校正者になるには?校閲との違いやおすすめの資格、大学の学部を紹介
2024.11.01
「校正者になるには、資格が必要?」「どんな学部・学科に行けば有利なんだろう?」と思っていませんか?
校正者になるのに特別な資格は必要ありませんが「校正技能検定」を持っていると有利と言われています。また、校正に必要な基礎知識と技能を身につけるには、大学の文学部・日本語学科などで学ぶのがおすすめです。
本記事では、校正者の年収や将来性、校閲との違いやおすすめの大学を紹介します。
校正者の主な勤務先は出版社や新聞社、校正プロダクションなどです。これらの職場にはどういった企業があるのか、そこで働く人々はどんな大学を卒業しているのか気になる人は、「JOB-BIKI(ジョブビキ)」を活用してみてください!
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目次
校正者とは
校正とは、文章や印刷物の誤りを見つけて修正する作業です。誤字脱字の修正だけでなく、文法、表現なども確認し、文章の質を向上させます。
校正者は、文章の品質を高める専門家です。本や雑誌、ウェブサイトなど、さまざまな媒体に載る文章をチェックする仕事をします。誤字脱字や文法ミスを見つけて直す以外にも、文章の流れや表現が適切かどうかも確認し、読みやすく分かりやすい文章に仕上げていきます。
著者や編集者と協力しながら、読者に正確で魅力的な情報を届けるのが校正者の使命です。言葉への深い理解と鋭い観察力が必要な職業といえるでしょう。
校正者の仕事内容
校正者の仕事は媒体によって少しずつ異なりますが、基本的な流れは以下のとおりです。
1.編集者や出版社との打ち合わせ
- 作業内容やスケジュールの確認
2.初校の校正
- 原稿と校正刷り(ゲラ)の比較
- 誤字脱字、写真、図表のチェック
- 文字サイズ、レイアウト、表記ルールの確認
- 素読み※1による内容や文章の流れのチェック
3.修正指示と提案
- 校正記号※2を使った修正指示
- 必要に応じて内容や表現の改善提案
4.再校・三校の校正
- 修正箇所の確認
- さらなる改善点のチェック
5.最終確認
- 全体の一貫性や完成度の確認
※1 素読み:文章全体を通して読み、内容の誤りや一般常識との齟齬、表記の揺れなどをチェックする作業
※2 校正記号:文章の修正箇所や修正内容を示す専用の記号や符号のこと
校正者と校閲者との違い
校正者と校閲者は、文章の品質向上に関わる専門家ですが、その役割は異なります。校正者は主に誤字脱字や文章の体裁をチェックします。一方、校閲者は文章の内容が事実と合っているかを確認する役割です。たとえば、歴史的な出来事や最新の情報が正確に描かれているかどうかを確認します。両者の連携により、正確で読みやすい文章が完成するのです。
実際には、校正と校閲は同じ人が担当することも多いのが現状です。校正・校閲の体制は企業によってさまざまです。大手では専門の校正部門を設置することもありますが、多くの場合、専任者の雇用や外部委託、校閲者や編集者との兼務など、企業規模や業務に応じた方法を採用しています。
校正者におすすめの資格
校正者は特別な資格がなくてもなれますが、日本エディタースクールが実施する「校正技能検定」をとっておくと就職時にアピールできるでしょう。
校正技能検定は、校正の専門的な知識と技術を客観的に証明できる資格で、初級・中級・上級とあります。受験するにはエディタースクールで指定科目を修得する必要があります。高校卒業見込みの方が受講できるようなので気になる方は、公式ホームページを確認してみてください。
また、エディタースクールでは、1日校正体験プログラムを提供しています。約1万円で自宅から参加でき、校正の仕事を実際に体験できる貴重な機会です。校正者の仕事に興味がある方や、自分に向いているか確かめたい方は、このプログラムをチェックしてみるのもおすすめです。
校正技能検定試験 – 日本エディタースクール (editor.co.jp)
また、Webメディアにおける校正も増えているので、基本的なPCスキル(Excel、Word、PowerPointなど)は必要になります。資格としてアピールしたい場合は「MOS」などのPC系検定を受けるのもいいでしょう。
MOS資格については、以下の記事で詳しく解説しています。
校正者が働く職場
校正者の主な職場は、出版社、新聞社、雑誌社などの出版業界が代表的です。また、企業の広報部門や広告代理店でも、校正のスキルが求められることがあります。
さらに、出版社や企業から校正業務を請け負う「校正プロダクション」も就職先の一つです。
キャリアを積んだ後は、フリーランスとして独立する道もあります。ただし、フリーランスの場合は高度な校正技術に加えて、営業力や人脈を構築することも重要になるでしょう。
校正者が活躍する出版業界には、ほかにもさまざまな職種があります。雑誌、新聞、ウェブコンテンツなど、多様な媒体の制作に関わる編集者、デザイナー、コラムニストといった仕事について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
校正者を目指せる大学の学部
校正者を目指すのであれば、文学部の日本語学科や国語国文学科などで学ぶのがおすすめです。言葉の構造や用法、文章表現、文学作品の分析など、校正に必要な基礎知識と技能を身につけられます。
【校正者におすすめの大学・学部・学科】
- 文教大学 文学部 日本語日本文学科(埼玉県)
- 相模女子大学 学芸学部 日本語日本文学科(神奈川県)
- 金城学院大学 文学部 日本語日本文化学科(愛知県)
- 甲南女子大学 文学部 日本語日本文化学科(兵庫県)
- ノートルダム清心女子大学 文学部 日本語日本文学科(岡山県)
校正者の年収
校正者の年収を勤務先や雇用形態別にまとめてみました。
雇用形態 | 勤務場所 | 年収/時給 |
正社員 | 大手出版社・新聞社 | 300~500万円 |
正社員 | 校正プロダクション | 300~400万円 |
アルバイト | 校正プロダクション | 時給1,000〜1,800円 |
上記の年収は、校正だけでなく校閲や編集などの関連業務も含まれることが一般的です。とくに中小規模の出版社や校正プロダクションでは、一人が複数の役割を担うことが多いです。
校正者のなかにはフリーランスとして活動する人もいます。フリーランスの場合、報酬体系は主に出来高払いとなります。具体的には、「1文字あたりの単価」や「1案件ごとの固定報酬」といった形で決定されることが多いです。
校正者のやりがい
校正者の仕事は、文章の品質向上に直接貢献できる魅力的な職業です。ベストセラー小説や話題の雑誌、重要なニュース記事など、あなたが手がけた文章が多くの人々に読まれ、影響を与えます。
校正者の仕事は、単なる誤字脱字チェック以上の価値があります。著者の思いを読者に確実に届けるため、文章全体の質を高める重要な役割を担っているのです。自分の工夫で文章が洗練され、読者の理解が深まる瞬間は、大きな喜びを味わえるでしょう。
校正者の大変なところ
校正者の仕事は細心の注意力と集中力が求められます。長時間にわたり文字と向き合い続けるため、目の疲労も大きな課題です。締切に追われることも多く、時間的プレッシャーとの戦いも避けられません。
また、常に変化する言語トレンドや専門用語をキャッチアップし続けることも求められます。完璧を目指す仕事だけに、見落としがあった際の責任も重大です。しかし、これらの困難を乗り越えることで、プロとしての成長が実感できるのも事実です。
校正者に向いている人
校正者に向いているのは、以下のような人です。
- 本を読むのが好き
- 文章の間違いや不自然な表現に気づける
- 長時間集中して作業できる体力がある
これらの特徴は、校正者として働く上で重要な素質につながります。とくに体力面は軽視できません。校正の仕事は長時間のデスクワークが中心なので、集中力を持続させる体力が必要です。また、新しい話題に興味を持つ好奇心や、締切を守る責任感も大切です。
校正の将来性は?
「校正者の仕事はなくなるのでは?」この疑問は、AI技術の急速な発展により多くの人が抱いています。確かに、AIを活用した校正ツールが登場し、その性能は日々向上しています。これらのツールは単純な誤字脱字のチェックを効率化していますが、文脈を読み取り、著者の意図を正確に伝えるという校正の本質的な部分は、依然として人間の能力に頼っています。
とくに、校閲の領域ではAIの代替が難しいのが現状です。事実確認や整合性のチェックは、まだまだ人間が担っている重要な役割です。そのため、校正者が校閲の知識やスキルも身につけることで、より価値の高い仕事ができるでしょう。
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校正者は文章の品質向上に携わる重要な職業で、多くの場合、校閲や編集など他の業務も兼任します。校正者の主な勤務先は出版社や新聞社、校正プロダクションなどです。これらの職場にはどういった企業があるのか、そこで働く人々はどんな大学を卒業しているのか気になる人は、JOB-BIKIを活用してみてください!