テーマ 国際・コミュニケーション 多国籍企業
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どんな分野?
多国籍企業とは、1つの国内に収まらず、いくつもの国にまたがって活動の拠点を置く企業のこと。たとえば機械工業、金属工業、化学工業、電気通信工業などの製造業では、生産工場をコストの安い発展途上国に築いて開発・生産を行い、世界各地へ製品を送り出している。また海外貿易を主な業務とする商社では、世界各国に事務所を開いて現地の情報を収集し、価格や品質、輸送コストの面で最も有利な地域から物資を調達している。
地域によって異なる文化や経済状況、政治体制など、各国の事情に対応した事業展開を行えるだけでなく、社会的なリスクを分散するメリットもあり、経済社会のグローバル化が進むにつれてますます存在感を増している。
活躍の舞台
多国籍企業について研究するには、大学で「経営学」系の学部に進んで、「国際経営学」の分野を専攻するのが、一般的なコースとなる。
「国際経営学」では、国際競争と企業戦略、国際間の企業買収、国境を越えた経営のネットワーク化、IT技術を駆使した多国籍企業の経営情報分析といったテーマを扱う。また、多国籍企業の役割を経済社会・産業の側面から捉える「国際経済学」、国家間の外交戦略を研究する「国際関係学」の視点も不可欠になる。外国語によるコミュニケーション能力は、欠かせない。ビジネスで通用するレベルの英語力に加えて、1つ以上の外国語を身につけておくことが、就職活動のときはもちろん、就職後に海外勤務を希望する場合にも、大きな強みとなるだろう。
学問へのアプローチ
多国籍企業の経営を大学で専門に学んだ人は、商社や外資系の企業に就職し、海外派遣や駐在員として、または国際部門で海外との交渉にあたる社員として能力を生かすことができる。ただし、海外で勤務する社員にきわめて高度なキャリアを求める企業がほとんどであり、与えられた自らの仕事を通して、実務能力や国際経験、人脈、情報収集力を積み重ねられるかが自分の未来を開くカギになるだろう。
将来有望なのが、中国やインド、ブラジル、ロシアといった発展の著しい新興国。こうした国々における市場や産業の状況、ビジネス環境、政治情勢などを理解し、刻々と変わる状況にも変化できる実践能力を大学在学中に身につけることが就職にも有利になる。