コピーライターとは?仕事内容や年収、なるための大学や就職先の選び方を解説
2022.11.18
文章そのものは、小学校から国語の授業で扱うものです。高校生の皆さんの中にも、「文章を書くことが好き!」もしくは「文章を作るのが得意!」という方がいるかもしれませんね。高校生の頃からブログなどを始めている方もいるでしょう。
コピーライターの役割は、クライアントの想いや商品・サービスの良さなどを消費者に最大限伝えることです。クライアントの売上に貢献できるほか、ときには自身の作品(コピー)が流行する喜びも得られる仕事といえます。
この記事では、コピーライターの仕事内容や求められる資質と能力のほか、進路や就職先などコピーライターを目指すためのルートについても解説します。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
コピーライターとは?
コピーライターの仕事は、クライアントの商品やサービスの良さなどを最大限伝えられるキャッチコピーを考えることです。具体的には、テレビCMや雑誌広告などに使われるキャッチコピーの制作に携わります。「文章を作る」というよりは、「言葉を生み出す」という表現が正確かもしれません。
キャッチコピーを作ることに特化した職人的なイメージがあるかもしれませんが、商品や消費者の分析、チラシやパンフレットの制作など、実際の業務内容は幅広いです。クライアントやスタッフとの連携が欠かせないので、コミュニケーション能力も求められます。
基本的には広告を作る職業ですが、ドラマや舞台の脚本作りや小説の執筆など、中には広告の範囲を超えて活躍するコピーライターも! 企業のコンサルを行うなど、高い文章力とコミュニケーション能力をビジネスシーンで活かしている人もいるようですよ。
コピーライターとライターの違い
コピーライターとよく似た職業として、「ライター」という仕事があります。どちらかといえば短いフレーズ を扱うイメージのコピーライターに対して、記事や原稿といった長い文章を書くのがライターの主な仕事となります。
仕事の範囲以外では、求められる能力にも違いがあります。例えばコピーライターは、アイデア やコンセプトなど発想力や思考力を求められます。 ライターの場合、表現力や文章構成といった主にライティングに関する能力を問われます。
このほか、細かく分けると以下のようなライター職も存在します。
● シナリオライター……いわゆる脚本家。ドラマの台本制作などを行う
● ルポライター……事件や時事問題など、世間から関心の向けられるテーマを扱う
● スピーチライター……結婚式での挨拶など、スピーチ用の原稿を作成する
● テクニカルライター……科学や技術に関する文章制作を行う。その分野における深い知識が求められる職業
コピーライターの仕事内容
コピーライターの仕事のメインは、やはり魅力的なキャッチコピーを考えることです。端的にいえば、「クライアントの目的を達成するための言葉をつくる」のが仕事といえるでしょう。売上を上げたり、認知してもらったりと、目的に応じてコピーを考えていきます。
このほかにも、クライアントとの打ち合わせやアイデア出し、サービスや消費者の分析などもコピーライターの仕事の一部。 キャッチコピーを作るだけでなく、幅広く広告制作に携わっていく仕事なのです。
コピーライターの仕事のやりがい
コピーライターの仕事でも大きなやりがいになるのが、自分が制作したキャッチコピーが世間に広まることです。何百万、何千万 という人に見てもらえる喜びはもちろん、それによって売上を伸ばすなど、クライアントから感謝されれば達成感も味わえるでしょう。人から感謝されるというのは、業種にかか わらずやりがいを感じられる部分ですよね。
また、スキル次第で大きな収入を得られる点もやりがいとなる要素です。著名なコピーライターになれば、1,000万円以上 の年収も夢ではありません。このほかにもスキルを磨いてフリーランスになり、平均的な会社員の倍以上の収入を得ている人もいるようです。将来的に独立して収入アップが目指せるのも、モチベーションにつながる要素ですね!
コピーライターの大変なところ
コピーライターの仕事の大変なところのひとつは、とにかく多くのアウトプットを求められるところです。とくに新人のうちは、上司やクリエイティブディレクターから100案は考えるように言われることも。
100案考えても必ず世に出るとは限りません。クライアントからNGを出されたり、自信作が選ばれないこともあったりします。必ず報われるとは限らない状況で、地道なアウトプットを行う作業はつらいかもしれません。ただ、この方法は才能やセンスがなくても、良いコピーを生み出せる可能性があります。有名なヒット作を出すコピーライターも質以上に量を出すと言われているので、最初は大変ですが徐々に慣れてくるでしょう。
コピーライターの大変なところとして、徹底した情報収集や分析が必要なところも挙げられます。いくらテクニックがあっても、お客さんのニーズや売り出したい商品・サービスの情報が足りないと、刺さるコピーは作れないからです。
たとえば、コピーライターは以下のようにお客さんや商品の情報収集を行います。
- Webや書籍、SNSでお客さんのニーズを調べる
- 実際に商品やサービスを試してみる
- 利用者にアンケートをとる
コピーライターは、センスやひらめきが必要なイメージがありますが、実は地道な情報収集と分析が何より大事です。よいインプットなしによいアウトプットは不可能なのですね。商品が売れるコピーを作るためには、買ってくれる人の悩みを徹底的に深掘るところから始まるようです。
こうしたインプットをもとに、さまざまな切り口からコピーを考える作業は、最初はきついと感じる人もいるかもしれません。
コピーライターの仕事の流れ
コピーライターの仕事はキャッチコピーを作ることが基本ですが、そのための打ち合わせなど、前後の流れがあります。ここでは、コピーライターの仕事の流れを5つに分けてご紹介します。
1. オリエンテーションへの参加
まずはキャッチコピーの対象となる商品やサービスの情報を共有するために、オリエンテーションへ参加するところからスタートです。プロジェクトの内容によっては、アートディレクターなどが同席することもあります。
クライアントの課題や広告予算、サービスの特徴など、まずはプロジェクトについて理解を深める工程です。
2. コピーの企画案を作成
オリエンテーションで得た情報をもとに、キャッチコピーの企画案を作成していきます。クライアントが納得する提案ができるよう、ディレクターなどスタッフと打ち合わせや市場調査、消費者・商品の分析などを行い、企画案を磨き上げていく工程です。
3. クライアントとの打ち合わせ
コピーの企画案が完成したら、意見をもらいにクライアントの元を訪問します。ここで修正が提案された場合は、クライアントが納得するまで修正と提案を繰り返していきます。
4. 撮影現場への立ち合い
広告の多くは言葉だけでなく、映像や画像などのビジュアルも組み合わせて制作されます。キャッチコピーとズレのない ビジュアルを作るため、コピーライターが撮影の現場へ立ち会うこともあります。
5. キャッチコピーを納品
キャッチコピー が完成したら、仕上げて納品します。例えば雑誌広告の場合、入稿・校正をしてクライアントの承認が得られれば仕事は完了です。
コピーライターの年収
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、コピーライターの平均年収は、「令和2年分 民間給与実態統計調査」(国税庁)を参照すると697.6万円 となっています。ボーナス抜きの単純計算だと、月収にして58万円ほどです。これはあくまでも平均値なので、勤務先や勤続年数によっても金額は変わります。
コピーライターに必要な資質と能力
ここでは、コピーライターにとって特に重要度の高い3つの資質をご紹介します。
- 高い表現力や想像力
- 情報を集める能力と理解力
- コミュニケーション能力
順番に解説します。
高い表現力や創造力
魅力的なキャッチコピーを作るためには、高い表現力や創造力が欠かせません。ゼロから生み出す力は、コピーライターにとって重要な資質となります。また、イメージを言葉に落とし込むための豊富な語彙力が求められます。
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情報を集める能力と理解力
広告の目的はオリエンテーションで共有されるはずですが、さらに深く理解するために追加の情報収集が必要な場面も少なくありません。またクライアントによっては、こちらから引き出さないと十分な情報が得られないケースもあります。高い情報収集能力は、コピーライターにとって必須能力といえるでしょう。
そして情報が集まったら、読み込んで頭に入れていく必要があります。この工程では、集めた情報が正しいのかを判断する力も必要です。専門的な情報にも多くふれるため、高い理解力も求められます。
コミュニケーション能力
個人での業務が多そうなコピーライターですが、広告を作るという仕事ですので、実際にはアートディレクターやデザイナー、カメラマンなど、ほか のスタッフと連携する場面も多々あり。テレビCMともなれば非常に多くのスタッフと一緒にプロジェクトを進行することになります。クライアントとのコミュニケーションも円滑に進める必要があります。
コピーライターになるには?
コピーライターになるためには、どのような進路を選択すればいいのでしょうか?コピーライターの業界 の現状と併せて、進学先や就職先について解説します。
コピーライターの世界の現状
コピーライターは広告業界に属する職業ですが、不景気になると多くの企業は広告宣伝費を優先的に削減する傾向があります。そのため、世の中の景気に左右されやすい仕事なのが現状です。
しかし同時に、コピーライターの需要が増加する流れもあります。テレビや新聞といった昔ながらのメディアから、ウェブサイトやSNSといったデジタルなメディアへの転換期がきているからです。2019年時点 でインターネット広告費はテレビメディア広告費を上回っており、今後も同じ流れが続くと考えられます。
「1つの広告を大勢に配信する」時代から「個々に合わせて広告を配信する」時代に変わることで、広告業界の需要は伸びていく可能性を秘めています。それに伴い、コピーライターの需要も高まってくるのではないでしょうか。
一方、みなさんのなかには「AIの登場で、コピーライターの仕事はなくなるのでは?」と不安視している人もいるでしょう。しかし、結論から言うと今のところその心配はないと考えられます。よいコピーは、クライアントの意向やお客さんのニーズをくみとる必要があるからです。与えられたものからしかアウトプットできないAIだけでは、人の心に刺さるコピーを作成するのは難しいでしょう。
ただ、コピーの切り口として、ある言葉の類義語や関連語を調べる際などには、AIを活用すると効率化につながります。分析や情報収集をしっかり行ったうえで、必要な場面だけAIを使っていけば、スピーディーに質の高いコピーを作成できるかもしれません。
コピーライターになるための勉強ができる大学・学部
コピーライターに特化した大学の学部はありませんが、コピーライターを目指すのであれば日本語を学べる文学部系がおすすめです。広告業界は社会学部出身が多いので、そういった学部を目指してもいいでしょう。
例えば以下のような学部があります。
● 国際日本学部
● 国際文化学部
● 文学部
● 社会学部
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有名なコピーライターの出身大学
ここでは、有名なコピーライターの出身大学を紹介します。進路選びの参考にしてみてください。
氏名 | 出身大学・学部・学科 | 有名なコピー |
糸井重里 | 法政大学 文学部 日本文学科 | ・生きろ。(もののけ姫) ・想像力と数百円。(新潮文庫) |
安藤隆 | 立教大学 法学部 | ・村田製作所はなにをセイサクしているんだろう。 (村田製作所) ・それゆけわたし。 (サントリー・烏龍茶) |
太田 恵美 | 明治学院大学 | ・そうだ京都、行こう。 (JR東海) ・ここは水も空気も風も信じられる。 (サントリー南アルプスの天然水) |
小島令子 | 京都女子大学 | ・あした、なに着て生きていく? (earth music&ecology) ・死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。(日本ペットフード) |
著名人の出身大学を知るのにも「JOB-BIKI」を使ってみましょう。眞木準さんや秋山晶さんの出身大学もわかりますよ。
コピーライターに必要な資格や受験すべき試験
コピーライターになるために、特に必要な資格はありません。しかしコピーライターとして採用してもらうためには、資格を取得するほうが有利かもしれません。 例えば以下のような資格があります。
・WEBライティング能力検定
「一般社団法人日本WEBライティング協会」が認定する民間試験です。基本的にはライティングに関する検定ですが、WEBに対応するためにSEO対策(検索結果で上位に表示するための対策)などの知識も問われることがあります。
・WEBライティング技能検定
「一般社団法人日本クラウドソーシング検定協会」が認定する民間試験です。WEBライティングに関する検定という意味では上記と近いですが、こちらはクラウドソーシング(企業や個人がネット上で不特定多数の人に仕事を依頼する業務形態)に必要なスキルを満たしている証明としての意味が強い資格となります。
コピーライターになるために目指すべき就職先
コピーライターになるためには、広告関係の会社に就職するのが一般的です。ここでは、目指すべき就職先を4種類ご紹介します。
- 広告代理店
- 制作会社
- メーカーの広告宣伝部
- ハウスエージェンシー
順番に解説します。
・1.広告代理店
クライアントの商品の広告活動を代行する仕事です。広告代理店では入社後の実績や適性によってコピーライターに登用される傾向にあるので、就職しても必ずコピーライターになれるとは限らない部分があります。
・2.制作会社
制作会社は主に広告代理店などをクライアントとし、CMや新聞、雑誌広告など広告として掲載されるものを制作する仕事です。 大手の制作会社ではコピーライターとして採用される確率が比較的高いので、狙い目といえるでしょう。
・3.メーカーの広告宣伝部
一部上場企業など、自社で広告制作をする会社もあります。 この場合、最初からコピーライターではなく、初めのうちは商品知識を高めるため営業職やマーケティング職に配属されることも。クライアントに依頼されて書くのではなく、自社のブランドのためにコピーを書きたいという人に向いています。
・4.ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーは、特定の会社(親会社)の広告案件を専属で行っている会社です。制作会社と同じような仕事を行います。親会社やグループ企業間での異動が多く、コピーライターとしてのみでなく広告業界のさまざまな経験を積むことが可能です。
コピーライターになった後のキャリアプラン
コピーライターになった後のキャリアプランは、就職先によっても異なります。ここでは、広告代理店とそれ以外の2種類のキャリアプランをご紹介します
クリエイティブディレクター
クリエイティブディレクターとは、広告制作における企画からプロモーション考案、監督や進捗管理などを行う仕事です。クリエイティブディレクターを目指すには広告代理店などでの勤務経験が求められ、コピーライターのほかにグラフィックデザイナーやCMプランナー出身の人もいます。
コピーライターから派生してディレクションや広告制作を行うなど、実績を積むことでクリエイティブディレクターへの道が開けてきますよ!
独立する
広告代理店以外の場合は、社内でのキャリアアップを目指すのではなく、独立してフリーランスを目指す方や制作会社を起業する方もいます。独立を目指すのなら、指名で依頼が舞い込んでくるような状態がベストです。既に指名されていれば、独立後も安定して仕事が取れるでしょう。
コピーライターへの道について情報収集してみよう
キャッチコピーは、言葉ひとつで人の考えや行動を変えられる力を持っています。そんな魔法のフレーズを生み出すコピーライターは、とても夢のある仕事です。自身の生み出したキャッチコピーが流行したときの喜びは、とても大きいものでしょう。
コピーライターに興味がある方は、今のうちから情報を収集するのが吉!「JOB-BIKI」の「人物検索」で「コピーライター」のキーワードで検索してみてください。有名なコピーライターの出身大学がわかりますよ!