テーマ 食物と栄養 外食産業
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どんな分野?
近年、日本国内での食品偽装問題や輸入される外国産食品の安全性の問題など、消費者の食への関心は高まる一方だ。多くの食料を輸入に頼る日本は、食料自給率の低さも指摘されており、農業、畜産業のあり方も問われている。今までになく「食」がクローズアップされているといえよう。
私たちの生活に浸透している“外食”は、原材料の安定確保や低価格の維持といった必要性から、輸入品に頼る傾向が多い。消費者の安心確保のため国内の産地と提携したり、原産地を表示する店も増えている。また最近では“中食(なかしょく)”といって、惣菜や弁当類、調理済みパンなど外食と家庭料理の中間にある製造済み食品も多く、市場も拡大している。
活躍の舞台
外食産業に関するアプローチはさまざまだ。調理を担当したい、シェフを目指したいなら調理師資格は欠かせない。また「栄養学」の素養も必要だろう。調理師、栄養士はそれぞれ都道府県知事が行う資格制度があり、短大の「栄養学」領域の学科では栄養士・調理師などの資格取得ためのコースを設けているところも多い。
栄養士資格取得者にのみ受験資格がある上位の管理栄養士という資格制度もある。栄養士・管理栄養士の資格があれば飲食店を開業する際に必要な食品衛生責任者資格が講習を受けなくてもとれるというメリットもある。また、自ら店舗をもつには経営の知識も必要だ。こういった知識は「経営学」「商学」といった領域が中心となる。
学問へのアプローチ
2008年4月から導入されたメタボリック・シンドローム診断のおかげで、誰もが「食」「栄養」「健康」の関連性を強く意識するようになってきた。ファミリーレストランでは食材の産地表示に加え、メニューにカロリー数を表示するなど、消費者のニーズに応えている。世代を問わず正しい食の知識を身につけることが求められる今、栄養士有資格者の需要も増加している。
一方、景気後退の影響を受けて外食産業自体の売上は減少傾向にある。不景気が続く限りこの傾向に大きな変化はないが、外食ほど費用のかからない中食は核家族化、個食化、家庭料理の簡便化といった生活様式の変化から、今や日本の食卓には欠かせないものとなっており、市場規模の拡大が予想されている。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴
商学
モノやサービスなどの「商品」を売り買いするためのしくみやルール(習慣)、それをより多く売るための仕掛けや方法を研究する。物流・会計・金融(手形・証券・保険)が三本柱