【2025年度】新課程入試の変更点、新教科「情報」と科目再編について
2024.10.31
目次
新課程に対応した2025年入試の変更点
2022年4月から高等学校で新学習指導要領がスタートしました。2025年は新課程で学んだ高校生が初めて大学を受験する年にあたり、入試においても新課程に対応した教科・科目への再編成や、新たに「情報」が加わるなど大きく変わります。
新課程入試について、大学入学共通テストの変更点を中心にポイントを確認していきましょう。
地歴公民と数学②は科目構成を再編
科目の再編成が行われるのが地歴公民と数学②です。
地歴公民は、『地理総合、地理探究』『歴史総合、日本史探究』『歴史総合、世界史探究』『公共、倫理』『公共、政治・経済』と、必履修科目からなる『地理総合、歴史総合、公共』の6科目編成となります。試験では6科目から最大2科目を選択できますが組合せには制限がありますので注意が必要になります。
数学②は『数Ⅱ・B・C』の1科目となります。数学Cとして、旧課程では数学Bの範囲だった「ベクトル」が加わり、また、「平面上の曲線と複素数平面」が新しく出題範囲となります。
国語と理科の変更点
国語と理科では問題の構成と配点、試験時間が変更されます。
国語では問題数と配点の構成が変わり、近代以降の文章では大問が1つ増え、配点も10点増となっています。反対に古文と漢文は各1問、それぞれ45点となり配点は10点減となります。また試験時間は10分増え90分に変更されています。
理科では4科目に分かれていた基礎科目が1科目に統合され『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』の4つの出題範囲から2つを選択します。また2つに分かれていた試験時間が1つに統合されています。
新しい教科として情報が追加
新しい教科として情報が加わったことが新課程入試における一番大きな変更点と言えます。大学入試共通テストにおいて『情報Ⅰ』を受験科目にするかどうかは大学によりますが、国立大学の大多数が、公立大学でも半数ほどが「必須」としています。
新課程に基づく出題教科・科目等
教科 | 出題科目 | 試験時間(配点) | 主な変更点等 |
国語 | 『国語』 | 90分(200点) | 言語活動を重視し、多様な資質・能力を問うため大問を1つ追加。試験時間は90分(10分増)。配点は近代以降の文章110点、古典90点(古文45点、漢文45点)。 |
地理歴史 公民 | 『地理総合、地理探究』 『歴史総合、日本史探究』 『歴史総合、世界史探究』 『公共、倫理』 『公共、政治・経済』 『地理総合/歴史総合/ 公共』 | 1科目選択 60分(100点) 2科目選択 130分(200点) (うち解答時間120分) | 必履修科目を組み合わせた出題科目1科目と、必履修科目と選択科目を組み合わせた出題科目5科目の合計6つの出題科目から最大2科目を選択解答。 |
数学① | 『数学Ⅰ、数学A』『数学Ⅰ』 | 70分(100点) | |
数学② | 『数学Ⅱ、数学B、数学C』 | 70分(100点) | 『数学Ⅱ、数学B、数学C』の1科目を出題し、試験時間は70分(10分増) |
理科 | 『物理基礎/化学基礎/ 生物基礎/地学基礎』 『物理』 『化学』 『生物』 『地学』 | 1科目選択 60分(100点) 2科目選択 130分(200点) (うち解答時間120分) | 2つの試験時間帯(理科①と理科②)から1つの試験時間帯に変更。「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目は、『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』として1科目に統合。5つの出題科目から最大2科目を選択解答 |
外国語 | 『英語』 『ドイツ語』 『フランス語』 『中国語』 『韓国語』 | 『英語』 リーディング:80分(100点) リスニング:60分(100点) 『英語』以外 筆記:80分(200点) | 「リーディング」「リスニング」形式を通して、「聞く」「読む」「話す」「書く」を統合した言語活動を通して培った総合的な英語力を評価 |
情報 | 『情報Ⅰ』 | 60分(100点) | 出題教科に追加 |
独立行政法人 大学入試センター「新教育課程履修者向け」資料をもとに作成
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/
大学入試センター公開の試作問題を確認
新課程で学んできた現役の高校生にとっても、実際の試験内容がどのように変わるのかは気になるところではないでしょうか。大学入試センターのホームページでは、新課程入試における新しい要素を含む問題案が、理科を除く6教科で公表されています。
大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/r7_kentoujoukyou/r7mondai.html
大学入試センター公開の試作問題を確認
新課程で学んできた現役の高校生にとっても、実際の試験内容がどのように変わるのかは気になるところではないでしょうか。大学入試センターのホームページでは、新課程入試における新しい要素を含む問題案が、理科を除く6教科で公表されています。
大学入試センター 令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7/r7_kentoujoukyou/r7mondai.html
特に注目されている新科目の『情報Ⅰ』は、大問1~4に加え参考問題の第4問が公表されています。
学習指導要領では『情報Ⅰ』は次の4つの章に分けられます。
(1)情報社会の問題解決
(2)コミュニケーションと情報デザイン
(3)コンピュータとプログラミング
(4)情報通信ネットワークとデータの活用
試作問題では、小問ごとの出題内容は以下のように構成されています。
■『情報Ⅰ』試作問題の構成
問題番号 | 出題内容 | 配点 | |
第1問 | 問1 | (1)情報社会の問題解決 | 4 |
問2 | (4)情報通信ネットワークとデータの活用 | 6 | |
問3 | (3)コンピュータとプログラミング | 6 | |
問4 | (2)コミュニケーションと情報デザイン | 4 | |
第2問 | A | (1)情報社会の問題解決 (2)コミュニケーションと情報デザイン | 15 |
B | (3)コンピュータとプログラミング | 15 | |
第3問 | (3)コンピュータとプログラミング | 25 | |
第4問 | (4)情報通信ネットワークとデータの活用 | 25 | |
合計 | 100 |
新科目「情報」の受験対策
国公立併願か、私立中心かによって「情報」に対する受験対策が異なります。それぞれの「情報」の利用状況についてみてみましょう。
国公立大学の利用状況
『情報Ⅰ』については、全ての国立大学がいずれかの学部の受験科目として利用することを公表しています。ほとんどの大学は必須科目として利用するとしていますが、数学・理科・地歴公民などとの選択科目として課す大学もみられます。
また、受験科目として利用する大学の中でも、配点比率を低く抑えるケースもあります。6・7教科8科目(合計1000点)を課すならば、「情報」は100点なので、各科目の重みを変えないと配点比率は10%となります。
公立大学の状況をみると、看護・医療系など専門性の高い学部のみをもつ大学の中には、「情報」を課さないことを公表しているところもありますが、9割近い大学が何らかの方法で利用するとしています。
私立大学の利用状況
私立大学の一般選抜の入試は3教科利用が中心ですので、一部の難関大学や情報を専門とする学部を志望しないのであれば、受験科目から除外されるケースが多いようです。学ぶことは大切ですが、入試ではあまり心配する必要はありません。
主要な私立大学では、共通テスト利用方式の選択教科として課す場合が多くみられます。どの学部で利用するかは大学によって様々で、情報系の学科や、社会学系の学科を中心に広く利用されているようです。個別試験で「情報」を選択科目として課すことを公表している大学もありますが、多くは「情報Ⅰ」を出題範囲とするもので、「情報Ⅱ」を出題する大学は、一部の工学系大学を除き、殆どありません。
2025年度入試は制度としては大きな変化となりますが、入学時から新課程で学んでいる現在の高校生にとっては、学習内容に入試が対応することになりますので、特別な受験対策よりも高校での学習成果をしっかりと自分のモノにしていくことが重要になります。特に大学入学共通テストでは授業の中で学んできたことが試験として出題されますので、基礎学力をしっかりと身につけることが一番の受験対策となります。
各大学の募集要項が公表されはじめ、入試の内容の明らかになってきています。まずは志望大学の入試情報を調べるところから始めましょう。
Biki-noteでは、これからも受験生のみなさんに役立つ情報を提供していきます。