テーマ 国際・コミュニケーション 海運業
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どんな分野?
現代の国際社会は、陸(自動車・列車)、海(船舶)、空(飛行機)の物流ネットワークで覆い尽くされている。海に囲まれた日本は、昔から船の技術を発達させた海運国であり、日本の海運会社は今も世界のトップ5に名を連ねている。
海運には、主に人を運ぶ「旅客」輸送、物資を運ぶ「貨物」輸送という2種類の役割がある。中でもコンテナ船、自動車専用船、石油タンカー、バラ積み貨物船(鉄鋼・木材・石炭など)を用いた貨物輸送は、日本の産業を陰で支える重要な役割を担っている。
近年、国際情勢の不安定化からシーレーンの防衛が話題となったが、国の生命線である海運ルートを守るためには、外交や貿易、国際交流を通じて他国との関係を良好に保つことが重要となる。
活躍の舞台
海運についての研究ジャンルとしては、まず貿易の基礎理論、貿易のルールなどを扱う「国際商学」がある。国際商取引を中心として、商学の基礎知識から国際企業のビジネスマンとして必要な貿易実務まで実践的に学ぶことができる。また、国どうしの通商や外交、政治などを総合的に学べる「国際関係学」、国際取引で不可欠のビジネス英語を徹底的に修得し、海外での交渉力を学ぶ「語学」からのアプローチも可能だ。
海運業の現場の仕事について専門的に学べるのが「商船学」系統。たとえば船のしくみと操り方、航路の選び方、積載する貨物の管理などを、実習を交えて学び、船員(航海士)としての高度な知識と技術を体系的に修得することができる。
学問へのアプローチ
この分野を専攻した人の代表的な進路が貿易会社、商社だ。実力次第では海外の駐在員や、外国企業・国際機関のスタッフとして海外の現場で活躍することも可能。それには国際商取引に関する実務知識に加えて、現代世界を捉える国際的な感覚、さらに高度な語学力と対話・交渉の能力を身につけることが重要となる。
そのほか「商船学」で海運の知識を学んだ人の進路としては、輸送船を抱える海運会社が挙げられる。商船員のほか、たとえば物流システムの構築と管理、航海の計画と管理といった陸上の職務もある。また、船舶の操縦術を体得することで、フェリーや定期連絡船、湾内クルーズや湖上遊覧で用いられる観光船などの船長(船員)として働く道もある。
このキーワードについて学べる学問分野
工学系学際
新しい工学の視点から、人類が抱える重要課題や将来に大きな発展が期待される先端技術に挑むフロンティア領域。「資源工学」「地球環境工学」「先端工学」はその代表的な学際ジャンル
経済学
モノやサービスを交換するしくみ=「生産→流通→消費」の観点から、世の中の人々のより良い暮らしを探求する分野。数理的な要素が強いこと、国際的な視点が重要なことが二大特徴
機械工学
ものづくりを軸としてきた工学の核となる<機械>を研究する分野。その原理と創意工夫を土台に新しい「機械」を設計・開発する。技術やパーツを組み立てる「機械システム」が中心に
商船学
船舶の安全な航行術と効率的な海運システムのために、それを支える機械やエネルギー機関、電気技術と物流を総合したユニークな研究ジャンル。商船による物資輸送を支える実践的学問