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芸術系統

工芸・デザインの分野

工芸・デザインの分野

製品の形や映像・絵・文字などを使った、人間の視覚に訴える表現芸術。美術の応用領域として、社会ニーズにそった「美」を創りだす分野。「機能性」「快適性」を希求するのが特質

分野の特徴

デザイン要素に加え、機能性・快適性を追求する

 デザインは、平面や立体の構成、色彩、形状や質感など、主に人間の「視覚」に訴える表現芸術の分野です。
 美術の応用として、人間や社会に役立つモノの色や形を創造する分野として発展してきた分野で、単なる芸術としての美を追究するだけでなく、製品の使い勝手を高めたり、人の心地よさや好感度を誘う、というプラスアルファの要素が必要になります。
 デザインの領域には、たとえば、生活用品や家電などのモノ、建築や内装、イベント会場などの空間・スペース、広告オブジェなどの造形物、写真やイラスト、マンガといった、紙媒体など、幅広い対象を含みます。最近では、コンピュータグラフィックやアニメーション、ゲームなど、映像媒体による表現の領域も発展しています。
 これらは、“形のあるモノをつくる”分野(製品や建築、空間環境など)と、“形のない表現”(写真、イラスト、ゲーム、アニメなど)を制作する分野に大別することができます。

ビジュアル、プロダクト、環境など表現法は多彩

 デザインの研究領域は、表現するモノや表現方法により、次の4つに分類できます。
1. ビジュアル系・・・印刷物などの「平面」または展示物などの「立体」の制作物、さらに、ビデオ映像やゲームなども含まれます。
2. プロダクト系・・・家電や家庭製品、携帯電話、自動車など、主に生活や社会で使われる工業製品をデザインする領域です。
3. 建築・環境系・・・店舗の内装やイベント空間、住居やインテリア、公園などをデザインする領域です。
4. 舞台芸術系・・・演劇の舞台、テレビ番組の制作、また衣裳や背景などの舞台美術を制作する領域です。
 このうち、1と4は、デザインした形そのものが商品になる領域、また、2と3はデザイン表現が何かの用途(広告宣伝や娯楽)に使われる領域といえます。
 形をつくる分野では、形と機能、使い勝手や操作性などの要素、一方、表現をつくる分野では、好感や気持ちよさなどの要素が、とくに大切になります。

何を学ぶ

デザインの感性と技法を磨くために基礎的な演習や実技

 この分野は、デザインの表現形態ごとに専攻やコースが分かれますが、基礎課程の学習項目はほぼ共通しており、「平面」「立体」の造形表現の基本技法を、理論科目と実習で学んでいくのがふつうです。
 最初に、デッサンやデザイン演習を積み重ねて、創造的な感性と観察力(モノの見方、捉え方)を養成するとともに、デジタル機器による表現方法を学びます。さらに、実際に表現物を制作することで、描写・表現力を磨いていきます。この分野では、顧客のニーズを正確にカタチにし、説明する力が重要であり、制作したデザインを聴衆の前で発表したり、CMを制作する、といった「プレゼンテーション」能力を養う演習も行います。
 講義科目として、造形や色彩などデザイン制作のための基礎理論を学ぶ「色彩学」「図学」「デザイン学」「デザイン史」のほか、「日本美術史」「西洋美術史」「現代美術論」などを履修し、美術全般に関する幅広い基礎知識を身につけます。

表現形態ごとに特化した表現技術と創作センスを磨く

 専門課程では、それぞれのデザイン領域に特化した科目で、表現の創作に取り組みます。
 ビジュアル系では、広告や雑誌など印刷物に必要なレイアウトや文字デザイン、ピクトグラム(案内板などの図記号)などを制作する実践手法を中心に学びます。この領域は、表現形態が非常に幅広いため、たとえば情報デザインを専攻する場合には、Web上のデジタルコンテンツの作成やアニメーション技術を、イラストレーションや立体表現を学ぶ専攻では、絵画や彫刻といった美術系に近い技法などを、ジャンルによって学習するポイントが異なります。
 またプロダクト系では、デザイン設計からスケッチ画、モデル制作、完成図面まで、「制作者」と「使う(買う)人」の双方からモノづくりの現場を体験します。
 さらに環境(空間)系では、「建築設計」「建築材料学」「構造設備」「建築環境論」などに加え、インテリアや店舗、広告ディスプレイなどのデザイン技法を学びます。

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