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傾斜配点とは?大学受験で得意教科・科目を活かして合格する方法

2022.12.28

カテゴリー:
得意教科で100点をとった受験生

大学受験を前にして「傾斜配点」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。見たり聞いたりしたことがあっても、傾斜配点の仕組みがよくわからない人もいるはず。また、国公立大学と私立大学の入試で採用されている傾斜配点の特徴は、それぞれ異なります。
この記事では、傾斜配点とは何か、メリット・デメリット、傾斜配点が使える入試、傾斜配点を行っている大学などをご紹介します。

傾斜配点とは、特定教科・科目に一定倍率を掛けて配点を高くすること

傾斜配点とは、各教科・科目の配点を一律とするのではなく、特定の教科・科目に一定倍率を掛けて配点を高くすること。

例えば、国語200点、英語100点、日本史100点といったように、国語のみ配点を2倍にします。これは、大学・学部側が求める能力(国語力)を有した学生を合格させることが目的で、その手段として学部などで重視する教科・科目(国語)の配点を高くしているのです。
一般選抜で特定教科・科目の配点を高く設定するだけでなく、大学入学共通テスト利用入試で特定の教科・科目の配点率を変えることもあります。

受験する大学・学部のどの教科・科目の配点に傾斜がかかっているかは、受験生にとってチェックすべきポイントです。大学のウェブサイトや出願要項で、受験教科・科目と各配点を確認しましょう。

受験生にとっての傾斜配点のメリット・デメリット

大学受験の傾斜配点は、受験生に何をもたらしてくれるのでしょうか。ここでは、受験生にとっての傾斜配点のメリット・デメリットをご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

受験生にとっての傾斜配点のメリット

まずは、受験生にとっての傾斜配点のメリットを解説します。大きく分けて、下記の3つがあります。

・自分の得意な教科・科目で勝負できる
自分の得意な教科・科目に配点上の傾斜がかけられている場合は、有利になります。得点率(配点における合計得点の割合)を高くできるケースがあるからです。
あなたが得意なのが英語だとして、例を挙げて考えてみましょう。下記のように、もし英語が傾斜配点で2倍の配点になっていたら、得点率は上がります。つまり、得意教科への傾斜配点が有利に働いているのです。

■特定教科・科目(英語)に傾斜配点が行われた場合

教科・科目英語に傾斜配点なしの場合
(計300点満点)
英語に傾斜配点ありの場合
(計400点満点)
国語得点60点(配点100点)得点60点(配点100点)
英語得点90点(配点100点)得点180点(配点200点)
地理歴史得点60点(配点100点)得点60点(配点100点)
合計点得点210点/300点得点300点/400点
得点率(合計点/配点)70%75%

入学したい大学の試験において、自分が得意な教科・科目で思いきりチャレンジできるのはうれしいですよね。

・受験する大学を絞るひとつの目安になる
大学選びは「あなたが求める学びが得られるか」と「将来就きたい職業に必要な知識を得られるか」が重要なポイントです。その上で、自分の得意教科・科目の配点が高い大学・学部を選ぶのも、ひとつの手といえます。
例えば、学部や就職実績などから併願校を絞り込んでいく際に判断に迷ったら、得意科目に傾斜がかかっている入試を行う大学を選ぶのです 。自信を持って受験できる上、合格率も高まるでしょう。

・得意教科・科目重視型の試験ならさらに受かりやすくなる
昨今の大学・学部は、さまざまな入試方式を用意しています。私立大学の中には、受験した教科・科目のうち、最高得点を取った教科・科目の得点を2倍にして合否判定をする「得意教科・科目重視型」方式を採用している大学もあります。得意教科・科目と苦手教科・科目との点差が激しい人にとっては、自分の強みをフルに使って弱点をカバーできるのです。

受験生にとっての傾斜配点のデメリット

傾斜配点は受験生に有利に働く一方で、場合によっては不利に作用することも。次に、受験生にとっての傾斜配点のデメリットを確認します。

・平均的に得点できるタイプや国立大学志望の人にはメリットがない場合も
私立大学文系学部の入試で国語、英語、地理歴史などの教科・科目のうち、得意・不得意が特になく、平均的に得点できる人もいます。そうした人の場合は、得意教科・科目で挑む他の受験者に比べて、特にメリットを感じられないかもしれません。
また、大学入学共通テストで5教科7科目を課されることが多い国立大学が第一志望の人は、特定教科・科目の勉強にわざわざ取り組む必要があります。するとむしろ、負担が増す可能性もあるので注意が必要です。

・早期から特定教科・科目に絞って勉強しても、失敗すると逃げ場がない
仮にあなたが数学を得意としていて、志望校の入試において数学に傾斜がかかっていれば、当然、数学を重点的に勉強することになるでしょう。しかし、早いうちから数学だけ を重点的に受験勉強すると、他教科・科目の対策がおろそかになってしまう可能性があります。
そこで、入試当日、得意なはずの数学の問題が思うように解けなければ、もはや逃げ場がありません。このように、傾斜配点に頼った受験対策はリスクが高すぎるので、避けたほうがいいでしょう。

傾斜配点を採用している入試のパターン

大学入学共通テストの受験要項

 
傾斜配点を採用している入試には、大きく分けて2つのパターンがあります。それぞれどのような内容か、詳しく見ていきましょう。

大学入学共通テストにおける教科・科目ごとの傾斜配点

大学入学共通テストで、教科・科目ごとに傾斜配点を採用する大学もあります。
九州大学経済学部(経済・経営学科)の例を見てみると、下記のような配点になっています。地理歴史および公民の配点が大学入学共通テスト本来の配点のままであるのに対し、ほかの教科はいずれも配点が小さくなっていることがわかります。

■大学入学共通テストの教科・科目ごとの傾斜配点例

教科・科目九州大学経済学部(経済・経営学科)の配点
(2021年度入試)
大学入学共通テスト
本来の配点
国語50点200点
地理歴史および公民(2科目)200点200点
数学50点100点
理科(2科目)50点100点
外国語100点200点

私立大学における得意教科・科目重視型入試の傾斜配点

私立大学の一般選抜では、文系・理系学部を問わず、2~3教科による試験がほとんど。文系は英語、国語、地理歴史・公民または数学、理系は英語、数学、理科を重視する学部が多いようです。
しかし、配点はさまざまで、大学や学部が重視する教科・科目の配点を高くする「得意教科・科目重視型」を採用するパターンもあります。

【番外編】大学入学共通テストと二次試験の配点割合

国公立大学は、大学入学共通テストと二次試験の合計点で合否判定されることが一般的です。
ただし、この配点割合は、大学ごとに自由に決められることになっています。「特定の教科・科目で配点に差をつける」という傾斜配点とは異なりますが、大学によっては大学入学共通テストよりも二次試験の配点割合を高くしたり、反対に二次試験の配点割合を低くしたりといったパターンがあることは覚えておいて損はないでしょう。「どこに重点を置くべきか」という意味では傾斜配点の考え方と同じです。

傾斜配点を採用している大学

受験票とお守りをセットして試験に臨む様子

 
実際に傾斜配点を採用して入試を行っている大学には、どのような方式があるのでしょうか。最後に、大学ごとに行われている傾斜配点型の入試内容をご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

駒澤大学 一般選抜S方式(特定科目重視型)

駒澤大学では、学科が指定する科目の配点が2倍になる「S方式(特定科目重視型)」を採用しています。学科ごとに配点が異なるため、同じ文学部であっても国文学科は「国語」の配点が200点で「地理歴史/公民/数学」と「外国語」は100点、英米文学科は「英語」が200点で「国語」と「地理歴史/公民/数学」は100点と違いがあるのが特徴です。

一般選抜 S方式(特定科目重視型)|think! by 駒澤大学

関東学院大学 一般選抜前期日程3科目(科目重視)型

関東学院大学の一般選抜は、前期日程、中期日程、後期日程の3つがあり、日程ごとにさまざまな入試方式がありますが、前期日程にのみ「科目重視型」入試が設定されています。
科目重視型では、受験した3科目のうち「最高得点の科目」もしくは「指定科目」の得点が2倍に。最高得点科目か指定科目のどちらが得点2倍の対象になるのかは、学科やコースによって異なるようです。

一般選抜前期日程3科目(科目重視)型|関東学院大学 受験生サイト

名城大学 傾斜配点型K方式

名城大学では、3教科の受験が必要な「A方式」の併願として、A方式の試験結果をもとに特定教科の得点を重視した「K方式」を採用しています。A方式での受験が必要ですが、K方式は出願するだけで合否判定が可能。つまり、試験がA方式の1回だけで、2つ以上の学部を受験するときに活用しやすいのがうれしいところです。
K方式で受験できる学部は、外国語学部、情報工学部、理工学部の3学部のみ です。

傾斜配点型K方式|入試制度|名城大学 入試情報サイト Meijo Navi

近畿大学 高得点科目重視方式

近畿大学には、最高得点科目の点数を2倍にして合否判定をする「高得点科目重視方式」があります。名城大学のK方式と同様に、スタンダード型という学力試験の得点を利用した併願が対象。法学部法律学科のスタンダード型では、英語・国語ともに100点の配点で計「200点満点」ですが、高得点科目重視方式では、得点が高い科目が200点満点となるため、計「300点満点」となります。
スタンダード型の受験のみで併願できるだけでもうれしいですが、さらに得意科目の点数を2倍として換算してくれるのはチャレンジしやすいですよね。

併願制度|推薦入試(一般公募)|入試情報・学費|近畿大学入試情報サイト

自分の強みや得意なことを活用して、大学・学部や入試方式を選ぼう

どんな人も、得意教科・科目がきっとあることでしょう。あなたの強みや得意なことを活かして受験に挑戦し、傾斜配点によって合格を勝ち取り、その得意教科・科目に関連した学びを大学で得られれば、「自分が就きたい職業」への道につながっていくはず。
進路を決めかねている人は、ぜひ下記の記事も参考にしつつ、本記事のような傾斜配点制度もうまく活用してくださいね。

進路が決まらない!高校卒業後の進路の決め方や進路別の特徴を解説

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