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ラジオディレクターになるには?仕事内容や求められる資質などを紹介

2023.08.22

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ラジオ番組の企画から監督までこなす「ラジオディレクター」は多くの人と関わりながらお仕事をするため、リーダーシップの力が求められます。

しかし人気番組を生み出し、多くのリスナーから感謝されたときは、とても大きなやりがいが感じられるでしょう。

この記事では、ラジオディレクターの仕事内容や必要な資質・能力、目指すための方法をご紹介します。

ラジオディレクターとは?

ラジオディレクターは、ラジオ番組に関するさまざまな仕事に携わる職業です。
はじめに、よく似た役職の「アシスタントディレクター」と「ラジオプロデューサー」との違いについてご説明します。

ラジオディレクターとアシスタントディレクターの違い

アシスタントディレクターはADとも呼ばれ、ディレクターの後ろで業務を教わる「ディレクターの卵」です。
テレビ業界でよく聞くADですが、ラジオ業界にも存在しています。

ラジオ業界のADであれば、ラジオ番組内で流すCDの準備や台本のコピーなど、ラジオディレクターの指示を受けて動きます。
仕事や流れを覚えて一人前になったら、晴れてラジオディレクターとなります。

ラジオディレクターとラジオプロデューサーの違い

ラジオプロデューサーは、ラジオ企画の立ち上げから出演交渉などを行う総責任者のことです。
一方でラジオディレクターとは、企画を完成させるためにスタッフへの指揮や管理を行う、現場における責任者を指します。

両者は、ラジオプロデューサーが上司、ラジオディレクターが部下という関係性がほとんどです。

ラジオディレクターの仕事内容

企画書を作るラジオディレクター

ラジオディレクターの仕事は、ラジオ番組を取り仕切ることです。
番組の企画を練ったり、制作費用の調整や打ち合わせをしたりなどさまざまな仕事をします。

番組の企画・台本づくり

ラジオ番組の企画と台本づくりもラジオディレクターの仕事です。

台本づくりは本来放送作家の仕事ですが、予算が少ない場合はラジオディレクターが書くこともあります。
ラジオ番組の台本を作成する際は、スタッフやパーソナリティー、ゲストとの打ち合わせを通し、構成を練って制作します。

また、音楽番組であれば楽曲の知識を身に付けたり本番のために準備することも必要です。

なお、ラジオディレクターは1つの番組だけでなく複数の企画・台本をつくり、番組を掛け持ちすることもあります。

ラジオ番組内の時間配分

ラジオ番組内の時間配分を行うのもラジオディレクターの仕事です。
決められた時間内で番組を円滑に進められるよう、時間配分を調整します。

打ち合わせから本番の録音

番組の打ち合わせには、各部署やラジオパーソナリティーとの打ち合わせが必要です。
ラジオディレクターはそこから本番の録音まで、あらゆる作業に関わります。

例えば、番組をスムーズに進めるためにスタッフと出演者とコミュニケーションをとるほか、それぞれに的確な仕事を与えるのも仕事の1つです。

ラジオディレクターの仕事のやりがい

リスナーから届いたメールを読むラジオパーソナリティ

テレビ業界とラジオ業界の両方に「ディレクター」という職業が存在しますが、媒体が異なるためやりがいを感じる瞬間は異なります。
「テレビもラジオも変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、ラジオディレクターのやりがいはラジオでしか味わえないものです。

リスナーから感謝される

ラジオ番組は、主にリスナーから「メール」「SNS」「ハガキ」などで反応が来ます。

悪いこともよいことも、直接反応を受け取って改善に繋げたりモチベーションを上げられたりすることもラジオの魅力です。
リスナーにとってよい情報が放送できれば感謝されることもあるため、そうした言葉がもらえることもやりがいに繋がります。

なお、ラジオ番組にはがきでネタを投稿する人は「ハガキ職人」と呼ばれています。
レベルの高いネタを投稿してくれるため、ラジオ番組を盛り上げるには欠かせない存在です。

つくりたかった企画をラジオ番組としてカタチにできる

自分が考えた企画をラジオ番組として世に送りだすことができたとき、大きなやりがいが感じられます。
また、番組が大きな話題になったときや、パーソナリティーがラジオをきっかけに活躍していくことも、大きな喜びややりがいが感じられるようです。

ラジオディレクターの仕事の流れ

ラジオディレクターは主に放送局か制作会社で働いていますが、今回は制作会社のラジオディレクターの仕事の流れをご紹介します。
1日のスケジュールは番組の掛け持ち数や放送時間によって変わりますが、仕事の流れはあまり大差ありません。

放送作家と打ち合わせるラジオディレクター

ラジオ番組の放送前

放送前は打ち合わせと台本づくり、パーソナリティーと番組概要の説明などを行います。

打ち合わせは、スタッフ全体会議と、放送作家と2人で行うパターンがほとんどです。
スタッフ全体会議は人数が多いため日時が決められていますが、放送作家との打ち合わせは基本的に2人で行うため、時間や場所が自由に決められます。

ラジオ番組の放送当日

放送開始の1時間から2時間前にスタジオに入ります。
生放送であればタイムテーブルを作成し、台本に不適切な表現がないかなどを確認するためです。

パーソナリティーがスタジオ入りしたら台本を元に打ち合わせを開始し、終わったら音素材のチェックを始めます。
音素材のチェックとは、放送で使用するCDが問題なく使用できるか、イントロ部分の音の大きさは適切か、などの確認です。

また、番組ホームページやSNSに書き込んだ番組概要と当日の内容が合っているかもチェックします。

ラジオ番組の本番中

ラジオ番組の本番中では、CMに入るタイミングで指示出しをしたり、ラジオパーソナリティーへ適切なタイミングでコーナーに入る指示を出したりします。

そしてラジオ番組の放送中において最も大切なことは時間配分です。
分刻みでスケジュールが組まれているため、時間通りに進行できるよう場をコントロールするのもラジオディレクターの腕の見せ所。

また、あらかじめラジオ番組における準備を万全にしていても、本番中ではさまざまなトラブルが起こる場合があります。
発生したトラブルに対処したり、番組が途中で止まらないよう進行させたり、常に緊張と隣合わせです。

ラジオ番組の放送後

放送後は番組ホームページやSNSアップ用の写真を撮影するほか、トラブルがあった場合は反省会を行います。
また、番組プレゼントの企画があれば当選者への発送手続きも必要です。

ラジオディレクターの年収

放送局での初任給は21~24万円程度といわれており、大手放送局のラジオディレクターであれば年収600~1,000万円ほどになるといわれています。
地方の放送局や制作会社の場合は、年収350~600万円ほどです。

放送局へ入社せず個人でラジオディレクターを行う場合、人気が高くなれば高収入が期待できますが、仕事がなくなれば収入もなくなってしまうこともあります。

ラジオディレクターに必要な資質と能力

流行に敏感なラジオディレクター

ラジオディレクターはラジオ番組を企画するほか、スタッフやパーソナリティーとの打ち合わせやコミュニケーションも大切な仕事の1つです。
また、現場の声を上層部に伝える役割も持っているため、コミュニケーション能力は不可欠といえます。

そのほか、ラジオディレクターだからこそ必要な資質と能力は「ラジオへの情熱」「流行や話題にアンテナが張れる」「トラブルが発生しても計画通りに進められる責任感」の3つです。

ラジオへの情熱を持っている

ラジオディレクターにはラジオへの情熱が不可欠です。

ラジオはテレビとは違い、映像で視覚から伝えることができません。
その特性をよく理解し、音や音声でどれだけ伝えられるか、リスナーが盛り上がる企画とは何か?を考える情熱が必要です。

現代の流行や話題へのアンテナが張れる

リスナーに喜ばれるラジオ番組をつくるには、リスナーが求めているものを追求するための想像力と情報収集能力が必要です。

リスナーが求めるものといえば、流行や話題性のあるものが多く挙げられます。
そのため、最先端の流行や話題に対して常にアンテナが張れる人がラジオディレクターに向いているでしょう。

どんなトラブルが起こっても計画通りに進める責任感

ラジオ番組はパーソナリティーとゲストが表に立つものであり、ラジオディレクターの完全に理想通りにはならないこともあります。
例えばゲストが遅刻するなど、何らかのトラブルが発生する可能性もあるでしょう。

しかし、ラジオは時間が決まっていて急に中止することはできません。
そのため、どんなトラブルが起こっても計画通りに番組を進める対応力と責任感が必要です。

ラジオディレクターになるための方法とは?

ラジオディレクターは大学でマスコミやメディアについて学び、ラジオ放送局や制作会社に就職することが一般的です。

ただし、就職してもすぐADになれるわけではありません。
社員として仕事をこなせるようになったらADとなり、仕事の流れを覚えて一人前になるとようやくラジオディレクターになれます。

ラジオディレクターの世界の現状

日本のラジオのリスナーは、長期にわたって減少傾向にありました。

しかし、新型コロナウイルスによって在宅時間が長くなったため、音声コンテンツの利用者が増加しています。
また、日本だけでなくオランダやスペイン、ドイツ、フランスなど、世界各国で音声コンテンツの利用が増加しているようです。

最近ではラジオの聞き方も変化し、放送時間に間に合わなくても配信サービスで聞いたり、ラジオではなくラジオアプリから聞いたりするようになりました。
このような配信方法の変化も、音声コンテンツの利用者が増加した理由と思われます。

音声コンテンツの利用者が増加したということは、ラジオもまだまだ需要があるということです。
最近では防災ラジオの重要性も見直されており、ラジオディレクターという職種がなくなることはないでしょう。
ただし、リスナーの減少が続けばラジオ番組自体も減少してしまい、ラジオディレクターになれる人数が減ってしまうでしょう。
ラジオ番組を作っている制作会社に入社しても、ラジオディレクターになれない可能性もあります。

ラジオディレクターになるための勉強ができる大学・学部

大学で音声メディアのことを学ぶ学生

ラジオディレクターになるには、マスコミやメディア系の学部・学科への進学がオススメです。
マスコミ学やメディア学が学べる大学では、実践的な学びからメディア業界で活躍できる人材を目指せます。

<ラジオディレクターになるための勉強ができる大学・学部>
・日本大学(芸術学部放送学科)/東京(江古田キャンパス)
・江戸川大学(メディアコミュニケーション学部マス・コミュニケーション学科)/千葉
・東海大学(文化社会学部広報メディア学科)/神奈川(湘南キャンパス)
・中部大学(人文学部メディア情報社会学科)/愛知
・羽衣国際大学(現代社会学部放送・メディア映像学科)/大阪
・帝塚山学院大学(リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科)/大阪

なお、大きな話題となったラジオ番組のディレクターとして知られる人は、以下の大学・学部出身で知られています。

<有名ラジオディレクターの出身校>
・石井玄(明治大学政治経済学部)
・野上大貴(慶應義塾大学法学)
・伊奈かっぺい(青森短期大学)
・佐藤健一(秋田大学商経科)
・上之園公秀(大阪学院大学経済学部)

ラジオディレクターに必要な資格や受験すべき試験

ラジオディレクターになるために必要な資格や試験は特にありません。
制作会社へ入社するには、大学の放送研究会やサークルへの所属や、放送局でのアルバイト経験などが役に立ちます。

放送研究会やサークルのOBにラジオディレクターがいることもあるため「どのようなルートでラジオディレクターになったのか?」などを質問してもよいでしょう。

ラジオディレクターになった後のキャリアプラン

ラジオADからディレクターになったら、そこでキャリアが終わるわけではありません。
ラジオディレクターとして経験を積めばチーフディレクターに、さらに実力がつけばラジオプロデューサーも目指せます。

チーフディレクターになる

ディレクターになって数年たつと、チーフディレクターを任されることがあります。
チーフディレクターとは、各曜日を担当するディレクターをまとめるチーフのことです。
主にワイド番組でディレクターを統括します。

ラジオプロデューサーになる

一般的にプロデューサーとは、ディレクターの上司のポジションに位置する人を指します。
特にラジオ業界では番組の最高責任者であり、番組を存続させるかどうかの判断を下す重要なポジションになります。

そのため、ラジオディレクターからキャリアアップしたいのであれば、ラジオプロデューサーを目指すのも1つの方法といえます。

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ラジオディレクターは、ラジオ番組の企画から現場の監督まで行う職業であることがわかりました。

ラジオディレクターになるには、マスコミやメディア系の大学へ進学するとよいでしょう。
卒業後は放送局か制作会社に就職し、まずはADを目指します。

ADとして一人前になれたら、ようやくラジオディレクターです。
ラジオディレクターになった後はチーフディレクターを務めたり、ラジオプロデューサーを目指したりするのもよいでしょう。

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