テーマ 薬学・バイオ 免疫治療
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どんな分野?
がん(悪性腫瘍)の原因は、人間の細胞が変質し、身体の制御を無視して異常に増殖することと考えられています。かつては不治の病といわれた難病ですが、病理的な研究や臨床医療の技術が進歩したことにより、多くのがんで、手術、抗がん剤、放射線治療という標準治療が確立してきました。
そして近年、第4の治療法として注目されるのが免疫治療。これは、人間の身体がもともと備える免疫機能を回復させることにより、がん細胞の増殖を抑える治療法です。手術や放射線よりも身体へのダメージが小さい、抗がん剤に比べて副作用が少ないというメリットがあります。効果には個人差が大きく、保険適用となるがんの種類がまだ少ないなど課題もありますが、今後の研究の進展が期待されます。
活躍の舞台
薬学系の大学で基礎薬学のコースを専攻した人は、医薬品会社で免疫治療薬の開発にあたる研究職が代表的な進路です。また、医療薬学を学んだ人は、その専門知識を生かして病院などで医薬品を処方したり、医師に免疫治療薬に関してサポートしたりする「薬剤師」になる道があります。
「医学」を専攻した人の代表的な職種は、病院の「医師」。がん治療の世界では、手術を行う外科医とともに、薬物治療の専門医である「腫瘍内科」が活躍しており、免疫治療に関する高度な知識は、医療の最前線で生かせます。もちろん、医学研究者として新しい免疫治療薬の開発や、この薬を使った効果的な治療法の研究に従事する道も考えられます。「看護学」を学んだ人は、医療・福祉の現場で看護師として活躍の場があります。
学問へのアプローチ
代表的な学問は「薬学」です。新しい免疫治療薬を「つくる」こと(=研究開発)に興味がある人は「薬学」で基礎薬学のコース、また、免疫治療薬を病院で「使う」こと(=治療)について学びたい人は、医療薬学(臨床薬学)のコースを選ぶとよいでしょう。
免疫治療の実践法を学びたい人は「医学」に進みましょう。病気の原因や病状を引き起こすメカニズムを解明する「基礎医学」と、患者に対する効果的な治療法を研究する「臨床医学」の分野があります。どちらも学べますが、医学研究者をめざす人は基礎医学、現場の医師になりたい人は臨床医学と、今から自分の将来像を考えておくとよいでしょう。そのほか「看護学」では、病院のがん病棟や治療施設での患者のケアを学べます。