大学のゼミとは何をする?講義や研究室との違いと活動内容
2023.08.09
大学の文系の学部では、学生たちが「ゼミ」というクラスに所属して、研究を行っています。大学の文系学部への進学を考えている皆さんは、高校までの「勉強」と大学での「研究」にどんな違いがあるかを考えたことはありますか?これまで小学校・中学校・高校と学んで、たくさんの知識を身に着けてきたでしょう。その知識はどれも、すでに世の中に知れ渡り、常識とされています。それに対して、文系学部の研究では、物事の新たな側面を見つけたり、いち早く時代の流れを読み解いたりしていくのです。
文系学部へ進学すると、多くの人が3~4年生でゼミに所属して、仲間たちと切磋琢磨しながら研究に取り組みます。この記事では、そんな大学のゼミについて解説します!
目次
大学のゼミでは何をする?講義や研究室との違い
大学のゼミでは、一体どんなことをするのでしょうか。同じく大学の講義や、研究室との違いまで解説します。
ゼミとは
ゼミとは「ゼミナール(=演習)」の略称で、文系の学部に設置されたクラス編成のことです。多くの文系の学生は、3~4年生になるとゼミに所属します。ゼミは教員と学部生(=大学生)から構成されており、特定のテーマについて演習形式による研究が行われます。演習形式とは、少人数での発表や質疑応答、討論などを行う形式のこと。クラスでは学生が主体的に発言や司会進行を担い、ほかの学生と意見を交わしたり教員の指導を受けたりしながら、研究テーマへの理解を深めていくのが特徴です。最終学年である4年生になると、研究テーマに関するゼミ論文(=卒業論文)を執筆します。
文系には、法学部・経済学部・文学部といったさまざまな学部が存在します。さらに、法学部なら「法律学科」「政治経済学科」「経営法学科」といった学科に分かれ、多くのゼミの選択肢がありますよ。文系の学部への進学を考えているなら、自分の興味のある分野の学部や学科を調べた上で、上級生になったらどんなゼミで研究したいのかも想像してみてくださいね!ゼミのテーマについて、詳しくは後ほど解説するので、ぜひチェックしてみてください。
講義との違い
大学の講義では、座学形式で教員から専門分野の指導を受けます。高校生の皆さんが普段受けている授業のようなイメージですね。ただし、高校までの授業とは違って、大学では自分自身で受講する講義を選ぶことになるんです!そんな講義とゼミは目的に違いがあります。講義の目的は専門知識を身に付けることですが、ゼミの目的は専門知識を活かして研究することです。また、講義は数十人~数百人規模の大教室で行われる場合がありますが、基本的にゼミは20人以下の少人数で行われます。
研究室との違い
理系の学部では、3~4年生になると「研究室」に所属することになります。研究室とは、理系の学部に設置された研究の場所のことです。研究室には、教員と学部生のほか、大学院生が所属しています。文系の学生はゼミ、理系の学生は研究室で、それぞれ研究するというわけですね。なお、理系の研究では特殊な機器や薬品などを使った実験が必要になることから、研究室には専用の設備が用意されている点も違いの一つだといえます。また、文系学部の場合、理系学部の研究室とは違って、ゼミに所属するのは必須ではない場合もあります。ゼミに所属しない学生は、担当教員から個別に指導を受けながら卒業論文を書いたり、別の必修単位を取得したりすると、卒業の条件を満たすことができます。
大学のゼミのテーマと入り方
大学のゼミには、どんなテーマがあるのでしょうか。また、大学に進学してからゼミに入るまでの流れも解説します!
ゼミのテーマについて
たとえば、文系の学部のなかでも社会科学系の学科には、こんなテーマのゼミがあります!
【ゼミの例】
・都市デザインを研究するゼミ
・社会福祉を研究するゼミ
・異文化コミュニケーションを研究するゼミ
・社会環境を研究するゼミ
・マスメディアを研究するゼミ
これらは数あるゼミの中のほんの一例です。
文系のゼミで扱われるテーマや領域は、教員の専門分野によって異なります。同じ学部のゼミでも、テーマはさらに細かく分けられ、より専門性の高い分野を学んでいくことになりますよ!たとえば、経済学部に設置されたゼミなら、基本的に経済学に関連するテーマを研究しますが、それぞれのゼミでは「経済理論」「経済史」「財政」「金融論」などにテーマが分かれるのです。ちなみに、文学部のなかには文芸創作のように創作スキルを実践的に学ぶゼミもあります。創作系のゼミでは、最終学年でゼミ論文の代わりに卒業制作が課題となり、創作物を提出することが卒業の条件となっていることも珍しくありません。
ゼミへの入り方
ゼミに入る方法は大学や学部によって異なりますが、自分で入りたいゼミの希望を出した上で、教員による選考を受けるのが一般的です。選考では、1~2年生の成績による評価が行われたり、教員による面接が実施されたりすることも。ゼミの定員よりも多くの希望者がいる場合は、選考結果次第では希望するゼミに入れない可能性もあります。学業に力を入れて優れた成績をおさめたり、面接で研究テーマに対する熱意を伝えたりと、1~2年生のうちからしっかりと対策しておきたいですね。
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大学のゼミで行う主な内容
大学のゼミでは、こんな活動が行われますよ。ここではゼミでの主な活動内容をご紹介します。
文献購読
教員から課題として指定された書籍や、自分の研究に関連する論文などを読み、研究に必要な前提知識を身に着けます。それだけでなく、各自が文献を読んだ上で、クラスで精読(=一文ずつ意味や構造を確認しながら詳しく読むこと)を行ったり、筆者の主張に対する意見を述べたり、各自で発表を行ったりすることもありますね。
調査・フィールドワーク
主に社会学系のゼミでは、研究のために大学の外へ足を運び、街や公共施設などでインタビューなどの調査を行う(=フィールドワーク)ことがあります。また、心理学系のゼミのように、協力者を募ってアンケートなどの方法で調査を行い、研究に必要なデータを集めることもありますよ。
討論(ディスカッション)
特定のテーマを設定して、ゼミに所属する学生同士で意見を出し合い、テーマへの理解を深めます。たとえば環境学部なら、「気候変動の対策として、多くのCO2を排出する企業に課税するのは有効か?」といったテーマで、一人ひとりが論理的に意見を述べて話し合います。
研究発表
ゼミ論文の提出前に、自分の研究内容を教員やゼミのメンバーへ向けて発表します。研究テーマを選んだ理由や、研究方法、参考文献などを発表するのが一般的です。研究発表では質疑応答の時間が設けられることが多く、教員やゼミのメンバーから質問や指摘が入る場合も。ゼミ論文の仕上げへ向けて、互いの研究をブラッシュアップする時間になります。
ゼミ論文(卒業論文)
大学での研究内容を筋道立てて伝えるために、ゼミ論文の形式にまとめあげます。ゼミ論文は、4年生の始まり頃からテーマ設定や準備に取り組んで、約1年間かけて執筆します。ゼミに所属する学生は、基本的にゼミ論文を提出することが卒業の条件となりますよ。
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ここまで、大学のゼミについて解説しました。文系の学生は3~4年生になるとゼミに所属して、仲間と切磋琢磨しながら研究を進めます。学部や学科によって多彩な研究テーマのゼミがあるため、自分が研究したい分野に合わせてゼミを選びたいですね。進路を考え始めたら、上級生になったときにどんなゼミに入りたいのか、少しずつイメージしてみてはいかがでしょうか?
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