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航空宇宙工学を学べる大学10選!主な就職先や大学での研究も紹介

2024.08.01

カテゴリー:
宇宙に飛び立つロケット

航空宇宙工学に興味がある皆さん、将来はロケットや人工衛星、飛行機の設計開発に携わりたいと夢見ていませんか?世界の最先端を行くこの分野で活躍するには、専門知識と技術を身につける必要があります。しかし、どの大学で学べばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本国内で航空宇宙工学を学べる大学を10校厳選してご紹介します。大学での研究事例や卒業後の主な就職先についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください!

航空宇宙工学について学んでみたいという人は、ぜひ「スタビキ」を活用してみてください。各大学で行われている研究が確認できますよ!大学名から検索して、研究内容を確認することもできるので、進路選びの参考になるはずです!

航空宇宙工学とは?

航空機

航空宇宙工学とは、文字通り航空工学と宇宙工学を扱う学問です。飛行機やロケット、人工衛星、宇宙ステーションなどを対象に研究を行います。
最近では、ドローンや空飛ぶ車などの「次世代エアモビリティ」と呼ばれる機械も扱います。

航空宇宙工学を一言で表すと、空飛ぶ機械の最先端技術を支える学問です。

航空宇宙工学では何を学ぶ?

航空宇宙工学を専攻する大学生は、一般的に最初の2年間で、物理や数学、化学などの基礎知識を学びます。これらの科目は宇宙工学のベースになるので、しっかり勉強しておく必要があります。

3~4年次では、より高度な専門科目を学びます。たとえば力学です。
力学とは、物体の運動と、その運動を引き起こす力との関係を研究する学問です。みなさんが高校物理で習う「運動とエネルギー」も、機械力学と呼ばれる分野のひとつなんですよ。

力学にはほかにも、熱力学や材料力学、流体力学などがあります。力学を学ぶことで、飛行の原理やジェットエンジンが動く仕組みなどが分かるようになるのです。

また、実習系の授業では、コンピュータを使って設計や製図を行うシステムであるCAD(キャド)を使い、航空機の設計製図を作成することもあるようです。

航空宇宙工学の将来性

航空宇宙工学は、今後もっとも発展が期待される分野のひとつです。その主な理由は、以下の3つです。

  • 乗り物の100年に一度の大変革期
  • 月や火星への生活圏拡大
  • 宇宙ゴミ問題の解決

自動車の電動化、自動化に始まり、ドローンや空飛ぶ車など、乗り物分野は革新的な技術が次々と登場しています。また、近年では、月面での長期滞在や火星への有人飛行に向けた計画が進んでいます。

これらの革新的な乗り物や宇宙開発を実現するには、航空宇宙工学の深い知識と高度な技術力が必要不可欠です。

さらに、宇宙開発が進む中で、宇宙ゴミが大きな問題となっています。これは、人工衛星や宇宙機器の残骸が宇宙空間に蓄積し、他の衛星や宇宙機の運用に支障をきたすというものです。この問題を解決するために、宇宙ゴミの回収や処理技術の開発が求められています。

航空宇宙工学が学べる大学の学部・学科

人工衛星

航空宇宙工学は工学部や理工学部に設置されており、多くの学科で「航空宇宙」の名称がついています。

航空宇宙工学を学べる大学は、現在それほど多くないので、志望校選びの際は慎重に検討する必要があります。
ここでは、航空宇宙工学が学べる大学を国公立大学と私立大学に分けて紹介します。

【国公立大学】航空宇宙工学に強い大学

【私立大学】航空宇宙工学に強い大学5選

ほかにも航空宇宙工学が学べる大学を知りたい人は、こちらからチェックしてみてください!

航空宇宙工学科で取れる資格

航空宇宙工学科では、就職に役立つ以下のような資格を取得できる可能性があります。

  • 航空無線通信士
  • 航空特殊無線技士
  • 航空整備士
  • CAD利用技術者
  • 機械設計技術者
  • 中学校教諭一種(数学・理科)
  • 高等学校教諭一種(数学・理科・工業)

大学によって取得できる資格は異なるので、事前に公式ホームページで確認しておきましょう。

参考:

航空宇宙工学科:学科概要 : 日本大学理工学部 (nihon-u.ac.jp)

取得できる資格 | 帝京大学 (teikyo-u.ac.jp)

航空宇宙工学科 – 工学部|留学生の方へ|NBU日本文理大学

取得できる資格 | 進路状況・相談窓口 | 就職進学 | 学生生活・就職進学 | 国立大学法人 東京農工大学 (tuat.ac.jp)

宇宙航空理工学科 | 学部・大学院 | 中部大学 (chubu.ac.jp)

大学で行われている航空宇宙工学の研究3選

飛行機の部品を作る学生

航空宇宙工学に関する研究には、どのようなものがあるのでしょう?
航空宇宙工学の研究が盛んな、以下の大学で行われている研究を紹介します。

  • 東京農工大学
  • 大阪大学
  • 九州工業大学

東京農工大学「能動的多点流体制御による細長物体の先進的空力特性制御技術」の研究

ロケットや航空機が機首を上げて飛行すると、機体周りの空気の流れが対称でなくなり、横向きの力が発生して姿勢が不安定になる問題があります。この研究では、その問題を解決するために、プラズマアクチュエータという最先端のデバイスを使って、空気の流れを直接コントロールする方法を試みました。

プラズマアクチュエータは、電気を使って空気にプラズマを発生させ、空気の流れを制御するデバイスです。この研究では、機体の先端にプラズマアクチュエータを取り付け、電気を周期的にオン・オフすることで、空気の流れを制御しました。

その結果、プラズマアクチュエータを周期的に動作させると、機体に横向きにかかる力を連続的に変化させることができ、さらにはその力をゼロにまで抑えることにも成功しました。

この研究成果は、ロケットや航空機の姿勢制御に新しい方法を提供するものであり、より安定した飛行を実現するための重要な一歩となります。将来的には、この技術を応用することで、より効率的で安全な航空機やロケットの開発が期待されます。

大阪大学「複数の可変速1軸ジンバルCMGによる宇宙機の姿勢制御」の研究

宇宙機は、宇宙空間で目的の方向を向くために、姿勢制御と呼ばれる技術を使います。従来の姿勢制御技術では、宇宙機の方向転換に時間がかかり、目標地域を素早く正確に捉えられなかったり、観測データの質が悪くなったりしていました。

この研究では、CMG(コントロール・モーメント・ジャイロ)という装置を複数使って、宇宙機の姿勢制御を高速かつ正確に行う新しい方法を開発しました。

この研究成果は、より高度で複雑な宇宙ミッションを可能にすると期待されています。たとえば、高解像度の地球観測衛星が目標地域を素早く捉えて高品質な画像を取得したり、宇宙望遠鏡が天体を精密に観測したりできるようになるでしょう。

九州工業大学「宇宙システムの高電圧化に向けた超小型衛星による帯電・放電現象の軌道上観測」の研究

人工衛星には、さまざまな機器が搭載されています。たとえば、地上との通信や、他の衛星との通信を行うためのアンテナや送受信機などです。

宇宙空間では、人工衛星の表面で放電現象が起きることがあり、それが原因で人工衛星に搭載された機器が故障してしまうことがあります。

この研究では、九州工業大学の学生たちで設計・開発した超小型衛星「鳳龍四号」を運用し、宇宙空間での放電現象を観測。放電現象の対策技術を実際の宇宙環境で試験しました。

研究チームは5年かけて、放電現象を観測するための機器を開発し、2016年2月に「鳳龍四号」を高度575kmの軌道に打ち上げました。衛星は今でも運用を続けており、太陽電池パネル上で起きる放電現象の発光と電流を、世界で初めて捉えることに成功しました。

この研究成果は、放電現象のメカニズムを解明する上で大きな前進となります。また、人工衛星の故障防止や故障対策の研究に役立つと期待されています。

上記のような研究がされていると知っていましたか?研究から大学を探せる「スタビキ」ではさまざまな研究を知ることができます。「航空宇宙工学」と検索してみると、ほかにも多くの研究があることがわかります。ぜひ、自分の興味のある研究を探してみてください。

航空宇宙工学を学んだ人の主な就職先

JAXA

各大学の就職実績を確認すると、航空宇宙工学を学んだ学生は、航空宇宙の分野だけでなく、電気・情報や自動車、機械・重工業など、幅広い分野で活躍していることが分かります。

航空宇宙工学を学ぶことは、工学の基礎知識がある証明になります。この知識は、航空宇宙分野だけでなく、さまざまな分野で応用できるので、将来の選択肢を広げてくれます。

航空宇宙工学を学んだ人の主な就職先は、以下のとおりです。

  • 航空宇宙に関連する機械・重工業
  • 電気・機械・通信
  • 自動車・輸送用機器
  • 研究開発機関

順番に解説します。

航空宇宙に関連する機械・重工業

航空宇宙工学を学んだ人の就職先として、航空機や宇宙機(ロケットや人工衛星)の設計や製造、修理を行う企業が挙げられます。

具体的な仕事内容は、コンピュータを用いた航空機・宇宙機の設計や耐久性のテスト、ロケット打ち上げ用のシステム開発などです。
高度な技術力と安全性への配慮が求められる分野ですが、人々の移動や宇宙開発に貢献できるやりがいのある仕事だと言えるでしょう。

【航空宇宙に関連する機械・重工業の代表的な企業】

電気・情報・通信業界

電気・情報・通信業界も航空宇宙工学を学んだ卒業生に多い就職先です。
仕事内容としては、電気・電子機器の設計開発、ソフトウェアの開発、通信ネットワークの設計・構築、情報セキュリティの管理などがあります。

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自動車・輸送用機器

自動車や鉄道車両、飛行機などの輸送用機器を扱う企業も主な就職先です。
仕事内容としては、自動車や鉄道車両の設計開発、エンジンや駆動系の性能解析、新素材の研究開発、自動運転のシステム開発、航空整備などがあります。

【自動車・運送用機器の代表的な企業】

研究開発機関

航空宇宙工学を学んだ人の中には、JAXAなどで研究職に就く人や、大学に残って研究を続け、教授になる人もいるようです。

研究職に就きたい場合は、大学院を卒業するのが現実的です。企業によっては、大学院卒が就職要件となっている部門もあり、近年、航空宇宙工学分野を学ぶ学生の多くが、大学院へ進学しています。大学によっては9割以上が院へ進学し、専門性を高めているようです。

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航空宇宙工学が学べる大学はスタビキで検索!

火星を探索する人たち

航空宇宙工学は、主に工学部や理学部の航空宇宙工学科で学ぶことができます。
近年、自動運転技術や空飛ぶ車など、乗り物に関連する技術は目覚ましい進歩を遂げています。また、宇宙開発の進展に伴い、宇宙ゴミ問題などの新たな課題にも取り組む必要性が高まっています。このような状況の中、航空宇宙工学は今後ますます重要な役割を担うと期待されている分野です。

航空宇宙工学科では、工学の基礎を幅広く学ぶことができるため、卒業後の就職先も多岐にわたります。航空宇宙分野だけでなく、自動車や鉄道、エネルギーなど、さまざまな業界で活躍できる可能性があります。

将来の社会を支える革新的な技術の開発に携わりたい人や、工学の基礎を身につけて幅広い分野で活躍したい人は、航空宇宙工学の研究ができる大学へ進学することをおすすめします。

航空宇宙工学について学んでみたいという人は、ぜひ「スタビキ」を活用してみてください。各大学で行われている研究が確認できますよ!大学名から検索して、研究内容を確認することもできるので、進路選びの参考にしてみてください!

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