テーマ 薬学・バイオ クローン
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どんな分野?
「クローン」とは、全く同じ遺伝情報をもつ生物や細胞、臓器を指す言葉。生物の身体を形作る分子や細胞を取り出し、人工的に培養、増殖して生物のコピーを作成するクローンの研究は、医療の分野に革命を起こす最先端の技術といわれ、近年めざましい発展を遂げている。
生物学の分野では、すでに動物個体(一匹)のクローンも実現したが、安定してクローン動物を産み出す技術はまだ確立されていない。また、倫理や安全性の面からも批判があるなど、さまざまな課題が指摘されている。医療現場では、患者自身の臓器や器官のクローンを用いた再生医療の研究が進んでおり、医薬品を利用するよりも副作用が少なく、画期的な治療法として期待されている。
活躍の舞台
クローンに関する技術を大学で学んだ人の進路としては、企業や大学、公的研究所などの研究機関が挙げられる。専門の研究者をめざすには、バイオテクノロジーに関する高度な専門知識と研究手法を身につけるため、大学卒業後に大学院に進学することが必須となる。
クローン技術の医療への応用は、現状では一部の分野で臨床研究が始まったばかりだが、将来的には医療関連の職種も有望だ。病院で実際に患者のクローン治療を行う医師のほか、医師を補佐する医療技術や検査などのスタッフの仕事が考えられる。さらに、医薬品や食品、化学製品の製造業、畜産業、水産業など、クローン技術を生かせる産業分野に就職して研究開発に従事するという選択肢もある。
学問へのアプローチ
この分野を大学で学べる学問として代表的なのは、理学系統「生物学」または工学系統「応用生物学」。「生物学」は、動物や植物の身体の構造を分析し、生命の根源に迫る学問。また「応用生物学」は、生物学の研究成果を工学技術に応用する学問。どちらの学問でも、分子生物学の基礎知識と研究手法を身につけたうえで、クローン技術などの高度なバイオテクノロジーの研究に取り組む。
そのほかに関連が深いのが、医療・保健系統「医学」「薬学」。これらの学問では、患者の治療や新薬の開発など、クローン技術を医療分野に応用するバイオ関連の研究を行える。さらに農学系統「畜産学」でも家畜の増産や改良など、クローンを応用したバイオ技術を研究できる。
このキーワードについて学べる学問分野
獣医学・畜産学
家畜などの動物の飼育と健康管理、資源としての利用を研究。動物の病気治療と予防法を研究する「獣医学」と動物を資源として飼育・繁殖・利用を研究する「畜産学」は不即不離の学問
応用生物学
生命や生体の構造・機能を利用して、新しい物質の抽出や有用な生体的機能や技術を生み出す工学ジャンル。食糧や薬品の開発、医療技術まで広がる《バイオテクノロジー》の中核的存在
医学
人間の身体のしくみや生命活動を、健康との関係で科学的に捉え、人間の病気やケガのメカニズムを解明。その治療法と予防法を総合的に研究する学問。研究の進歩が著しい最先端科学
生物学
生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、それがさまざまに分化して生みだす《多様性》を抽出。その神秘に満ちた<生命活動>を理論的に説明できる体系を打ち立てる
薬学
病気の治療、健康管理、衛生環境の視点から、医薬品をはじめとする「薬(くすり)」について、総合的に研究する学問分野。家庭用の洗剤や殺虫剤といった生活用薬剤や化学物質も対象