TVプロデューサーになるには?仕事内容や向いている人の特徴
2023.07.06
高校生のみなさんの中には、テレビが大好きで「テレビに携われる仕事に就きたい!」と考えている人もいるでしょう。テレビ番組はさまざまな職業の人が集まって、1つのものを作り上げています。その中でも、TVプロデューサーは番組制作のトップとなる存在です。具体的にどのような仕事をしているのか、仕事内容からTVプロデューサーになるための方法についても解説します。
目次
TVプロデューサーとは?
TVプロデューサーは、テレビ番組制作の責任者です。どのようなテレビ番組を制作するのか、企画から予算の選定、出演者のキャスティングからスポンサー探し、映像の最終チェックまで、番組制作のすべてに関わります。
実際に、TVプロデューサーが関わる仕事について、TVディレクターとの違いと共に解説していきます。
TVプロデューサーとTVディレクターの違い
テレビ制作に携わる人の中で、責任者となる人にはプロデューサーの他にディレクターの職業も考えられます。実際、TVプロデューサーとTVディレクターは混同されやすく、いまいちどのような違いがあるのかわかっていない人も多いでしょう。
TVディレクターは、TVプロデューサーの企画をもとに番組制作現場の監督をする人です。制作現場で多くの制作スタッフに指示を出したり、番組出演者に演技指導や要望を伝えたりします。他にも、番組に必要な取材を行ったり、番組の編集などを行ったりする場合もあります。現場のリーダーとして、映像としていいものを作り上げるのがTVディレクターの仕事です。
TVプロデューサーは、番組の企画・進行管理を行い、制作に関わる人やお金を準備して番組として成功に導く責任者です。それでは、TVプロデューサーの仕事内容について見ていきましょう。
TVプロデューサーの仕事内容
TVプロデューサーは、テレビ番組を生み出すためにさまざまな役割を果たします。責任者としてどのような仕事を行うのか、それぞれ解説します。
・企画の立案・選定
TVプロデューサーは、世の中のトレンドを分析し、人々に楽しんでもらえる番組の企画を考えます。企画内容はTVプロデューサーがすべて考えるわけではなく、TVディレクターや構成作家と打ち合わせしながら決めていきます。構成作家から企画を持ち込まれるパターンもあり、番組の企画は一人で作るわけではありません。構成作家は番組内で行う企画や番組の構成、出演者が話す台本などを作るのが仕事です。番組制作に大きく関わる構成作家の仕事について深く知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
「構成作家になるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介」
ただし、企画を採用するかどうかの最終決定権はTVプロデューサーにあります。
・予算管理
番組の企画が決まったら、バラエティ番組の場合はスタジオセットや美術の制作費、ロケにかかる費用や出演者に支払う出演料など予算の配分を決めます。定められた予算の中でどのような番組を作れるかが、TVプロデューサーの腕にかかっています。
また、予算を確定したら、制作資金を出してくれるスポンサーを見つけなければなりません。企画を実現するために資金が必要であることを伝え、営業部署と協力しながら資金を出してくれる企業を探します。
・出演者のキャスティング
TVプロデューサーは、番組に出演してほしい出演者に対し、出演交渉をすることもあります。出演者に依頼する場合は、スケジュール調整をしてもらい、出演料にも納得してもらわなければなりません。特にあらゆる番組から引っ張りだこの人気芸能人であれば、「この番組に出るメリット」を感じられなければオファーを受けてもらえないこともあるでしょう。TVプロデューサーには、キャスティング力が求められます。
また、出演者の決定は、番組によってはオーディションを開いて決める場合もあります。出演者選びは、番組の面白さや視聴率を左右する大きな部分です。オーディションでは、TVプロデューサーのセンスが問われるでしょう。
・制作現場の整備
制作が決まったら、現場の制作スタッフを揃えていきます。番組の内容に合わせて、テレビ局内のスタッフや制作会社を選びます。番組制作にはTVディレクターをはじめ、カメラマンや照明、編集スタッフなどさまざまなスタッフが必要です。大きな制作現場など、人が足りない場合や「この人にお願いしたい」という人がいる場合は、フリーで活動する人など社外の人を加えることもあるんですよ。
現場がスタートしたら、現場の進行や管理はTVディレクターに任せます。ただし、TVプロデューサーは、TVディレクターを監督する立場でもあるため、任せっぱなしにすることはありません。全体的な進行が上手くいっているのか、随時確認します。また、プロデューサー判断が必要な場面など、重要な時には制作現場に立ち会うこともあります。
・番組のPR
番組制作が進んでいる間、TVプロデューサーは番組のPR方法を考えます。多くの人に見てもらえるように、広告宣伝担当者と一緒に戦略を立てていきます。ポスターを使った広告や、雑誌やWebを通しての宣伝、取材依頼や他番組での宣伝依頼など、PR方法はさまざまです。今では、SNSによる宣伝効果が高いため、ネットやSNSからの戦略も積極的に考えていきます。予算内で効果的な宣伝方法を計画するのが、TVプロデューサーの大切な役目です。
・コンプライアンスチェック
番組を放送する前には、コンプライアンスチェックも欠かせません。コンプライアンスチェックでは、番組内で危険な行為をしていないか、違法行為など放送できないものはないかを確かめます。テレビ番組内での出演者の行動や、スタッフの対応が原因で炎上しているのを見たことがありませんか?
例えば、バラエティ番組の罰ゲームで一歩間違えれば倒れてしまうような、健康に害のある恐れがある罰ゲームや、差別発言のように受け取られかねない過激な言葉などです。
現場の人たちが楽しくやっていても、誰かが傷つくことや、子どもが真似をしたら危ないことなどは、特に気をつけなければなりません。
TVプロデューサーは、番組イメージが悪くなるのを防ぐために、放送前に内容を確認します。そのうえで、トラブルが起きてしまった場合は、適切な対応をして、細やかな配慮をします。
TVプロデューサーのやりがい
TVプロデューサーは、TVディレクターや構成作家など、多くのスタッフたちとブラッシュアップした企画が通り、形になった時にやりがいが感じられます。実際に企画が通った後、現場で撮影してみると上手く行かない、思うような映像にならないということもあります。TVプロデューサーは、そのような場面を数多く経験するからこそ、実際に作り上げたものがテレビで放送された時には、スタッフたちと共に頑張って良かったと思えるものです。
また、視聴者から「面白い!」「今までにない企画で斬新」「タメになった」と評価された時には、大きなやりがいを感じられます。
番組が評価されれば、出演者のイメージアップにもつながり、協力してくれたスポンサーにも喜んでもらえます。番組は多くの人の力で作られているからこそ、成功させられた時にはみんなで喜びをわかちえあえるのです。TVプロデューサーは、責任者として番組作りを成功へと導く立場だからこそ、成功した時に大勢の人と喜べるのが一番のやりがいといえるでしょう。
また、作り上げた番組を見た視聴者から「面白かった」「共感した」「役に立った」など、喜んでいる声を得られた時には、「この番組を作って良かった」と思えるものです。最近では、ツイッターなどSNSを通じてリアルタイムのコメントが見られるので、視聴者の正直な感想がすぐに見られます。SNS上で盛り上がっている様子などが見られれば、「次も良い企画を作ろう!」と、やりがいにつながるでしょう。
TVプロデューサーの想定年収
TVプロデューサーの年収は、働く職場やどれだけの番組を手掛けてきたかで大きく変わります。制作会社の場合は、テレビ局から仕事を請け負う形になるため平均年収500万円です。テレビ局で勤めるTVプロデューサーの場合、平均年収は1.000万円~1.500万円と言われています。キー局と言われる日本テレビ、テレビ朝日、TBSなどは、地方局よりも年収が高い傾向にあります。
また、フリーのTVプロデューサーは、経験と実績を重ねるごとに認められるため、年収も上がっていくでしょう。特に「あの人がプロデュースした番組は面白い!」と言われるほど、有名なプロデューサーになると、年収2.000万円を超えることもある世界です。視聴率や話題性などの結果が評価される世界のため、話題になる面白い番組や、多くの人に支持される番組を手掛けられるTVプロデューサーになれば、年収も上がっていきます。
TVプロデューサーに向いている人
TVプロデューサーになれる人には、どのような人が向いているのでしょうか?プロデューサーとして必要な適性について確かめてみましょう。
判断力・決断力がある人
TVプロデューサーは、番組制作の最高責任者です。番組の企画内容や制作現場で行う内容、放送する内容を最終的に決めるのは、TVプロデューサーの仕事です。最終決定権を持つ存在であるため、判断力・決断力が求められます。
例えば、企画内容を決める場合、構成作家やTVディレクターが持ってきた多数の企画の中から、1つの企画を決定しなければならない場合もあります。企画を考える側は「どれだけ面白いか」「どれだけ大きなことができるか」といった目線で企画しますが、TVプロデューサーは予算や他のチャンネルで放送される番組、視聴率、リアルタイムの反応、配信での再生数やスポンサーのことなどさまざまな面から良い企画を選ばなければなりません。
また、出演者のキャスティングなど、TVプロデューサーは1つの番組を作るまでにあらゆる場面で判断力と決断力が求められる仕事です。多角的な目線で物事を考え、自分の中で最適な答えをすぐに出せる人がTVプロデューサーに向いているでしょう。
リーダーシップがある人
TVプロデューサーは、番組制作のリーダーとしてみんなを引っ張っていかなければなりません。番組制作が始まると、さまざまな場面で制作スタッフが迷うことがあるでしょう。実際に撮影してみると上手くいかない内容があったり、予定していたロケ地の取材ができなかったりと、番組制作現場にはトラブルがつきものです。
そのような自体になった時には、TVプロデューサーが番組内容を考え直し、制作スタッフたちに伝えることもあります。基本的には、制作現場はTVディレクターに任せますが、時には最高責任者として、制作陣を引っ張っていくこともあるんですよ。
好奇心旺盛な人
TVプロデューサーは、面白い番組を企画し続けなければなりません。常にアンテナを張ってあらゆる分野に興味を向け、情報をキャッチできる好奇心旺盛な人が求められます。最近の流行りから芸術分野、さまざまな国の文化やスポーツ、お笑いというように幅広いものに興味を持てるTVプロデューサーは、さまざまな企画を考えられる人になれるでしょう。
日頃から、自分がこれまで触れたことのない分野にも目を向け、一度見てみる、調べてみるだけでも知らない世界に触れられます。「私が好きなのはこれだけ!」「この分野にだけ詳しい」というのも素敵なことですが、広くいろんな分野に目を向けられる人は、面白い・視聴者が楽しめる企画を判断できるTVプロデューサーの素質があるといえるでしょう。
TVプロデューサーになるには
TVプロデューサーになるには、下積みの経験が必須です。制作の最高責任者として番組制作に携わる仕事のため、就職後すぐにプロデューサーに抜擢されることはありません。
それでは、TVプロデューサーとして活躍している人たちは、どのような経験を経てTVプロデューサーになったのでしょうか?TVプロデューサーになるための道のりについて解説します。
TVプロデューサーになるまでの道のり
TVプロデューサーになるには、テレビ局か番組制作会社に入社するのが一般的な方法です。就職後は、いわゆるADと呼ばれるアシスタントディレクターとして働くところから始まります。ADはディレクターの補佐として、小道具の準備をしたりロケや編集の準備を行ったりと、番組制作に必要なあらゆることをお手伝いします。
ADとして番組制作に必要なことを経験し、制作を行ううえで求められるスキルを身につけていくことで、APと呼ばれるアシスタントプロデューサーへの道が開かれます。ちなみにディレクターを目指す場合も、ADとして下積み経験をした後にディレクターを目指す流れです。
APは、プロデューサーの補佐として仕事をする人です。現場のリーダーであるディレクターとプロデューサーの間を取り持ち、番組制作全体をサポートします。制作現場のスタッフのサポートをしながら、プロデューサーの仕事の補助もするのが仕事です。
APとして制作全体に携わり、プロデューサーの仕事を任せてもらえる範囲が広がっていくと、いよいよプロデューサーとして抜擢される道につながります。
このように、TVプロデューサーになるには、就職後さまざまな経験が必要です。多くの経験を経て、周りから認められた人だけがプロデューサーになれるからこそ、番組制作の統括を行えるようになるのです。道のりだけを見ると長く感じられるかもしれませんが、「働きながらプロデューサーに必要な経験とスキルが得られる!」と考えれば、プロデューサーになる道もそう遠くはないかもしれません。
TVプロデューサーの勉強ができる大学・学部
テレビ局では4年制大学卒業以上の学歴が求められる場合が多く、テレビ業界で働く人の多くが、大学を卒業してから就職しています。
TVプロデューサーになるためにはマスコミ学・メディア学を学ぶといいでしょう。主に社会学部に設置されていることが多く、以下のような学科で学べます。
- メディア表現学科:メディアの違いや特徴を理解し、それぞれに相応しい企画や表現について情報収集や判断ができる手法を学ぶ。
- メディア学科:ジャーナリズムやメディアの問題点と影響力、社会的役割を考えたり、具体的なコンテンツの企画制作を実践する。
- メディア社会学科:理論的にメディアを理解し、社会調査やデータ分析を駆使して研究を行う。
- 情報メディア学科:コンテンツ制作と、コンテンツを広めるテクノロジーや方法について学べる。
TVプロデューサーは、番組制作を統括する立場であるため、番組の魅せ方や視聴者がどういうものを求めているのかを学んでおくとよいでしょう。
TVプロデューサーになった後のキャリアプラン
TVプロデューサーになった後は、フリーランスとして活躍する人が多いです。独立すれば、さまざまなテレビ放送局や、Netflixなどのインターネット放送局、YouTubeなどの動画チャンネルを手掛けることができます。自分の思い描いている企画や、やってみたかった番組を手掛けられるチャンスが広がるでしょう。
また、TVプロデューサーの中には、制作に携わりながらも番組制作や企画の立て方について教える側に回る人もいます。個人で講座を開く人や、番組制作養成講座の講師として活躍する人もいます。
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TVプロデューサーは、テレビ番組に携わる仕事の中でも責任が重く、重要な立場の仕事です。まずはADとしての下積みを経験し、徐々に経験や実績を積み上げていくのが面白い番組を作れるTVプロデューサーになる近道です。
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