テーマ 薬学・バイオ 機能性繊維
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どんな分野?
独特の触感(温かい、冷たい、柔らかいなど)、保温性や保湿性、抗菌性、撥水性(水をはじく)、抗紫外線(肌にダメージを与える紫外線を遮る)といった通常とは異なる特殊な機能をもった繊維のこと。快適さが求められる日常の衣料品をはじめ雨具や傘、夏季・冬季のシーズン向け用品、スポーツウェア、レジャー用品など、利用する場面にターゲットを絞った製品もある。そのほか、形状安定素材でシワになりにくい、洗っても乾きやすいなど、メインテナンス性に優れた製品も、消費者の人気を集めている。
新しい機能を開発することは、衣料や日用品の付加価値を高め、大きな収益につながるため、アパレル産業や化学メーカーの間での開発競争が繰り広げられている。
活躍の舞台
この分野を学んだ人の就職先としては、繊維素材を製造する化学繊維メーカー、繊維を用いた商品を製造する衣料品(アパレル)、スポーツ用品などのメーカーが挙げられる。
化学繊維メーカーは、ポリエステルの機能を高めたフリース、有機繊維を何度も高温で熱処理して作る炭素繊維、きわめて細い繊維を束ねたナノファイバーなど、いま広く普及する素材を世の中に提供してきた。新しい繊維素材を研究する開発職として、大学で身につけた専門性を発揮できる。
アパレルやスポーツ用品メーカーは、機能性素材の特性を生かして、衣料品や各種の用品を開発する業種。商品の企画開発部門のほか、消費者ニーズを調査するマーケティング部門、商品を小売店に売り込む営業部門、さらに広告・宣伝部門の仕事もある。
学問へのアプローチ
機能性繊維について研究したい人の進路では、工学系統「応用化学」または「材料工学」が最適だ。ともに化学物質の性質を解明し、社会に役に立つ有用な物質を人工的に開発することを目的とした工学分野。
「応用化学」は、化学工業の基盤となる学問で、化学繊維の原料となる有機化合物、高分子化合物の特性を研究する。機能性繊維を生産する繊維工場の製造プロセスについても学べる。「材料工学」は、さまざまな工業材料を研究対象とする学問。物質の新しい機能に着目し、化学合成で新しい機能性繊維を開発する。また、衣服や衣料について総合的に研究する「被服学」に進む道もある。機能性繊維の品質について実験を通じて分析し、着心地や温かさといった特性を科学的に分析する。