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カーデザイナーになるには?仕事内容ややりがいなどをご紹介

2023.09.27

カテゴリー:
カラーデザインをするカーデザイナー

カーデザイナーの仕事は、自動車の外装や内装、色や素材などをデザインすることです。

見た目の美しさだけでなく機能性や安全性、コストに配慮してデザインする必要があります。

自分がデザインした自動車を街で見かけると達成感を得られたり、嬉しさを感じられたりするでしょう。

この記事ではカーデザイナーの仕事内容や、仕事の流れをご紹介します。

カーデザイナーに求められる資質や能力、持っておくと有利な資格も解説するので、目指す方はぜひ参考にしてください。

カーデザイナーとは?

カーデザイナーは、自動車のデザインを行う仕事です。
カーデザイナーの中でも、外装または内装のデザインを担当する人、自動車の粘土模型をつくる人、色や素材を決める人などに分かれています。

自動車メーカーやデザイン事務所にカーデザイナーとして就職することが主です。
自分がデザインした自動車を世に送りだすことができる、とてもやりがいのある仕事です。 

カーデザイナーとレーシングカーデザイナーの違い

カーデザイナーのうち、特にレーシングカーのデザインを行う職業をレーシングカーデザイナーといいます。
レーシングカーデザイナーはレースに使用する自動車のデザインを行うため、「自動車をデザインする」点ではカーデザイナーと同じです。

しかしレーシングカーは空気の流れを利用して速く走る必要があるため、スピードを重視して自動車をデザインしなければなりません。
機能性や安全性、利便性、コスト、環境に配慮してデザインするカーデザイナーと、スピードを考えてデザインするレーシングカーデザイナーは重視する点が異なります。

レーシングカーデザイナーになるには一般的な自動車メーカーやデザイン事務所ではなく、レーシングカーの製造を行う企業に就職する、レースに参加するチームに所属するといった方法をとる必要があります。
またデザインの勉強はもちろん、機械工学や流体力学などの分野を学んでおくとよいでしょう。

カーデザイナーの仕事内容

クレイモデラーの仕事の様子

カーデザイナーの中でも以下のような仕事があり、すべてを一人で担当するのではなく、チームごとに分かれて作業することで車のデザインを行っています。

・エクステリアデザイナー:自動車の外装をデザインする
・インテリアデザイナー:自動車の内装をデザインする
・クレイモデラー:粘土(クレイ)を使って自動車の模型をつくる
・デジタルモデラー:デザインを3Dデータにする
・カラーデザイナー:自動車の外装・内装の色や素材を決める

同じカーデザイナーでも担当する仕事によって、「スケッチでデザインを描く」「模型をつくる」「デジタルで立体的に表現する」などと異なる作業を行います。
またカーデザイナーは見た目の美しさだけでなく、自動車の利便性、安全性、機能性、快適性、コスト、環境に配慮してデザインするのも重要です。

カーデザイナーの仕事のやりがい

試作車の耐久テスト

自動車が完成するまで数年の期間を要することが多いです。
デザインがよくてもコストがかかりすぎる、大量生産に適していないなどの問題が発生するたびに、カーデザイナーはスケッチを描きなおしたり、模型をつくりなおしたりといった作業を行う必要があります。
困難を乗り越えた末に、自分のデザインした自動車が販売され、走っているのを見ると達成感を得られるでしょう。
デザインした自動車に乗るお客さんの喜ぶ姿を目にすると、嬉しさも感じられます。

またカーデザイナーは開発や製造を担当する人など、多くの従業員と関わる点も仕事の特徴です。
一人ではなく、チームでひとつのものをつくりあげるのが好きな方は、楽しさを味わえるでしょう。

カーデザイナーの仕事の流れ

新しい自動車の発案から販売までの流れを見ていきましょう。
カーデザイナーは市場調査を行ったり、製造過程でデザインを変更したりと多くの工程に携わっています。

市場調査を行ってコンセプトを決める

新作の自動車をつくるには、まずコンセプトを決めることが大切です。
どの家族構成に向けてつくるのか、どのくらいの価格設定にするのかなどを考え、どのような自動車をつくるのか協議します。
協議する上で売れている自動車は何人乗りか、価格はいくらかといった市場調査を行うのが重要です。
コンセプトを決める会議に、カーデザイナーが参加することもあります。
流行のデザインや価格が抑えられる素材など、デザインに関する知識が必要になるでしょう。

自動車のデザインを考える

決まったコンセプトをもとに、カーデザイナーが自動車の外装や内装、色、素材などのデザインを考えます。
見た目の美しさだけでなく設計できるか、製造できるか、予算内かなど他部署と協議しながらデザインを完成させていくのです。
デザインを考える際は手書きでスケッチしたり、Computer Aided Design(CAD)というシステムツールを用いたりします。

実物大の模型や試作車をつくる

デザインが決まると特殊な粘土を使って、実物大の自動車模型をつくります。
模型をつくる作業はデザインの確認だけでなく、利便性や機能性を確かめるためにも重要です。
問題点を修正しながら、完成に近づけていきます。

模型が完成したら試作車を製造し、安全性や耐久性などの項目をチェックします。
以前は実際に試作品を衝突させて実験していましたが、現在は精密度が上がったためパソコンでシミュレーションすることが多いです。

生産して販売店へ

すべてのチェック項目に合格できれば、自動車の生産を開始。
生産後も一台に付き、1,500~2,000項目ほどの検査を行います。
検査に合格するとキャリアカーや船を使って、全国の販売店や海外へ輸送されるのです。

カーデザイナーの年収

厚生労働省の調査によると、インダストリアルデザイナーの平均年収が480.6万円と記載されています。
インダストリアルデザイナーの平均であるため、デザインするものによって年収は異なるでしょう。
また就職先が自動車メーカーなのか、デザイン事務所かによっても異なります。

自動車メーカーの年収は450~700万円ほど、デザイン事務所の年収は350~600万円ほどと自動車メーカーのほうが年収が高いです。

カーデザイナーに必要な資質と能力

カーデザインの発想力と表現力が豊かな子供

カーデザイナーとして働くには、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。
カーデザイナーに必要な資質や能力を解説します。

デザインの発想力と表現力がある人

自動車のデザインを行うカーデザイナーは、多くのアイディアが浮かぶ人が向いているでしょう。
デザインを決めるときには、いくつものアイディアを提示する必要があります。
また修正を繰り返しながらデザインを決めていくため、スムーズに案を提出するには発想力が重要です。

しかし、加えて表現力がなければ意味がありません。
スケッチやCADで考えたデザインを、人に伝わるように表現するのが大切です。
また会議中にデッサンを求められることもあるため、すばやく表現するチカラも必要でしょう。

自動車の知識を深められる人

自動車のデザインは、性能や安全性に直結することがあります。
デザインだけでなく、自動車の知識を深めることも大切です。
デザイン以外の物事にも関心を持って、学ぶ意欲の高い人はカーデザイナーに向いているでしょう。

マーケティング力がある人

カーデザイナーにも、マーケティング力が求められます。
マーケティングとは、消費者が求めるものを明らかにして製品の開発や価格設定、効果的な販売などの職務を行うこと。
カーデザイナーも自動車のコンセプトを決める会議に参加することがあり、人気のデザインや流行のデザインを提示する必要があります。
また自動車の開発から完成まで数年の期間を要するため、長期的に市場を分析できる人がカーデザイナーに向いているでしょう。

カーデザイナーになるための方法とは?

カーデザイナーになるには、どのような方法をとるとよいのでしょうか?
カーデザイナーを目指せる進学先をご紹介します。

カーデザイナーになるための勉強ができる大学・学部

カーデザイナーを目指すなら工業デザインや、生産デザインを学べる大学に進学するとよいでしょう。
カーデザイナーになるためにオススメの大学は、以下のとおりです。

・武蔵野美術大学(東京):造形学部-工芸工業デザイン学科
・多摩美術大学(東京): 生産デザイン学科-プロダクトデザイン専攻
・東京工業大学(東京、神奈川):工学院-機械系
・金沢美術工芸大学(石川):美術工芸学部-デザイン科-製品デザイン専攻
・神戸芸術工科大学(兵庫):芸術工学部

東京工業大学の機械系では、機械工学の基礎知識を学んだ後にデザイン工学や、機械設計などの応用知識を学びます。

カーデザイナーに有利な資格

資格を活かして働くカーデザイナー

カーデザイナーになるのに必要な資格や受験すべき試験はありませんが、なる上で有利な資格があります。

プロダクトデザイン検定

プロダクトデザイン検定は、公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会が運営。
商品を開発する上で必要なデザイン知識の理解度を評価できます。
1級と2級がありますが、どちらも4択から答えを選ぶ選択式で、試験会場にあるパソコンを使って回答する試験です。
カーデザイナーになりたい人は、デザイナー志望者や商品開発実務者向けの1級合格を目指すとよいでしょう。

色彩検定・カラーデザイン検定

色彩検定は文部科学省が後援し、カラーデザイン検定は「国際カラーデザイン協会」が運営する試験です。
どちらも色に関する知識や技能を問う試験であるため、カーデザイナーの中でも色に興味がある人は、色彩検定かカラーデザイン検定を受けるとよいでしょう。

色彩検定は1級~3級、UC級の4つの級に分かれており、2級、3級、UC級はマークシート方式ですが、1級はマークシート方式の1次試験に加えて、記述問題が出る2次試験があります。
カーデザイナーを目指すなら実務に応用できるレベルの2級、色彩設計に携われるレベルの1級を取得するのがオススメです。

カラーデザイン検定は1級~3級に分かれており、2級と3級は選択方式、1級はマークシート方式と記述式。
2級と3級は自分の都合のよいときにインターネットで受験できます。

3次元CAD利用技術者試験

3次元CAD利用技術者試験は、一般社団法人コンピューター教育振興協会が実施しています。
3次元CADを使用する人に必要な知識や技能を証明でき、級は1級、準1級、2級の3つに分かれており、2級は試験会場にあるパソコンで行う、選択方式の試験です。
1級と準1級は実技試験で、2級に合格していないと受験できないため、まずは2級合格を目指すとよいでしょう。

Illustrator🄬・Photoshop🄬クリエイター能力認定試験

クリエイター能力認定試験は、Illustrator🄬やPhotoshop🄬の活用能力を評価する試験です。
どちらの試験ともスタンダードとエキスパートの2種類に分かれており、実技試験が出題されますが、エキスパートのほうが出題範囲が広く、知識問題も問われます。
Illustrator🄬やPhotoshop🄬を使ってデザインすることもあるため、カーデザイナーを目指す人は取得しておくのもよいでしょう。

カーデザイナーになるために目指すべき就職先

カーデザイナーになるには、自動車メーカーかデザイン事務所への就職が一般的です。

自動車メーカー

自動車メーカーに就職して、カーデザイナーになるのが一般的です。
ただし新卒で入社した場合、デザイン以外の部署に配属されるデメリットも。
デザインに関する資格を取得したり、就職活動の際にデザインの制作物を見せたりすることでカーデザイナーへの道が開けるでしょう。

デザイン事務所

工業製品のデザインを行う事務所に就職するのもひとつの手です。
ただし工業製品の中でも自動車を扱わない場合も考えられるため、どの製品のデザインを行っているか確認しておきましょう。
また自動車のデザインを行っていても、違う製品の担当になることもあります。
就職活動の際に「カーデザイナーを志望している」と伝えておくことで、ミスマッチを防げるでしょう。

カーデザイナーになった後のキャリアプラン

海外の高級自動車メーカーに勤めるカーデザイナー

カーデザイナーになった後のキャリアプランには、以下の3つがあります。
①海外に進出する
②起業する
③大学や専門学校で教員になる

海外に進出する

自動車メーカーやデザイン事務所でキャリアを積み、海外への進出を目指すのもよいでしょう。
海外でカーデザイナーとして働くことで、日本だけでは得られない経験を積めたり、デザインに関する幅広い知識を得られたりします。
有名な外国自動車をデザインすることで、業界から注目されることもあるでしょう。

起業する

新しくデザイン事務所を立ち上げる道もあります。
起業することで自分の思い通りに会社がつくれ、一つのメーカーだけでなく複数のメーカーから仕事を受けられるでしょう。
また国外でつくられる自動車や、乗用車以外の自動車のデザインができる可能性もあります。
従業員を雇って会社を大きくしていくことで、仕事の幅を広げていけるでしょう。

大学や専門学校で教員になる

カーデザイナーとして働いた後に、大学や専門学校でデザインを教える教員になる人もいます。
自分が培ってきた技術を学生に伝えることで、やりがいや楽しさを感じられるかもしれません。

カーデザイナーへの進路を「JOB-BIKI」で検索しよう

カーデザイナーとは、自動車のデザインを行う仕事です。
カーデザインに興味を持った方は、必要な勉強ができる大学や学部を調べてみてはいかがでしょうか。

詳しく知りたい方は「JOB-BIKI」の人物検索で「カーデザイナー」と検索すると、日産自動車やBMWで活躍していた方が見つけられます。
カーデザイナーを目指すためにまず情報収集をして、進路選択に役立てましょう。

「JOB-BIKI」の人物検索で「カーデザイナー」と検索する

他にも、デザインに関わる職業を知りたい方は「デザインに関わる仕事にはどのような種類がある?主な職業」を、自動車に関わる職業を知りたい方は「自動車ディーラーとは?仕事の内容と求められる人の特徴」「自動車整備士はどのような仕事をする?必要な資格やキャリアプラン」をご覧ください。

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