メイクアップアーティスト(メークアップアーティスト)になるには?求められる資質・能力を紹介
2022.07.28
モデルやタレント、俳優にメイクを施し、魅力を引き出す仕事に興味を持ったことはありませんか?メイクのスペシャリストは「メイクアップアーティスト」と呼ばれています。メイクが好きな人、有名人と関わる仕事がしたい人にとって、憧れの職業のひとつですよね。
この記事では、メイクアップアーティストになるための方法や、求められる資質・能力などをご紹介します。メイクアップアーティストを目指すイメージを、明確にしていきましょう!
目次
メイクアップアーティストとは?
メイクアップアーティストと聞くと、「メイクのスペシャリスト」というイメージがあると思います。
テレビドラマやCM、雑誌、ポスター、映画などに出演するモデル・タレント・俳優などのメイクを担当しているのがメイクアップアーティストです。メイクといっても、モデルやタレントなどによって求められるメイクは一人ひとり違います。メイクアップアーティストは、依頼者の骨格やキャラクターに合ったメイクを施し、その魅力を引き出す仕事です。
高校生の皆さんは、自分自身ではなく誰かにメイクをしてあげたことがあるでしょうか?人によって似合うメイクはまちまちなので、魅力を引き出すには、その人の個性をしっかりと理解しなければなりません。テレビドラマや映画に出演する俳優なら、役柄や演出も考えてメイクをする必要があります。
つまり、私たちが普段何気なく目にしているドラマや映画の登場人物にも、メイクアップアーティストのスキルが活かされているのです。多くの人に「きれい」「かわいい」を届けることができるメイクアップアーティストは、とても魅力的な仕事ですよね!
メイクアップアーティストと美容師の違い
メイクアップアーティストと美容師とは、どのような点が違うのでしょうか?
美容師は主に「髪」を専門として、ハサミを使ってヘアカットをしたり、カラーやパーマなどを施したりする技術者です。髪だけでなく、メイクやネイルも行う美容師もいます。
一方、メイクアップアーティストは、対応するメイクの範囲が広いのが特徴といえます。特殊メイクや傷痕を表現するメイクなどを担当したり、ケガや手術の跡などを目立ちにくくする医療メイクを担当したりする場合もあるのです。
なお、美容師もメイクアップアーティストも、ヘアカットやパーマ、メイクなどの美容施術を施す仕事なので、美容師免許(国家資格)は必要です。
メイクアップアーティストの仕事内容
メイクアップアーティストと聞くと、「顔のお化粧の専門職」というイメージがあるかもしれません。
実は、メイクアップ(化粧)とヘアメイクはセットになっていることが多く、メイクアップアーティストが両方を担当することがほとんど。撮影現場やスタジオを訪れ、衣装合わせを終えたモデルやタレントのメイクアップやヘアセットを担当します。
撮影開始までの時間は限られているので、時間内にメイクやヘアを手際良く仕上げなくてはなりません。また、モデルやタレントが気持ち良く撮影に入れるようにコミュニケーションをとり、リラックスした雰囲気を作ることも大切な役割なんだとか。
このように、メイクアップアーティストはメイクのスペシャリストというだけでなく、演出を担当する一人として重要な役割を果たしているのです。メイクアップアーティストとして働くイメージが、よりはっきりとわいてきたのでは?
メイクアップアーティストの仕事のやりがい
メイクアップアーティストは、メイクを通じて人の美しさや魅力をいっそう引き出せる仕事です。メイクされた人から直接喜んでもらえるだけでなく、出演作品や撮影写真を通じて、多くの人に感動を与えることができます。作品に出た有名人のメイクをきっかけに、さらに大きな仕事に関わるチャンスもあるでしょう。このように、充実感や達成感を味わえることはメイクアップアーティストの最大の魅力ですね!
メイクを施された人自身のコンプレックス解消に貢献できたり、特殊メイクを通じて役作りを手助けできたりすることも。自分のセンスや技術が、多くの人に役立っていると実感できることは、メイクアップアーティストとして大きなやりがいとなるでしょう。
メイクアップアーティストの仕事の流れ
メイクアップアーティストの仕事は、当日のメイクだけではありません。テレビ番組・CMの制作会社や出版社の編集部などから依頼を受け、企画内容について打ち合わせを行います。求められているメイクのイメージや作品の世界観をつかみ、当日に向けてメイク道具やヘアアクセサリーなどを用意しておくのもメイクアップアーティストの役割です。
撮影当日、モデルやタレントにとってメイクは、撮影に向けた準備の一部です。撮影前の打ち合わせや衣装合わせの合間を縫ってメイクすることになるため、時間との勝負となります。モデルやタレントから要望があれば、当日その場でメイクアップやヘアセットを変更することも。メイクが完了したらアートディレクターや監督・演出にチェックしてもらい、問題なければ撮影がスタートします。
メイクアップアーティストは撮影中も現場に待機し、モデルやタレントの髪型を合間に整えたり、化粧を直したりします。撮影は1日~数日がかりになることも珍しくないため、常に待機してメイクアップやヘアセットをベストな状態に保つことが求められます。メイクのスペシャリストがとても頼りにされる存在であることがわかりますね!
メイクアップアーティストの年収
「令和3年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によると、メイクアップアーティストの年収は324万円前後とされています。
メイクアップアーティストには技術が高く評価され、独立してフリーランスになる人や事務所を設立する人もいます。実力主義の厳しい世界ですが、実力次第では高年収を目指すこともできる仕事です。そのために、常にメイクのトレンドを取り入れてセンスを磨き、スキルアップを図ることが求められるでしょう。
メイクアップアーティストに必要な資質と能力
メイクアップアーティストに必要な資質・能力は、とても幅広いのが特徴です。下記に挙げる4つは、どれもメイクアップアーティストを目指すにあたって要不可欠。今から意識して伸ばしていきましょう!
表現力
メイクアップアーティストは「アーティスト」と呼ばれてはいるものの、自分の感性のままにメイクをすれば良いわけではありません。ドラマや雑誌などの制作側が求める世界観に合ったメイクを施す必要があるため、要望に応えられる表現力を備えていることがマスト。作品の世界観や掲載誌の企画意図を理解し、その中で対象者の魅力をメイクやヘアで表現することが求められます。
技術力
メイクアップやヘアセットは限られた時間内に完了させる必要があるため、手際良く仕上げる技術力が欠かせません。制作側から要望があれば、当日その場でメイクやヘアのコンセプトを変更することも。どのような要望にも柔軟に応え、求められるレベルのメイクアップやヘアセットを施す技術が必要になるでしょう。
発想力
撮影現場では、メイクに関する専門知識を持つ人がメイクアップアーティストのみというケースも少なくありません。演出上の要望を伝えられたとき、どのようなメイクがイメージにぴったり合うかを考える発想力が求められます。衣装のコーディネートやヘアスタイルとの組み合わせも考えた上で、ベストなメイクを提案する必要があるのです。
特殊メイクの場合は、特に発想力が重視されるでしょう。絵コンテやシナリオを参考にしつつ、どのようなメイクが最もうまく世界観を表現できるのか、自分で考えていかなくてはならないのです。そこでオリジナリティの高いメイクができる人は、メイクアップアーティストとして高く評価されるでしょう!
コミュニケーション力
メイクを施すモデルやタレントは、これから撮影などを控えている大事な存在。彼らがリラックスできる雰囲気を作り、ベストな状態で本番に臨める環境を提供することもメイクアップアーティストとして重要な役割といえます。相手のコンディションに合わせて会話を交わし、メイクを施している時間を心地良く過ごしてもらうことが大切です。
また、現場によってはディレクターやスタイリスト、フォトグラファーなどの関係者と打ち合わせを行うこともあります。関係者の要望を正確に聞き取り、不明点を的確に質問するといったビジネスコミュニケーションの能力も求められるでしょう。メイクアップアーティストはメイクのことだけを考えれば良いのではなく、周囲とのコミュニケーションも重視する必要があるのです。
メイクアップアーティストになるための方法とは?
メイクアップアーティストになるには、どのような勉強をして、どこに就職すれば良いのか、気になりますよね。ここでは、必要な資格や目指すべき就職先について見ていきましょう。
メイクアップアーティストの世界の現状
メイクアップアーティストは「足りない」のか「多すぎる」のか、あなたはどちらだと思いますか?実は、メイクアップアーティストの数は、志望者自体が多く飽和ぎみだといわれることも。とはいえ、美の世界の需要には限りがありません。メイクやヘアメイクの実力があった上で、高いコミュニケーション力が備わっていれば、仕事に困ることはないでしょう。
メイクアップアーティストはメイクのスペシャリストのため、技術的なことは「できて当たり前」と思われていて、むしろ、モデルやタレントとの相性や人付き合いが重要なポイントとなることも少なくありません。指名が入るメイクアップアーティストになるには、上手に人付き合いができるコミュニケーション力を磨いていくことが大切なのです。あなたが仲間の盛り上げ役なのであれば、向いているかも?
メイクアップアーティストになるための勉強ができる大学・学部
メイクアップアーティストになるための決まったルートはありませんが、美容師免許が取得できたり美容系の勉強ができたりする大学や短期大学・専門学校で学ぶことができます。
<メイクアップアーティストになるための勉強ができる学部・学科>
・大学:トータルビューティー学部、化粧ファッション学科
・短期大学:美容総合学科、美容文化コース
・各美容専門学校
実際、有名なメイクアップアーティストの方々は、どのような学校出身なのでしょうか。出身大学・専門学校を挙げてみました。
<有名なメイクアップアーティストの出身校>
・イガリシノブ(バンタンデザイン研究所)
・IKKO(現・福岡美容専門学校北九州校)
・小田切ヒロ(資生堂美容専門学校)
・カズ・ヒロ(龍谷大学付属平安高等学校)
・河北裕介(京都府立南八幡高等学校)
・久保雄司(山野美容専門学校)
・計良宏文(資生堂美容技術専門学校)
・嶋田ちあき(日本大学芸術学部放送学科中退)
・長井かおり(日本女子体育短期大学)
・藤原美智子(東京美容専門学校)
※50音順・敬称略
美容系の勉強をしてきた人がいる一方で、必ずしも美容とは関わりのない大学・短大出身の人もいることがわかりますね。独学でメイクアップアーティストになるための勉強をした方や、美容室で働きながら技術を学んできた方もいるようです。
メイクアップアーティストになるために必要な資格や受験すべき試験
メイクアップアーティストになるためには、国家資格である美容師免許が必須です。美容師免許を取得するには、美容専門学校で昼間課程2年以上または通信課程3年以上の課程を修了する必要があります。メイクアップアーティストを目指すなら、必ず取得しておきたい資格です!
さらに、メイク関係の民間資格を取得しておくと「メイクに関する基本的なスキルが身についている」と証明できます。「日本メイクアップ技術検定試験」や「IBF国際メイクアップアーティスト認定試験」などが代表的な資格です。また、「色彩検定」や「カラーコーディネーター検定試験」などの資格も就職時に役立つことがあります。スキルアップのためにも、こうした資格は積極的に取得しておくといいでしょう。
メイクアップアーティストになるために目指すべき就職先
メイクアップアーティストになるための就職先はいくつかあります。例えば、下記のような就職先でメイクアップアーティストとして活躍することができます。
<メイクアップアーティストを目指せる就職先の一例>
・メイクアッププロダクション
・ブライダルサロン
・撮影モデルなどを手がける美容室
最近では、結婚式や披露宴でのメイクを個人的に依頼する人が増えています。また、InstagramやYouTubeでメイクのノウハウを手軽に学べることから、そのようなSNSでインフルエンサーとして活躍するメイクアップアーティストもいます。
どの就職先でも、優れた技術とコミュニケーション力のあるメイクアップアーティストに指名が集中しやすいため、スペシャリストとしてスキルを磨いていくことが大切です!
メイクアップアーティストになった後のキャリアプラン
メイクアップアーティストになった後、どのようなキャリアが考えられるのでしょうか?ここでは、主なキャリアパスについて見ていきましょう。
フリーランスとして活躍する
技術やコミュニケーション力が買われ、個人的に指名される機会が増えていけば、特定の企業などに所属することなく、フリーランスとして活躍できるようになります。この場合、複数のプロダクションや制作会社などと契約を結ぶのが一般的です。
専門学校の講師になる
メイクアップアーティストとして培ってきた経験やスキルを活かして、専門学校の講師を務める人もいます。メイクのスペシャリストになりたい学生を指導し、人材を育てることに貢献できる仕事です。
自分自身がメディアに出演する
テレビ番組や動画配信などに、みずから出演するメイクアップアーティストも。個性的なキャラクターやトークが人気を博し、自身がタレントやインフルエンサーとして活躍している人もいます。
メイクアップアーティストになる道を「JOB-BIKI」で検索しよう
モデルやタレントなどのメイクを担当するメイクアップアーティストの仕事内容や目指す方法がイメージできましたか?「美しくありたい」という多くの人の願いを叶えられるメイクアップアーティストは、とても素敵な仕事ですよね。
スペシャリストとして求められる技術やコミュニケーション力のレベルは非常に高いため、メイクアップアーティストを目指すにはかなりの努力と勉強が必要になるかもしれません。「JOB-BIKI」の検索結果やこの記事の仕事内容、目指す方法を参考に、夢の実現に向けて一歩を踏み出してみましょう!