テーマ 薬学・バイオ 製薬企業
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どんな分野?
高齢化が進む日本では医療費の上昇が止まらない。そこで政府は、健康保険からの支出を抑えるべく「後発医薬品(ジェネリック)」の活用を推奨している。ジェネリックとは、新薬の特許期間が過ぎた後、同一の成分で他社が発売する薬のことで、研究開発費が不要なため新薬の2~3割程度で販売できるメリットがある。
医療費の高騰は、いわゆるメタボリック・シンドロームの増加にも起因している。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病が増えれば、勢い医療費にも跳ね返ってくる。これらメタボリック・シンドロームを抑制するための薬への需要は、これからさらに高まっていくものと思われる。一方、海外からインターネットで薬が簡単に手に入る時代、製薬会社が負うべき社会的責任も年を追うごとに高くなっている。
活躍の舞台
製薬企業で働くには、さまざまなアプローチがある。新薬の研究や開発に携わりたい場合は、やはり「薬学」を軸に学ぶことになるだろう。ひとつの薬を市場に出すまでには、最低でも10年以上の年月と億単位の金額がかかるといわれるが、その最初の段階での調査研究、また病院に委託して行われる臨床試験(治験)での橋渡し役など、薬学で得た知識と経験が活躍する場は数多い。
ようやく新しい薬が世に出た後、その利用を医療機関に提案する医療情報担当者(MR)になるためにも薬学は役に立つはずだ。一方、医療現場や在宅医療において、患者と接しながら働くことを想定した場合は、薬学のほかに「看護学」「医学」などの周辺分野も視野に入れておきたい。
学問へのアプローチ
製薬企業は、伝統的にどこも優良企業であり、安定した経営を続けている。というのも、医薬品の製造には莫大な人手と資金が必要である一方、その薬が厚生労働省から認可されれば、競合する相手がいないからである。しかも新薬の発売は年間約20種程度しかなく、これが車や家電といったほかのメーカーと決定的に異なるところである。
また、たとえ中小企業であっても、ある特定分野の薬で大きなシェアを握っていれば、大手と変わらない利益を出すことができるのも製薬企業の特徴である。しかしながら、ここ数年で既存の企業の合併が相次ぎ、また外資系製薬企業が大挙して日本に上陸してきたことから、業界の地図は大きく変わりつつある。