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医療秘書になる方法とは?仕事内容や求められる資質や能力を紹介

2023.05.18

カテゴリー:
医師と並ぶ医療秘書

秘書といえば、企業の社長や偉い人に付き添っている人を思い浮かべる人が多いかもしれません。実は、医療現場にも医療秘書と呼ばれる秘書の業務を行う職業があるんですよ。医療現場で働く人といえば、医師や看護師は浮かんでも、それ以外はどういう人が働いているのはイメージしづらい人も多いでしょう。この記事では、医療秘書の仕事内容やなるための方法について紹介していきますね。

医療秘書とは?

事務作業をする医療秘書

医療秘書とは、医師や看護師などの医療スタッフをサポートする人です。大きく分けると、院長や理事長、医師など医療現場で上の立場の人を支える秘書業務と、医療現場をサポートする業務を行う人です。一般的な企業で働く秘書が行う業務内容と、医療秘書が行う秘書業務の内容はほとんど変わりません。秘書は一般的に、企業の中でも重役となる人をサポートする人です。具体的にどのような業務を行う人なのか、秘書について気になる人はこちらの記事を参考にしてくださいね。

秘書の仕事内容ややりがいは?なるための方法やキャリアプラン

ただし、医療秘書は医療現場専門の秘書です。秘書業務だけではなく、一般事務から病院の内部業務のすべてを担い、医療スタッフをサポートします。医療秘書がサポートする対象や業務範囲は、勤務する病院の規模によって異なります。一体どのような仕事を行っているのでしょうか?医療秘書の仕事内容と、医療秘書と医療事務の違いについてお伝えします。

医療秘書と医療事務の違い

病院の事務作業や病院の内部業務を行う職業には、医療秘書の他に医療事務という仕事があります。どちらも病院などの医療機関で事務職として働く人ですが、その内容が異なります。

医療事務は、一般的に病院の受付に立ち、患者さんを案内したり、病院の予約をとったり、処方箋を渡したりと、患者さんに対しての業務が中心です。

対する医療秘書は、医師のスケジュール管理や書類作成、取引先との来客対応など医療従事者に対するサポート業務が中心です。医療秘書が患者さんに接する機会もありますが、基本的には医療従事者と接する場面が多いでしょう。

職場によっては医療秘書が医療事務の仕事を兼任することもありますが、医療事務が医療秘書の仕事を行うことはありません。

医療秘書の仕事内容

医療秘書の仕事内容は、前述した通り病院の規模によって異なります。ここでは、一般的に医療秘書の仕事内容としてあげられるものについて紹介していきますね。

医療秘書の仕事内容は、大きくわけて2通りあります。院長や医師などの秘書業務と、病院の事務や管理業務です。

病院の事務作業では、主に以下のような業務を行います。

  • 病院への来客、電話対応
  • 保険会社の対応
  • 日報や月報などの書類作成
  • 患者さんの予約管理
  • 診断書や証明書の作成
  • カルテの管理
  • 郵便物の仕分け
  • 病院の収支の管理
  • 備品の在庫管理

医療秘書は、病院を運営していくために必要な事務作業を担います。医療事務が行う業務も含まれていますが、来客・電話対応や病院の収支の管理などは、医療秘書に任せられる業務です。

院長や理事長、医師など病院の責任者となる人の秘書業務を行う場合は、以下のような業務も行っているんですよ。

  • スケジュール管理
  • 出張手配と経費精算など
  • 会議の議事録作成、会議資料の整理
  • 学会発表などの資料作成サポート
  • 理事長室、院長室などの清掃

基本的に上記の業務は、総合病院や大学病院などの大きな病院に勤務する場合に伴う業務です。医療秘書は勤務する病院によって求められる内容が異なるため、幅広い業務に対応できる能力が必要です。どのような場面でも、その職場をサポートする気持ちで柔軟に対応しようと心がけることが大切だということですね。

医療秘書のやりがい

医療秘書の仕事は、病院の業務が円滑に進められるようにサポートすることです。縁の下の力持ちとなり、医師や看護師が業務を行いやすいように手助けします。例えば、医師や看護師が手の回らない事務作業や来客対応などを行うことによって、医療現場で働くスタッフたちが患者さんと向き合うことに集中できます。

大きな病院だと医師や看護師たちは、日々様々な患者さんを診察し、手術や入院対応なども行わなければなりません。多忙な医療現場において、裏方としてサポートする医療秘書の仕事は、見えないところで大きく貢献しています。医療スタッフたちを支えられる医療秘書の仕事は、人をサポートするのが好きな人にとっては、大きなやりがいが感じられる仕事です。

また、職場によっては医師の学会発表を、医療秘書が手伝う機会もあります。学会発表のための資料作成などのサポートや準備を手伝うことで、最先端医療などの医療研究をする医師を影でサポートできるでしょう。

どこまで任せてもらえるかは医師の考えによって変わってきますが、研究データをまとめたり、医師が論文を作るための資料をまとめたりすることもあるんですよ。日々忙しい医師の研究サポートを通して、医療秘書は医療の世界に貢献できます。医療の世界で働く人にとっては、大きなやりがいにつながります。

医療秘書の想定年収

医療秘書の平均年収は、約330万円~400万円です。看護師や薬剤師などの医療従事者と異なり、医療秘書は医療の深い専門知識や資格が必須の仕事ではありません。そのため、医療機関で働く職業の中では、年収が低く感じられるかもしれません。

しかし、医療秘書の仕事内容が働く場所によって異なるように、勤務する病院の規模によって年収も異なります。病院の規模が大きいほど、年収も上がる傾向にあります。また、経験を積み上げ、資格取得などスキルを磨くことによって年収は上がっていくでしょう。貢献できる数が大きくなるほど、見合った報酬が受け取れるということです。

医療秘書に求められる資質・能力

医者に確認をとる医療秘書

理事長や院長、医師など医療機関の中でも上の立場にいる人たちをサポートする機会がある医療秘書には、どのような資質や能力が求められるのでしょうか?医療秘書を目指したいと考えている人は、自分に当てはまるのかどうか確認しながら読んでみてくださいね。

正確に作業を進められる

医療秘書は、医療機関で大切なデータの管理や書類作成に携わります。秘書として医師や院長などのスケジュール管理や学会の資料作成のサポートなど、重要な仕事を任せられるのが医療秘書です。

そのため、ミスなく丁寧な仕事ができる人が求められます。事務能力やパソコンスキルの高さも求められますが、忙しい時でも確認を怠らずに正確に丁寧に作業できる能力の方が求められるのです。

医療に関する知識

医療秘書はレセプトの作成や電子カルテの入力など、医療事務に関する知識が求められます。レセプトとは、診療報酬明細書のことです。一回の診療でかかった医療費がわかります。誰にいつどのような診療が行われたのかがわかるものなので、医療事務現場で働く人は必要な知識です。

また、医療秘書は医師に代わって電子カルテの入力を行います。問診票から診察の結果、そこから導き出される医師の判断や治療方針、計画などを医師の代わりに入力します。ただ言われた通りに書くだけではなく、「なぜこうなるのか?」を把握しなければ、カルテは作れません。そのため、医療秘書には医療に関する知識が必要です。

情報を読み解く力

医療秘書は、医師や院長などの学会の資料作成などを行う場合があります。資料を作るには、医療に関するさまざまな文献を読んで、医師がわかりやすいようにまとめる必要があります。用語や知識を理解するのはもちろんのこと、それらに書かれている情報を読み解いてまとめる力が必要です。

医療の分野は専門的な知識が多く、学会で発表するものともなれば、言葉も難しいものが多いでしょう。そうしたさまざまな文献を正確に読み解き、情報を整理する力が医療秘書には求められます。

英語やドイツ語の語学力

医療に関わる資料や論文の多くは、英語やドイツ語で書かれているものが多いです。医師の秘書として学会発表をサポートするには、医師が読んでいるのと同じように英語やドイツ語で書かれた文献を読む能力が求められます。また、医師の代わりに電子カルテの入力を行う際、医療機関によっては英語やドイツ語での作成を求められる場合があります。

コミュニケーション力

医療従事者をサポートする医療秘書は、医師や看護師、医療機関と係わる取引先など幅広い人と接します。医療現場を円滑に進めるために、医療スタッフとコミュニケーションをとりながら仕事をする機会が多いため、誰とでも話せるコミュニケーション力が求められます。

例えば、医療秘書が伝達ミスをしてしまうと、スタッフ間での情報共有が上手くできずに、仕事が滞るかもしれません。医療秘書は、わかりやすく相手に伝えるために、伝え方や話し方を意識しなければならない場面は多いでしょう。

また、院長や理事長の秘書として同行する場面では、ビジネスマナーや接客マナーなど秘書としてのコミュニケーション能力が求められます。目上の人に対する接し方や敬語の使い方など、社会人としてのマナーは備えておきたいところです。

人をサポートすることが得意

医療秘書は、自分が前に立って何かをするよりも、前に立つ人を後ろからサポートするのが得意な人が求められます。例えば、高校生のみなさんの中で、文化祭や体育祭などの行事を行う際に「どうすればみんなが気持ちよく動けるだろうか?」「今必要なことはなんだろうか?」と考えて、スケジュールを作ったり役割を決めたりするのが得意な人はいませんか?最前線に立って「俺が決めるからついてこい!」という人もいれば、足りない部分や困っている状況の時にそっと手を差し伸べる人もいるでしょう。

医療秘書は、周りを見渡して困っている人がいる時にそっと手を指し伸ばせる人や、解決策を考えられる人が向いています。「人の役に立ちたい」「誰かの力になりたい」と思える人が医療秘書に求められます。

気配りができる

医療秘書は、現場の状況を把握して今何が求められているのか判断する力が必要です。気配りができる人は、先読みして現場がスムーズに動くように配慮した行動ができます。医療秘書は、医療スタッフをサポートする立場だからこそ、状況に応じて行動する能力が求められます。

また、秘書として相手が今どのようなサポートを求めているのかを把握し、時には言われる前に手を伸ばすことも必要です。忙しい医師や院長が「手伝ってほしい」とお願いする前に、「資料作成のこの部分、お手伝いしてもいいですか?」と自ら声をかけられる人は、医療秘書として重宝される人になれるでしょう。

医療秘書になる方法とは?

医療秘書を目指して勉強する女性

医療秘書は医療機関で働く仕事ですが、看護師や医師のように医療資格が必要な仕事ではありません。医療系の大学や専門学校を卒業しなくても、医療秘書として働くことは可能です。

ただし、医療現場で働くため、医療の専門知識が求められる場面は多いです。医療秘書になるにはどのような勉強をすればいいのでしょうか?目指せる大学や資格についてお伝えしていきます。

医療秘書を目指せる大学・学部

医療秘書になるには、医療スタッフをサポートして、医療現場を円滑にできる力が必要です。そのためには、医療の専門知識や医療秘書としての技能を身につけておきたいところです。

医療秘書を目指すならば、医療や福祉を専門にした大学を目指すとよいでしょう。また、医療秘書に特化した知識や技能が学べる大学・学部があります。

  • 関西女子短期大学(大阪) 医療秘書学科
  • 川崎医療福祉大学(岡山) 医療秘書学科
  • 長崎女子短期大学(長崎) ビジネス・医療秘書コース
  • 滋賀短期大学(滋賀) 医療事務コース

上記の大学では、医療秘書にふさわしい心構えや振る舞い、気配りや段取り、すぐに行動できる実践力など医療秘書に必要な技能が身に付けられます。検査や診断、治療法など医療の専門知識が学べるだけではなく、事務業務で欠かせないカルテの入力方法や医師のスケジュール管理方法など、医療秘書の実務で必要になるスキルも学べます。また、医療秘書の仕事をするうえで役立つ資格の取得もできるので、就職時に役立つでしょう。

医療秘書に役立つ資格

医療秘書になるために必須の資格はありませんが、取得しておくと役立つ資格がいくつかあります。今回はその中から、4つの資格を紹介します。

・医療秘書技能検定
医療秘書技能検定は、一般社団法人医療秘書教育全国協議会が行う検定試験です。医療秘書としての知識と技能を認定する検定試験なので、医療秘書を目指す人は合格しておきたい試験です。医療秘書技能検定は、1級~3級まであるので、1級合格を目指してまずは3級から順番に取得していくのがよいでしょう。

・医事コンピュータ技能検定
医事コンピュータ技能検定は、一般社団法人医療秘書教育全国協議会が行っています。年間6.000人以上の人が受験している代表的な検定試験です。医事コンピュータ技能検定では、医療事務やコンピュータ関連の知識が問われます。医療の事務を担うものとして、コンピュータの知識は欠かせません。医療秘書の事務作業で必要な能力が求められるため、取得しておくと役立つ資格の1つです。

・診療実務士
診療実務士は、一般社団法人医療教育協会が認定する資格です。医師などが作成する患者に関する医療データを、誰が見てもわかりやすく整理するスキルが身に付けられます。また、必要な時にすぐに提供できるように管理できるようになるでしょう。

診療実務士の資格を取得するためには、一般社団法人医療教育協会が指定した全国各地の大学・短期大学・専門学校に通学し、医療管理秘書士の資格試験に合格し、申請する必要があります。

・医療秘書管理士
医療秘書管理士は、一般社団法人医療教育協会が認定する上級事務職員資格です。医療秘書管理士の資格を取得すると、医療機関での管理者が本来の業務を行えるようにサポートするために必要な、医療秘書の実務知識や医学の一般知識や薬に関する知識などを身に付けられます。医療秘書管理士の資格を持っていると、活躍できる医療秘書となれるでしょう。

医療秘書の就職先とキャリアプラン

医療現場で働く医療秘書

医療秘書はどのような場所で活躍できるのでしょうか?医療秘書の就職先と、キャリアプランについて紹介します。

医療秘書の主な就職先

医療秘書の就職先は、主に病院やクリニックなどの医療機関です。少し前までは医療秘書が活躍できる場所は、大学病院や総合病院のような大きな医療機関に限られていました。しかし、近年は医療現場が全体的に人手不足の状況になっているため、クリニックなどの小規模な医療機関でも医療秘書が活躍しています。

今後高齢化社会が深刻な問題になっていくことから、医療のニーズが高まり、その分医師や看護師が不足していき、一人ひとりの患者さんに向けられる時間が少なくなっていくと予想されます。これまで以上に医師や看護師一人ひとりへの負担が大きくなっていくため、医療秘書のサポートが必要な場面が増えていくでしょう。

また、医療秘書の活躍場所は、医療機関だけにはとどまりません。製薬会社や調剤薬局、医療機器メーカーなど医療機関と関連する場所でも医療秘書は活躍します。

医療秘書のキャリアプラン

医療秘書の就職後のキャリアプランとしては、より規模の大きな病院に転職する道が一般的です。大きな病院ほど医療秘書として活躍できる道は幅広く、活躍している医者をはじめ、院長の秘書となれる可能性もあります。医療秘書にとって、有名病院の院長の秘書になれることを1つの目標とする人も多いです。

また、世界を飛び回る凄腕の医師の秘書になれば、あらゆる医療現場を経験できるでしょう。

対応できる業務範囲が広がれば、お願いしてもらえる仕事の範囲が広がり、活躍できる場所も広がります。医療機関のニーズが高く、人手を求める医療現場が数多くあるため、経験を積んでいけば、働きたいと思える医療機関に転職しやすいでしょう。

また、医療秘書が働く医療機関の多くは福利厚生が充実しているため、女性が結婚や出産後に復帰しやすい職業でもあります。ライフステージが変わっても、長く働き続けられるのが医療秘書のメリットのひとつです。

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医療秘書は、医療現場が円滑に動くように医療スタッフをサポートする仕事です。医療スタッフを裏から支えることで、医療現場に貢献できる職業です。そんな医療秘書に興味が湧いた人は、高校生の今のうちから情報収集していきましょう。

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