どんな分野？

民泊とは、住居の一部や別荘、マンションの空き部屋などを利用して旅行客に宿泊場所を提供するサービスです。訪日外国人観光客の急増と、大都市部での宿泊施設の不足が見込まれる中、法制度が整備され、一般の市民も届け出によって民泊の営業が可能となりました。
利用客からは、宿泊費用を抑えられる、家庭的な雰囲気を味わえるといった点が評価を受けています。一方、提供する側には、少ないコストで収入が得られる、使うことで古くなった住宅を維持できる、などのメリットがあり、徐々に広がりを見せています。契約トラブルの防止、衛生面や安全性の確保などの課題はありますが、空き家の有効活用という地域活性化の側面からも注目されています。

活躍の舞台

代表的な業種は、観光客など短期間の滞在者に民泊を紹介する旅行業者、住宅の賃貸借契約を仲介する不動産業です。そのほか、訪日観光客へのサービスを行う職種として、宿泊客にサービスを提供するホテル従業員、外国人観光客を案内するツアー添乗員やガイド、飛行機内でサービスを提供するキャビンアテンダントなどの仕事も選択肢になります。
民泊という新しい宿泊施設は、一般の個人が自分の資産（住宅）を使いたい人と共有する一種のシェアリング・サービスであり、特に若い世代に支持する人が増えています。ビジネスとしての興味に限らず、海外の観光客とつながりたい、さまざまな文化を体験したい、という人にとっても魅力的なテーマでしょう。

学問へのアプローチ

このキーワードには、「社会学」「経営学」「経済学」からのアプローチがあります。「社会学」では、観光やレジャーに関する研究ジャンルがあり、旅行好きな人におすすめです。ホテルや和風旅館とは異なる民泊の特徴と魅力を探り、旅行を通じた地元社会との関わりについても考えます。「経営学」では、民泊のビジネス展開、民泊の仲介サイトや旅行・観光業などの関連ビジネスを研究します。「経済学」では、民泊による地元経済・産業への波及効果を分析します。
さらに、日本を訪れる海外の観光客との文化交流が研究テーマの1つである「文化学」、民泊営業の契約手続き、国や地方自治体による営業規制の緩和など、法整備の問題を研究する「法学」もあります。

このキーワードについて学べる学問分野

経済学

モノやサービスを交換するしくみ＝「生産→流通→消費」の観点から、世の中の人々のより良い暮らしを探求する分野。数理的な要素が強いこと、国際的な視点が重要なことが二大特徴

社会学

家庭・地域・学校・企業など人間が作っている「組織」のしくみやはたらきを検証し、そこに生起する種々の現象を解析。社会病魔、福祉、環境、メディアといった現代的課題に迫る

経営学

人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴

法学

社会の公平さと我々の生活の安全を保つためのルールを学ぶジャンル。法律は、国としてのカタチを整える術、人々の行動の規範や手順のモデルでもあり、かつては万能視された時期も

文化学

世界の文化の多様性を土台に、古今東西の人や文化を総体的として比較。それぞれの文化特有の尺度や思想を発見・分析するジャンル。現地での「フィールドワーク」の研究手法がキモ