テーマ 薬学・バイオ 化粧品メーカー
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どんな分野?
人間の肌や髪の健康を保つとともに、美しい色で人間の装いを彩るのが化粧品本来の役割だが、今では「美容」だけでなく、病気やケガによる傷跡を保護したり、色でカバーして目立たなくする用途でも使われている。
超微粒子のパウダーやコラーゲンなど、最新のバイオ技術を応用した新成分の開発が盛んになっており、たくさんの化粧品メーカーが開発競争にしのぎを削っている。最近は、炎症などのトラブルが起きにくい成分として自然素材を利用した化粧品や、保存料を含まない化粧品も人気を呼んでいる。
肌や髪にじかにつける薬品なので、美容効果に加えて肌への吸収・浸透力、さらに薬としての安全性や保存性など、さまざまな観点から品質向上が求められる。
活躍の舞台
化粧品の開発・研究の仕事を目指すためのルートとしては、化学製品や医薬品について大学で専攻するのが一般的だ。工学系統の「応用化学」や「応用生物学」のほか、農学系の「農業化学」、医療・保健系統の「化学」「薬学」の分野などいくつかのコースがある。
大学では「化学」「生物学」「医学」などの分野を幅広く学ぶ必要がある。まず、化粧品となる物質の化学構造についての知識、新しい化粧品を分析・開発するためのバイオ技術、口紅・化粧水などさまざまな製品を工業的に生産するプロセス技術などを学ぶ。
さらに、美容の対象となる人間の皮膚や毛髪のメカニズムや、肌や皮膚のトラブルを引き起こす原因を解明し、健康と美容を保つための方法を研究する。
学問へのアプローチ
新成分の開発がヒット商品につながる美容業界では、多くの企業が独自の研究所を立ち上げて基礎研究に力を注いでいる。また、販売動向の調査、ユーザーや販売店へのアンケートなどの大規模なマーケティングによってニーズを探ったり、美容のプロで大口の顧客でもある美容師やメーキャップデザイナーらとも協力して、魅力的な商品の開発に取り組んでいる。化粧品メーカーにはそのほかにもユーザーに製品をアピールする「販売」「広告宣伝」から、製造業には欠かせない「品質管理」「製品評価」といった職種もある。
大学でこの分野を専攻し、美容に関する科学的な専門知識を備えることで、基礎研究や商品開発部門をはじめ、さまざまなシーンで活躍することができる。
このキーワードについて学べる学問分野
応用化学
化学の研究成果として得られた、物質の“構造”や“はたらき”を土台に、既存物質の新しい機能の抽出や新しい物質の合成など、実際に人の役に立つ技術を生み出すための工学ジャンル
化学
自然界のあらゆる物質の特性と反応のしくみを取り出し、物質の構造と性質を解明。それらを違う分量で化合したり、別の組合せにして、これまでになかった新しい「物質」を作り出す
応用生物学
生命や生体の構造・機能を利用して、新しい物質の抽出や有用な生体的機能や技術を生み出す工学ジャンル。食糧や薬品の開発、医療技術まで広がる《バイオテクノロジー》の中核的存在
農芸化学
化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする
薬学
病気の治療、健康管理、衛生環境の視点から、医薬品をはじめとする「薬(くすり)」について、総合的に研究する学問分野。家庭用の洗剤や殺虫剤といった生活用薬剤や化学物質も対象