系統別学問内容リサーチ
社会科学系統
社会科学系学際の分野
資源枯渇、環境汚染、人口爆発、食糧不足、安全保障問題など現代的な大テーマに、従来の学問的枠組を超えてアプローチする新分野。「総合的な視点」「多彩なテーマ」がキーワード
分野の特徴
社会科学の英知を結集し、ビッグテーマの解決にあたる
社会が大きく変貌しつつあるため、私たちはこれまでの社会制度や組織のあり方を見直すとともに、優れた日本の文化や価値観を再発見する時期ではないか、と言われています。その一方で、環境問題(資源枯渇、地球汚染、温暖化)、貧困問題(人口爆発、食糧不足)、安全保障問題など、私たちの目の前には解決すべき難問が山積みになっています。
このことから、社会科学では、従来の学問的枠組みを超えて、総合的な視点から研究に取り組む学際的な動きが研究者の間で活発になっています。
「学際」とは、学問の“境目”のことを指しており、法学・経済学・経営学・社会学など、既存の学問ごとの研究では解明することが難しいテーマに対し、これらを融合させた手法で取り組もうという学問姿勢が大きく拡大しています。
新しい学問領域であり、いろいろな研究分野を含みますが、中でも注目されるのが《政策提案型》《実務能力養成型》という2つの大きな流れです。
政策提案の領域のほか、実務キャリア養成の研究も
《政策提案型》は、人類が抱えるさまざまな課題に、正面から取り組む研究領域です。
環境、貧困、民族紛争、安全保障、危機管理など、私たちの前に突きつけられた大きな課題を分析して、原因を解明。そして、長期的なビジョンに基づき具体的に政策提言する。一方、さまざまな政策を比較検討し、政策を実現する過程を監視して、成果を評価するなどが大きなテーマといえます。
また《実務能力養成型》は、社会科学全般の幅広い知識と、それを実社会で活かせる「総合力」を養成する実践型の学問です。社会科学の研究成果を「高度な専門人材の育成」という形で社会に還元することをめざした領域であり、たとえば、情報収集力と分析力、組織を統率するリーダーシップ、コミュニケーション能力といった、ビジネス社会で役立つ高いスキルを学べることが大きな特徴となっています。
何を学ぶ
学問手法を統合して政策課題に取り組む実践法を学ぶ
研究テーマや目標など、多彩なバリエーションを含むこの分野では、カリキュラム、授業の進め方なども、大学や学科によって大きな違いがあります。
政策提案型では、基礎課程で政治学・法律学・経済学・社会学の基本的な概念と研究手法を学んだうえで、具体的な政策課題を選び、専門的な研究に取り組みます。社会科学系とはいえ《環境》《防災・救急》《危機管理》など、専門性の高い政策分野では、理学、工学、医療・保健など理科系の専門知識も重要な学習項目となります。
実務能力養成型では、ビジネスについての専門科目が中心となります。たとえば、簿記や会計、ビジネス文書や英会話などの実務能力、データ管理やビジネス情報分析の専門知識、自己表現や対話・交渉のためのコミュニケーション能力などがあります。さらに、人間の心理と学習、職場での人間関係、基礎カウンセリグといった、心理学・教育学に関わる専門分野も学びます。
社会科学の幅広い手法を総合し、新しい政策を提案する
新しいジャンルとして登場したこの学問は、理念や目的、さらにカリキュラムや授業の進め方などによって、《政策提案型》と《実務能力型》の二つの系統に分類されます。
まず、《政策提案型》では、政治学・法学・経済学・社会学の基礎概念を総合的に学び、政策や制度の検証、社会調査といったアングルから問題の捉え方や着眼法などを学びます。そのうえで、都市政策、福祉、地域振興など具体的な政策課題に取り組みます。
とくに専門性の高い《環境》《防災》《危機管理》などの政策分野では、理学、工学、医療・保健など関連領域の専門知識も幅広く修得します。たとえば、《環境》では、水質や土壌、大気を分析するための化学的知識、《防災》では自然災害や火災についての専門知識、《危機管理》では、医学や看護学の知識を基礎とした救急救命術や、情報保護とネットワークのセキュリティなどジャンルに応じた専門領域を履修します。
実務訓練等を通じ、高度な専門知識と職業意識を養成
一方、《実務能力型》では、簿記や会計、ビジネス文書や英会話など、ビジネス実務の能力に加え、情報分析や経営管理術、多くの人と意見を交わして自らの意思を正確に表現するコミュニケーションやプレゼンテーションの能力を養うことが大きな課題となります。
具体的には、「職業心理学」「カウンセリング学」「コミュニケーション論」といった職場における人間関係に関する諸科目、また、大学によっては将来の会社起業あるいは店舗開業を念頭においた、店舗企画や設営、経営分析、マーケティングに関する科目を学ぶ場合もあります。
授業のスタイルは、少人数のゼミ、実務訓練、インターン研修、さらにはビジネスマンや技術者、NGO職員などを招いて行う講義や実習などさまざまです。これらの分野では、常に能力向上を図る「自己改革」の能力を身につけることを謳う大学が目立ちます。