【図解あり】国家公務員の種類や年収、なるための方法を完全解説
2023.01.05
国家公務員は、国の機関に採用されて働く公務員です。都道府県や市区町村に採用される地方公務員とは違い、日本という国全体のために働くことが求められます。さまざまな職種があり、採用先によって仕事内容も大きく変わることが特徴です。国家公務員にはどんな職種や仕事があるのでしょうか。今回は、国家公務員の仕事や主な種類、地方公務員との違いなどを解説します。また、国家公務員になるための道のりや、おすすめの学部なども紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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目次
国家公務員とは
国家公務員にはたくさんの職種があります。まずは、国家公務員の仕事や、総合職・一般職・専門職などの種類についてチェックしていきましょう。
国家公務員とは
国家公務員とは、省庁などの国の機関で働く公務員を指します。多くの職種があり、仕事内容はそれぞれで大きく違います。いろいろなデータを集めるのが仕事の人もいれば、安全のために警備を担当するのが仕事の人も。ただ、国全体のために働くことはどの職種でも変わりません。ときには違う省庁とも協力しながら仕事を進めていきます。
「国家公務員に興味はあるけど、どんな仕事にかかわれるのかイマイチわからない」という人も多いかもしれませんね。そんなときは、ニュースを見て気になった政策について調べてみることがおすすめです。そうすると、どんな省庁がかかわっているのかを知ることができます。興味を持ったら省庁のホームページを調べてみましょう。それぞれの機関がどんなことに取り組んでいるかを詳しく知ることができますよ。採用担当者の話を直接聞ける説明会やセミナーなどに参加してみるのもおすすめです。
国家公務員と地方公務員の違い
ご紹介したように、国家公務員は省庁などの国家機関で働きます。東京にある本部や、地方の出先機関などが主な勤務先です。一方、地方公務員は都道府県庁や市区町村役場、教育機関(学校や保育園など)、警察署、消防署など、地方の機関で働くことになります。転勤は採用された地域内に限定されることが基本です。県職員として採用された人は県内全域に転勤する可能性があり、市職員になった人は市内の施設に転勤する可能性があります。
国家公務員とは、試験を実施する機関も違います。国家公務員試験は人事院という国の機関が行い、地方公務員試験は各自治体が行います。試験区分は、主に初級・中級・大卒に分けられることが特徴です。初級は高卒程度、中級は短大・専門学校卒程度、上級は大卒程度の試験になります。
国家公務員と同様、地方公務員の仕事内容もさまざまです。ただ、住民と実際に触れ合う機会が多くなるので、「公務員として地域に密着した仕事をしたい!」と考えるなら地方公務員を検討することがおすすめです。
地方公務員については、以下の記事で詳しく解説しています。
地方公務員になるには?仕事内容や向いている人・目指せる大学について解説
国家公務員の種類
国家公務員は、上記の図のように働く機関(行政府・司法府・立法府)や職種によって分類できます。上記の職種はあくまで一例で、ほかにもさまざまな職種があります。
【機関別】国家公務員の種類
まずは、国家公務員の働く機関から見てみましょう。
国家公務員が働く機関は、政府の三権を構成する行政府・司法府・立法府です。それぞれの主な勤務先や職種は、以下のとおりです。
【機関別】国家公務員の種類
機関 | 主な勤務先 | 職種の例 |
行政府 | 各省庁庁舎 | 国家総合職 国家一般職 国家専門職 |
司法府 | 裁判所 | 裁判所事務官 家庭裁判所調査官 裁判所書記官 |
立法府 | 国会議事堂 | 衆議院事務局職員 参議院事務局職員 衆議院法制局職員 国立国会図書館員 |
機関別の主な勤務先や職種の例を解説します。
行政府
行政府は国の内閣と省庁で構成される機関です。主な仕事内容は、法律執行、政策立案・実施、予算作成、外交などです。職種は国家総合職、一般職、国家専門職に分かれています。詳しくは「【職務別】国家公務員の種類」で解説しています。
司法府
司法府は国の裁判所で構成される機関です。主な仕事内容は、裁判の実施や裁判に必要な書類の手配・事務処理などです。職種は裁判官、検察官、裁判所職員に分かれています。裁判所職員には裁判所事務官、家庭裁判所調査官、裁判所書記官などがあります。
立法府
立法府は国会に属する組織で構成される機関です。主な仕事内容は、法律案の作成補助、議会運営の支援、立法調査、議員の活動補佐などです。職種は衆議院事務局職員、参議院事務局職員、国立国会図書館職員などがあります。
【職種別】国家公務員の種類
国家公務員は職種で分けると、以下の3種類があります。
- 総合職
- 一般職
- 専門職
この記事では、国家公務員の大半を占め、最も多様な職種がある行政府の総合職・一般職・専門職について解説します。
それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
総合職
総合職は、将来の幹部になることが期待されている立場で、官僚とも呼ばれます。採用されたら、国の政策の立案や法律案の作成など、スケールの大きな仕事に携われます。
勤務先の種類は大変多く、内閣府・総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省・デジタル庁・警察庁・金融庁などさまざま。
異動や転勤が多く、採用時とは違う省庁に配属されることもあれば、海外に派遣されることもあります。総合職の試験はとても難易度が高く、基本的に難関大学や大学院の卒業者が受験します。
一般職
一般職が採用される省庁は総合職と同じですが、業務の役割は異なります。総合職が政策を考える立場であることに対して、一般職はそれを実際に運用する立場となります。事務はもちろん、窓口業務を経験することも。
基本的に転勤などは少なく、採用されたら同じエリアで働き続けます。総合職と比べると異動になるまでの期間が長く、一つの業務に長く携わりやすいことも特徴です。
専門職
総合職や一般職の場合、受験の段階では最終的にどこへ配属されるかはわかりません。これに対して、募集段階から採用先が決まっているのが国家公務員専門職です。目指したい職種がはっきりとしている場合は専門職の試験を受けることがおすすめといえます。国家専門職の代表的な例は以下の通りです。
国家公務員の年収
国家公務員の年収は、およそ639万円です。
内訳は、平均給与月額約41万円2,747円×12ヶ月分に、ボーナス約147万円を足したものです。
国家公務員のボーナス(期末手当・勤勉手当)は、以下のように支給されます。
- 支給回数:年2回(6月と12月)
- 年間合計支給額:俸給(ほうきゅう)※の4.4ヶ月分
※俸給:俸給は、国家公務員の基本給のことです。俸給は、職務の内容や勤続年数などに基づいて決定されます。公務員の給与月額には、俸給に加えて諸手当(地域手当、住居手当など)が含まれます。
国家公務員の昇給や昇進の仕組み
国家公務員の給料アップは、毎年1月1日に行われます。このとき、仕事の成績によって給料の上がり方が変わります。成績はA~Eの5段階で評価され、Aが最も良い評価です。この評価は、最近の能力評価(仕事の能力)と直近2回の業績評価(実際の仕事ぶり)を組み合わせて決められます。評価に応じて、給料表の「号俸」と呼ばれる段階がいくつ上がるかが決まります。
国家公務員に必要なスキル
国家公務員に必要なスキルは、以下の3つです。
- 国家運営を支える実務能力
- 人と協力して仕事を進める力
- 公平で多様性を尊重する判断力
順番に解説します。
国家運営を支える実務能力
国家公務員には、日本の発展のために尽くす意志と共に、国家運営を支える実務能力が求められます。これには、担当分野の法令や制度を深く理解し、適切に運用する力が基本となります。また、社会情勢や国民のニーズを的確に把握し、限られた資源を効率的に活用して業務を遂行する能力も重要です。
実務能力の基礎となる正確性や効率性は、採用試験の段階で評価されます。筆記試験で問われる能力は実務の土台となり、その上で実際の業務経験を通じてさらなる技能を磨いていくのです。
人と協力して仕事を進める力
国家公務員の仕事は、多くの場合チームで行われます。たとえば、新しい法律を作る際には、法律の専門家、経済の専門家、現場で働く人など、さまざまな立場の人と一緒に考えます。時には意見が対立することもありますが、お互いの考えを尊重しながら、話し合いを重ね、最良の方法を見つけ出す必要があります。
また、地元の市役所や企業と協力して、地域の問題解決に取り組むこともあります。こうした場面では、相手の立場を理解し、わかりやすく説明する力が求められます。
学校でのグループ学習や部活動でリーダーシップを発揮した経験、違う考えを持つ友達と協力してプロジェクトを成功させた経験などは、この仕事に役立つでしょう。
公平で多様性を尊重する判断力
国家公務員には、さまざまな場面で公平性を尊重力が求められます。たとえば、補助金の配分や規制の策定など、多くの人に影響を与える決定を行う際には、特定の個人や団体の利益だけでなく、社会全体のバランスを考慮する必要があります。また、少数派や社会的に弱い立場にある人々の声にも耳を傾け、多様な視点を取り入れることが重要です。
クラスの代表として自分の友達だけでなく、普段あまり話さない人の意見も公平に取り入れられる人や、部活動での役割分担を決める時に個人の能力や希望を考慮しつつ、チーム全体のバランスを考えられる人は、適性があるかもしれません。
国家公務員になるための道のりとおすすめの学部
国家公務員になるためには、毎年開催されている試験を受験することが重要です。こちらでは、国家公務員になるための試験の特徴や、おすすめの学部などをご紹介します。
国家公務員になるための道のり
国家公務員として働くためには採用試験を受けて合格する必要があります。総合職・一般職・専門職で試験は異なります。
国家総合職試験には大卒程度試験と院卒者試験があり、国家一般職試験は大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験があります。国家専門職試験の場合は、職種によって受験資格が分かれます。大卒程度試験と高卒程度試験がありますが、職種によってはどちらかの区分がないことも。
試験は主に第一次試験と第二次試験の2段階に分けて行われます。まずは第一次試験の突破を目指し、筆記試験対策することが重要です。
筆記試験のほかに重視されているのが面接です。特に、総合職や一般職の場合は「官庁訪問」と呼ばれる面接に通らなければ、試験に合格できても希望する勤務先で働くことができません。「なぜ国家公務員として働きたいのか」「どうしてこの省庁を選んだのか」など、志望動機をしっかりと考えて伝えられる練習も必要です。
国家公務員試験の難易度
国家公務員試験の難易度は高く、難関大学卒業者でも合格が難しいのが現状です。
たとえば、2024年度の国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)(「教養」区分を除く)では、第1次試験の受験者数は12,249人でしたが、最終合格者数は1,285人でした。合格率は約10%と、狭き門であることがわかります。
また、人事院が発表している2023年秋、2024年春の総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)出身大学別合格者数一覧を見ると、1位:東京大学、2位:京都大学、3位:早稲田大学と、難関大学出身者が多いこともわかります。合格のためには高度な専門知識を学べる大学を目指すことも必要といえるでしょう。
総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)出身大学別合格者数一覧|人事院
国家公務員になるためのおすすめの学部
総合職や一般職の試験では、特に学部や学科を問われることはありません。どの学部を出ていても受験することはできます。
学部を決める際は、採用された後にどんな分野の知識を生かして働いていきたいかを考えることがおすすめです。たとえば、総合職として政策の立案にかかわっていきたいと考えるなら、法学・政策学・経済学などの学部を選ぶと、法律や行政に関する知識をしっかりと身に付けられますよ。
また、国家公務員の仕事には理系分野の専門知識が求められる機会もたくさんあります。たとえば医薬品についての制度を整備する場合は、医学や薬学の知識が必要ですよね。そのため、国家公務員には理系学部の人材も多数採用されています。薬学部・農学部・理工学部など、出身学部もさまざまです。
専門職の場合は、特定の分野を専攻していなければ受験資格を得られないこともあるため気をつけましょう。たとえば、厚生労働省の「食品衛生監視員」の採用試験を受けるためには、大学で薬学や畜産学、水産学、農芸化学など、決まった分野の課程を修了しなければいけません。試験でも専門的な内容が出題されます。目指したい職種に合わせて、どんな勉強が必要になるのかを調べておくことがポイントです。
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国家公務員の採用試験に合格するためには、4年制大学や大学院で専門分野を学ぶことが必要です。特に、総合職や一般職などの難関試験に挑む場合は、高度な専門知識が必須とされます。進みたい道によって適した学部・学科は違うので、まずは自分がどんな知識を生かして働いていきたいかを考えてみましょう。その上で、専門性を高められる大学を選ぶことがおすすめです。
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