンジニアとITエンジニアとの違いは?
AIエンジニアとITエンジニアの仕事内容は、似ている部分があるため混乱する人は多いでしょう。実際、開発をする工程自体はAIエンジニアとITエンジニアに大きな違いはありません。しかし、AIエンジニアはAI技術やサービスに特化しているという点で、求められる知識や技術が異なります。
後ほど詳しく解説しますが、AIのシステムや技術を生み出すためには、プログラミング言語を使ってシステムを構築するだけではなく、AIにデータを学習させてAIシステムの精度を上げていく工程が必要です。場合によっては、その後学習させたデータを分析することも行います。
ITエンジニアとAIエンジニアは、プログラミングの知識や技術を駆使して仕事を行うという点では同じです。しかし、AIエンジニアはそれに加えて、AIに関する知識や技術が必要になり、AIを動かすための工程が必要になるのが大きな違いです。
具体的には、ITエンジニアはどのような仕事をしているの?AIエンジニアと違って、どのようなシステムや技術の構築に携わっているの?と気になった方は、以下の記事も参考にしてください。ITに関わる職業への理解が深まりますよ。
インフラエンジニアになるには?仕事内容や必要な資質・能力を紹介
他にもITに関わる仕事はたくさんあるので、IT業界についてもっと知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
ITに関わる仕事はどのような種類がある?仕事の内容と主な職業
AIエンジニアの仕事内容
AIエンジニアの仕事は、大きく3つの内容にわかれます。AIエンジニアがどのような仕事をしているのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
・開発
AIエンジニアの仕事の中でメインとなるのが、AIの開発と実装です。AIエンジニアは、主に「Python(パイソン)」というプログラミング言語を使用して開発を行います。Pythonとは、AIやアプリの開発、データ解析などに使用できるプログラミング言語のことです。AIのシステム開発で使用するKeras(ケラス)やTensorFlow(テンサーフロー)、PyTorch(パイトーチ)などのライブラリでも使われる言語のため、Pythonを使ってコーディングするケースが多いです。
ライブラリとは、プログラムの集合体のことを指します。ライブラリでは、すでに開発されているプログラミングを呼び出せるため、関数やソースコードの挿入を簡易的にでき、数値計算を自動化してくれます。開発に必要なアルゴリズムを1から入力する時間を省略できるので、実装を効率的に行ってくれる優れものです。
AIの開発では、上記で紹介したライブラリを使いながらPythonのプログラミング言語でコーディングを行い、開発を行います。コーディングとは、プログラミング言語を使って、プログラミングコードを書いていく作業のことです。
・学習
大量のデータをAIに学習させ、AIデータの検証や分析を行いながら、精度の高いAIを構築していきます。予め集められたデータを学習させる場合と、学習工程で必要なデータを準備するところから始める人もいます。また、集めたデータの中で不要なデータがある場合は、クレンジングと呼ばれるデータの削除を担当することもあります。AIエンジニアは、学習させるデータの取り扱いが重要な業務の1つとされています。
AIの学習で用いられるのが、機械学習とディープラーニング(深層学習)です。機械学習とは、コンピュータがデータに含まれている特徴を反復して学習することで、データをそれぞれの特徴ごとに分類し、法則化してデータを分析する技術のことです。機械学習を取り入れることで、人間では気づかない法則性や関係性を見つけ出せるんですよ。
ディープラーニングは、人間の脳のようなネットワークを組み合わせて、複雑なパターンを学習しながら発見する手法のことをいいます。今や、AIエンジニアの仕事をするうえでディープラーニングはなくてはならないといわれるほど、代表的な学習方法です。精度が高く、これまでも自動運転や医療機器に応用されるなど、優れた成果をあげているからです。
AIが機械学習することにより使われている技術は、身近なものだと画像認証、顔認証、音声認証があげられます。今やスマートフォンやパソコンを顔認証で開けるのが普通になっていますが、これらはAIの機械学習から生まれた手法です。AIに学習させて精度を上げるためには、機械学習の技術や使い方を身につける必要があります。
また、学習業務は、AIエンジニアの中でも機械学習エンジニアと呼ばれるエンジニアが特化して業務を行う場合もあります。
・検証
AIをシステムに組み込んだら、期待通りに動くかどうかを検証します。検証方法は、実際に開発したAIに機械学習させ、本番のデータを使って稼働させます。
例えば顔認証システムを検証するのであれば、実際にAIエンジニアの顔を正しく認識できるかどうかを試します。期待通りに動かない場合は、再度AIのシステム開発や学習させるデータの準備を行い、AIの精度を高めていきます。
AIエンジニアはこれらの一連の業務を繰り返しながら、AIの開発を進めていくのです。
AIエンジニアのやりがい
AIエンジニアは、AIを取り入れた最先端の技術に触れる機会があります。これからAIを用いて開発しようと考えている技術やサービスの構築に携われる機会があるため、積極的にAI技術を用いたサービスやシステムの導入を考えている企業の役に立てるでしょう。
また、企業の大規模な案件や重要なプロジェクトに携われる可能性が高い職業でもあります。なぜなら、AIの技術は人々の生活を豊かにする技術やサービスに使われていることが多いからです。例えば、車の自動運転技術や、近年多くの被害が出ているクレジットカードの不正使用検知、Google翻訳などの翻訳アプリやお掃除ロボットなどに、AIの技術は使われています。AIの技術やサービスの発展は、世の中を発展させることにもつながるということです。
今や当たり前のように使われている技術やサービスの中には、AIエンジニアが生み出したものもいくつかあります。AIエンジニアは人々の生活を豊かにすることに貢献できる職業です。また、今後需要が増えていくことが予想されるAIは、まだまだ発展途上のものです。未知の世界を自らの手で開拓していけることにも、喜びを感じられるでしょう。
新しい価値を生み出すプロジェクトに携われるからこそ、AIエンジニアは日々取り組む仕事に大きなやりがいが感じられます。
AIエンジニアの想定年収
AIエンジニアの平均年収は、ITエンジニアと比較して高いといわれています。なぜなら、現在AIは需要が高く、AIの技術や知識を持っている人は重宝されるからです。
AIエンジニアの平均年収は、厚生労働省が行う「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果によると約534万円です。
AIエンジニアに向いている人
AIエンジニアには、どのような人が向いているのでしょうか?AIエンジニアの適性について解説していきますね。
好奇心旺盛な人
AIエンジニアとして活躍し続けるためには、常に新しい情報や知識を吸収し続けられる人が向いています。なぜなら、AI業界は進歩が早いからです。高校生のみなさんにとっては、今や当たり前のような存在ですが、一昔前までは顔認証や画像認証システムはおろか、スマートフォンさえもありませんでした。それがここ数年で、AIを搭載した新たな技術やシステムがどんどん開発されています。
だからこそ、AIエンジニアには新しい技術や、目まぐるしく変わっていくAI業界の中で「早く新しいものに携わりたい!」「次はAIを使ったどのようなサービスが考えられているのだろうか?」と好奇心を持って考えられる人が向いているのです。
数学の知識がある人
AIエンジニアは、AIにデータ学習させる際に数字を取り扱う場面が多いです。AIのプログラムには、数学を使った理論がベースに作られているため、数学の知識が求められます。
AIが学習したデータを分析・検証する場合や、開発する時には確率論や統計学にもとづいてAIの精度を上げていかなければなりません。求めている結果を導き出すうえで数学の知識は欠かせないため、数学が好きな人や最低限の知識を抑えていることが求められます。
論理的に物事を組み立てて考えられる人
AIエンジニアは、AIが導き出したデータをもとに検証していきます。情報を判断して期待通りの答えへと導くためには、論理的に物事を組み立てられる力が必要です。
論理的に物事を組み立てるとは、物事の原因と結果を見て「なぜそうなってしまったのか?」の道筋を客観的に考えることです。例えば、部活動でチームが負けてしまった時に、「なぜ今回は負けてしまったのか?」という問題を例として考えてみましょう。
直感やなんとなくで考えてしまう人は、「今回は運が悪かった」「練習不足だった」と考えて終わってしまいます。それに対して、論理的に考えられる人は「チームの連携がうまく行っていない箇所があった」「メンバーの苦手を理解できていなかった」というように、負けてしまった原因をつきつめていきます。そのうえで、「どうすれば、チームの連携がとれるのか?」「メンバーの苦手を見つけ出し、カバーするにはどうすればいいのか?」と改善策を考えていき、最終的に今後の対策を導きだすことが可能です。
論理的に物事を考えた経験がない人が、突然きれいに組み立てて考えるのは難しいことです。まずは、上記で紹介した例のように、日常生活で「なぜこうなったのだろうか?」を考える機会を積極的に作ってみてください。やっていくうちに、論理的に組み立てられる人になれますよ。
AIエンジニアになるための方法とは?
まだまだ未知の部分が多いAIを使って、新たな技術やサービスを生み出すAIエンジニアになるにはどうすればよいのでしょうか?これから進路を考える高校生のみなさんが、AIエンジニアの道も1つの選択肢として考えられるように、なるための方法を紹介していきますね。
AIエンジニアになるための勉強ができる大学・学部
AIエンジニアは、必須とされる学歴の条件はありません。そのため、どの大学や学部に通ってもAIエンジニアとして就職することは可能です。ただし、AIエンジニアになるにはプログラミング知識や、AIに関する専門的な知識が欠かせません。
そのため、AIやプログラミングに関する知識が身につけられる学部で学ぶのが近道です。AIやプログラミングに関する知識や技術が学べる学部を紹介します。
- データサイエンス学部
- 情報工学部
- 情報科学部
- コンピューター科学科
データサイエンス学部では、主にデータの分析に関することが学べます。AIの普及にともなって、新設された学部です。膨大なデータをAIに学習させ、分析する業務を行うAIエンジニアの学びに活かせます。データサイエンス学部を設置している大学の中には、AIに特化した授業を行っている大学もあります。
例えば、武蔵野大学は「ビッグデータ×人工知能(AI)で新たな価値と未来のカタチを創造する」というテーマを掲げ、AIやAIの機械学習、ビックデータやプログラミング言語について学べます。
他にも、日本工業大学ではAIやIoTなどの最先端の情報技術が学べます。実践的な演習を通して、システム構築力とデータ分析力が身に付けられます。
データサイエンス学部を設置している大学は、他にもいくつかあります。文部科学省が掲げる「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」により、大学や高等専門学校で数理・データサイエンス・AIへの関心と理解を高め、活用するための基礎的な能力を育てることを目的とし、知識や技術の教育を積極的に行うことを進めているからです。今後ますます、AIに関する知識や技術を学べる機会が増えるでしょう。
AIエンジニアになるために役立つ資格
AIエンジニアになるために、求められる資格はありません。しかし、AIエンジニアに関わる資格を取得しておくと、AIエンジニアの道が広がるでしょう。知識や能力の裏付けとなり、自信にもつながりますよ。
AIやエンジニア関連の資格はたくさんあって悩んでしまいがちです。ここでは、その中でも3つの資格をご紹介します。
・G(ジェネラリスト)検定
G(ジェネラリスト)検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する検定です。AIやディープラーニングの活用方法を修得するために作られた検定試験です。AIエンジニアにとって必要な、AIに関する技術的な手法や、ビジネスに活用するための基礎知識が学べます。
G検定の試験に合格することで、AIの活用方法や、AIを活用するためには何が必要なのか、AIにできることやできないことなど、AI全般の知識が身に付けられますよ。AIエンジニアを目指す人に必要な知識や技術が詰まっている試験なので、挑戦する価値がありますね。
・E(エンジニア)資格
E(エンジニア)資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催する資格試験です。ディープラーニングの知識やスキルの証明になる資格です。E資格は、世界初のAIエンジニアを認定する資格だといわれています。機械学習、深層学習、開発・運用環境に関する問題が出題されるので、E資格の合格を目指せばAIに必要な知識が身につけられます。
ディープラーニングの実装をリードする人材を増やすことを目的とした資格のため、開発・実装をメインに行うAIエンジニアのための資格試験です。
・Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催する試験です。基本的なPythonの文法知識や、正しく使うために必要な知識やスキルが問われます。
Python 3 エンジニア認定基礎試験の合格を目指せば、AIエンジニアが使うプログラミング言語の一つである、Pythonの基礎知識が身につけられるでしょう。
上流試験に、Python 3 エンジニア認定データ分析試験もあるので、基礎地試験合格後に目指すのもひとつです。AIのデータ分析に関する知識が身に付けられますよ。
AIエンジニアになるために目指すべき就職先
AIエンジニアになるためには、どのような就職先を目指せばよいのでしょうか?AIエンジニアが活躍している主な就職先を紹介していきます。
・IT企業
AIエンジニアの就職先で一番にあげられるのが、IT企業です。IT企業の中には、AI技術を使った自社のソフトウェアやサービスの開発に力を入れているところがあります。特に成長スピードが早く革新的なアイデアを取り入れているスタートアップ企業や、ベンチャー企業は、AIエンジニアを積極的に採用しています。
・外資系企業
IT企業の中でも、外資系企業はAIに力を入れている企業が多いです。AIエンジニアの重要性を高く見積もっている企業が多く、AIエンジニアを積極的に採用しています。期待値も高いので、高待遇で採用してもらえる可能性がありますよ。
・一般企業
AIエンジニアが活躍できる場所は、IT業界だけではありません。自動車メーカーや家電
メーカーなど、AIを取り入れたサービスを活用したいと考えている企業も、AIエンジニアを必要としています。例えば、自動車メーカーならば自動運転機能やドライバー運転診断を予測して事故を防止するといった、AIを活用したシステムを取り入れている会社があります。
家電メーカーならば、スマホと連動した自動掃除ロボットや、屋外からスマートフォンで操作できるエアコンなど、AIを取り入れた家電は身近なものです。そうした家電に力を入れていこうと考えている家電メーカーでは、AIエンジニアを積極的に採用しています。
IT企業に特化しなくても、AIエンジニアとして活躍できる就職先はたくさんあるのです。
AIエンジニアになった後のキャリアプラン
AIエンジニアとして就職した後は、まずは専門性の低い業務から任され、その後適性や能力に応じて任せてもらえる仕事が増えていきます。経験年数を重ねていくと、チームをまとめる側の立場になっていく道が多いです。管理職を目指す人は、チームリーダーやプロジェクトマネージャーなどの管理ポジションになる人が多いでしょう。
管理側に回らずにAIエンジニアのスペシャリストとして、現場で活躍し続ける人もいます。また、企業の製品やサービスの開発ではなく、大学や研究機関に入ってAIの研究に携わる道も考えられます。「研究職」としての仕事になるため、企業で働くのとは違った道に活かせるでしょう。
AIエンジニアの仕事は、まだまだこれから発展していく職業です。AIの技術やサービスが発展していけば、その分だけAIエンジニアとして活躍できる道は増えていくでしょう。高校生のみなさんが、いざ大学を卒業して就職する頃には新たな可能性が生まれているかもしれませんね。
AIエンジニアへの道を「JOB-BIKI」で検索しよう
AI業界はこれから発展していくため、まだまだわからない部分は多いです。しかし、だからこそ最先端技術に関われる機会があり、常に変化していく姿を楽しめます。
AIエンジニアに興味がある高校生のみなさんは、まずは情報収集していきましょう。「JOB-BIKI」の「特徴」から「AI・ロボット」を選択すれば、AIを取り入れている会社が一覧で見られますよ。また、その会社に就職した先輩たちが卒業した大学も見られるので、進路選びの参考にしてくださいね。