教育学部で学ぶ内容は?主な学科や就職先、向いている人も解説
2025.04.21

「教育学って何を学ぶの?」「教員になるなら教育学部じゃないといけない?」といった疑問を持っている人もいるでしょう。教育学部の特徴や学びの内容を理解しておくことは、進路選択において重要です。しっかりと理解することで、入学後のミスマッチを防げます。この記事では、教育学部で学ぶ内容や主な学科、就職先、向いている人の特徴について解説します。記事を読めば、教育学部が自分に合っているかどうか判断でき、自信を持って進路選択ができるようになります。
目次
教育学部で学ぶ内容
教育学部では、教員になるための勉強だけでなく、教育に関するあらゆる事象を研究します。具体的には、教育の目的や本質、制度などを、哲学、心理学、社会学といった多様な切り口から学んでいきます。
教員を目指す場合、教育学部や学校教育学部といった教員養成を主にしている大学・学部に進学する方法と、それ以外の大学・学部で教職課程を取る方法があります。教職課程とは、教員免許を取得するために必要な科目をまとめたカリキュラムです。
教員養成が主目的の学部である教育大学、教育学部などでは、幼稚園や小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など、取得できる免許が多いのが特徴です。教育大学や教育学部以外の学部では、専門分野に関連した教科の免許に限定されます。たとえば、理学部であれば中学・高校の理科の免許などです。
教育大学での学びについて詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせて読んでみてください。国立大学で全国トップクラスの教員就職率を誇る鳴門教育大学(徳島県)の佐古秀一学長に、教師の仕事の魅力や教員養成大学での学び、教師を目指す高校生に向けてのメッセージを伺いました。
教師の仕事の魅力と教育系大学での学びとは?鳴門教育大学長が解説
教員になるには教育学部とそれ以外の学部どちらがいい?
教育学部では子どもの心理や発達について深く学べ、複数の校種の免許取得が可能です。そのため、小学校教員や中学校教員を目指す人に適しています。教育学部以外の学部では、専門分野の学びに加えて教職課程を履修します。取得できる免許は限られますが、専門性を活かした教科指導が可能です。特に高校教員を目指す場合、教科の専門知識を深められる点が強みとなります。
小学校や中学校で子どもの成長に寄り添う教員を目指すなら教育学部、特定の教科を深く教えたい場合は専門学部が向いています。自分が目指す教員像に合わせて選択することが重要です。
教育学部に属している主な学科

教育学部に属している主な学科は、以下のとおりです。
- 教育学系学科
- 教員養成系学科
教育学系学科
教育学系学科は、主に教育学の研究を行う学科です。「そもそも学校教育とは何か」という根本的な問いから、学校が抱えるさまざまな課題の分析、教育の歴史研究、国際比較、子どもの心理発達まで、幅広いテーマを研究します。
たとえば、学校現場の問題をデータで可視化したり、日本と世界の教育制度を比較したり、子どもの成長過程を心理学的に分析したりと、教育を多角的に探究します。
主な学科としては、教育学科、こども教育学科、子ども発達学科などがあります。将来は教員以外にも、教育学者、教育評論家、教育コンサルタントなどの道があり、より専門的な研究のため大学院に進む学生も多くいます。
教育学部の卒業生は、学習塾や予備校の講師になる人もいます。それぞれの仕事内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
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教員養成系学科
教員養成系学科は、教員になるための専門的な教育を行う学科です。主な学科は、学校教育教員養成課程や学校教員養成課程、養護教育養成課程などです。多くの教員養成系学科では、大学の卒業要件として教員免許の取得が設定されています。
「教育心理学」「教育法規」といった教育の基礎を学ぶとともに「教科指導法」「学級経営論」など、教員として必要な専門的な知識や技能を身に付けます。 教員免許の取得には教育実習が必須です。一般的には4年生で実習を行いますが、教員養成系学科では3年生から実習を開始することもあります。
実習期間は免許種によって異なり、小学校は4週間、中学校は3週間、高等学校は2週間です。 教育実習では実際に教壇に立ち、生徒に授業をする貴重な経験ができます。この経験を通じて、教員を目指す想いがさらに強くなる学生も多くいます。
教育学部で取得を目指せる主な資格

教育学部で取得できる資格は多くあります。ここでは、教員を目指せる資格と教員以外の資格に分けて解説します。
教員を目指せる資格
教育学部では、以下のような教員資格の取得を目指せます。
- 小学・幼稚園教員1種
- 中学・高校教員1種
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- 学校図書館司書教諭
- 保育士
- 特別支援学校教員1種
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- 幼稚園教員1種
教員以外の資格
- 図書館司書
- 博物館学芸員
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教育学部の主な就職先
教育学部の主な就職先は、以下のとおりです。
- 教員(地方公務員、学校法人など)
- 国家公務員
- 一般企業
教員(地方公務員、学校法人など)
公立の幼稚園や小学校、中学校、高等学校の教員は地方公務員として採用されます。私立の場合は、各学校法人が独自に教員を採用します。教育現場の最前線で子どもたちの成長を支える仕事として、以下のような就職先があります。
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 特別支援学校
- 児童福祉施設(児童福祉士、児童指導員)
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国家公務員
教育学部の進路の一つとして、官公庁(国や地方自治体が運営する行政機関)で働く国家公務員があります。実は、教員採用試験と国家公務員試験は教養分野で共通する部分が多く、学習過程で国家公務員を志望する学生も珍しくありません。特に文部科学省は、教育学部での専門知識が直接活きる職場です。
教育政策の企画立案から実施まで携わることができ、日本の教育全体の発展に貢献したい人にとって、理想的な職場といえます。文部科学省以外にも、財務省や国土交通省など、活躍の場はあります。官公庁については、以下の記事で詳しく解説しています。
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一般企業
教育学部卒業生の選択肢として、一般企業への就職も人気があります。特に教育関連企業では、学部で培った専門知識や教育への理解が活かせます。教育関連の主な就職先は、以下のとおりです。
- 通信教育会社
- 教育系出版社
- 語学スクール
- 資格取得スクール
教育関連企業に限らず、金融・保険業や製造業、情報通信業など、活躍できる業界は多岐にわたります。
教育学部に向いている人

教育学部に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 教員になりたい人
- 教えることが好きな人
- 学校に不満を感じている人
教員になりたい人
教育学部は教員免許の取得が可能で、教員を目指す人に最適な学部です。教育に関する法律や指導法、児童・生徒の心理など、教育現場で必要となる専門的な知識やスキルを体系的に学べます。
教育基本法では、教育の目的を「人格の完成」と定めています。子どもたち一人ひとりの成長に関われるのは、教師という職業の大きな特徴です。
教えることが好きな人
人に物事を教えるのが好きな人は、教育学部に向いています。部活の後輩にプレーのコツを教えるのが楽しい、分からない問題を友達に説明するのが得意など、教えることに喜びを見出せる人におすすめです。
教育学部では「教えることの楽しさ」をより深め、効果的な教育方法や学習支援の技術を専門的に学べます。単に教科の知識を伝えるだけでなく、生活指導や部活動指導など、さまざまな場面で子どもたちの成長をサポートする方法も身に付けられます。
学校に不満を感じている人
学校生活の中で「なぜこの授業は面白くないのだろう」「どうして教室で座って勉強しなければならないのだろう」といった疑問を持っている人は、教育学部で学ぶのに適しています。現状への不満を単なる批判で終わらせるのではなく、より良い教育のあり方を考え、実現していく力が身に付きます。
例えば「なぜ古文を学ぶのか」という疑問も、日本の伝統文化を理解する意義など、多角的な視点から教育の本質を考察する良いきっかけとなります。教育学部では、こうした「なぜ?」という問いを深く探究し、理想の教育を実現するための方法を学べます。
教育学部を設置している大学

教育学部のある大学の一例は、以下のとおりです。
【国立】
【私立】
【通信】
ほかにも教育学部を設置している大学を知りたい人は、逆引き大学辞典の「系統別学問内容リサーチ」を活用してみてください。
教育学部で行われている研究
教育学部では、教育方法の研究や児童心理の理解など、学校現場の実践に直結する分野で専門的な研究が行われています。ここでは、三重大学の「諸地域の世界遺産の伝達を通して異文化理解を深めるESD授業モデルの開発」について紹介します。
世界遺産を介した異文化理解教育では、相手国の文化的価値観を理解することが重要な課題となっています。この研究では、日本とオーストラリアの生徒が、互いの地域の世界遺産について学び、伝え合うプログラムを開発しました。
プログラムは3年計画で実施し、世界遺産の特色と価値の理解(2016年度)、価値観の考察(2017年度)、相手国の遺産への対応検討(2018年度)と段階的に学習を深めました。日本の生徒は、写真やイラストを用いたボードを作成し、遠隔会議を通じてオーストラリアの生徒と交流しました。
その結果、生徒の世界遺産に対する関心や認識が深まり、保護活動への参加意欲が向上したことがアンケートから明らかになりました。この研究成果は、異文化理解教育に新たな方法を提供するものであり、将来的には国際教育の発展に貢献することが期待されます。
ほかにも各大学の教育学部で行われている研究が知りたい人は、研究テーマから大学を探せる「スタビキ」を活用してみてください。
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教育学部は、教員を目指す人だけでなく、教育に関わるさまざまな仕事を目指す人が学ぶ学部です。卒業後は、学校の先生以外にも、教材やeラーニングの開発、教育関連の企業、文部科学省などの教育行政の道もあります。教育のスペシャリストとして、さまざまな場所で活躍できます。どんな大学に進学するか迷ったら、憧れの仕事から逆引きする方法もあります!そこでおすすめなのが、逆引き大学辞典「JOB-BIKI」です。「JOB-BIKI」を使えば、有名な企業で活躍している先輩たちの出身大学がわります。教育学部の卒業生がたくさん活躍している業界のデータをチェックして、進路選びの参考にしてみてくださいね。
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