併願とは?大学受験で失敗しない併願校選びや併願時の注意点を解説
2022.12.20
大学受験においては、第一志望の大学を受ける以外に、併願をすることが一般的です。高校1、2年生の皆さんであれば、まだ併願校を決めていない人も多いのではないでしょうか。「そもそも併願って何?」「どう選べばいいの?」と疑問を抱いている人も多いかもしれませんね。
この記事では、併願とは何か、併願のメリット・デメリット、併願校の決め方・注意点について解説します。これから併願校を決めようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください!
併願とは第一志望校以外の大学を受験すること
併願とは、第一志望の大学に合格しなかった事態を想定し、複数の大学を同時に受験することを指します。
大学入試の一般選抜においては、併願する人がほとんどです。しかし、併願校が多すぎると、大学別の試験対策に手が回らなくなってしまうだけでなく、複数の受験料や入学金など、家庭の経済的にも大きな負担がかかってしまいます。さらに、併願校の受験スケジュールがタイトになって、それぞれの試験に集中できなくなることも。なので、併願校はチャレンジ校から安全校まで6校程度にとどめるのが現実的でしょう。
国公立大学と私立大学の併願の違い
受験生が私立大学の一般選抜で受験する際、併願数の制限はありません。日程やお金の余裕があれば、実際にはいくらでも大学・学部を受験することができます。
一方で、国公立大学の併願は最大3校まで。二次試験の前期日程、中期日程(公立のみ)、後期日程の試験は全国の国公立大学でいっせいに行われるため、前期日程、中期日程、後期日程でそれぞれ1大学の受験が可能です。
ただ、前期日程で合格した場合の合格手続きは、後期日程の合格発表前に行われます。前期日程の合格によって入学手続きを終えてしまったら、他大学の後期日程で合格しても、合格の権利は得られないのです。第一志望を3つの日程のうちどこに置くか、受験前によく考えてください。
なお、国公立大学を第一志望にしている人が、私立大学との併願をするのも可能です。特におすすめしたいのが、大学入学共通テストの成績のみで一般選抜を行う「大学入学共通テスト利用入試」を使った併願です。
多くの国公立大学で、大学入学共通テストで5教科7科目以上が必要となりますが、私立大学の大学入学共通テスト利用入試では2~3科目利用がほとんど。大学入学共通テスト利用入試による併願で、試験を何度も受ける負担がなくなるのはうれしいですよね。
併願のメリット
大学受験で併願するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。具体的には、下記の3つが挙げられます。
選択肢が得られるので安心して志望校受験ができる
志望校の試験はとにかく緊張するもの。何が何でも志望校に進学したい人は、なおさらでしょう。しかし、「必ず合格しなければ」というプレッシャーを必要以上に抱えたままでは、本来の実力を発揮できない可能性も。
志望校の試験前に併願校に合格できれば、志望校の試験も気持ちに余裕を持って臨めるはずです。
受験の雰囲気がわかり、いい練習になる
志望校より先に併願校の試験を受けることで、大学受験の試験そのものに慣れるチャンスを得ることができます。大学受験の試験会場は、独特の緊張感があるもの。それでもいくつか併願すれば、やがて場慣れれしていくでしょう。会場の雰囲気にのまれることなく、第一志望の試験でもいつものチカラを発揮できるようになるはずです。
大学に行く意味を考えられる
併願先を調べ、検討することで、「自分は大学に何を求めているのか?」と、あなたが大学に行く目的や意味をあらためて深く考えるきっかけになります。志望校以外の大学を知って、志望校にしかない魅力を再認識したり、あるいはほかの大学の魅力に気づいたりすることもあるかもしれませんよ。
併願のデメリット
メリットの多い併願ですが、デメリットもいくつかあります。続いては、併願のデメリットについて見ていきましょう。
併願先の対策に時間や集中力を奪われる
私立大学の「大学入学共通テスト利用入試」を活用すれば、複数校の併願でも大きな負担はありません。しかし、私立大学で個別に行われる試験をいくつも受けると、大学・学部ごとの対策が必要になり、時間や集中力を奪われてしまうことも。志望校の対策がおろそかにならない程度に併願校対策をするためには、学習スケジュールをうまくやりくりする必要があります。
受験料や交通費がかかる
試験の機会が増えれば、当然ですが受験料を支払う回数も増えてしまいますよね。併願校をいくつ受けるか決めるときには、受験料が総額でいくらになるのかを考えながら、家庭で相談しておくと安心です。
■大学受験の受験料の例
大学・学部・試験種 | 受験料 |
私立大学 | 約30,000~35,000円 |
私立大学(医学部) | 約60,000円 |
国公立大学(二次試験) | 17,000円 |
大学入学共通テスト(3教科以上受験の場合) | 18,000円 |
さらに、遠方受験するときには、飛行機・新幹線などの交通費のほか、ホテルの宿泊費もかかるでしょう。試験日程を確認して1回の遠征で志望校・併願校を複数受験できるように調整することをおすすめします。
ちなみに、私立大学や一部の国公立大学では、大学のキャンパス以外にも試験会場を設ける「地方入試」を導入しています。遠方受験を避けたい場合には、地方入試を活用してくださいね。
不合格によって精神的に落ち込む
合格安全圏の併願校として受験した大学で不合格になったり、あるいは併願校の不合格が続いたりすると、精神的なダメージを受けてしまうこともあるでしょう。志望校受験までに併願校の合格を得ていれば精神的な安定を得られますが、反対に不合格が重なると、志望校の試験に悪影響を及ぼしてしまうケースも。
ただ、併願校がたとえすべて不合格でも、結果は最後までわかりません。最後に志望校に合格する可能性だって十分にあります。だからこそ、早めに気持ちを切り替えて、次の試験対策に集中するようにしてください。
併願校の決め方
併願校を決める際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、併願先を決める際の、6つのポイントをご紹介します。
1.試験日程
志望校の試験日程を考慮して、併願校を選ぶ方法があります。併願校は、志望校の試験日より早い段階で試験が行われる大学を選びましょう。試験当日の会場の雰囲気に慣れることで、志望校受験の際に役立つからです。
注意したいのは、連日、併願校の試験が続くような過密スケジュールでは、精神的にも体力的にも大きな負担がかかってしまうこと。できるだけ余裕のあるスケジュールになるよう、自分で調整するようにしてください。
2.学部・学科
あなたが将来なりたい職業や学びたい学問が決まっているなら、その学びが得られる学部・学科がある大学を併願先に選ぶといいでしょう。教師になりたい人なら教育学部がある大学、心理カウンセラーになりたい人は心理学部が設置されている大学といったように、学部・学科で絞り込むと、併願校を選びやすいはず。
ただ、同じ学部でも大学によって、教育環境や学生の雰囲気が異なります。志望校の学部以外についてもオープンキャンパスに参加するなどして事前にリサーチしておきましょう。
3.入試科目、出題傾向
併願校を選ぶとき、試験科目と出題傾向で決めるのが大きなポイントです。例えば、志望校における国語の試験科目が「現代文」「古文」であれば、試験科目に「漢文」まで含まれている併願校を選ぶより、なるべく志望校の試験科目に近い併願校を探してください。
また、1科目で受験できる併願校を選ぶときこそ注意したいところ。「受験科目数が少ないので楽だ」と思うかもしれませんが、それは落とし穴!実は科目数が少なければ、その分試験の難度は高くなります。つまり、安全圏の併願校と油断していたら、びっくりするような難易度の問題が出るケースも考えられるのです。併願校は、過去問で出題傾向や難度を確認してから決めると安心ですよ。
4.模試の合格判定
模試の合格判定で併願校を決める方法もあります。家庭の事情などでどうしても大学に現役合格したい人は、模試の合格判定を頼りにして安全圏の大学を決めると、志望校受験の前の安心材料となるはずです。ただし、合格安全圏の大学に関しても「自分の望む学びが得られるか」については、逆引き大学辞典で必ずしっかり調べてくださいね。
5.総合型選抜・学校推薦型選抜の併願
総合型選抜や学校推薦型選抜は一般選抜と違い、基本的に「専願」が条件なので、併願はできません。ただし、併願可能な大学もあるので、募集要項を確認しておきましょう。一般選抜の併願が可能な大学ならば、総合型選抜・学校推薦型選抜に合格してから、他大学の一般選抜にチャレンジできます。
ただし、総合型選抜・学校推薦型選抜に合格すると、入学手続きが必要となるのは気をつけたいポイント。他大学の一般選抜で合格しても、総合型選抜・学校推薦型選抜の合格による入学手続き費用は返ってこないことだけはお忘れなく。
6.立地
併願校を絞り込んでいく際、大学のキャンパスがある立地によって併願先を選ぶのも、ひとつの手ではあります。「通学費を抑えたいし通学時間も短くしたいので、実家から通える距離の大学にしたい」など、個々人のさまざまな希望や事情から決めるのです。
遠方の大学であれば一人暮らしをする必要もあり、月々の家賃だけでなく、生活費や家具の購入費など、追加でさまざまなお金がかかります。「どこの大学に行くか」は受験して合格する前に、必ず保護者に相談するようにしてください。
併願時の注意点
併願をするときには、いくつか注意点があります。最後に、併願時の注意点をご紹介しますので、しっかり把握して、無理のない併願をしてくださいね。
自分が求める学びが得られるか
「入学後にどのような学びを得られるか」を考えて併願校を決めることは、とても重要なポイントです。「模試の判定結果で合格できそうだったから」と軽い気持ちで併願校を決めて、いざ入学してから「思っていた学びが得られなかった…」と後悔するケースも。併願校に入学する可能性も考えて、学べる内容をしっかり調べておきましょう。
志望校にどうしても行きたいなら、無理にほかの併願校を選ばず、保護者と相談した上で、過年度生として再チャレンジする選択肢をチョイスするのもひとつの手です。
自分がなりたい職業の就職実績があるか
すでになりたい職業が決まっている人は、併願校でもなりたい職業に関連する教育を受けられるのか、就職実績が伴っているのかをチェックしてください。
志望校と学部・学科名が同じでも、研究内容や教育環境、就職実績は、大学によってさまざま。実際にオープンキャンパスに足を運んだり、ウェブサイトで併願校の卒業生の就職実績を確認したりして判断することをおすすめします。
大学のイメージで決めていないか
志望校以外の受験先として、自分が名前を知っていて、なんとなくイメージが良いなどの理由で有名な大学への併願を決める人もいるでしょう。しかし、注意したいのは、「有名な大学に入れればどの学部でも構わない」とばかりに、自分の興味や関心のない学部を無闇に併願すること。仮に入学できても、元々興味のない学部では勉強のモチベーションが上がらないなど、大学生活に支障が出てしまうおそれがあります。
大学生活を充実させることができず、最悪の場合、退学してしまうようなことになれば、元も子もありません。大学のブランドばかりを重視するのではなく、自分の興味がある学びは何か、将来に役立ちそうかといった観点で併願校を選ぶようにしましょう。
数を多く受けすぎていないか、スケジュールは過密ではないか
大学受験では、「自分は合格して大学生になれるだろうか」という不安との戦いです。だからといって、併願校を無闇に増やすのはいかがなものでしょうか。「緊張しやすいので場数を踏みたい」とたくさん受けるのはいいとしても、併願の目的は「とにかくたくさん合格すること」ではありません。「本当に進学したい大学に合格すること」です。
そこで併願は、チャレンジしたい志望校を1校として、実力に見合った併願校を3校、合格安全圏の併願校を2校といった割合で受験するのがおすすめです。
また、私立大学の一般選抜は2月に集中するため、志望校・併願校の試験は過密になりがち。しかし、短期間に試験が集中すると、疲労が溜まって本来のチカラが発揮できなくなる可能性も。そこで、志望校の試験日を中心に考え、試験の3日前からは併願校を受験しないように調整しましょう。
「なりたい自分」になるため、後悔しない併願先選びを
志望校以外の受験先を選ぶ際、「この大学なら安全圏なので受かりやすそう」といった理由だけで併願校を選ぶと、のちのち悔やむことになります。併願校に入学する可能性もある以上、志望校と同じ真剣さで検討するようにしてください。
大学選びにはさまざまな基準がありますが、「将来なりたい職業に関することが学べる」という観点で大学や学部を選ぶと、入学後に充実した学びが得られるはず。
そこで、併願校選びに、職業から大学を検索できる「JOB-BIKI」がおすすめです。じぶんのなりたい職業や、入りたい企業名で大学が検索できます。併願校選びにも、ぜひ利用してみてください。