アドミッション・ポリシーとは?言葉の意味と3つのポリシーの解説に大学の具体例も紹介
2022.12.28
あなたは受験する大学の方針をご存じですか?総合型選抜などの入試方式においては、受験時にアドミッション・ポリシーの理解がカギになります。また各大学のアドミッション・ポリシーを知っておけば、入学後のイメージのギャップを減らせるという効果もあるのです。
しかし、「アドミッション・ポリシーとは具体的にどんなもの?」「どう役立つのかよくわからない!」という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、アドミッション・ポリシーとは何か、具体例、確認すべき理由などについて紹介します。大学選びの参考にできるので、ぜひご自身の受験に役立ててくださいね!
目次
アドミッション・ポリシーとは、大学ごとの入学者の受入方針
アドミッション・ポリシーとは、各大学が定める「入学者の受入方針」のこと。簡単にいえば「大学が求める学生像」です。アドミッション・ポリシーは大学全体や学部・学科ごとに設けられていて、入学前に大学や学部がどんな学生を求めているのかを知るためのひとつのヒントになるのです。
総合型選抜(旧AO入試)では「大学が求める学生像」が合否の判断基準のひとつとなるため、アドミッション・ポリシーに合う人物だとアピールできるかは合否の大きなポイントになります。
総合型選抜を受験する人にとっては、特に重要になるはず!
アドミッション・ポリシーの内容
アドミッション・ポリシーには、大学の個性や特色、ビジョンが反映されています。建学の精神や教育理念、教育目標、学長メッセージなどに関連していることが多いでしょう。
とはいっても、ここまでの説明では「よくわからない…」という人がほとんどかもしれませんね。そんなときは実際の例を見るとイメージがしやすくなりますよ!
国立・公立・私立大学、そして文系・理系学部の具体例として、横浜国立大学、東京都立大学、明治大学の「求める学生像」をご紹介します。
■求める学生像
<国立大学:横浜国立大学教育学部(学校教員養成課程)>
・教員として、子供とコミュニケーションをとりながら共に学び続けたい人
・学校教育の充実、創造に貢献したい人
・特別支援教育の充実、創造に貢献したい人
・現代的な教育課題に対して、他者と協働的に広い視野に立った解決策を構想し実践したい人
<公立大学:東京都立大学健康福祉学部>
・人の健康に関心を持ち、グローバル化した大都市東京の多種・多様な健康・医療課題に挑戦できる人
・健康に問題を抱える人々を敬愛し、寄り添うことのできる豊かな人間性を有する人
・豊かな教養と専門的学問知識(知の継承)を基盤にし、自ら考え、実践(知の応用・展開)できる人
・現在の臨床医療の遂行にはチーム医療が不可欠であり、他の専門職を理解し協働して学ぶ姿勢を有する人
・国際的視点を有し、異文化に対して寛容かつ柔軟に対応できる人
<私立大学:明治大学総合数理学部>
・本学の建学の精神「権利自由、独立自治」に基づき、世界を見据えて自らの使命、役割を自覚し、他者との連携・共生をはかりながら、自らの「個」を確立できる学生
・社会や自然における事象に広く関心を有し、数理科学の探究に挑戦する意欲を持つ活力にあふれる学生
・人とのかかわりに積極的な姿勢を有し、人と社会に豊かさをもたらす新しい概念・価値観を生み出していこうとする意欲のある学生
ジャンルの違う国立・公立・私立大学の学部を3つ比べただけでも、使われる言葉や文体、内容が大きく異なることに驚いたはず。各大学で求める学生像はこれほど違うのです。
アドミッション・ポリシーは、各大学のウェブサイトやパンフレットに掲載されているほか、入試要項などにも書かれています。ぜひチェックしてみてくださいね。
大学がアドミッション・ポリシーを設ける理由
大学がアドミッション・ポリシーを設けるのは、大学と入学者とのミスマッチを防ぐのが目的。「自分の希望と合わない大学に入ってしまった…」と入学してから気づいてショックを受けるのは、皆さんのような学生だけではありません。ミスマッチだと感じた学生が学ぶ意欲を失ってしまうのは、大学側としても避けたいところなのです。
実はアドミッション・ポリシーを含め、文部科学省が「教育の質の向上」という目的のため、大学に計画を立てて定め、世間に公開するように指示した3つのポリシーがあります。その内容を見てみましょう。
■「3つのポリシー」の内容
アドミッション・ポリシー | 入学前の段階で求める学生像と入学後に期待する学習能力 |
カリキュラム・ポリシー | 教育課程の編成や教育の内容と方法、評価方法の方針 |
ディプロマ・ポリシー | どのような力を身につけた学生に卒業を認定するか、学位を授与するかを定定めた方針 |
このような、入学時の「アドミッション・ポリシー(入学者の受入方針)」、在学中の「カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)」、卒業時の「ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)」が公開されることで、大学の在学生だけでなく、受験生にとっても大学の方針がわかりやすくなりました。
これらの3つのポリシーには、どのような学生を求め、どのような教育をして、どのような人材を育成するのかという大学の方針が一貫して書かれているのです。
アドミッション・ポリシーによって大学が求める方針に合致した学生が入学すれば、大学も有意義な教育を提供できます。入学者としても、自分にマッチした学校かどうかが事前にわかるのは嬉しいですよね!
受験生がアドミッション・ポリシーを確認すべき理由
アドミッション・ポリシーに書かれているのは、どのような能力や姿勢を持つ学生を求めているかということ。つまり、アドミッション・ポリシーを参考にすれば受験対策に使えます。大学の求める学生像に合致するように対策すれば合格にまた一歩近づくはず!
どうやって対策するのかは、具体例があったほうがわかりやすいでしょう。そこで明治大学総合数理学部のアドミッション・ポリシーを例として、考えてみます。
■明治大学総合数理学部 アドミッション・ポリシー(抜粋)
・人とのかかわりに積極的な姿勢を有し、人と社会に豊かさをもたらす新しい概念・価値観を生み出していこうとする意欲のある学生
このアドミッション・ポリシーは、前向きな姿勢と意欲をとても重視していることがわかりますね。そこで、下記のように行動するのです。
総合型選抜の受験を考えている高校1年生のAさん。Aさんは、今まで人と積極的に関わった経験や、新たなものを生み出した経験はあるのですが、それをこれまで意識的に行ったことはなく、またうまく言語化できないタイプでした。
この大学に志望理由書でアピールするためには、アドミッション・ポリシーに合う体験をすることが重要。そこでアドミッション・ポリシーから逆算すれば「自分の行動範囲内で、積極的に人と関わり新しい概念や価値観を生み出していける体験とは何だろう?」と考えることができるはず。
その結果、Aさんは、学園祭などの校内イベントや部活動で、積極的に周りの人と関わることを意識して行動し、その内容を日々ブログにまとめるようになりました。
このように、アドミッション・ポリシーは自分をアピールするための手段として有効活用できます。
ただし、注意が必要な点も。自分に足りない体験があったと気づいても、受験1ヵ月前では対策は難しいのです。余裕を持って、高校3年生になる直前の春休み頃には、各大学のアドミッション・ポリシーを確認して志望校を決めていきたいですね。
総合型選抜受験時の注意点
一次選考で志望理由書・調査書などの書類選考を行い、二次選考で面接や小論文、プレゼンテーションなどを行うケースが多いのが総合型選抜です。大学によっては二次選考で複数試験が課されることもあるため、トータルの選考期間も長くなってしまうもの。専願で受けることも多い総合型選抜は、どうしても合格したいですよね。
そこで、アドミッション・ポリシーに注目してください。総合型選抜ではアドミッション・ポリシーの内容を絡めて、いかに自分をアピールできるかが重要になってくるのです。
3つのポリシーを読み込み、大学が求める人物像を理解する
総合型選抜で意欲や熱意を伝える上で大事なのは、志望校をより深く理解すること。アドミッション・ポリシーを読み込むことはもちろん、ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーも読み込んで、大学の教育方針を広く深く理解していけば、さらに万全です。
面接のときに想定外の質問があっても、「大学が求める人物像」に沿って対応できるはず。
志望理由書にアドミッション・ポリシーのエッセンスを盛り込む
総合型選抜の一次選考で提出する志望理由書は、アドミッション・ポリシーのエッセンスを盛り込んだものにするといいでしょう。アドミッション・ポリシーをそのまま引用するのではなく、今までの体験から学んだこと、入学後に取り組みたい勉強の方向性などをアドミッション・ポリシーに関連付けて書くと、グッと魅力的な志望理由書になっていきます。
アドミッション・ポリシーは抽象的な表現で書かれていることが多いため、よく読み込んで自分なりに解釈しつつ大事な要素を洗い出して、それに紐付けられることが書けないか考えていきましょう。
アドミッション・ポリシーをよく読み込んで進路を選ぼう
「入学者の受入方針」という大学ごとの特色を知ることができるアドミッション・ポリシー。受験対策としてだけでなく、志望校を選ぶときにも役立つので、確認がとても重要だということが、わかっていただけたのではないでしょうか?よく読み込んだ上で進路選びをしてくださいね。
ちなみに、「そもそも総合型選抜とは何なのか?」ということが知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。