ボディーガードになるには?求められる資質と能力などを紹介
2023.08.21
ボディーガードは依頼人の命や大切なものを守り、ときには命がけの仕事にも携わります。
そのためボディーガードに必要な能力は、身体能力だけではありません。
情報収集力と分析力、周りを観察して的確な判断と行動ができる能力なども必要です。
この記事では、ボディーガードの仕事内容や資質や能力、目指すための方法について解説します。
目次
ボディーガードとは?
ボディーガードとは、人の身体を危険から守る職業のことです。
主な仕事としては、身辺警護や要人警護などの警備業務に携わります。
似た仕事に「SP」や「警備員」がありますが、これらとボディーガードは似て非なる仕事です。
ボディーガードとSPの違い
SPとは、セキュリティポリスの略称です。
警視庁警護課に所属している警察官が警備業務にあたります。
SPはボディーガードと異なり、主に皇族や国会議員、芸能人、外国要人など、社会的影響力のある人物などを警護するのが仕事です。
警察官、つまり公務員として在籍しているため、業務によっては拳銃や警棒などの武器も所持・使用できる権限を持っています。
一方、ボディーガードは警備会社に所属しており、警備業務などを行います。
ボディーガードといえばこちらの方が一般的なため、この記事では「ボディーガード=警備会社所属で警備業務をする人」とします。
ボディーガードと警備員の違い
ボディーガードとは、警備員の中の1種である4号警備員のことです。
主に、依頼人の護衛や要人の警護を行います。
4号警備とは、警備業法で定められた警備業務の1つです。
人の身体に対する危害の発生を警戒・防止することが仕事であり、4号警備に従事する人のことを4号警備員と呼びます。
一方で1~3号警備の警備員は、主な仕事として施設の巡回、交通誘導、貴重品の輸送警備などを行います。
ボディーガードの仕事内容
ボディーガードは人命だけでなく、価値の高い物品を守ることも仕事の1つです。
そのために依頼人や貴重品を守るほか、不審者による出入りがないか見張ることもあります。
依頼人を守る
ボディーガードは、依頼人をさまざまな脅威から守ります。
漫画やドラマなどではボディーガードがぴったりと張り付いて守っているイメージが強いですが、実際は少し離れた場所から守ることがほとんど。
依頼人がストレスを感じず、何かあればすぐに警備態勢が整えられる距離で守っています。
また、悪意はなくても依頼人にとって過激なファンやマスコミがいることもあるため、身辺を守ることもあります。
体に触れてくる人や写真・動画を無断で撮影する人もいるため、そのような人たちから依頼人を守ることも仕事です。
不審者による出入りがないか見張る
依頼人の命や貴重品を守るために、不審な人物が出入りしないよう建物の出入り口を見張ることもあります。
建物の出入り口の見張りは一般的な警備員のイメージが強いですが、これもボディーガードの仕事の1つです。
依頼人の貴重品を守る
依頼人の貴重品を守るため、美術品などの貴重品や控え室・ロッカーにある私物を見張ります。
私物が盗まれたり、不審物が入ったりしないよう見張ります。
ボディーガードの仕事のやりがい
ボディーガードの仕事のやりがいは、人の命を守れたことや依頼人から感謝されることなどにあります。
人の命を守る仕事には大きな責任がかかるため、無事終わったときにやりがいを感じられるでしょう。
依頼人の命を守れたとき
ボディーガードは不審者から依頼人を守り切ったり、無事に仕事が終わったりしたときにやりがいを感じます。
ボディーガードは人の命を守る仕事であるため、常に緊張感が必要です。
トラブルがあった場合はすぐに対応できるよう準備が必要であり、気を抜いてよいときはありません。
しかし、無事に依頼人を守ることができたときは緊張から解放され、同時にやりがいを感じます。
依頼人から感謝されたとき
ボディーガードは人の命や物を守るため、仕事が終わった際は依頼人から直接感謝されることもあります。
「ありがとう」「助かった」と人から感謝されると自分のしたことに誇りを持てるため、最もやりがいを感じる瞬間だといえるでしょう。
ボディーガードの仕事の流れ
身辺警護を想定し、仕事の依頼から開始までの流れをご紹介します。
なお、ボディーガードの1日の流れは依頼内容によって異なるため、毎日同じ仕事をするわけではありません。
依頼によっては、内容が当日まで明かされないこともあります。
◆仕事の依頼
依頼人からお問い合わせを受けて、身辺警備や要人警護の仕事を引き受けます。
なお、情報漏洩を防ぐため、詳しい仕事内容は当日まで明かされないこともあるようです。
◆仕事開始
仕事が開始すると、依頼された場所で依頼人を脅威から守ります。
仕事内容によっては1日中護衛する場合もあれば、目的地まで護衛する場合もあるようです。
ボディーガードの年収
ボディーガードの年収は288~300万円ほどです。
ボディーガード兼運転手、警備員としてボディーガードの仕事も一部行うなど、どのような仕事を行うかにより年収は異なります。
実際に求人を見ると、役員付ドライバー業務ありのボディーガードの場合は月給24~40万円ほど。
身辺警備業務に関する資格を持っている人限定のボディーガードの場合は月給30~50万円など、給与の幅はかなり広いといえます。
ボディーガードに必要な資質と能力
ボディーガードといえば、高い身体能力が必要だと思う人もいるでしょう。
確かに、格闘家や空手・柔道の有段者などは身体能力が高く、そのような経験があれば依頼人も安心です。
しかし、ボディーガードに必要な資質や能力は身体能力だけではありません。
依頼を遂行するための使命感や責任感、情報を収集して分析する能力や、周辺を観察して的確な判断と行動ができる能力も必要です。
情報収集能力と分析力
仕事中は「現場にどんな不審人物が現れる可能性があるか?」「どんな時に攻撃される可能性があるか?」など、あらゆることを想定して事前に備える必要があります。
そのため情報を収集し、適切に分析して警護に役立てられる能力が必要です。
危険なサインを察知する能力
依頼人を不審物や不審者の危険から守るためには、危険なサインを察知して行動できる能力が必要です。
例えば、依頼人に刃物を向けられたときに行動を始めたのでは遅すぎます。
この場合はナイフを向けられる前から不審な動きをしている人物を確認し、危険から遠ざけることが必要です。
人の動きをよく観察して次にどのような行動をするかを予想する能力が必要になります。
危険な行動が予想できれば、危険が発生する前に依頼人をどのように守るか判断できるでしょう。
緊張状態を続けられる精神力
ボディーガードは人命にかかわる仕事でもあるため、緊張を維持するための精神力が必要です。
常に周辺を警戒し、緊張状態を続けられるほどの精神力が求められます。
もし緊張が維持できなかったら、スキを突かれて依頼が失敗に終わるかもしれません。
依頼人を危険にさらしたり命や貴重品が奪われたりしないためにも、長時間緊張を維持するための精神力が必要です。
ボディーガードになるための方法とは?
ボディーガードになりたい人のために、ボディーガードの勉強ができる学部・学科をご紹介します。
また、必要な資格や受験すべき試験についても触れているため、ボディーガードになりたい人はチェックしてください。
ボディーガードの世界の現状
世界で警備員として働く人は、推定2,000万人といわれています。
イギリスのとある会社の調査によれば、世界の人口の半数以上は警官より民間警備員の数が多い国で暮らしているそうです。
また、ジャスティン・ビーバーやビヨンセなどの海外セレブもボディーガードを雇っており、ボディーガードを雇うことは富の象徴とされています。
なお、日本は海外に比べて治安がよいせいか、有名人であってもボディーガードがついていないことがほとんど。
国会議員や皇族に関しては、警察官が身辺警護を行っています。
ボディーガードになるための勉強ができる大学・学部
ボディーガードになるには、体育学やスポーツ学などが学べる学部・学科に進むのがオススメです。
また、人の動きを読むために心理学、外国人の依頼人とコミュニケーションが取れるよう語学を学んでおくのもよいでしょう。
<ボディーガードになるための勉強ができる学部・学科>
・国士舘大学(体育学部)/東京
・日本体育大学(体育学部)/東京
・東海大学(体育学部)/東京
・中京大学(スポーツ科学部)/愛知
・環太平洋大学(体育学部)/岡山
・福岡大学(スポーツ科学部)/福岡
・鹿屋体育大学(体育学部)/鹿児島
ボディーガードに必要な資格や受験すべき試験
ボディーガードは各企業が独自に採用試験を行うため、必須の資格や試験は明確には決まっていません。
必須の資格や試験がない中で採用を有利に進めるためには、国際ボディーガード協会の訓練の受講で認定される資格の取得がオススメです。
だれでも参加できるベーシックコースでは、AICPO国際ガード認定バッジが取得できます。
ベーシックコース修了者はアドバンスコースが受講でき、国際ボディーガードライセンスの取得が可能です。
最上位訓練課程のマスターコースは、修了するとAICPO国際ボディーガード訓練でインストラクターとして従事できます。
また、レベルの高いボディーガードとして活躍したいのであれば、アドバンスコースまでの受講がオススメです。
ボディーガードになった後のキャリアプラン
ボディーガードとして働く場合、引退するまでボディーガードを続ける道や自分が所属している警備会社の管理職・経営者になる道もあります。
民間会社の管理職や経営者になるには、まずはボディーガードが所属する会社で経験を積むとよいでしょう。
また、語学力がある場合は海外でボディーガードとして働くこともできます。
民間会社で管理職や経営者として活躍する
民間会社のボディーガードとして長く勤務しており、評価が高ければ研修を指導する立場になったり管理職に昇進したりすることもあります。
また、自分で起業して経営者として活躍したりする道も良いでしょう。
なお、警備会社を起業するには「警備員指導教育責任者」の資格取得がおすすめです。
これがなければ、警備会社を起業するための認可を受けることができません。
海外でボディーガードとして活躍する
語学力がある場合、海外でボディーガードとして活躍することもできます。
国を問わずボディーガードとして働きたい場合は、国際ボディーガード協会に所属するのがオススメです。
国際基準の身辺警護と要人警護教育訓練を受けられるほか、国境を越えた警護サービスを提供しているため、海外での活躍が期待できます。
ボディーガードへの道を「JOB-BIKI」で検索しよう
ボディーガードは、依頼人の命や貴重品を守る責任の大きな仕事です。
身体能力はもちろんですが、情報収集能力と分析力、危険なサインを察知する能力、緊張状態を続けられる精神力が必要になります。
自分の理想とするボディーガードになるには、まずは体育学やスポーツ学が学べる大学に進学すると良いでしょう。
さらに人の動きを読み取るために心理学を学び、海外での活躍を目指すのであれば語学力を付けておくのもオススメです。
また、ボディーガードとして就職活動を有利に進めるために、資格の取得を目指すのも良いでしょう。
一般企業就職後に資格の取得も目指せますが、働きながら資格取得を目指すには時間が足りないことも考えられます。
そのため、ある程度時間の自由度が高い在学中に資格を取得しておくのがオススメです。
卒業後は警備会社のボディーガードとして経験を積み、キャリアプランを練ります。
経験を積めば管理職に昇進したり、会社を起業して経営者になったり、語学力があれば海外で活躍することも夢ではありません。
さらにボディーガードの仕事について知りたい方は「JOB-BIKI」の「就職先検索」で検索してみてはいかがでしょうか?
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