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どんな分野?

品種改良とは、農業で作物や家畜の新しい品種をつくり、人間にとって役に立つ性質に改良すること。味のよさ、形や色のよさ、育てやすさ、収穫量の多さなど、品質の優れた農産物を開発することは、農業生産者にとっては、商品としての価値を高めるために不可欠の要素だ。また、病気になりにくい、寒さや暑さに強いといった性質は、生産地の拡大にも貢献する。
 優良な品種を何世代も続けて交配するという、古くからの方法に加え、遺伝子に突然変異を起こす方法、遺伝子を組み換える方法など、バイオ技術を使った品種改良法が開発されている。研究や実験の手法も進歩し、遺伝子データを使った品種解析や実験シミュレーションをはじめ、研究室内でICT(情報技術)を駆使した開発も行われている。

活躍の舞台

この分野に関する専門知識や技術を大学で習得した人は、各地の農業試験場あるいは植物の種子や苗を生産・販売する種苗(しゅびょう)会社に就職し、新品種の研究開発に携わるのが代表的な進路となる。農業試験場の研究職は、一般に都道府県の職員(技官)で、新しい品種を開発するための研究に従事するほか、農家と協力して新品種を試験的に栽培し生育状況を確認する育種の仕事もある。
 農作物の幅広い専門知識は、農業関連のさまざまな職場で生かせる。たとえば、大規模農場で作物を生産する農業法人、農業生産者の団体、農業機械や肥料のメーカーなどがある。さらに、最近増加しつつある、異業種から農業に進出した商社やメーカーなどでも活躍の場が広がっている。

学問へのアプローチ

この分野を大学で専攻したい人の進路では、農学系統「農学」が代表的な学問。生物学や化学で生産する植物の基礎知識を身につけたうえで、稲や麦などの穀物、野菜、果物など、さまざまな農作物の特徴や性質を研究し、品種の交配や遺伝子組み換えによる農作物の品種改良の手法を習得する。農場での作業のほか、細胞の培養やシミュレーションなど、研究室での実習を含め現場に即して実践的に学べる。
 同じ農学系統の「農芸化学」も関連が深い。化学の視点で農業に関するさまざまな技術を研究する学問分野で、農作物の品種改良に必要な専門知識と開発技法も学べる。品種改良をはじめ、農業生産に役立つバイオ技術を幅広く学ぶなら理学系統「生物学」という選択肢もある。

このキーワードについて学べる学問分野

農学

穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問

農芸化学

化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする

生物学

生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、それがさまざまに分化して生みだす《多様性》を抽出。その神秘に満ちた<生命活動>を理論的に説明できる体系を打ち立てる

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