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【2024年版】日本語教師になるには?国家資格の取得方法や目指せる大学

2023.10.03

カテゴリー:
日本語学校で授業をする男性の日本語教師

海外から日本に来た人など、日本語が母国語でない人に日本語を教えるのが日本語教師です。
2024年4月より、国が認めた教育機関で日本語教師として働くには、国家資格が必要になりました。

この記事では、資格取得のルートを分かりやすく解説します。日本語教師の仕事内容や求められる資質や能力のほか、日本語教師を目指せる大学も紹介します。

日本語教師になるには「登録日本語教員」の資格が必要

これまで、日本語教師は公的な資格がなくてもなれる職業でした。しかし、2024年4月より、カリキュラムなど一定の基準を満たした学校「認定日本語教育機関」で日本語教師として教えるためには、国家資格「登録日本語教員」が必要になりました。登録日本語教員の第1回目の試験は、2024年11月17日に行われます。

日本語教師に国家資格が必要とされるようになった背景には、主に二つの理由が挙げられます。

一つ目は、近年の外国人留学生の増加に伴い、日本語教育の需要が高まっていることです。留学生の数が増えるにつれ、質の高い日本語教育を提供できる教師の必要性が高まっています。

二つ目は、日本語教師の人手不足を解消することです。国家資格化によって日本語教師という職業の知名度や社会的地位が向上し、より多くの人々がこの職業を目指すようになることが期待されています。また、国家資格を取得するためには、一定の学習や実習を経る必要があります。このプロセスを通して、日本語教師の質を一定水準以上に保つことができると考えられています。

つまり、日本語教師の国家資格化は、日本語教育の需要増加に対応し、人材不足を解消しつつ、教育の質を担保することを目的としているのです。

参考:4月新設の国家資格「登録日本語教員」 日本語教育の現状はどう変わる? | NHK

令和6年度以降の日本語教員試験の実施について|文化庁

日本語教師になるためのルート

文化庁によると、日本語教師になるためのルートは以下のとおりです。

引用:登録日本語教員の登録申請の手引き|文化庁国語課

※基礎試験と応用試験とは、筆記試験を指します。実践研修とは実習です。

登録日本語教員の資格取得ルートは、大きく分けると以下の2つになります。

  • 大学や短大などの養成機関卒業後に試験を受ける
  • 独学で勉強して試験を受ける

それぞれ解説します。

大学や短大などの養成機関卒業後に試験を受ける

ひとつめに、大学や専門学校などの養成機関で学ぶルートを紹介します。

養成機関で学ぶルートには2つありますが、高校生のみなさんにおすすめなのは、登録実践研修機関も兼ねている養成機関(画像の左)で学ぶルートです。

なぜなら、養成課程で実践研修も一緒に受けられるため、応用試験後の実習(実践研修)が免除になるためです。

独学で勉強して試験を受ける

ふたつめは、試験ルート。こちらは独学で勉強して試験を受けるルートです。一番安くすむ方法ではありますが、養成機関で学べば免除される基礎試験に合格する必要があります。

養成学校であれば専門的なカリキュラムに沿って学習を進められるだけでなく、経験豊富な講師陣から直接指導を受けられます。また、登録実践研修機関も兼ねている養成機関では、実習の機会も豊富にあり、実際の教育現場で指導力を磨くことができます。

日本語教師になるための勉強ができる大学・学部

登録日本語教員の資格取得は、登録実践研修機関も兼ねている養成機関に進学するのがおすすめと言いましたが、2024年6月現在、各機関は申請段階にあり、登録は早くても令和6年度の11月頃になりそうです。

参考:登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録申請等の手引き |文部科学省

ここでは、登録実践研修機関も兼ねている養成機関として登録される可能性が高いであろう「日本語教師養成課程」のある大学を紹介します。

日本語教師の仕事の流れ

日本語を教えている男性の日本語教師

日本語教師の仕事内容の流れは、以下のとおりです。

  1. 授業準備
  2. 授業の実施
  3. デスクワーク

順番に解説します。

授業準備

授業準備のメインは教案の作成です。教案とは、授業の流れを書いたもので、文法・語彙など、どこで何を教えるか、詳細に記載しておきます。

生徒の理解が深まる構成作りや、つまずきやすいポイントの事前確認なども大切です。最初は時間がかかるかもしれませんが、授業の成功には事前準備が一番大事です。

また、授業で使う教材の選定や小テストの作成、宿題の準備なども行います。生徒の理解を促すために、教材は絵カードやプリントなどを自作することもあるようです。

授業の実施

授業は基本的に日本語のみで行います。1クラスの生徒数は10~20名で、さまざまな国籍、年齢の生徒がいるようです。

授業では、日本語の読み書き会話を教えます。小学生の国語の授業をイメージすると分かりやすいでしょう。書きで言うと、まずはひらがなを学び、そのあと漢字を覚えます。

コースによって、日常会話やビジネス会話など、実践的に使える会話表現を指導します。文法や発音も教えるので、正確な知識とスキルが求められます。

日本語がどのくらいできるかは、生徒によってバラバラなため、生徒の理解に合わせて、日本語を教えていくことが大切です。

デスクワークや面談

日本語教師の仕事は授業だけではありません。ほかにも、テストの作成や提出物の管理など、デスクワークも多いです。

また、生徒の進路指導や面談も行います。日本語学校に通う学生は、大学進学や就職を目指しており、一人ひとりの目標達成に向けてサポートするのも日本語教師の大事な仕事なのです。

日本語教師の仕事のやりがい

秋葉原で日本語での会話を楽しむ生徒たち

日本語教師のやりがいは以下の4つです。

生徒の成長に喜べる

いろいろな国や文化の人が来るため、はじめはスムーズに授業が進まないなどもあるかもしれません。
しかし、日本語を学びに来る生徒の多くは、日本に興味がある人や日本語を覚える必要がある人です。
授業や日本の文化に慣れて、どんどん成長して日本語も上手くなっていく姿を見れば、日本語教師をやっていて良かったと感じられると思います。

国際的な交流ができる

生徒は母国語が日本語以外の人のため、いろいろな国の人が集まってきます。さまざまな背景の個性豊かな生徒たちがひとつのクラスにいるのは、社交性の高い人にとっては魅力的な職場でしょう。
日本にいながらにして、とても国際的な交流ができそうですよね。
日本語の授業を通して、たくさんの国の人と話ができることも日本語教師の魅力のひとつです。

海外でも働ける

日本語教師は日本以外でもできます。
海外で日本語を勉強している人も多く、ベトナムやタイ、台湾などのアジア圏でも需要があります。
海外で日本語を教える場合は、英語など他の言語での生活になるため、相当の語学力が必要です。
日本で海外の人に日本語を教える場合も、英語などは必要になってきますので、海外で日本の文化を広めることもできることを考えると、海外で仕事をしたい人の選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

日本の魅力を再認識できる

日本語を教えようと思ったら、まず自分が日本語や日本の文化について理解しておくことが大切です。
今まで当たり前と思っていたことや、あまり興味がなかったことでも、授業のために調べていく中で、知らなかった日本の魅力に気づけるかもしれません。

日本語教師の年収

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、日本語教師の平均年収は483.5 万円です。(令和5年度)

常勤講師であればボーナスなどもありますが、年収は地域によって差があるのが現状です。

非常勤講師は、フルタイムでの勤務ではない場合が多く、ほとんどが時給で働いています。

時給は1コマ1,500~2,000円前後といわれています。

非常勤の場合は常勤講師に比べて授業数も少ないため、年収も少なくなる傾向があります。

参考:日本語教師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)) (mhlw.go.jp)

日本語教師に必要な資質と能力

日本語の授業をしている女性の日本語教師

日本語教師に必要な資質と能力は、日本語教育を実践するチカラと柔軟な対応力が求められます。
さらに、以下のような能力があれば日本語教師として活躍できるでしょう。

・生徒の日本語の習得状況を分析し、適切な指導ができる
・決められた期間内に生徒全員が一定の目標まで到達できるようにプログラムを作ることができる
・作成したプログラムに対して、生徒の学習状況に応じて修正して対応できる
・授業で使用する教材に対しての理解や分析ができる
・日本語に対して常に勉強する姿勢を持っている
・生徒からまた授業を受けたいと思われるような教え方ができる

日本語教師になるために目指すべき就職先

国内

国内で日本語教師として働ける場所は、以下のとおりです。

  • 日本語学校
  • 大学、高校、中学、小学校
  • インターナショナルスクール
  • 海外からの従業員を受け入れている企業
  • 技能研修所
  • 自治体の日本語教室
  • 家庭教師
  • オンライン講師

国外

  • アジアを中心に現地での日本語学校
  • 海外進出している日本企業
  • 青年海外協力隊
  • 家庭教師
  • オンライン講師

日本語教師になった後のキャリアプラン

フリーランスになって日本語を教える女性の日本語教師

日本語教師としてのキャリアアップは、次のような方向があります。

主任講師

専任講師として3年以上の経験を積んだ人がなることができます。
主任講師になると、授業のほかに進路指導や生活指導も業務の対象となり、仕事の幅が広がります。
日本語を勉強して活躍する生徒を増やしていきたい人は、主任講師を目指してみることもおすすめです。

海外勤務

日本語教師は海外でも需要があるため、海外で働くことも実現しやすいのではないでしょうか。
アジア圏でも日本語の勉強をしている人が増えていることから、その土地の生活に慣れれば安定した生活を送ることができます。
給料面では、その国によって異なるため、事前に調べておくことをおすすめします。

フリーランス

企業や学校に所属せず、フリーランスで活動する日本語教師もいます。
個人で家庭教師などを行っている日本語教師です。
フリーランスで日本語教師をしている人の中には、オンラインで授業を行っている人もいます。
自宅など場所を選ばず、自分でスケジュールを組んで日本語を教えていきたい人は、フリーランスも考えてみてはいかがでしょうか。

校長

日本語学校の校長、経営者になることも視野に入れてみては?
自分が理想とする日本語教育をしたり、日本にいるのにまったく日本語ができなくて困ってる生徒に教えたりすることもできますよ。

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日本語教師は需要が伸びている仕事です。
日本語を教えることで、海外の人とも仲良くなれて、日本のこともさらに深く知ることができるのが楽しいと感じる人は、日本語教師を目指してみてはいかがでしょうか。

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