証券アナリストになるには?仕事内容や資格の難易度、目指せる大学について解説
2023.08.24
目次
証券アナリストとは?
証券アナリストとは、市場や企業に関する専門知識を活かし、投資家や金融機関に対して有益な情報を提供する専門家です。彼らは市場動向や企業の業績を分析し、投資家に対して投資の意思決定をサポートします。具体的には企業の財務状況や業績予想、市場トレンドなどの情報を収集・分析し、株式や債券の評価やリサーチレポートの作成を行います。これによって、投資家はより合理的な判断を下すことができるのです。
証券アナリストは市場や企業に関する研究を行い、トレンドや先行指標を見極めることで、将来の市場動向を予測する役割も担います。
証券アナリストの重要な役割は信頼性の高い情報の提供です。彼らは独立した立場で分析を行い、客観的な見解を提供します。これによって、投資家はより信頼できる情報に基づいて投資判断をすることができるのです。
証券アナリストは、市場の動向を正確に予測し、投資家に有益な情報を提供することで、投資の成功を支援するのが仕事です。
証券アナリストの仕事内容
まず証券アナリストは市場のトレンドや動向を追跡します。経済指標や政治情勢、金融政策などの情報を収集し市場の変動要因を把握します。これによって、市場の先行指標やリスク要素を予測することができます。
証券アナリストは企業の財務データや業績を詳細に分析します。収益性、成長性、資本構造などの要素を考慮し企業の現状や将来性を評価するのです。さらに業界の競争状況や市場シェア、新商品や技術の開発なども考慮に入れます。
これらの分析結果をもとに、証券アナリストは投資家や金融機関に対してリサーチレポートを作成します。これには投資銘柄の評価やリスク分析、投資戦略の提案などが含まれるのです。彼らの報告書は投資家の意思決定の参考となり、適切な投資判断を行うための情報を提供します。
証券アナリストの仕事の流れ
証券アナリストの一日の仕事の流れの一例です。
午前中は、市場の情報収集と分析に集中しています。まず早朝に市場ニュースをチェックし、経済指標や企業の重要な発表を確認します。これにより、市場のトレンドや関心事項を把握することができるのです。次に、株式や債券のチャート分析や財務諸表のデータ解析を行います。企業の業績や財務状況の詳細を把握することで、投資のポテンシャルを判断します。さらに業界の動向や競合他社の動きも注視するのです。
証券アナリスト同士やトレーダーとのミーティングやディスカッションも行われます。これによって、情報の共有や意見交換が行われより深い洞察力を得ることができます。チームでの連携やデータの比較・検証は、より正確な予測や評価につながるでしょう。
午後は、分析結果のまとめや報告書の作成に注力しています。まず、朝の市場の動向を再評価し分析結果を確認します。これによって、最新の情報を基にした意見や見解を形成することが可能です。続いて分析結果をリサーチレポートにまとめます。市場のトレンドや企業の業績を詳細に記載し、投資家にわかりやすく伝えるための報告書を作成します。的確な情報や専門的な見解を提供することで、投資家が意思決定をする際に参考となるでしょう。
さらに、クライアントとのコミュニケーションも重要な仕事です。投資家や金融機関との面談や電話会議を通じて、報告書の内容や見解について説明し質問や疑問に対応します。的確な情報提供や説明が、クライアントの信頼を得る上で重要な要素となります。
証券アナリストの年収とやりがい
経験や専門知識、所属する企業などにより600万円から1500万円ぐらいまでさまざまです。経験の浅い新人アナリストの年収は低めで始まりますが、経験を積むとともに昇進や実績によって増加します。さらに証券会社の規模や業績によっても影響を受けます。また、日本企業より外資系企業の方が収入は多い傾向にあります。
証券アナリストはベース給与に加えて、業績連動のボーナスや報奨金を受け取ることもあるのです。業績によって変動するため、好調な年度には収入も増える可能性があるのです。ただし市場の変動や景気の影響を受けるため、収入には一定の変動要素があることも念頭に置く必要があります。
一般的には他の職業と比べて報酬水準は高めです。
証券アナリストのやりがい
市場の変動や企業の業績に関する情報収集と分析で、投資家や金融機関に有益な情報を提供することです。彼らは市場のトレンドや企業の状況を深く理解し、的確な判断を下すことで、投資家の成功に寄与することができます。
証券アナリストは自身の専門知識と分析力を活かし、投資に関する重要な意思決定を支援することができるのです。彼らは独自の情報収集やデータ解析で市場の先行指標やリスク要素を把握し、投資家に対して的確なアドバイスを提供することができます。
証券アナリストのやりがいは、自身の分析能力と専門知識を活かして投資家の成功に貢献することにあります。彼らは市場のトレンドを予測し企業の業績を分析することで、投資家に対して信頼性の高い情報を提供することができるのです。
証券アナリストに必要な資質と能力
証券アナリストにはどのような資質や能力が求められるのでしょうか。ここでは、証券アナリストにとくに重要な資質・能力を押さえておきましょう。
高い分析能力と論理的思考力
複雑な市場データや企業情報を的確に把握し、経済動向や業績予測について正確な見解を提供する必要があります。
情報収集能力
市場のトレンドや企業の動向に敏感である必要があります。最新のニュースや業界情報をキャッチアップし、それを的確に分析することで、価値ある情報を投資家に提供できるのです。
コミュニケーション能力
証券アナリストは、複雑なデータや専門的な情報を分かりやすく伝える必要があります。投資家やクライアントとの円滑なコミュニケーションを通じて、彼らのニーズを把握し適切なアドバイスを提供することが求められます。
自己学習能力と柔軟性
市場や企業の状況は常に変化しており、新たな情報やテクノロジーの進展にも迅速に対応する必要があります。自らの知識をアップデートし、変化に対応できる能力を持つことが求められるのです。
経済学や金融学などの学術的なバックグラウンドがあることは有益ですが、実務経験や資格取得など、実績とスキルも評価されます。証券アナリストには学歴が一つの要素となり得るものの、専門的な能力や経験が重要なポイントとなります。
証券アナリストになるための方法とは?
証券アナリストになるのに、資格は不要です。証券会社や銀行、保険会社、投資顧問会社などの金融会社に就職後、経験を積み、アナリストになるのが一般的です。
証券アナリストになるための大学・学部
経済学部で経済学や金融学、経営学など証券分析に関連する学問を専攻することが望ましいでしょう。これによって、市場の仕組みや投資に関する基礎知識を身につけることができます。主な学科としては以下のようなものになります。
・経済学科
・金融学科
など
就職先では証券や金融機関を選ぶことが一般的です。ここでの実務経験は非常に重要であり、市場データの分析やリサーチレポートの作成など、実際の業務を通じて証券アナリストのスキルを磨くことができます。
証券アナリストに必要な資格
証券アナリストになるのに、特別な資格は必要ありませんが、資格をとっておけば就活でアピールしやすくなります。
証券アナリストの資格試験には「日本証券アナリスト協会認定アナリスト」があります。この資格は国家資格ではないことや、取得していなくても証券アナリストとして働けることから「取得しても意味ない」と言う人もいるようです。しかし、取得することで、専門的な知識とスキルを証明でき、現場で役立つことは確かです。年齢や学歴関係なく誰でも受験可能なので、証券アナリストを目指す人は取得を目指すのもいいでしょう。
証券アナリスト取得の流れは、以下のとおりです。
- 日本証券アナリスト協会の講座受講
- 試験に合格
- 実務経験3年以上
実務経験とは、金融に携わる職種などを指します。自分が目指している職種が当てはまるか気になる人は、日本証券アナリスト協会公式でご確認ください。
ここでは、証券アナリストの資格について以下の項目を解説していきます。
- 証券アナリストの試験内容
- 証券アナリストの試験日
- 証券アナリストの難易度
- 証券アナリストに必要な勉強時間
証券アナリストの試験日と試験内容
証券アナリストの試験は、一次試験と二次試験があります。一次試験に合格した人のみ、二次試験に進める流れです。
試験概要は、以下のとおりです。
一次試験 | 二次試験 | |
試験日 | 4月/9月 | 6月 |
内容 | 科目Ⅰ:①証券分析とポートフォリオ・マネジメント 科目Ⅱ:②財務分析③コーポレート・ファイナンス 科目Ⅲ:④市場と経済の分析⑤数量分析と確率・統計⑥職業倫理・行為基準 | ・証券分析とポートフォリオ・マネジメント ・財務分析 ・コーポレート・ファイナンス ・市場と経済の分析 ・数量分析と確率・統計 ・職業倫理・行為基準 ・証券分析とポートフォリオ・マネジメント ・財務分析 ・コーポレート・ファイナンス ・市場と経済の分析 ・数量分析と確率・統計 |
受験料 | 科目Ⅰ:7,000円 科目Ⅱ:3,500円 科目Ⅲ:3,500円 | 16,500円 |
参考:CMA1次試験に備える・申込む(試験の内容・実施・合否)|日本証券アナリスト協会 (saa.or.jp)
一次試験は3科目あり、すべてに合格する必要があります。1回の試験でまとめて受験することも、分けて受験することも可能です。
証券アナリストの難易度
近年の証券アナリストの一次試験合格率は、以下のとおりです。
春 | 秋 | |
2023年 | 46.4% | 50.5% |
2022年 | 48.6% | 47% |
2021年 | 51.8% | 53.8% |
2020年 | 中止 | 55.0% |
2019年 | 47.3% | 52.6% |
引用:CMA1次レベル試験データ|日本証券アナリスト協会 (saa.or.jp)
合格率は例年50%前後であり、難易度はそれほど高くないように思えます。しかし、合格者の7割は金融機関や投資運用会社に勤めている人です。学生の合格者は数パーセントしかいないことを考えると、実務経験なしでの合格は難易度が高いのもしれません。
H4証券アナリストに必要な勉強時間
日本証券アナリスト協会が発表している合格者の声によると、証券アナリスト合格に必要な勉強時間は、一次試験150時間、二次試験100時間の合計250時間程度と言えます。二次試験は一次試験の内容と被る部分が多いため、勉強時間が少し減ります。
250時間は、平日2時間、土日に8時間勉強して、約3ヵ月かかる計算です。もちろん、必要な勉強時間は個人差があります。大学で経済学や金融学を学んだ人であれば、より少ない時間で合格を目指せるでしょう。
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