テーマ 食物と栄養 食品メーカー
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どんな分野?
近年、消費期限、産地、原材料等さまざまな食品の偽装問題が発覚し「食」をめぐるニュースが世間を騒がせている。食品メーカーは消費者の信頼を失いつつあり、業界事態も大揺れに揺れている。一方で、健康への意識、食育への注目など「食」に対する消費者の関心は、これまでにないほど高まっているといえよう。こうした環境下で食品メーカーには、いかに安心・安全な商品を開発し、提供していくか各社の取り組みが求められている。
また、食生活を通して健康を維持し、病気の予防をはかるという考え方が広まるなかで健康食品の需要も高まっている。大手メーカーを中心に「トクホ」とよばれる「特定保健用食品」などの開発も盛んだ。
活躍の舞台
食品メーカーにつながる学問アプローチは、「農学」や「水産学」、「栄養学」などがある。「医療・保健」領域では、栄養学や食品アレルギーに関する知識が学べる。こうした知識は今後の伸びが期待される健康食品分野の新商品開発に役立つ。もちろん、消費者ニーズのマーケティングや営業などには「商学」「経営学」の知識も必要だ。また、商品のパッケージ開発などデザイン系からのアプローチもある。
「農学」「水産学」領域からは食材に関する知識が得られる。近年では水産資源の保護の観点からマグロなどをはじめ国際的に漁獲高の見直しを求められており、食品メーカーにも養殖技術の開発に注目が集まっている。
学問へのアプローチ
40歳以上の成人を対象に08年4月から導入されたメタボリック・シンドローム診断のおかげで、これまでにないほど「食」と「栄養」、「健康」の関連性がクローズアップされている。「セルフメディケーション(自分の健康は自分で守る)」という消費者の意識も高まり、健康食品に対する関心も高い。今後の食品メーカーは、「トクホ」商品など健康食品分野を中心に、他社との差別化をはかった魅力ある商品開発に各社が一層努力するものと考えられる。
一方で「健康にいい」とテレビ番組で取り上げられた食材・食品に人気が集中するなど消費者が情報に流されやすくなっている面もある。栄養学、科学的見地にもとづいた情報公開も食品メーカーには求められるだろう。
このキーワードについて学べる学問分野
栄養学
人間の健康と食物の関係を科学的に研究。とくに食物の栄養成分の研究をテーマとし、食事の「量」と「質」をコントロール。健康管理の実践手法を工夫する管理栄養士も養成する
農学
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
食物学
日常生活の中での食べ物の調理や食生活の問題を総合的に研究する学問。家庭の視点から食べ物の調理と加工の技術を学び、《おいしさ》と《栄養》を追究。豊かな《食文化》を提案する
経営学
人、モノ、カネ、情報を活用した「企業」活動の管理法と運営法を研究するジャンル。即戦力として実践的な知識と運用能力を養成するために、インターンシップ教育が盛んなのが特徴
水産学
海洋や河川、湖沼に暮らすあらゆる動植物を対象に、水産物の漁獲や増殖、加工、流通の方法、さらには海洋環境の保護、水産物の資源としての利用方法について実践的に研究する分野
商学
モノやサービスなどの「商品」を売り買いするためのしくみやルール(習慣)、それをより多く売るための仕掛けや方法を研究する。物流・会計・金融(手形・証券・保険)が三本柱
生物学
生物の構造や営みに共通で見られる《法則性・普遍性》と、それがさまざまに分化して生みだす《多様性》を抽出。その神秘に満ちた<生命活動>を理論的に説明できる体系を打ち立てる